【完結】モブなのに最強?

らんか

文字の大きさ
38 / 43

38

しおりを挟む
 後日、ミーシャは学園の放課後に、久しぶりにユーリとガゼボでお茶を楽しんでいた。

「ミーシャ様、前回に引き続き今回も大変でしたのね。わたくし、全く知りませんでしたわ。こっそりとお父様から聞いて吃驚しましたのよ」
 
 先日の第二王子やらかし事件(高位貴族の間でそう呼ばれているらしい)は、水面下で更にダミアンの評価を下げているらしい。
 詳しい内容は秘匿されているが、第二王子が無実の人をまたもや証拠もなく、勘違いで、短慮にも連行したと噂されている。
 経緯を知るものは少数であり、公爵であるユーリの父もまた真実を知っている者の一人として、ユーリの婚約者のやらかしに憤慨しているそうだ。

「本当に、今回はさすがに頭にきましたわ。スピード解決をして頂いたのが幸いでしたけれど。ユーリ様こそ、大丈夫ですか? 
 その後、ヒロインや第二王子に何か絡まれてません?」
 
 ミーシャがユーリに尋ねると、
 
「最近、わたくしは眼中にないみたいで。ミーシャ様には申し訳ないですけれど、どうもあの方達の興味は、ミーシャ様に向いているようですわね」
と、可笑しそうに笑った。

「それでね、前回の件もあるし、お父様がいよいよ本腰を入れて、わたくしとダミアン様との婚約解消に向けて働きかけて下さる事になりましたのよ」

「まぁ! それは良かったですわね」
 
 ユーリの言葉を聞いてミーシャは安心した。

「ええ。上手くいけば、卒業式までに婚約解消になって、卒業式に行われる予定の婚約破棄イベントは回避できそう」
と、ユーリは嬉しそうだ。

 あの冤罪事件からミーシャは、やはり第二王子が万が一王太子になっては、この国は駄目になると改めて感じていた。
 そして父であるラバンティ辺境伯に、シオンに全面的に協力し、シオンを王太子に担ぎ上げてくれるようお願いしていた。
 今回、上手くユーリが婚約解消となれば、ミホーク公爵家も、シオンについてくれる可能性が高い。
 風向きがいい方向に流れていると感じ、ミーシャも嬉しくなっていた。



「ミーシャさん! 話があるの!」

 二人でお茶を楽しんでいると、そこにヒロインであるリセラが突然やってきた。
 
 突然の訪問者に吃驚していると、
「ちょうどいいわ。ユーリさん、あなたにも聞きたい事があったから!
 ねぇ、あなたたち、もしかして転生者なの⁉︎」
 
 リセラが凄い形相で言ってくる。

 なんて答えたらいいか、ユーリは戸惑いながらミーシャを見たが、ミーシャは冷静に答えた。

「何ですの? 転生者って」

 その答えを聞いたリセラは、
「違うの⁈ じゃ、何でゲームのストーリーと同じように進まないのよ。
 そっちの悪役令嬢は全然わたしを虐めてこないし、このモブ女はモブのくせに、やたらと力持ってるし……。
 ねぇ! ここは私がヒロインの物語なのよ! ちゃんとストーリー通りに動いてくれなきゃ困るわよ!」
と、叫んできた。


「何をおっしゃっているのか分かりませんが、聖女様、もう少し礼儀を学んではいかが? 
 いくら聖女様といえど、ユーリ様は公爵令嬢ですし、わたくしも辺境伯家の娘。
 そのような呼び方は、あまりにも失礼では?」

 ミーシャは、鋭い眼差しでリセラを見据える。
 ミーシャに突っ込まれて、リセラは一瞬怯むも、すぐに持ち直して、
「分からなければ、それでいいの。でも、あまり勝手な動きはやめてよね!」
 
 そう言い捨てて、この場を去っていった。


「さすがお花畑脳のヒロイン……」

 ミーシャがポソっと呟くと、それを聞いたユーリが吹き出す。
 
「でも、吃驚しましたわ。ヒロインさんも変だと思っていたのですね。これからは少し行動を気をつけないといけないかしら」

 少し不安気にユーリは話すが、ミーシャは
「大丈夫ですよ。すでにストーリーはかなり崩壊してますもの。
 それに、やられっぱなしは嫌じゃありませんか? やられたらやり返す。これは我がラバンティ家の家訓です」
と、涼しい顔で微笑む。

「わたくし、ミーシャ様が味方で本当に良かったと思いますわ。あなた、今わたくしより悪役令嬢っぽかったですわよ」
 
 ユーリが言い、2人は顔を見合わせて笑った。
しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

婚約者は無神経な転生悪役令嬢に夢中のようです

宝月 蓮
恋愛
乙女ゲームのモブに転生したマーヤ。目の前にいる婚約者はそのゲームの攻略対象だった。しかし婚約者は悪役令嬢に救われたようで、マーヤそっちのけで悪役令嬢に夢中。おまけに攻略対象達に囲まれている悪役令嬢も転生者で、何だか無神経発言ばかりで少しモヤモヤしていしまうマーヤ。そんな中、マーヤはゲームには関係ない隣国の公爵令息と仲良くなり……!? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。

ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・ 強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。

真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?

ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」 建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。 だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。 「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」 宝石代、夜会費、そして城の維持費。 すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。 「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」 暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。 下着同然の姿で震える「自称・聖女」。 「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」 沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!

処理中です...