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104.ダンジョン対決の始まり!!
しおりを挟む「……このダンジョンは比較的浅い階層のダンジョンなので10階層でダンジョンのボスの部屋に到着すると思います。先に到達し倒した方の勝利とします」
精霊の森の近くにあるダンジョンに到着し、王達は忙しいので立会人としてライル様とテオ、アディが来てくれた。その他王宮からお父様も来れなかったので宰相側近のイシトと王宮魔道士のセナ様が来てくれた。
「無理だと思ったらすぐにこの魔道具で戻って来てください。ここはリアルなダンジョンなので怪我や毒、麻痺には気をつける事。この中でリアルダンジョンに潜った事があるのは?」
セナ様がそう言うとトレファス兄が顎をしゃくり上げ、レオが軽く手を上げた。
「オレはトレファスでは何度も潜っているからな。ここはマルタン領だし私達に対して公平である事を願うよ」
「──マルタンはどのような方にも公平である事に揺らぎはありません。ご安心を」
セナ様は落ち着いた声でそう言うと視線をトレファス妹と私に向けて来た。
自信満々だったトレファス妹はダンジョンには潜った事が無いそうだ。
かく言う私もリアルな方は潜った事が無いし、あの仮想ダンジョンにレオと潜って以来になるから不安はある。……だけど、トレファス兄妹に負けるわけにはいかない。
レオを取られてたまるもんか!!
「一応、影はつけさせてもらいます。あと通常ダンジョンなので何かあればすぐに影が魔法具を使ってダンジョンから出します。不穏な事があった場合も同様です。契約獣、契約精霊も通常のように使用して下さい。よろしいですね?」
皆が頷く。
「では、時間を区切らせてもらいます。どれだけ遅くとも日が変わる0時までに戻っていない場合は強制送還させてもらいます」
再び皆が頷く。
「では、スタートして下さい怪我等くれぐれもご注意を」
「戻った時は精霊姫は私のモノだな。では、マリア、行こうか」
トレファス兄は私達の方を向くとヒラリと手を振った。
「ええ、お兄様。では、レオお先に」
トレファス兄妹は機嫌良くダンジョンに入って行く。
ここで腹を立てて変な感じになってもバカバカしいから、トレファス兄妹の事は無視する事にした。
「レオ、私足を引っ張らないようにがんばるね!」
「リリィ、オレの方こそ。一緒に頑張ろう。ここのダンジョンは入る度に形が変わるんだ。だから彼等と同じルートになる事はない。それもあってこのダンジョンに決まったのだと思うし」
場所が場所だし精霊が関係しているのかな?
「レオ、私あれからまだダンジョン潜ってないんだよね。倒すのは……厳しいかもしれないけど、補助魔法は師匠の所で特訓したし、今日はロウ達も参加OKなんだよね? だから迷惑にはならないと思う!!」
「あ、そうか。ロウ様達も来れるのか。じゃあ道中は楽だな」
「どう言う事?」
「まあ入ってみたらわかるよ。行こう」
「? うん」
レオとダンジョンに足を踏み入れました。ロウ達にも出て来てもらって大所帯になったけど仕方ないよね?
仮想ダンジョンと違ってリアルな岩壁。それに足元もジャリジャリと小石が鳴る。
皆と一緒である事がこんなにも心強く何も不安に思う事は無かった。
暫く道なりに歩き壁にある灯りでダンジョン内は比較的明るく変に緊張もしなかった。
「──レオ、ダンジョンってこんなに魔獣とか出なくて静かなもの?」
「フフ。ロウ様達の気配で姿を見せないように隠れていると思うよ?」
「?」
「上位種がこれだけいるなんて普通では考えられない事だからね。いるとしたら逃げ遅れた子かわざと置かれた子……だね」
そう言うレオの前に何この……人?
「リリィ下がって。アンデッド……グールだ」
「──レオ?」
「ん?大丈夫だよ」
レオが私の前に立ってその脇をロウ達が固めた。
ロウの一吠えで目の前の敵?は消滅した。
『このダンジョンにグールなど出なかったと思うが……』
ロウがそう言うとセルが答えた。
『──確かに。アンデッド系は出なかった筈だな』
『ロウ様、私共が先発して少し先を見て参ります』
『アンデッドの匂いは染み付いていないので今置かれたような感じです』
そう言ったのはレオの契約獣で狼のスコールとハテイ。
レオもその膨大な魔力量で双子の狼と契約を交わしている。
「置かれたってどう言う事?」
『元々このダンジョンに居たわけではなく、今配置された……というそのままの意味だな』
『──確実に妨害されているな』
『この歪な匂いは……』
私の問いにロウ、セル、ネスルが答えてくれる。
「妨害って……」
『確実にアイツらだろうな』
……トレファス兄妹?
でも、アンデッドなんて……
『ヘルの所の奴らと同じだと思ってはいけないぞ?』
「ロウ、どういう事?」
『あそこは生まれ変わる為の場所だからな。浄化され次の転生を待つ場所だ。今居たのは造られた奴らだな』
『このダンジョン内でどうやって置いたか……も気になる所だな』
「なかなか厄介な相手かもしれない……」
レオの呟きがダンジョン内に静かに響いた。
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