乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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88.レオと白ネコ?

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 ガシッと掴まれてフワリと持ち上げられた。

 イヤ──……と暴れようとしたけど捕まえてきた人のこの匂いを知ってる……顔を見て動きを止めた。


 「こんな所に白ネコ?──なんかリリィの気配がするような……?」

 
 ドキッ!!
 流石レオだわ。

 
 「ニ、ニャー」
 「ふふ、可愛いなぁ。どこから来たの?こんな所に居たら契約獣とかの遊び道具になっちゃうよ?」
 
 
 そんな事を言いながらフニフニと肉球を優しく押してくるレオの手つきはイヤじゃない。


 ……でもレオ離して?
 
 手を突っ張ってレオの胸を押しながら距離をとろうとしたけど、レオはネコの姿の私を抱きしめると頭の天辺に唇を当てて匂いを嗅いだ。

 
 ちょ、ちょっと!レディの匂いを嗅ぐなんて!!
 
 ニャーニャー鳴いて抗議する。

 
 「ん?あ、ごめんね?」


 うっわー!何その甘い笑顔は!!
 

 「んーふわふわ。いい匂いだし、連れて帰ろうかな……」

 
 頬をスリスリされて耳を軽くコシコシと擦られる……なんなの……この手つきは……安心する……レオの腕の中ってこんなに安心するんだ……
 
 って!!何言ってんの自分!!レオはネコに対してやってるだけで、リリィに対してって訳じゃない!!


 ───ちょっと落ち着こう。


 レオはネコを抱いたまま何処かに向かって歩き始めている……

 ちょっと待って!ちょっと待って!
 もし元に戻ったらヤバイから!ど、どーしよう……

 どうしたらいいの!?

 
 「レオ様だわ……」
 「レオ様と白ネコとか……尊い…」
 「キャー!!レオ様!!」
 「見た!?あのネコに見せた微笑み!」
 「──ネコになりたい!!」


 周りの人達が遠巻きにキャーキャー言っています。視線が怖い……。
 レオは毎日こんな感じなのかな?
 ゆっくり息付く時間ってあるのかな……?


 「ふぅ……」
 「ニャ?ニャーン?」


 肉球をレオの頬に押し付けて話し掛けてみるけど、……言葉通じないんだった。


 「ん?お腹空いたかな?どうしようかな……学食っても中には入れないか」
 「ニャーニャー」


 お腹は空いてるけど大丈夫だよ!!

 
 「あ、寮だったらこっそり入れるかな。食べる物もあるし」
 「ニ!!ニャンニャン!!」

 
 ん?それはダメダメ!困ったな……。


 「ふふ、少しだけ付き合ってくれるかな?」

 
 レオの周囲は秋波を送ってくる高等部の女生徒達でいっぱいになってきました。
 そして遠くにピンク頭のエリーズさんの姿が見えてレオを見つけたのか小走りで近寄ろうとしているのがわかりました。

 
 ──仕方ない。


 「ニャン」
 「あ、ちょっと急ぐから揺れるけどごめんね」


 レオにもピンク頭が見えたのでしょうか私との約束を守ろうとしてなのか、レオはサッと早歩きで男子寮に入って行きました。


 扉が閉まる寸前に、外でご令嬢達がキャッキャ言っている声が聞こえてきました。
 「あーん、男子寮入っちゃった……」 
 「もう少し見ていたかった……」
 「残念すぎる~!」
 「──また!!」


 女子怖い……。
 高等部の女生徒の皆さんは中々にギトギトしてらっしゃる方が多いのですね……。


 「ふう……危なかった……でも寮内も君が見つかったらまずいか……」

 
 そうですよー、一応契約獣以外は動物の飼育は禁止されてるよー。

 って思ってたら、急に視界がグニャッとなってレオが転移魔法を使って部屋まで一気に飛んだのです!

 いきなり飛ばれると驚くから……っ。
 この小さい体全体が心臓になったみたいにドコドコ高鳴っているし、毛が逆立っています。


 「あ。ごめんね?驚かせちゃったかな?」
 

 そう言いながら撫でる手が気持ちいい……。
 驚いたけど仕方ない。許す。


 「ニャン」
 「ふふ、かわいい。何かあるか見てくるからちょっと待ってて」


 そっと柔らかいソファに下ろされた。
 男子寮は初めて入ったけど、作りは女子寮と同じ。でもすごいシンプルな部屋だなぁ……物が全然無い。


 ───!!

 今気付いちゃったけど、ここってレオの部屋!しかも二人きり……!!
 えと……婚約もしてない男女が二人きりなんてちょっと…………あ、私ネコか。


 ……なら大丈夫だね。
 ヨーシ、レオのなんか恥ずかし物とか探してやろうかな~ウシシ


 キョロリと見回してソファからトンと降りる。
 テクテクとソファの周りを歩き回って……テーブルにも何も置いてないし、バスルームの方は扉も開いてないし流石にそこは……ねぇ。

 ……あとは寝室とクローゼット……か。
 
 
 「ふふ、どうしたの?キョロキョロして」
 
 
 ───っっ!!

 
 「ニ、ニャー……」
 
 えへへ……


 「はい、ミルクとリリィに貰ったクッキー。これなら食べれそうだよね?」

 「ニャー」

 ええと、この姿でどうやって……って普通にペロペロしてみたらいいのか?
 
 あ、結構上手く飲めるもんだな。
 クッキーは……食べにくいけど自分で言うのもなんだけど美味しい。


 はぐっはぐっと食べている私をレオは蕩けそうな瞳でじーっと見てくる。

 ちょっと……あんまり見ないで……
 
 「ニャー!」
 「ふふ、レディの食事中に失礼しました」

 
 頭をサラッと撫でてからソファに座る。
 ただ座っているだけなのにレオは絵になるなぁ。

 
 サラッと食べ終わってしまって(私こんなにお腹空いてたのか!)口の周りに付いたミルクを舐めるけど届かなかったみたいでレオがフフッと笑いながら口を拭いてくれた。

 
 ───!!

 なんて甲斐甲斐しい人なんだ……

 
 「あー本当に可愛いなぁ。閉じ込めておきたいな……」


 頭を撫でながら……レオさん目が……笑っていません……


 「ニ……ニャ……」
 「ふふ、冗談だよ?そんなに怯えないで?ほらおいで」

 
 フワリと笑顔に変わっていつものレオに。
 抱き上げられて膝の上に乗せられ、ふわふわと頭から背中まで撫でられると気持ちが良くて目が細くなっちゃう。

 
 「あー暖かいなぁ。ふわふわ……癒されるなぁ……」
 
 疲れてるのかな?高等部に入ってやる事も増えてるのかな?
 テオの補佐はやってないけど生徒会も中等部と同じ様に相談役だし、実家の辺境伯の事もその領土の勉強もだし、テオの王宮での公務とかの時も呼び出されたりしてるもんな……。

 忙しいんだよね……でも私が魔法の練習したい時とか勉強とかも付き合ってくれるんだよね……。

 
 今は、私はネコだしレオが癒されるって言うなら少しの間じっとしてよう。

 ふわふわと撫でられながらツラツラと考えているとおもむろにレオがソファに寝転んだ。


 パーフェクトヒューマンレオもそういう事するんだ!!
 なんとなくレオはいつもシュッとしてる気がしてたけど、人間だものね誰の目も無ければリラックスするよね。


 ゴロリと寝転んだレオの胸の上で背中を撫でられ、呼吸をする事でリズムよく上下する胸の上が暖かくて心地良い。

 
 あー、ヤバイ……眠たくなってきちゃった。
 ネコって寝てる動物だもんね……ふわぁ……

 
 「ふわぁ……ふふ欠伸が移っちゃった」

 
 レオの欠伸なんて……初めて見た……


 そのままウトウトしてきちゃう、ふわふわ撫でられている手が気持ちいいんだもん。仕方ないよ……

 撫でられていた手がふと止まったかと思ったら、レオの綺麗な瞳が閉じて規則正しい寝息が聞こえてきた。

 レオの寝顔も……初めて見た……
 
 ふぁ……
 


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