乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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18.とりあえずこれ以上はお腹いっぱいですが?

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 とある日の事でした。
その日は朝から生憎の雨で、外に出られない私はロウに凭れながらこの間レオに買って貰った本を読み耽っていた。


「なるほど、まほうをつかうのにかならずせいれいとのけいやくがいるのね。まりょくのあんていが5さい…。あと2ねん…」

『もう少しだな。楽しみだろう?』

「もちろん!ロウはせいれいとなかよしなの?」

『仲が良いとか悪いとかそういった問題ではないな。お互いにそこにあるもの、という認識だな』

「ふぅん…。…まほうをつかうにはけいやくご、すぐにはつどうできるが、じぶんのまりょくりょうにあわせたものにすること。まりょくのこかつにちゅうい」


ーーー!
コレって、お母様が私を妊娠中に陥ったってやつだ。
私のせいでお母様、危なかったんだよね。
無事で本当に良かった。

使い過ぎはダメって事ね、だから選定式もある程度分別がつく5歳になってからって事なんだ。


『ククク、リリィは余程心配する事は無さそうだがな』

「?」


「まほうをつかうときは、はじめてのばあいはかならず、おとなのひとについてもらっておこなうこと」

そうか、万が一暴走した場合とかに対処できないからか。


「まほうをつかうばあい、つえなどのばいたいをつかうのもよい。じゅもんのえいしょうをおこない、ねんじる」


確かに魔法使いって魔法の杖持ってるもんね。
あれ?でもお父様は持ってたっけ?


『…普段の簡単な生活魔法とかなら呪文も杖もいらないが、戦いや捕獲の時は杖があると杖に加護や魔力を付与できるから通常よりも高いパワーが出せるんだ』


そうなんだ、確かに簡単に火をちょっとつけたいとかくらいだったら、わざわざ呪文とかなくても
火を下さいってお願いすれば、妖精がつけてくれるって事か。


「ちょっとの〈ひ〉ってどれくらいなんだろ?」


ポッ!


ーーー!!

え?えーーー?
なんで?今、空中に一瞬だけど火がついた?


『……。末恐ろしいな……』

「ロウ…なんかした?」

『してない』

「ほんとに?」

『ああ』

「………………」


うん。
気のせいかな?
そういう事にしておこう!


「まほうには、せいかつにもちいられるせいかつまほう、せんとうにしようされるこうげきまほう、ぼうぎょまほう、かいふくまほう、ほじょきょうかまほう、じぶんでたたかわずしえきするものをしょうかんする、しょうかんまほうなどがある」


ふーん。
生活魔法は、分かる。
攻撃、防御、回復、補助強化、まあ分かる。
召喚魔法?って、悪魔とかのイメージなんだけど、エロイムエッサ××みたいな。


『…召喚魔法で召喚するのは、自分の魔力を使うから基本は召喚獣だな。世界樹の湖にいた獣達が召喚獣だ』


あー、あの珍しい動物達ね!
そっか、やっぱり普通の動物じゃなかったんだ。


『召喚できるのは、契約をした召喚獣に限るのだが、契約する為に召喚して出てきたモノと契約できればすぐに使う事ができるんだ』

「うーん、ややこしい。なんにしてもけいやくしなきゃ、だめってことね」

『簡単に言えばな。召喚できるのは魔力量や質に左右されるから、魔力の少ない奴はやめた方がいい。それに、魔力の質や属性によっては魔獣や魔物が召喚される場合もあるから注意が必要だ』


えー!やっぱり怖いのも出てくるんじゃん!
クーリングオフとか使える?
ん?でも、例えば魔物が出てきても自分が抑え込めて契約できたら使役?できるって事…?


『そういう事だな。ただ、並大抵の魔力量では出てくる事なんてないから大丈夫だが、万が一があるからな』


召喚獣ね。
ん?ロウは?


『我は聖獣。だが、召喚に応じる事もある。それこそ人類や世界、聖域の危機の時だな』


へー。
じゃあ、大抵は暇人…暇獣ってことか。
いいわねー、聖獣って。
特に何もしてないのにありがたがられてさー。
まあ、このもふもふはありがたいけどさー。


『暇獣て…お前は本当に…クックッ。面白い奴だ。魔力云々もあるが本質的に側に居たくなるな』

「あら?それはほめことば?」

『まあな。だからこそ、お前は気を付けなくてはいけない。精霊や召喚獣、それこそ聖獣…お前は気に入られやすい。大きな力は持てば利を得るが反して失う物も多い』


分不相応ってやつだね。
分かる。
まあ、私はあんまりそういうの興味ないというか、平和が一番というか…

…のんびりしていたいのが本音かな。

『確かにお前はそういう奴だな、だからこそ安心しているがな』

 
〈まほうやってみた〉っていう本はとりあえずまだ精霊と契約もしてないから実践はできないし、さっき不穏な空気が一瞬流れたし…。
ちょっと触りは読んだからまた今度にしよう。

次は今丁度話に出てた〈しょうかんしてみた〉を、見るだけ見てみようかな。


「しょうかんには、しょうかんまほうがひつよう。だが、まほうじんをりようするほうほうがいっぱんてきである」


魔法陣…ってやっぱり私のイメージでは悪魔召喚だわ。

「まほうじんのかきかたは、こうはんへ。しょうかんまほうについては、つぎのぺーじへ」

『魔法陣か…ちゃんと書ける奴を連れて来てから挑戦した方が良いと思うぞ。基本失敗の連続になるからな。召喚は難しいんだ』


へー!そうなんだ!!
確かに自分でこういうのが出てきて欲しい!っていう願いと、魔力量?と技術が伴ってないとダメっぽいもんね。
魔法陣書くのも難しそう…。


『…この間行ったと言っていた月の滴亭のルーファス。あいつが魔法陣は得意だな』


え?ロウ、ルーファスさんの事知ってるの?
なんで?会った事あったっけ?

『ああ、先のこの国の大戦の時に我は世界樹の湖から戦いを観ていたからな』

えー?助けてあげなかったの?
人でなし!って獣か…。
獣でなし!

…わけわからなくなったわ。


『コホン。仕方ないだろう?我を召喚できる奴も居なかったし、それよりもお前の父や現王の力だけで退ける事ができていたしな」


まあ、そう言われてたらそうか。
お父様とマルタン王がすごかったんだよね?
今度、リンリンさんとかにも話聞いてみよう!

でも、そうか魔法陣か…。
…苦手分野だわ。
ヘアメイクとかは得意だったけど、絵はね…。
よく画伯って言われたよね…。


『画伯って絵が上手いんじゃないのか?』

「あー、まああれよ。変化球って感じの、ね!」

『?』

「まあ、まほうじんはまたこんど。しょうかんまほうは…まほうじんのほんなどのてきすとをりよう…する…」


結局魔法陣なんかーーーい!!!

『ハハッ。そういう事だ。その本にも後ろに簡単な魔法陣がついてるんじゃないのか?』


ーー!!

ペラペラとページをめくると、一番最後に
〈簡易版お試し魔法陣〉がついていた。

お試し魔法陣は、最下位の召喚獣等が召喚できます。
お試しなので、契約をせずにそのまま帰して大丈夫!
大人の人と一緒にやってね!


ーーー。

なる程、お試しだからちょっとだけ本当にやってみる事ができるけど、簡易版の魔法陣だから安心って事ね。

………………………。

……やってみてもいいかな?


チラリ。
いいと思う?
チラリ。
どう思う?
チラリ。
大人はいないけど、ロウがいるから…。
チラリ

『…我は知らん。が、仕方ないな。この程度の魔法陣なら…大丈夫だろう。万が一何か起こっても我が何とかする』
「わーい!!ロウ!ありがとう!!あとでおかしあげるね!」

わしゃわしゃとロウのお腹を鷲掴んでおいた。


ゴクリ。
凄いなんとも言えない緊張感が走るんだけど。


床に簡易魔法陣を置き、本に書いてある通りに呪文を口にする。


「われのまりょくにじゅんのうするものよ、われのもとにつどえ…」

顔が赤くなったわ。
厨二かーーーー!!

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