乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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103.負けたくない理由!!

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 翌日、私は昨日レオに言われたように王宮に呼び出され謁見の間に通されると既にマルタン王、カミーユ王妃、お父様とレオ、昨日の失礼なトレファス王国の兄妹が待っていた。


 「……リリアーヌ・ベルナー、隣国の王子ミラン・トレファスから婚約の打診があった」


 チラリとレオを見ると寝不足?顔が死んでるなぁ……。お父様はすごい不機嫌そうな顔。王は通常モードね。王妃様は不安そうな顔をして私をジッと見つめてくる。
 トレファス兄妹は楽しそうにニヤニヤしている。


 「発言をお許し頂けますか?」
 「許す」
 「……まず、第一に私には婚約者候補が居たと認識しております。それは父も了承していた事だと」
 「……そうだな。だが、候補、だ」
 「そうでございますね。私の婚約者が決まらなかった理由はご存知ですか?」
 「……ああ。ミシェルが認める男……何かを成し遂げた者、リリアーヌを守り通せる者……」


 そう、お父様は本当はお父様本人を倒せる者、とまで言っていたがお母様にそんな事を言っていたらリリィがお嫁に行けなくなるわよ!! と怒られて少しハードルを下げたのです。


 「私の身は私の手の中にある者達が守ってくれます。それに……私は私よりも弱い人に興味がありませんし、尊敬出来る相手でないと共に居ようとも思いません。トレファス王子、貴方は尊敬に値するに相応しい人ですか?」
 「──精霊姫、なかなかに辛辣な意見だな。私は自身を弱いとは思ってはいないよ?」
 「そうですか? 私の目から見てレオより強いとは思えませんが?」
 「──ククッ。この私がレオより弱い?」
 「ええ。与えられた環境に胡座をかいて、戯れに気に入ったモノを誰の迷惑も考えずに手を出すただの我儘王子にしか見えません」
 「── 」
 「図星ですか?」
 「ハハッ!! ここまで言われる事はそうそうないだろう! 精霊姫、余計にお前が欲しくなったぞ。必ず手に入れて連れ帰る」
 「ミラン殿下!!」
 

 レオが怒りの表情になる。

 
 「あら、私だってレオが欲しいわ」
 「お前はヴィータはどうするんだよ?」
 「ヴィータとは婚約したらいいのでしょう? それとは別にレオが欲しいって言っていますのよ?」
 「成る程な、それならいいな」


 ククッと笑いながらトレファス兄妹は勝手なことばかり話しています。

 王も王妃も無表情になっていて部屋の温度が一気に下がったのにトレファス兄妹は気付いてもおりません。

 昨日から腹が立って仕方ないのに……人生の中でこんなに腹が立ったのは初めてで、思った事が口から飛び出していた。


 「──貴方にはレオもヴィータも渡さないわ。と言うかこの国に嫁いで来ることができるなんて思わないで欲しい」
 「あら? リリアーヌ、貴方にそんな事を言う権限なんて無いのでは?」
 「無いわ。でも、貴方はマルタン王国に相応しく無い」
 「──っっ無礼よ!! この女兄様が気に入ったからって無礼にも程があるわ! 衛兵 この女の首を跳ねなさい!!」
 「おいおいマリア、精霊姫は私の物だぞ?勝手な事を言うな」
 「だって兄様、気に入らないわ!!」


 なんなんだ、この兄妹。
 マジで早く国に帰ってくれないかな……皆そう思ってると思うんだけどなぁ……。
 王をチラリと見るとスマンと言う顔をされた。

 衛兵達は微動だにせずトレファス兄妹の動向を探っているように見える。私の方をチラッと見て安心させる為かニコリと皆が笑ってくれた。


 「ミラン殿下、我が娘リリアーヌは強きモノに守られた存在です。貴方にはその存在達に認められなければこのマルタンより連れ出す事も叶わないでしょう」
 「強きモノだと? フン、私にも高位精霊の加護は付いているし問題はないだろう? 私はレオよりも強い。それは間違い無い」


 え!? 何この人の自信……。トレファス王国って何かおかしくない? おかしいのはこの人達だけ?


 「精霊姫を手に入れるにはレオを倒せば良いのか? それともその強きモノだったか? それを倒せばいいのか?」


 ブワリと私の中の何かが怒りで膨れ上がりそうになった。
 倒すだと? お前に私の大切な家族を倒されてたまるもんか。

 
 「消し去ってやろうか……」
 「リリィ、落ち着きなさい」


 お父様が優しい瞳で見つめてきた。
 その瞳を見ると少しだけ怒りが収まった。


 「では、ミラン殿下。対決でもしてもらいましょうか?」
 「おや、楽しそうな提案だな。ミシェル殿、どんな対決だ?」
 「我が国の学園には仮想ダンジョンがあります。そこに入って……」
 「成る程! 仮想ダンジョンなんて緩い事を言わずに本当のダンジョンで対決しよう」
 「──しかし何が起きるか分かりませんよ?そんな所で何か起きたら戦争になりかねません」
 「そうだな、では、何が起きても手を出させないと誓約魔法を掛けようではないか」
 「それでよろしければ」
 「では、そうだな。ククッレオを倒せばいいのか?」
 「……倒すとか無く先にダンジョンの何階かのボスを先に倒した方が……と言う事にしましょうか」
 

 ワハハハッ!!

 トレファス兄が大笑いする声が部屋に響いた。

 
 「いいだろう。この近くにダンジョンはあるのか?」
 「ええ。精霊の森の近くに」
 「お兄様!! 私も付いて行くわ!!リリアーヌ、アンタも参加なさいよ」


 えー? マジですか? 
 そういうの苦手としているのですが……


 「私と勝負して私が勝てばレオはいただくわ」
 「──レオはモノじゃないわ」
 「あら? 勝てばいいのよ? それとも勝てないからそんな事を言うのかしら?」


 マジでこの女……腹立つ通り越してもう……


 「分かった……受けて立つわ」
 「フフフ……」
 「ではこうしよう、私とマリア、レオと精霊姫で組んで私達が勝ったら精霊姫は私とトレファスへ帰ってもらいレオはマリアの物になってもらう」


 ──なんて嫌な奴ら!!
 負ける気なんてさらさらしないけど、こんな奴らと対決しなくちゃいけないなんて!!


 「……レオ、お前はどうしたい?」
 「ミシェル様、勿論私は戦いますよ。リリィを連れてなんて行かせない。ただ、リリィ……」
 「レオ、私は大丈夫。一緒に戦うわ」


 私はこんな人達に負けたくない。





 
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