乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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112.それぞれの……!!

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 レオも同じようにリリィに対してもう何もしないのであれば後はテオに任せると言ってこの場を辞した。

 その時ミラン殿下は驚いた顔で再度頭を下げようとしていたがテオが笑いながら止めた。

 「コイツら本当にそう思っているから大丈夫」

 テオがそう言ってミラン殿下に苦笑いされた。
 その苦笑いはなんなのさ?

 そして一応、この件に関してはセナ様によって他言無用の誓約魔法をかけられた。そりゃそうだ。国家間の大問題だもん。魔のモノが入り込んだ事もだけどトレファス王国としての問題事もあるからね。レオはこの後セナ様に別棟にある魔導棟に来るように言われていた。
 
 そして部屋を出る直前にレオはお父様に後で時間を取ってくれるように申し出ていた。
 婚約の事に関してなのかな? 恥ずかしいけど……私も一緒に居た方がいいかな? と思いレオに聞いてみた。


 「レオ、後でお父様とって……婚約……の話するの?」
 「うん。リリィとの婚約をすぐに認めてもらいたいから」

 「でも……こんな時に……」
 「こんな時だからこそ、だよ。リリィにまた何かあってもいけないからね。リリィを守る為にも早い方がいい」


 レオはニッコリ微笑んで私の髪の毛に指をクルクル絡ませて遊んでいる。


 「レオ……」
 「リリィは今からどうする? 一緒に行く?」
 「そうね……」
 「──リリィ!!」

 
 レオと話していたら王宮内では珍しく大きな声が響いたと思ったらアディが急ぎ足でやって来た。

 
 「アディ? どうしたの?」
 「はぁはぁ……レオ様も……ごめんなさい突然呼び止めて。リリィ大丈夫だった!?」
 
 
 珍しく肩で息をしながらアディが私の手を強く握って心配した表情で話しかけてきた。

 
 「アディ、大丈夫。落ち着いて。……何があったかは私から話す事はできないけどアディはテオから聞かされると思う。それに後の事は全てテオ達に任せているから」
 「……そうね……そうよね……でも何もなくて良かった……」

 
 アディは強く握っていた手を少し緩めると、まっすぐ目を見つめてきた。

 
 「アディ?」
 「……テオ様から今回の事詳しく教えて頂いたら……リリィに話したい事があるわ。聞いてくれる?」

 「?? 勿論。だけど急にどうしたの?」
 「……今晩か明日中には時間を取ってくれる?」
 

 アディは少し震えていた。だからアディの手を上から握りしめ直してしっかりと目線を合わせニッコリ笑って答えた。


 「勿論よ。アディがいい時にいつでも呼んで。すぐに飛んで行くから」
 
 
 ついでにウィンクしたらアディがフワリと笑ってくれた。

 
 「ふふ、ありがとう。リリィ、また……連絡するわ」
 「うん。じゃあね」
 「レオ様、呼び止めて申し訳ありませんでした。では、失礼致します」
 「あぁ、またね」

 
 アディが奥の部屋の方へと向かいレオと再び二人になる。

 
 「……アディどうしたんだろう」
 「分からないけど……きっとリリィが話聞いてあげれば大丈夫だよ」
 「そうかな?」
 「そうだよ」

 
 レオがフフと笑って頬にキスをしてきた。

 
 「───っっ!! レオッ!!」
 「何?」

 「──何じゃないわよ……もぅ。私は寮に戻るから!」
 「うん。でも一人で帰すの心配だな……。馬車呼ぼうか? それか……やっぱり送っていくよ」

 「大丈夫だって。ロウ達にも出て来てもらうし!」
 「そう? ……絶対に一人で帰らないでよ?」
 
 「分かったから、もう! 行って!」
 「うーん。じゃあ……」

 そう言ってレオは自分の頬をチョンチョンと突いた。

 
 「? 何?」
 「キスして」
 「────っっ」
 「ん」

  
 ん! じゃない!!
 でも……動こうとしないレオに根負け……。
 
 頬に軽くチュッとすると嬉しそうに微笑んでレオもまた私の頬にキスをした。

 
 「じゃあ……本当に気を付けてね」
 「もう、分かったってば」
 「……じゃあね」


 レオは私をジッと見つめて頬を撫でた後、首にかけていたペンダントを持ち上げてキスを落とし、ウィンクして去って行った。

 
 「……もう」

 
 頬が熱い。身体が熱い。
 ペンダントが熱を放っているんじゃないかって思うくらいに熱い気がする。

 ……ヨシ……寮に帰ろう。
 
 
 ポワポワした頭で城の玄関に来ると警備隊の人が立っていて、どうやって戻るのかを確認された。

 
 「ん? 一人で帰りますが?」
 「え!! お一人ですか? リリィ様それはダメですよ!! すぐに馬車を呼びます!!」
 「えー? 大丈夫よ?」
 「ダメです!! 何かあったらどうなさるんですか!!」
 「大丈夫だって。ね?」
 「いやいや、ダメですよぉ……」


 警備隊の人が泣きそうな顔をしている。
 どうしよう。
 あ、ロウ達に今出て来てもらえば問題ないかな?

 そう思っていたら声をかけて来た人が居た。

 
 「リリィ? 何をやっているんだ?」
 「───ヴィクトル殿下!」
 「あ、いいよ。楽にして」
 「ハッ!!」


 ビシッと敬礼をしていた警備隊の方々を横目にヴィータは私を見て少し呆れた顔をした。


 「……何やっているの? 警備隊の人達なんか困ってるよ?」
 「ヴィータ……困らせるつもりはなかったのだけど……」


 簡単に説明をするとヴィータはため息を吐いた。


 「……あのね、特に何も無い時でもレディを一人でそのまま帰らせるなんて事はさせられないよ? 馬車を呼ぶか誰かと一緒じゃないと。一人で帰した後に何かあったら彼等の責任になってしまうからね」
 「あ! そうか……そうだよね……皆さんごめんなさい」

 
 警備隊の皆さんは「とんでもありません!」と首をブンブン振って慌てていた。


 「ヴィータは何やってるの?」
 「僕? 僕は待機中」
 「待機?」
 「今は何が起きるか分からないからね。兄上達の話し合いが終わるまでは王宮ココで待機。あ、君達は下がって仕事に戻っていいよ」
 「ハッ!」

 
 警備隊の方々は礼をして持ち場に戻って行った。

 
 そうか……そうだよね。
 ヴィータの婚約者候補の事だし……関係者だもんね……。


 「リリィは今から帰るの?」
 「そのつもりだけど……ロウ達に来てもらったらいいかな?」
 「あぁ、ロウ様達が来てくれるなら問題無いね」

 
 じゃあロウ達に出て来てもらおう。あ、でもヴィータとも話せる範囲で少し話しとこうかな?今回の件はヴィータにも関係してるのに勝手に解消させちゃったみたいな所あるし……。


 「……ヴィータは……その……婚約者候補の……」
 「ん? あぁ、面倒な事になったけど良かったと思うよ」
 「良かった?」
 「うん。僕は……誰とも結婚する気ないからね」
 
 
 え!? って驚きでヴィータの腕を掴んでしまった。


 「なっなんで!? それっていいの?」
 「王家の事は兄上に任せているしね。僕は兄上が王になったら王位継承権を返上して臣下に下るつもりだから」
 「───っっ!!」

 
 ヴィータの本心? そんな大事な事をこんな場所で聞いてしまってもいいのだろうか……。
 話してる本人は何でもない事のように話してるけど……。

 
 「あ、リュド達には申し訳ない話なんだけどね。でも彼等にはもうすでに話し終わっているし、納得はしてもらっている事だから。後は王と兄上を説得するだけだよ」
 「そんな……」
 「母上にも結婚しない事に関しては伝えてあるし」
 「カミーユ様にまで……」

 
 うん、と笑うヴィータは昔のようにオドオドしたような所は無い。
 ヴィータは皆と一緒にテオを支えていくものだと、結婚して子供を持つものだと思っていたので驚きで何も言えなかった。


 
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