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8.精霊の森で何かに会うってデフォってやつですか?
しおりを挟む本日は晴天也。
あの日から数日、今日は皆で狩りに来ております。
テオ、ヴィータとお兄様、お母様と私、ニナは馬車で。
お父様、セバス、トマス、その他の騎士団の方達は馬で移動中です。
王宮の東側にある山の方に広い草原があってその先は森が広がっていて、その森はとっても深くて精霊の気まぐれの森と呼ばれているらしい。
ヘタに迷い込むと精霊がイタズラをして道が変わって出られなくなるんだって…
何ソレ、コワッ。
でも森の中でも手前の方の湖の所までは入ってOKらしい。
綺麗な森だから遊びに来る貴族も多いんだって。
って、サラッと流したけど、精霊がいるんですか??
魔法がある世界だし、何があってもおかしくはないんだけど…
「せいれい…」
「ふふ。精霊に好かれると魔法の威力が上がるって言うわね」
「おかあさまはせいれい、みえますか?」
「そうね、お母様は水の精霊の加護を受けているの。だから、水の精霊と契約をしていてその精霊は見る事ができるわ」
わお!初耳!!
スゴイ、ファンタジー感強めになってきた!
「…いま、いますか?」
「ふふ。出てきて…とお願いすれば来てくれるわ。おいで…」
パチンと指を鳴らすとキラキラと光る水色の塊がフワフワ飛んでいる。
「このかたまりがせいれい…?」
お茶会の日にテオがドレスを乾かしてくれた時に見た塊と同じような感じだが、色が違うのは精霊の種類がちがうからなのか。
「塊?リリィは精霊が見えるの?」
「?いま、おかあさまのかたに光のかたまりがありますが、それがせいれい?」
もしそうなら、キラキラした光の塊はあちこちでよく見てたと思う。
なんだろうなーと思ってたけど特に気にしてなかったわ…。
「リリィ!すごいわ!教会での選定式の前なのに、それに契約者ではないのに見えてるなんて!」
「みえてるといっても、かたまりですけど…」
「それでも凄いのよ。普通は魔法が使えるように全てのバランスが取れてから加護を受けれるようになるの。見えるのはそれからなのよ?それに、見えるのは普通は自分の契約した精霊だけ」
へー。
そうなんだ。
「ん?ニナ?どうしたの?」
侍女のニナが震えて涙目で見てくる。
何?何かしたかな?
「リリィ様!さすが私の女神様!!」
あー、ハイハイ。
ニナは放っておこう。
「…リリィ。貴方はお腹にいる時から何か特別な子だったと思うの。でも、お父様にも言われたと思うのだけれど、人の背に色が見えるのは他の人に言ってはいけないって。それと同じ、他の人に精霊が見える事は言わない方がいいわ。ね?」
まぁ確かに、何か色々めんどうな事になりそうだもんね…。
「…はい、おかあさま。わかりました」
「ニナも、わかったわね?」
「勿論でございます。この命に変えても一生お守りいたします」
…重い。
ニナの愛は重いんだよ。
でも、あのキラキラの塊が精霊だって事が分かったしオーラの色と比例してるから、オーラの色=属性って感じなのかな?
それって、相手の属性が丸わかりって事か…って、例えば戦いになったらめちゃ有利じゃん。
何の魔法使えるか見ただけで分かるって事でしょ?
わお。
そりゃ、お父様もお母様も黙っとけっていうわ…。
自分が恐ろしいわー。
ガタンと馬車が止まり、御者のオディロンが扉を開けてくれた。
お父様が、お母様をエスコート。
お兄様が私をエスコートして馬車から降りる。
空気の澄んだ綺麗な草原が視界一杯に広がっている。
本拠地はこの辺りにするみたいで、セバスとトマスがパラソルのような物を組み立て、ニナがテーブルとイスをセットした。
準備が整うと、お父様を先頭に男連中が狩りに向かった。
皆に手を振って見送る。
「いいなぁ…」
ポツリと本音が漏れてしまった…
「リリィ。女の子は狩りなんてする物じゃないのよ?」
「はい。…あそこのおはなばたけに、いってまいりますね」
すぐ近くの花畑なら1人で行ってもここから見えるし大丈夫だろうと、提案してみた。
「気を付けてね。ニナ、付いて行って頂戴」
「はい奥様。リリィ様行きましょうか」
「はーい」
テクテクと草原を歩き、可愛い花畑に到着。
座り込んでから花冠でも作ろうか…と花を摘もうと手を伸ばし、はたと気付いた。
精霊のいる国って事は、この花とかにも精霊が?
うーん。
どうしよう。
摘んでもいいのかな?
「えーと、おはなすこしだけわけてくださいね?」
よし。
一応確認したからね?
後からダメでしたー!とかは無しでお願いしますよ?
フワフワと風もないのに花が揺れた。
コレは了承されたと受け取ってもいいのだろうか…。
…摘みます!
エイッと気合い入れて摘ませてもらったけど、特に何も起きなかった。
良かった…。
フンフンフーンと鼻歌混じりに花冠を作っていくけど、お母様、お父様、お兄様、テオ、ヴィータ…
うーん、これ以上作るとお花も少なくなっちゃうし、とりあえずここまでにしておこう!
立ち上がろうとすると、頭上から花がパラパラ降ってきた。
……。
えーと。
何が起きましたか?
ん?
空を見上げても特に何も無く…
ニナがまた祈りのポーズ決めて涙しちゃってるじゃん…。
ま、頂けるなら頂きましょう。
あと花冠はセバスとトマス、ニナの分を作って、今日来てる人全員分を作るのは無理だから…ポケットに刺せるようなミニブーケでも作って渡そう。
よし。
がんばって作るぞー!
…どれくらい時間が経ちましたでしょうか?
隣でニナが寝てるんですが…。
おい、侍女さんよ?
それでいいのかい?
お母様を見ると読書に夢中。
お母様に付いてる護衛の人達ものんびりと見守ってる。
皆に花冠を渡しに行こうとカゴに作ったものを入れて、ンッと伸びをしてから立ち上がると、ニナが目を覚ました。
「…リリィ様どこへ?」
「ニナ、ねむかったらまだねててもいいわよ?おかあさまにはなかんむりを、わたしてくるだけだから」
はい、と花冠をニナの頭に乗せて頭をポンポンと撫でるとニナは嬉しそうにまた目を瞑った。
「おかあさま、これどうぞ」
「あら、リリィありがとう!とても綺麗!」
読者中のお母様の頭にも花冠を乗せてポンポンと撫でるとお母様も嬉しそうに微笑んでくれる。
護衛の人達にもミニブーケを胸ポケットに入れていくと皆嬉しそうに感謝の気持ちを言葉にしてくれた。
ふふ。
皆が喜んでくれて嬉しい。
さて、お父様達はまだ戻って来てないし…どうしようかな。
ちょっとだけ森の方に行ってみようかな。
護衛の人達もここにいるし、あそこの入り口はここからも見えるし。
手前の湖までは大丈夫って話だから…。
ヨシ!
行ってきまーす!
◇◇◇
サクサクと歩いて、森の中にやってきました。
誰にも止められる事なく来れちゃったけど、お母様もニナも止めないってなんかおかしい?
ま、いっか。
静かな森の中は鳥のさえずりや小さい動物達の移動の音と私の歩く足音くらいしか音がない気がする。
サクサクサクサク
アレ?
フワフワと光る塊が目の前を沢山通過してる?
何か、誘導されてる感じなのかな?
え?コレ大丈夫かな…
精霊のイタズラってやつじゃない?
何となく精霊?が誘導する方に向かって歩いてきたら、大きな湖に出てきました。
あ、良かった。
ここは皆も来てるっていう場所だね?
それにしても凄い綺麗な所だな。
あんまり見たことのないような植物とか、動物とかが沢山いるんだね。
異世界だからかなぁ?
鳥とかも普通のもいたけど、変わってるのも多いんだね。
ふぅん。
キョロキョロしながら湖の辺りに寄ってみると、キラキラ光ってて水が凄く澄んでいて綺麗。
水を飲んでる動物も沢山いるのね。
近づいても逃げていかないのがスゴイ。
警戒心ってもんは無いのかな?
水、触ってもいいかなー?いいよね?
……
メッチャ冷たくて気持ちいい!!
スゴイ!なんか手が艶スベになるんだけど!!
えー!?
ーーー!!
って、隣!!
なんでこんな大きなモフモフ近づいてきてんの、私気付いて無かった!?
えーと、静かに…後ずさったりすれば…
あー、目が合いました。
はい、私の人生3年で終わった…。
ギュッと目を瞑って…
覚悟を決める。
………
何も起こらないね?
恐る恐る目を開けるとモフモフが…いるね。
おっと、近づいて来た!
って、頭擦り付けてくるんですがっ!?
どうしたらいいの!!
そーっと頭を撫でてみると、モフモフはフッカフカ!!
えー?めちゃ目を細めて擦り寄って来るんだけど…。
ーーー!
隣に座り込んで寝そべったんだけどーー!!
…わしゃわしゃしたい!
ガッツリ抱きついてみたい!
女は度胸だ。
ボフッと抱きしめてみた。
至福!!
モフモフは逃げずにそのまま私がしたいようにさせてくれて、私は思う存分モフモフに勤しんだのだった。
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