乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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89.レオとネコとハプニング?

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 「う……ん……」

 あ……暖かいなぁ……スリスリ。
 こんな感じならネコも悪くないよね……


 パチリと目を開けるとレオの胸の上。整った顔の瞳はまだ閉じたまま。
 
 本当に綺麗な顔してるよね……。

 
 「ん……」

 レオが覚醒し始めたのかモゾリと体を動かした。
 
 
 アレ?なんか……金髪が視界に入った…んだけど……アレ?アレレ??手を上げたら白いほっそりとした指が……って指!?

 え!?ええ!!??
 うそ、どうしよう!!
 戻っちゃった!?!?

 
 ガバッと起き上がるとその振動でレオも目を覚ました。

 
 「───え?……リリィ!?」
 「───あ……ってキャア!!!」

 
 起き上がった体は勿論……裸な訳で……。 
 咄嗟にもう一度隠す様にレオの体に自分の体を押し付けてしまいました。

 
 「……えーと、えへへ……レオ…おはよー」
 

 レオは自分の手を目隠し代わりにして見えない様にしてくれています。


 「───リリィ。あの白ネコはやっぱりリリィだったって事かな?」
 「えへへ……そうです……ごめん」
 「ふぅ……リリィの気配はしていたもんな……気付けよオレ……」

 
 少し居た堪れなくなってレオの上から降りようと体をずらしたら、ズルッとソファから落ちそうになってしまいました。


 「──キャッ!!」
 「危なっ──っ!」

 
 サッと手を出して受け止めてくれたレオの胸に再び抱き止められた。


 バクバクと二人の心臓の音がヤバいくらいに鳴っている。
 
 モゾリとレオの顔を見上げようとするとギュッと強く抱きしめられた。

 
 「──ええと、リリィなんで裸?」
 「あ……ネコになった時に……脱げたから……」

 
 背中の……レオの暖かい手が素肌に……いつもドレスで背中が開いたのを着ている時に触れられてもここまでドキドキしないのに……。

 
 「確かにそうか……ていうか何でネコになってたの?」
 「えっと……ほら今度ロシアンポーションやろうって話したじゃない?その時に使おうと思って色々作ってたんだけど……」

 
 この体制は……チョットいやかなり照れるんですが離れると裸だし……。
 
 ソファの上でレオの片方の足は膝を立てていて
、もう片方は下に降りています。その足の間に座っている状態で抱きしめられてます……。
 勿論、裸を見ないようにというレオの配慮だと思います。だってレオは立てた膝の上に腕を乗せてその上に顔を伏せてくれているから。


 「あの……罰ゲーム的な感じでネコ耳と尻尾が生えたら嫌かな~と思って作ってみて、試しに飲んでみたんだけど……」
 「──ネコ耳どころかネコになっちゃったって事か……」
 「……はい。すみません」

 
 はぁ───っと深い溜息を吐いて、レオは首に顔を埋めてきました。


 「え!?あ、レオ!?」
 「───お仕置き」

 そう言って首筋にチュッとキスをすると、再び大きな溜息を吐いて呟きました。


 「……オレで良かった」
 「レオ?」
 「他の誰の所でもなくて元に戻ったのがオレの前で良かった……」
 

 ───確かに他の人の前だったらと思うとゾッとしました。


 「どれくらいで戻るとかまだ分からないんだろう?そんな段階で外に出るなんて無謀な事したらダメだよ」
 「……はい」
 「こんな……リリィの姿を他の奴に……と思ったらそいつ殺しかねない……」

 
 ヒェッ……
 でも、自分も無謀だった事に気付けたし……


 「ごめんなさい、もうしないわ」
 「うん、そうして?あ、オレの前だったらいいけどね」
 
 
 と言ってニヤリと笑ったレオは私の髪の毛をクルクルと弄んでいた手をすっと背中に這わせてきました。


 ゾクッとしてもぞっと動くと

 「フフッ……リリィもう少し警戒した方がいいよ?」
 
 なんて言ってくるの!!
 カッと顔が赤くなるのが分かる。
 レオがいつもみたいにからかってると思ってもう!ってレオを見たら……
 いつもよりなんか……艶っぽいというか……いつもと違う瞳と目が合った。

 
 え?……レオ?


 いつもより真剣な顔のレオが近づいてきて……
 ギュッと目を瞑ってしまった……


 チュ、とおでこにキスをされてまた抱き寄せられる。


 「──リリィ、……チョット待っててね」


 そう言うとレオはサッとソファから降りて自分の寝室に入って行った。

 
 ───ビックリした……キス……されるかと思った

 
 止まっていた息をはぁ──っと吐き出して、レオが向かった部屋に視線を移す。


 どうしようかな……こんな格好じゃ戻れないし……私一人じゃ転移魔法で戻る事も出来ないし……アディは王宮だしレティとメルは町に行くって言ってたし。お母様はお茶会、師匠は行方知れず……ヘルの所はお兄様が居る可能性があるし……。

 
 ガチャッと寝室の扉が開いて「リリィとりあえずこれ着といて」とレオの声がしたかと思ったら、シュンッとレオのシャツが送られてきました。


 「レオありがとー!!」

 
 とりあえず良かった……とレオの部屋着?のシャツを着ると、ぶかぶかだけど……足が丸出し……。
 この世界、足の露出はあまり良い事とされていないので流石の私もモジモジしてしまいます。
 ていうか、パンツ……それかズボン的な……

 
 モジモジしていたら寝室からレオが戻ってきて私を見た瞬間、顔を真っ赤に染め上げました。


 「───!ゴメン!!下……ズボンが必要だったね!!」
 「ご、ごめんね!!レオ」


 サッと部屋に戻ってバサバサという音がした後、ソファから程遠い所にパサリとズボンが現れました。

 レオでも魔法失敗したりするのね……。
 
 ふふ…と笑いが込み上げてきてズボンを拾いに素足で歩いて拾い上げようとしゃがんだ瞬間にレオが「もういいかな?」と出てきてしまいました。

 
 「え?あ、キャッ」

 
 ペタリとその場に座り込む形で足を隠すけど多分隠れていないのでしょう。
 レオの動揺は凄まじく何を勘違いしたのかいつものレオだったらこんな事にはならなかったと思います。

 その場に座り込んだ私をレオは急いで近づいて来てお姫様抱っこで持ち上げてしまったのです。


 「リリィ!大丈夫?具合悪くなったんじゃない!?」
 「あ、あの……」
 「ただでさえあんなに小さなネコに変身なんて……体に負担がかかったんじゃないの!?」
 「え……と、レオ……」
 「何?やっぱり具合悪い?」
 

 顔をじっと見つめられて、素足の部分がレオの腕と触れ合ってなんだかさっきから心臓がもう持ちそうにありません。

 それに……この角度……他に人が居たらヤバい。

 
 「レ、レオ……大丈夫だから降ろして……。ほら送ってくれたズボンが……」

 指差した先にズボンが落ちているのをみて、レオが「───!!ご、ゴメン!!!」と真っ赤な顔でそっと降ろしてくれました。


 「あ、えと、ちょっと流石に動揺してる……からあっちにいるから下穿いたら呼んで」


 サッと寝室に戻って行くレオの後ろ姿を眺めて、ズボンを拾って穿くと裾が長すぎて転びそうになったので何重か折り曲げて自分を確認してからレオを呼びました。

 
 「レオ……着たよ?」
  
 
 少し時間を置いてレオが部屋に戻ってきました。

 
 「こほん、えっと、リリィ色々ごめんね」
 「───っ!いや、あのこっちこそゴメン!迷惑かけちゃった……」
 「──リリィは本当に目が離せないよね。それも良いところでもあるけど……」
 「えへへ……」
 「……、ロウ様をここに呼んでリリィの部屋に一緒に戻ってもらおう。この部屋は許可してあるから」
 「あ!そっか!ロウに飛んで貰えばいいのか!さすがレオ!!流石にこの格好で女子寮まで戻れないなぁ……って思ってたの!」

 
 そっか、そっか、そうだよね。


 「ロウ!ここに来て!」


 少し経つとロウが出てきて盛大な溜息を吐いた。

 『──リリィお前は本当に……』
 「お説教は聞きたくない~。部屋まで連れて行ってくれる?」
 『そりゃあ……いいのか?』
 「え?何が?」
 『レオとはもういいのか?』
 「あ、レオ!本当にごめんなさい!借りた服は洗って返すからね!ロウこれ以上レオに迷惑かけちゃダメだからお願い!」
 『あ、あぁ……では、レオ世話になったな』


 何となくロウが申し訳なさそうな顔でレオに挨拶をした瞬間、シュンッと視界が切り替わって自分の部屋に戻って来た。


 「ありがとう……ロウ」

 
 ボフッとベッドに倒れ込んでさっきまでのレオとのやり取りを思い出しジタバタするのを止められませんでした。


 
 その頃レオも同じようにソファにボフッと寝転ぶと天井に手を伸ばしてグッと拳を握り目を瞑ってジタバタしていたのでした。





 

 
 

 

 

 
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