乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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9.ファンタジーって未知との遭遇って事ですか?

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 どれくらいの時間そうしていたんだろう。
もふらせてくれた相手に悪いなぁと思うくらいの時間は経ってしまったような気がする…。


「ええと、ありがとうございました。わたしはリリィといいます。あなたは?」


ペコリと頭を下げてから気が付いた。

あ、普通に話しかけちゃったよ。
なんかこのモフモフ普通っぽくないもんね、仕方ない。
スルーしよスルー。


『リリィとやら』


はー堪能したわ。
久しぶりのモフモフ、極上だったわー。


『リリィ?』


さて、そろそろ戻ろうかな?
お母様達に心配かけちゃダメだし。
よいしょっと。


『リリィ!リーリーィー!!』


ん?誰か呼んだかな?


『リリィ!我だ!』


ん?
キョロキョロと周りを伺うが、誰もいない。


「…もどろう」

『リリィ!横!横!』


ーーーーー。

気付かないフリとかしてもいいかな!
いいでしょう!!


『リリィ、心の声だだ漏れだからな』

ふぅ… 。

しぶしぶ隣を横目で見ると、すんごい大きなモフモフと目が合ってしまったよ。


「えーと、どちらさまですか?」

『我はまだ名は無い』


えー!?そうなんだ!
親はなんでつけてあげなかったんだろう。
あ、動物ってそもそも個別の名前って付いてるものなのかな?


「…かわいそうに。ごりょうしんになまえつけてもらえなかったんですか?ふべんでしかたないでしょう?」

『ハハ!そうくるか!我は親もいないし不便だとは思った事はないが…』


ーー!!

親いないんだ…。
前の世界の私と同じだ…。


「…でも、ほんにんはよくても、まわりのひとたちはなまえでよべないからふべんだとおもう」

『個別の名は無いが、皆種別の名で呼んでくるぞ』

「しゅべつ?」

『フェンリルだ』

ふぇんりる。
聞いた事ありません。
犬?の種類かな?プードルみたいなのとかかな?
猫…ではないよね?


『なっ!リリィお前フェンリルを知らないと言うのか?』

「えーと、しりません」

『まだ幼いからなのか…?リリィ聖獣は知っているか?』

「せいじゅう?」

狐とか?神社とかのやつ?
妖系?よくわからん!


「わかりません。あなたは…あまりこわくないですが、ばけものですか?」

『ハッハッハ!!リリィ!お前は面白いな!魔力も底知れぬ量感じるし、属性も加護も…』

「ストップ!!それいじょうのじょうほうは!いりません!」


キッと睨んで止める。

ふぅ、危ない危ない!
私は2年後の5歳の選定式ってイベントを今か今かと楽しみにしてるんだから!
下手にこんな所で聞きたくないわ。


「えーと、ふぇん…なんとかさん?もふらせてくれてありがとう。じゃあね」


やっぱり名前がないと呼びにくいよね。
だって、犬!ありがとよ!あばよ!…みたいな感じになっちゃうって事でしょ?


『リリィ!お前はなんだかチグハグだな。外と内のバランスが取れてない』


ーー!!

流石!でかいだけある!!


『でかいだけ…って。コホンまあいい。とにかくここに来れたのだ。悪いモノではないな』

「わるいもの…って?わたしわるいことはなにもしてないですが…」


なんか、いきなり変な事言われてもね。
なんなんでしょうかね、この失礼な獣。
あなたの方がよっぽど悪い顔してるわ!


『コホン!だから考えてる事はだだ漏れだぞ?』

「あら、しつれい。ホホホ」


考えてる事だだ漏れって困るじゃん…。
でも、まあいいか。
特に困る事も無いし。


『ククッ。気に入ったぞ。ところでお前はここからどう帰るつもりだったんだ?』

「はい?どうって、ふつうにあるいて…ですが」

『?お前は…どうやってここまで来たんだ?』

「???どうやってって…あるいてですが?」


…この、ふぇん何とかって獣は何言ってんだ?
普通に歩いて来たから、歩いて帰るに決まってるでしょうが。


『…フェンリルだ。リリィ、ここには普通には入って来れない場所だぞ?』

「え?なんて?」

『だから、普通には入って来れない場所だぞ!』

………………。

何か、話が噛み合わないなぁ。
めんどくさくなってきちゃったな…。
この獣、一匹で寂しくてこう言う事言って引き止めて来るのか!?
あ!構ってチャンってやつ?
うーん、困ったな…前の世界で構ってチャンはいくらでも相手して来たけど…
獣は初めてだわー。


『リリィ!我は構って欲しくて言っている訳ではない』

「なっ!あ、だだもれだったんだ」
 

構ってチャンじゃなかったら何なんだ?
…親が…いないんだっけ…
あ!刷り込みってやつ!?ホラ、ヒヨコとか鳥の!!
いやん。
私こんな大きな子の親にはなれないわ!!


『……リリィ。頼むから落ち着いてくれ…』

「あら、ごめんなさい」

『ここは精霊の森の中の世界樹の湖』


あーうん。
それは朝お母様から聞いたから知ってる。


『リリィ、その精霊の森の湖ではなくて、精霊の森の奥深くにある、世界樹の湖という場所だ。お前達の暮らす場所と少し違う場所にある』


えー?異世界の更に異世界?って事?
頭こんがらがってきちゃうなぁ。
うーん、まぁいいか。
そういう場所って事ね。


『…ここに来るには神か精霊か聖獣と契約して連れて来なければ普通には入って来られない。しかも高位の精霊でなくてはムリな場所だ。もしくは…聖女と選ばれしモノか』


へー?すごーい。
なんか大事ーー。


『……』

「あ、すみません。つづけてください」

どーぞ。どーぞ。


『…そういう訳で、リリィも誰かに連れて来られたと思うが、契約者はまだいないな?連れてきたはいいがこんなに曖昧なままでは…』


ーーー!!

突然ピカーッと周りが光り輝いた。

びっくりした!
心臓止まるかと思ったからやめて欲しいわ。


『そうか、まだ使えないのだな。契約もまだなされてないが、見つけてしまったからどうしても邪魔されずに一緒に居たかったから連れて来たという事か…』


ピカピカッとまた光る。

どうでもいいけど、訳がわからないのでストレートに話して欲しいわ。


「…わたしはおかあさまたちのところにもどれますか?」

『ふむ。リリィ、我に名を授けてくれるか?』


…あ?なんで?
そんな話になるんすか?
こっちは帰れるかって聞いただけなんだけど?


『お前の内はガラが悪いな…ククク。』

「めんどくさいから、もうふつうでいい?なんなの?なんで、かえれるかきいてんのに、なまえつけることになるのよ?」

『リリィ、ここから出るには我らの力が必要となる。来る時と同じ精霊もしくは聖獣との契約が必要なのだ。もしくは神の干渉。だが、お前はまだ精霊と契約ができる段階にない』


ああ、まだバランス云々ってやつね?
5歳のお楽しみのやつ。
だったらどうやってココに来たんだ?
別に誰にも連れて来られてないよ?


『契約はできない。が、したい奴らは沢山いる。上位から下位まで大量の精霊達の力でここまで引っ張って来られたんだ』

「たいりょうのせいれいたち…。でも、そんなにたくさんひかりはみてないよ?」

『ふむ、その花冠やブーケに精霊の力が込められているな。それもかなり上位の……。王の仕業か?』

「まあいいや。それで、なんであなたになまえをつけるのがかんけいあるの?」

『我に名をつける事で契約が為される事になる。聖獣との契約は精霊の契約と違うのだ。だから我に名をつけ契約を…』

「ーー!!あくまのけいやくみたいなやつ!?やだっ!たましいをたべられるとか!!」

『リリィ…お前の考えは変わってるな…。益々面白い。だが、今は話を最後まで聞きなさい』

「はい…」


チッ、せっかくおもしろくなりそうな展開だったのに!


『…素直?で宜しい。お前は我に名を、我はその名の元にお前に力を授けるのだ。聖獣の契約は契約者を気に入るか、気に入らないか、まあそこは精霊と同じだが聖獣の契約は魔力がいらない。お前の魔力を使う事は無い、我の力をお前が使うのだ」

「ってことは、あなたはわたしをきにいったってこと?」

『そうだな。お前の纏う空気は気持ちがいい。それに、何より面白い。今まで我の力を求めてやってきた者たちとはどこかが違う』


別に力を求めて来た訳じゃないし…。

話を纏めたら、勝手に連れて来られて帰れなくなって、勝手に気に入られて名前付けろ言われて…。
私何にもしてないのに…。
あ、泣きたくなってきた…。


『…リリィ。すまない。精霊達も謝っている』

ピカピカが凄いことになってる…。
クリスマスイルミなんて目じゃないし何万ドルの夜景にも勝ってるんじゃない?
って…目が!!潰れる!!!


「わかった!わかりました!!だいじょうぶ!おこってないし、これからもなかよくしてねー!!」


光るのやめてくれー!!!


『皆、落ち着け。大丈夫だ。リリィはそんなに心の狭い奴ではない』

「そうそう!だいじょうぶ!みんななかよしだよー!」


はあ、疲れた。
下手なこと言ってはいけませんね!


『で、リリィ。我に名を』

あー!そっちが残ってたか!!
名前ねぇ…センスが…必要よね…

ふぇんなんとか…

『…フェンリルだ』

そうそうフェンリルの…ふぇん。
ダメか?
あ、顔が怖い。

うーん、私こういうの考えた事もないから苦手なんだよね…。


「おおかみ…ろう…ロウってどうですか?」

結局安易な感じになっちゃったけど…ごめん。
テヘペロ!


『うむ。良いだろう。我の額にお主の掌をかざし、名を呼ぶのだ』


なかなかにファンタジーですね。

えっと、手をかざして…

「…ロウ」

ピカーッと今度はロウの身体が光り輝いて、吸収されていった。



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