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116.私に出来る事!!
しおりを挟むライル先生、リンリンさんと共に王宮へ戻るとちょうどレオがセナ様の所から戻って来た所だった。
「あれ? リリィ、寮に戻ったんじゃなかったっけ? ライル先生とリンリンさんも?」
「レオ!! そうなんだけど……」
「リリィどうする? レオと一緒に待っているかい?」
「ライル先生、待っているなんて嫌です。私も一緒に行きます」
「リリィ? また何かあったんだね?」
「さすがレオね! リリィの事よく分かってるじやないの。でも今は説明している暇がないのよ」
リンリンさんがそう言うと先頭に立ちサッサと王宮内を歩いていく。ライル先生は通信魔法で誰かと話しながらその後をついて歩いていく。
「リリィが関わっているならオレも一緒に行くよ」
「レオ……でも……私が決められる事じゃないから……」
「何やってんのよリリィもレオも! 早くいらっしゃい!!」
「リンリンさん、いいんですか?」
「あのねぇ、どうせ止めてもアンタ達は首を突っ込んでくるのよ。だったら初めから一緒にいた方が話が早いって事」
「リンリンさん、ありがとうございます」
「レオ、アンタも大変よねぇ……おかしなオンナにハマっちゃって……」
「あはは……」
重厚な扉の前に到着すると衛兵が立っており何も言わずに扉を開けてくれた。
「……ミシェル、急にすまないな」
ライル先生が一番初めに部屋に入り、中にいたお父様に声を掛けた。
「大丈夫だ。王にも話は上がっているからもう来るはずだ」
「話が早くて助かるわ」
「……所でリリィは何故ライル達と一緒にいるんだい?」
お父様は絶対零度の微笑みで部屋をブリザードで包み込む。
「ええと……たまたまライル先生と一緒になって……リンリンさんのお話を聞いてしまった以上放っておけないというか……私に出来る事があるならお手伝いしたいと思って!!」
「──リリィ、君は本当に……色々な事に巻き込まれる運命の元に生まれてきたらしいね……」
お父様が大きく溜息を吐くと奥の扉が開き、マルタン王国国王であるピエール王の姿があった。
皆が礼をし頭を下げる。
「よい、楽にしてくれ」
ピエール王が声を掛けて玉座に座るとリンリンさんが話し始めた。
「ピエール王、ミシェル、急な事で申し訳ないわ。それでも多分一刻を争う事態だと思うの……」
そう言うと、先程シグザールで話していた内容を話し始めた。
「──と言う訳。もうアタシの所だけでは対処出来ない問題デショ? だから力を借りようと思って」
「──ハイムフェムトは今その様な事になっているのか……ミシェル」
「はい。そこまでの情報は入って来て無かったので……ライルはどう思う?」
「……どこかの国かそれ以外の……何かは分からないですが、何らかの策略めいた物を感じますね」
「やっぱりそう思うわよね……」
レオを見るとレオも真剣な顔で話を聞いていた。
「何かをしようにも一度私がハイムフェムトへ行ってみて現状を確認してからだと思うので、出国の許可を頂きたく」
「ふむ、確かに実際に見てみないと分からない事が多すぎるな。分かった出国許可を出そう。ハイムの王にはこちらから話をつけておく」
「ありがとうございます」
あ、このままだと私は置いていかれる感じ?
「はい!! はい!! 私も行きます!!」
「リリィ!?」
「多分ですけど私も何かお手伝いは出来ると思うんです!!」
「リリィ相変わらずだな」
「だって! おじ様……いえ、ピエール王!! 乗りかかった船ですよ!! 何となく嫌な予感がするんですよ!! 一緒に行かないと大変な事になりそうなそんな予感が!!」
「ククク……勿論リリィも共に行け。お前の思うように動けばいい」
「ちょっと! 兄さん!! ッコホン。王よ、勝手な事を言ってもらっては困ります」
「なんだ? ミシェルは子離れもできておらんのか?」
「それとこれは話が違います!!」
「お父様、私は自分に出来る事があればやりたいのです!! それが誰かの為に、救いになるならどんな事でも。私は……沢山の人達に助けられて支えられて生きてきました。……本来なら助からなかったかもしれない命だったと聞かされてからは特に」
「──っっ」
「お父様!! お願いします!! 私のこの力そしてロウ達の力を使って救える人がいるのなら動くべきだと思うのです!!」
「───ふぅ。こうなると何を言っても聞かないのがリリィなんだよね」
「お父様?」
「──分かりました。リリィ、君もライルと一緒にハイムフェムトに渡りなさい。色々と約束はしてもらうよ?」
「──っっ!! お父様ありがとう!!」
飛びつきたくなる衝動を抑えてお父様に頭を下げると、隣にいたレオが口を開いた。
「発言をお許し下さい」
「良い。レオどうした?」
「ピエール王、ミシェル様、ライル先生、私もハイムフェムトへ共に行く許可を下さい!!」
「……レオ?」
「私も……私のこの力もきっと何かのお役に立てると思います! リリィが行くからという事も……ありますが、それだけでは無くてこの力を使って救えるのなら、そして何かを未然に防いでいく事ができるのであれば使って欲しいのです!!」
「レオ……」
「私も幼少の頃は色々と悩みました……この莫大な力は何の為にあるのだろうと。国の為にそして誰かの為に使うべきだとは思っていました……そして今動く事が全ての為になるのだと話を聞いてそう思いました」
「ふむ。レオポルト・ガルシア、良い青年に育ったな。そう思うならば共に行くがよい」
ピエール王は目を細め少し嬉しそうに許可をした。
「ありがとうございます!!」
「では、リオよ報告助かった。ライル、報告を待つ頼んだぞ」
「はっ!!」
「リリィ」
「はい」
「お前はお前の思うように動けば良い、レオはリリィを支えてやれよ?」
「はっ!!」
「では、ミシェル後は頼むぞ。皆も宜しく頼む」
ピエール王はそう告げると玉座から立ち上がった。
「──じゃあアタシはライルからの報告を待って、もし必要な魔導具があるならすぐに作って持って行けるように準備しているわ」
「ああ、宜しく頼む。私は出国の準備をしてくる」
「分かった。ではハイムフェムトにはゲートを開くように話をつけておくから後ほどこちらへ戻って来てくれ」
「お父様、出国はゲートを使うの?」
「ああ、一刻を争う事柄だからね。ハイムには脅してでも開いてもらうよ」
「……ええと。私も一度準備に戻るね。レオも?」
「じゃあ一度寮に戻ろう」
それぞれが準備の為に動き始めた。
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