乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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119.到着!!そして本題へ!!

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 ゲート場は静かな部屋の中だった。

 その部屋にはファイムフェムトの中枢を担っているであろう人物が一人で立っており、静かに頭を下げていた。

 
 「……初めまして。ハイムフェムト王国へようこそ。私は宰相のルーロンと申します。ここは王族専用の区画にございますのでどうぞご内密に。そして申し訳ありませんがお話は場所を移動してからと言うことでお願い致します」


 唇に人差し指を当て静かにして欲しいとお願いをされ、私達はお互いの顔を見合わせて確認を取りながら無言で頭を下げた。
 
 いきなり王族との対面じゃなくて良かったと少しだけ肩の力が抜ける。


 「……では、こちらへ」


 ルーロンさんは静かに扉を開き私達を暗い通路へと誘った。寒さは感じず一応室内の通路である事だけがわかる状態だった。
 どれくらい歩いたのか、かなりの距離を移動したような気もするしそんな事も無かったかのような気もしながら、何度目かの扉を潜りカーテンをヒラリと潜ると王宮内であろう廊下へと出た。


 「──ご協力ありがとうございました。これよりハイムフェムト国王への謁見となります。この謁見も一応内密な物となりますので謁見の間ではなく私の執務室にて行います。大変申し訳ありませんがこちらもご協力下さい」


 ハイムフェムト側にも色々と事情もあるのかと特に何も思わず頷くとライル先生達も同じように頷いていた。


 「こちらです」

 
 一つの部屋の前に到着しルーロンさんはノックをすると少しだけ扉を開いて私達を中へと誘った。


 「……ご到着されました」
 

 部屋の中には1人の華奢な女性が立っておりそれ以外には誰も居なかった。

 あれ?王との謁見って言ってたよね?


 「……ハイムフェムト王国ラミナ女王です。ラミナ様こちらマルタン王国よりお渡になって来られた方々です」
 

 ラミナと呼ばれる女性はフワリと微笑んだ。
 人好きのする笑顔だった。


 「この度は誠にありがとう。内密に……と協力ばかり仰いで申し訳なかったな」
 「発言をお許し下さい」
 「良いぞ」


 ライル先生がラミナ女王に挨拶をする。


 「マルタン王国より参りましたライル・シモンと申します。こちらがレオポルト・ガルシア。こちらがリリアーヌ・ベルナー」


 レオと共に紹介され頭を下げると、ラミナ女王はニコリと微笑みそれを制し握手を求めて来た。


 「ファイムフェムト王国ラミナ・フェムトだ。宜しく頼む」

 
 ライル先生とレオは驚きを隠せない表情で握手を交わし、私はこの女王様の事好きだな~なんて思っていた。


 「ラミナ様、皆さま驚かれていますから……」
 「ん? あぁ、すまんな。まだ慣れておらん」
 「慣れて……?」


 あ、と思ったが思わず疑問が口からポロリと出てしまった。


 「……こらリリィ」
 
 
 ライル先生が少し困った顔で私を見てきたので、エヘヘと誤魔化し笑い。まずかったかな? でもこの女王様だったら許してくれそうな気がしちゃって……。


 「ハハ。素直でよろしいじゃないか。慣れておらん……というのも私が国王代理だからだ」
 「代理……ですか?」
 「リリィ……」
 「あ、すみませんっっ」
 「良い。ルーロン説明を」
 「よろしいのですか?」
 「良い。遥々マルタンより我が国の事なぞ捨て置けばいい物を来てくれたのだ。こちらも誠意を持って応じなくてはならん」


 ラミナ女王はニコリと笑いルーロンさんに説明を促した。私の粗相も何も無かったようにしてくれる。


 「此度の件、どこまで話を聞いておられるかミシェル殿より伺ってはおりますが差異はありませんか?」

 
 ライル先生はマルタンで聞いてきた事を概ね説明すると、ルーロンさんは成る程と頷いていた。


 「──このように伺ってきました。なのでとりあえず状況の確認をさせて頂いてから対策を考える……という事になると思います」
 「……では……場所を移動しましょう」
 

 説明は? と思ったがラミナ女王とルーロンさんを先頭に部屋の奥にある扉を開き隣の部屋の奥の扉から通路へ出ると更に奥まった方向へと移動して行った。
 私達はただ無言で後を着いて行く事しか出来なかった。

 
 ──どこ向かってるんだろう。
 あ、ロウ達はどうなったかな? もう着いてるかな……オベロンは移動する時には戻るって言ってたけどそのまま来ちゃったな。大丈夫だったかな……。

 少しだけ心配になったけどレオがそっと腰に手を当ててくれていたのでホッと力が抜けた。


 豪奢な扉の前に来るとルーロンさんはノックをする。少しだけ扉が開くと中から出てきた女性と言葉を交わし、そして頷いて扉を大きく開いた。


 「……お入り下さい」
 

 中に入るととても豪華な部屋だった。数名の人が忙しなく動いていたがラミナ女王に気付くと手を止めひざまつき頭を垂れていく。
 更に奥と左右に扉があり奥の扉を開くとそこは寝室らしき場所だった。

 豪奢な天蓋付きのベッドを囲みエルフらしき数名の人達が真剣な顔で魔法を唱えている。


 「……様子は?」
 「──変わらず……です」
 「……そうか」


 ラミナ女王とエルフの1人が言葉を交わしラミナ女王はため息を吐いた。


 「──すまないな。……驚かずに聞いて欲しい……こちらにいらっしゃるのが……ハイムフェムト王国ロイ・フェムト王だ」


 ラミナ女王がそう説明をするとベッドサイドのカーテンを軽く開いた。


 「──っっ!!」

 
 ベッドには枯れ木のように全身が萎びた人が横たわっている。私達は驚きで固まってしまった。


 「──これは……もしかして……」
 「ライル殿そうです。こちらのロイ王が今回の病の最初の発病患者となります」
 

 ルーロンさんがそう告げるとエルフの1人がこちらに歩いて来た。

 
 「……失礼、こちらの方々は?」
 「リーファン、マルタン王国より来て頂いた方々だよ」
 「……オルガから話を聞いて来た方?」
 

 リーファンと呼ばれたエルフは怪訝そうな顔で私達に話しかけてきた。


 「ええ。厳密にはオルガからではなくリオネルから……ですが」
 「リオネル?」
 「……リンリンと自身では言っていましたか?」
 「ああ、リンリンから。じゃあ貴方はオルガが言っていたライル・シモン?」
 「そうですご挨拶が遅れました。ライル・シモンです。こちらがレオ、リリィ、私の生徒達です」
 「生徒? 学生さんが何故?」


 リーファンは眉間に皺を寄せると訝しげに問いかけてきた。確かに大変な時に生徒が一緒なんてどういうつもりなのかと思うよね。


 「リーファンさん彼等は学生ですがマルタンでは特に優秀な者達です。今回の件では彼等の力が必ず必要になると思いますよ」


 あら、ライル先生ったらそんな風に思ってくれていたのね。
 優秀だって!! レオだけじゃなくて私も優秀だって~。
 
 心の中でヘラヘラしてたらリーファンさんにジトッと見られていた。おっと顔を引き締めなくちゃ……見透かされたかな??


 「レオポルト・ガルシアです。きっとお役に立てると思います。宜しくお願いします」
 「ガルシア……あの辺境の2種属性の子?」
 「はい、そうです」
 

 部屋にいた他のエルフ達も呪文を唱えながら視線だけはレオに向いていた。
 
 レオは本当に優秀だもんね!!

 
 「こっちの子は?」
 「あ、私はリリアーヌ・ベルナーと申します」
 「──っっえ!? リリアーヌ……?」
 「リーファンちょっと来て!!」
 「──どうしたっっ!?」


 リーファンさんは私が名乗ると驚いたような顔で何かを言おうとしが、他のエルフ達から呼び戻されベッドサイドへと戻って行った。
 
 
 「……忙しなくてすまないな……実は王は……あの状態になってもう随分月日が経っているんだ」


 ラミナ女王が悲しそうな顔で静かに話し始めた。


 「ハイムフェムトのエルフ達、魔術師や薬師達も皆がやれる事をやっているが王の病の進行は止められなくてな……国内にもすでに病が流行ってしまっていてもうどうにもならない状態まで来ているんだ」


 ラミナ女王の悲しい顔を見ていたら勝手に体が動いて、ラミナ女王の手をガシッと握って力強く言葉をかけてしまっていた。

 
 「──大丈夫ですっっ!! きっと何とかなります!!」


 ──あ、やばい? つい勢いで動いちゃったけど怒られる系?? 


 ライル先生は呆れ顔。レオはやっちゃったって顔。
 ルーロンさんは驚いた表情で固まっていた。


 「ハハハ。リリィと言ったか? お前の手は暖かくて安心するな」


 ラミナ女王は微笑み私の行動を許してくれた。


 「──ありがとう。まだ頑張れそうな気がしてきた」
 「はい! 大丈夫ですよ!! 一緒に頑張りましょう!!」


 うん。コレは暴走とかじゃ無い。

 
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