乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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19.クーリングオフは使えるはずですよね?

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 厨二的なセリフを言わされ、かなり恥ずかしい思いをさせられたけど魔法陣に反応が出てきた!

ーーー!

モワモワと煙が吹き出してきて、ロウの毛をギューッと握りしめた。
手汗が凄い、ロウの毛が絡みつく。

…ちょっと不愉快。

ドキドキが激しくなって、息を大きく吐いた。
どんな召喚獣が来てくれるんだろう?ロウみたいなもふもふ?
それともあの湖で見たような小さなリスのような子?あの子達もフワフワしてたよね。
小鳥みたいな子も可愛くていいよね!


本の魔法陣なんて小さな紙から出てくるんだから、やっぱり小さい子なんだろうな!
可愛いだろうなー楽しみ!

ドキドキがワクワクに変わって、魔法陣から出ている煙が薄くなってきた。


ーーーー!!

ーーーー!!!?

…………………??

……………………えーと。

ロウ!ローーウ!!
何?これどういう事?
じゃないの?
へ?
へび?大きくない?

「えーと」

『ーーーー。』

「は、はじめまして…」

魔法陣から出てきた巨大ヘビ?はキョロリと周囲を見回した。

あ、言葉通じない系?
ていうかそもそもコレから出てくるサイズ感じゃないよ!アナコンダより大きいじゃん!

ーーーー。
あ!そうだ間違った…かな?
そうだね!きっとそうだ!!
この魔法陣はお試し版だったから、そのままお帰りいただいていいやつだったよね!

うん、そうしよう!!!

「あ、おかえりは『よう!兄弟!!』え?」

え?え?えーー?
誰と誰が兄弟?
私?違うか!!

チラリとロウを見ると、アチャーという顔(獣でもそんな顔できるのねっ!)で片手で顔を押さえていた。


「え?えーと。ロウの…しり…あい?」

『…我の兄弟…のヨルムンガンド。蛇というか…もう、竜?』


――――――!?
り…竜?
ドラゴン??


……ちっさ!!



竜って空想上のあの大っきいやつでしょ?
それにしては…小ぶりじゃない?
イメージでは空一面を覆ってるよ?
ロウと同じくらいのサイズって竜にしては…小さくない?
あっ!あれかな?栄養不足で本来のサイズより小さく生まれちゃった的な?
それともわざとそういう風に交配させて、小さい種類を…

『オイ、兄弟!小さい小さいって!コイツかなり失礼な奴だな!』

『…すまん』


なんでロウが謝るのよ!
だって竜でしょ?多分私だけじゃなくて皆同じ事言うと思うし!
勝手に出てきて怒られてもね!

さっさとお帰り頂いて構わないのよ!
フンッ!


床に置いていた本を閉じてやろうと手を伸ばしたら、ロウに慌てて止められた。


『リリィ!召喚したモノが居るのに無理に魔法陣を消したり破ったりすると、召喚したモノに襲いかかられるぞ!』

わお!危ねえ…。
ロウ、ありがとう。
でもさー、この竜?可愛げがないし、私はもふもふとか小さくて可愛い子を愛でたかったのにさー。
ちなみに、なんでこんなのが出てきたの?
話が違うじゃん!


『…我にもそれはわからないが…コイツは聖の方から闇に落とされてな…封印されていたはずなのだが…』


え?封印?て、ヤバいやつなんじゃないの…?
やっぱりお帰りいただきましょう!
ね!ね!帰ってーーーー!!


『ハッハッハー!兄弟が気に入るのが何となくわかるな!』

なんて陽気な竜なんでしょ!
って、そういうのはいいから!っていうか、なんで?封印どこいったん?

『封印なー、どうなったんだろうなー?わかんねえ』


え?封印ってそんなに軽いモノなの?


『…確かにこいつが封印されたのは随分昔だったが…封印が解けたって事はないと思う…おい、お前どういう状況でここに来たんだ?』   

『うーん。よくわからん!なんかフワッとして、抑えられてた身体が動いたかと思ったら光の玉が近づいてきてバァーッと光ったかと思ったらココにいた』


……。

よくわかんないな、フワッとかバァーッとか。 まあ、とりあえず出てきちゃった的な感じ?

「えーと。とりあえず、しょうかんのやりかたはなんとなくわかりましたので、おかえりいただいてけっこうです。さようなら」


本を閉じようとまた手を伸ばしたらロウに止められた。

『ま、待て待て!だから危ないぞ!』

「あ、そうだった。あぶない、あぶない」

『オイ、兄弟。お前もここに居るって事は召喚されたのか?』

『…我はリリィと世界樹の湖で出会った。そこで契約して戻ってきた』

『ヒュー!兄弟が!何にも無いのに契約したのか!』

……イチイチ、煩いヤツだなぁ。

『ん?なんで世界樹の所にコイツ?既に誰か大物と契約してたのか?』

『いや、…オベロンが…』

『アイツ?何したんだ?』

『契約無しに引っ張り上げたんだ。他の妖精も手伝ってた…』

『アッハッハー!アイツマジかよ?何考えてんだ?』

「って、あの!なんでもいいんですけど、かえらないのですか?」

って言うか、帰れ帰れ!

『コイツは…オレの事が怖くないのか!?』

何言ってんの?ただのちっさい竜もどきでしょ?
怖い訳ないじゃん。
普通に蛇とかの方が何か嫌だわ。


『アッハッハ!!面白い!聞いたか?兄弟!オレの事怖くないんだって!』

『そういえばリリィは我の事も初めから怖がっていなかったな』

確かにそうかも。
怖いとかは思わなかったなぁ。
何でかな…顔かな?怖い顔してないし。
ロウはとにかくもふもふしたかったのよねー。


『顔?我の顔?じゃあ、ヨルムンガンドの顔も怖くないのか?』

「こわくはないよ?だってちいさいし…かおは…どっちかというと、かわいいかんじよね」

『ーーー!』

『ククッ!よりにもよってコイツの顔がかわいいって…クククッ』

『おい、兄弟、笑いすぎだぞ!』

『だって、お前…その泣く子も黙るような顔して…クククッ』

「へぇ、きょうだいなかがいいんだねぇ」

『『よくない!!』』


何言ってんの?2人ハモっちゃって仲良いじゃんか。
まあ、なんでもいいけど。
兄弟って言っても…似てないね…てか種類がちがうじゃん。
狼と竜て…なんで?なにがどうしてこうなった?
まあ、家庭には事情ってもんが色々あるんだろうし、人には聞かれたくない事が一つや二つあるでしょう。
この2人は…複雑な家庭に育ったのよね。
きっと…何かあるんだろうけど、そっとしておこう…。


『ブハッハッハ!!お前本当に面白いな!』

「むりにわらわなくていいのよ?」

『クックック…よし、決めた』

「?まぁ、なんでもいいけど、もうかえりなよ」

『オレに名をつけろ』

「は?なんで?やだよ。かえりなよ」

『名前付けてくれたら帰る』

『オイ!ヨル「ほんとに?」

『ああ』  

「んじゃあ…かんがえるよ」

あーまた苦手なやつだよ…
ヨルム…なんだっけ?

『ヨルムンガンド』

ヨルムンガンド……よるむん…でよくね?
あ、睨まれた。
そういう所は兄弟だね同じような顔するわ。

…確か…へ…ビ……ってセルパンって言うのよね。

………………………………。

「セル、でどうですか?」

『うん!セルね!いいね!オッケー!じゃあ、額に手を、そして名を』

あー、例のアレね。
アレ?でもそれって…契約…

『リリィ、いいのか…『早くしろよっ!早く!早く!』』


あーもう、煩い!

「では、セル」


ロウの時と同じようにピカーッとセルの身体が光り輝いて、吸収されていった。

『ぃよしっ。これから宜しくな!リリィ!』

「?はやくかえりなよ?」

『何言ってんだよー。け・い・や・く・完了じゃん」  

「は!?」

『だからー契約完了。オレはセル。宜しく~。ちなみに兄弟、お前の名は?』

『…ロウだ。…やはりな、お前はそういう奴だ』
 
『ロウ!オレはセルって呼んでくれよ~!』

「えっと、ちょっとまって!かえらないの?なんで?」

『リリィ、忘れたか?気に入られて名を授けて受け入れたら契約完了だ。…セルはお前の召喚獣としてこれから共にある』


ーーー!!
ちょっ!ちょっと!!騙された!?

だーまーさーれーたーーー!!!


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