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115.新たな問題?発生!!
しおりを挟む外出届けは出していなかったけどライル先生と一緒だからかすんなりと外に出る事ができた。馬車に乗り込み町へと移動して行く。
「ライル先生と2人なんて、いつぶりですかね!!」
「そうだね……なんだかんだであの入学式のパーティー以来かな?」
「そんなに経ちますか!!そう思うと時間ってあっという間に過ぎていきますね」
「本当だよね、あの時の赤ん坊がこんなに美人に成長するなんてね」
「えへへ」
楽しく会話をしているとシグザールに到着した。
「リンリンさんに会うのも久しぶりな気がします」
「リンリンから話は聞いてるよ? たまにすごいモノ作ってはシグザールにも卸しに来てるって」
「すごくないですよ? たまたまです。ロウとかのほら、抜け毛? とかそういったモノを使うとそうなるんですよね」
「ふふ……彼等は聖獣様だからね。普通ならそんなに簡単に手に入らない代物って事をリリィはしっかり頭に入れておかないとダメだよ?」
「そうなんですよね、ふふ。私は恵まれてます!!」
「うん、素直でよろしい」
カランッと音をさせて扉を開くとリンリンさんとザジさんの姿が見えた。
「……とりあえずオレ達だけでは無理だな」
「……そうよねぇ、この案件は中央に持って行った方が……っていらっしゃいませぇ~」
リンリンさんが振り返り声をかけてくる。
「お久しぶりです! リンリンさん、ザジさん」
「久しぶりねぇ~リリィアンタまた色々やらかしているって噂よぉ」
「……やらかしてない……ですよ?」
「ハハッ。リリィ痛い所つかれたね」
「あら、ライルじゃない。何の用?」
「何の様って、リオが私を呼んだんじゃないか」
「んもぅ!! だからアタシの事はリンリンって呼びなさいよぉ!!」
「リオが私を呼び出すなんてよっぽどかな? と思って来たけど帰るとするか。リリィ行こう」
「ああんっ!! ライルったら意地悪……」
リンリンさんがライル先生の肩をツンツンと突くとライル先生は嫌そうに指を払い退けて、話を促した。
「──で? どうしたんだ?」
「──まぁ、話っていうのはね……この間ハイムフェムト国の薬師から相談を受けて……」
「ハイム? お前はそんな所とも交流があるのか」
ハイムフェムト国はマルタン王国から北へと行った所にある閉ざされた雪の国。他国との交流がない国と言われている。
「──ハイムで今なんだかよく分からない病が流行り始めているらしくて……」
「病だって? そんな話は聞いていないが……」
「ハイムって他国との交流を絶っているじゃない? 情報が出回らないようにしているらしいし」
「──そんなハイムがリオに?」
「そうね、というか始めはオルガの所に相談に来たのよね」
「オルガの所に?」
「ええ。あの子のお仲間のエルフがハイムで薬師をやっているらしくて、どうにもなりそうになくて相談しに来たらしいのよ。その時ちょうどアタシもオルガの店で飲んでたから……」
「──成る程ね。それで私に」
「そういう事よ」
ハイムフェムト国で病が流行り始めているからリンリンさんは医師でもあるライル先生を呼んだって事だった。
「病状は?」
「──始めは黒い斑点がポツポツと出てくるだけで特に何も変化はないらしいの。だから皆放っておけば治ると思ってそのままにしていたらしくて……」
「黒い斑点……」
「それから暫くすると斑点が広がってきて全身を覆うようになる、その後……魂を抜かれた様に動かなくなる……」
「──聞いた事のない病状だな」
「その方達は亡くなっているのか分からないらしくて……そのまま安置しているらしいの」
「どういう事だ?」
「心臓は動いているらしいの。でも身体は動かないし意識も無い。……で一番始めに斑点が出た人が……指先から枯れて来てる……」
「枯れて……?」
「そう。萎びてって言えばいいのかしら」
リンリンさんの話を聞いてライル先生は眉間に皺を寄せて考え始めた。
「──わざわざ国を渡って相談に来るくらいだから浄化や回復でもダメだったという事だよな?」
「ええ。その他にも色々と魔法も薬も投与したけど全く……」
ふぅ……。とリンリンさんが溜息を吐いた。
「それで、今ザジとライルにも相談するけど中央にも報告した方がいいわね、って話をしていた所なのよ」
「ハイムの国王はこの事は?」
「オルガの所に来たエルフが内密に……って言っていたけど黙認されて来たらしいわ……」
「そうか。じゃあこの話は中央に持っていった方が得策だな。そこで私もどう動くかを決めたいと思う」
「ライルありがとう! 早速王宮へ行きましょう」
「ああ。リリィは……」
「勿論お供します!!」
「そういうと思ったけど……」
「だってこんな話を聞いてしまったら、きっと私にも何か力になれる事があるはずです!!」
「確かにね……リリィの変な力は必要になるかもしれないわね」
「リオ! それでなくてもリリィは巻き込まれ体質なんだ、あまりそういう……」
「ライル先生! 私のこの力使える時に使わないとです!!」
「……ミシェルに怒られるぞ?」
「それでもです。困っている人がいる、その人達に私の力が役に立つのであれば使わなくちゃ!! 宝の持ち腐れってやつですよ!!」
困っている人が居るのに自分だけのほほんとはしていられない。
そんなにお節介なタイプでは無かったと思うけど、私のこのなんだかよく分からない力やロウ達も使える時に使わなくちゃ!!
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