21 / 122
21.人生って哲学みたいな物ですか?
しおりを挟む「…てことで、またひとりおともだちがふえたの」
「…リリィってなんかすごいよね」
「そうかなぁ?」
今日はレオがお花を取りに家に遊びに来てくれています。
「我が妹ながらおそろしいよ…」
「えー?おにいさまひどい!」
お兄様ももちろん一緒。
この世界、部屋に男女2人きりでいるのは好ましくないとされていて必ず使用人やメイドを置くか、部屋の扉を少し開けておくっていうのがルールなのだそう。
私の場合は、ロウとセルが付いているから安心!(母談)だそうです。
「だって、フェンリル様だけでもすごいのに、兄弟のヨルムンガンドまで…だよ?恐ろしい以外に言葉がないよ」
『オイオイ。クリスよオレはセルだ。ちゃんと名で呼べよ』
「はいはい」
「今日初めて見たけど、ロウ様もセル…も…どっちもスゴイよ…圧倒される」
レオまでそんな事言う?
「でも、ロウだってセルだっておかしなところもたくさんあるのよ?このあいだはなした、ロウのおならとかー」
『ーー!!オイ!リリィお前何を話してんだ?』
「えー?オナラが臭くてパタパタしたのとか、寝ぼけてビクッとしたとか…」
『やめてくれよ…』
『カカカ!ロウお前情けないなぁ』
『ーー!お前だってこの間自分で自分に絡まってたじゃないか!クククあのジタバタした姿…クククッ』
『ーーーっ!!テメェ!』
『お!やるか?やんのか?魔力が減って小さいままでしかいられない奴がやんのか?」
『なんだと!?やってやるよ!』
ガタガタと窓や机が揺れる。
「ちょっ!」
「ふたりとも!!やめなさい!!」
パコンと2人を叩いた。
『リリィー!だってコイツが』
「うるさい!もう!やめなさい!!セルがからまってたのはほんとでしょ!はずすのたいへんだったんだからね!!」
『フンッ』
「ロウも!おにいちゃんなら、もっとおとうとにやさしくしなさい!」
『ケケッ』
『ニョロニョロ蛇野郎が…』
『んだと?モフモフかわい子ちゃんが!』
「やーめーなーさーいー!ふたりともおかしぬきにするよ!あやまりなさい!!」
『…すまん』
『…悪かったな』
「よろしい。もうけんかはだめよ!」
「…すごいね。いつもこんな感じなの?」
「うん…セルが来てから毎日騒がしいよ…」
「少なからず、聖獣様達…だよね?リリィといるとそんな風には見えないよね…」
アハハとお兄様とレオが2人で顔を合わせて笑っていた。
◇◇◇◇
「あ、レオこれ、どうぞ」
約束してた花を自分の分の花冠を少し崩してミニブーケにして渡した。
「そのままでもうしわけないけど…」
「リリィ!ありがとう!!リリィから貰えるならどんな物でも嬉しいよ!泥でも砂でも何だって宝物だよ」
ニッコリ笑うレオは子供だけど大人っぽく見える。
「コレ、本当にすごいね。上位の加護だよね…誰が?って聞かない方がいいか」
「うーん。わたしはちょくせつきいてないからわからないんだ」
「そっか、でも本当にありがとう。嬉しい」
私の手を取り手の甲に軽くキスをされた。
ボッと顔が赤く熱くなってしまったじゃないか…。
レオのキラリと光る指にはこの間リンリンさんの所で直して貰っていた指輪がついていた。
「あ、そのゆびわ。このあいだのだよね?きょうもきれいにかがやいてる!」
「ん?ああコレ?そうだね。直してもらったばかりだしね」
「こわれたの?」
「壊れた…というか、加護が切れたといった方が正解かな」
フフ…と笑うレオはなんかいつもと違う感じがした。
どうしたのかな?
「…そのゆびわもかごがついてるんだ!じゃあ、このミニブーケといっしょにもってたらさいきょうだね!」
「ふふ。そうだね最強だね」
ロウが尻尾をパタリと動かし、セルがグニャリと身体を動かした。
「レオ、今日は夜はどうするの?家に戻る?それとも食べていく?」
「え?かえっちゃうの?せっかくだから、たべていけばいいじゃない?ロウとセルだってそうおもわない?」
何となく、レオともう少し一緒にいた方がいいような気がして勢いよく誘っちゃった…
引いた?引いてないかな?
「ええっと、どうしようかな…」
『…もう少し、ここに居たらいい。少しくらいは苦しみを紛らわす事ができるだろう』
「ーーー!」
「ロウ?なに?」
『いや、何も』
「?へんなの…」
「うん。じゃあ、お言葉に甘えて夜までいさせてもらおうかな」
「やったー!じゃあ、ニナ!おかあさまにつたえてきて!」
「畏まりましたー。レオ様、好き嫌いは?」
「はは。特にないです。お手数をおかけします」
…レオ、何かあったのかな?いつもと何か違う感じがするけど…。
少し気になるけど…でも本人が何か言ってくるまではこっちから聞かない方がいいよね?
知られたくない事なんて、一つや二つやっぱりあるからね。
私だって中身ハタチ超えで大人なんて…
うわー!知られたくないや…
ムリムリ!!
よし、やっぱりレオから何か言ってくるまでは黙っておく事にしよう!!
『レオ、オメーの魔力はなんかちぐはぐだな』
って、セルーーー!!
私が心に決めたばっかりなのに!!
何ストレートに聞いちゃってるのよ!!!
ロウも、あ、言っちゃった…。みたいな顔してるし…。
お兄様はあちゃあ…って顔してるし…本人に至っては、目を見開いてフリーズしちゃってるじゃん!!
セル!お前はもっと空気を読む勉強をしなさい!!
あーもう!どうしよう!どうしよう!!
「えーと、レオ?ひとはちぐはぐなものなのよ?」
「え?」
あー!違う違う!!こんな事を言いたい訳じゃなくてーーー!
えーとえーと。
「えーと、いきてると、おもいどおりにならないことのほうがおおいじゃない?そんなものなのよ、じんせいなんて…」
「え…?」
じゃなくて、こんなの3歳児のセリフじゃないわ。えーとえーと…
「じぶんいがいのひとに、じぶんをわかってもらえないっていうのはけっこうあたりまえのことなのだとおもうの」
「リリィ…?」
あー!違う違う!こんな哲学めいた事を言いたい訳じゃなくて!
「じぶんでどうにかできることだったら、ぜんりょくでがんばったほうがいいけど、どうにもなりそうもなかったら、ほうっておいてもいいとおもうの」
そうそう、こんな感じの事を言いたかったのよ!
「ーーー!」
「じぶんではどうにもならないのに、そのことにとらわれて、おもいなやんじゃったりするのよね。それってむいみだったりするじゃない?」
「ーーでも、やっぱり悩んだり自分でどうにかしようとするよ…そういうものじゃないかな?」
「うん。するとおもう。でも、どうしようもならないことをがんばってるより、ほかのことやったほうがいいとおもう。たにんにまるなげしちゃうのもありだとおもうし」
「え?丸投げ?」
え?丸投げの所に食い付くの??
「うん。まるなげ。よろしく!って。とくいなひとにまかせちゃうの、おねがいねって。それでもじふんでもすこしくらいはかんがえておかなくちゃだけどね」
「フフフ…丸投げねぇ。それでもいいのかも。でも、じゃあ誰に丸投げしたらいいんだろう?」
「だれに…。えーと、むずかしいけどしんらいできるひととか、ぷろふぇっしょなるなひと…とかかな?」
「プロね…」
と言って、レオはロウとセルをじっと見つめた。
23
あなたにおすすめの小説
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる