雨上がる空見上げて

秋本シラキ

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4章

雨上がる空見上げて 4章

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今日は雨が降りっぱなしだった。静寂に支配された深夜、ベッドに横になっている俺に聞こえてくるのは、コンクリートに打ちつける雨の音だけだった。



ブーブー



そんな深夜にまた昨日と同じような時刻に携帯がなった。そして送り主も昨日と同じ高山だった。



『昨日のあなたの言葉が僕を変えてくれました。早速今日、試してみちゃいました。結果は言うまでもないですが、その後、今日は誰からも嫌がらせをされなかったですし、何か怒ったらすっきりしました。ありがとう』



やっぱり、とため息を吐きながらも、心の中では後悔よりも喜びのほうが大きかった。



『そうか、それはよかった。俺も昨日のメールは言いすぎたと少し気にしていたんだ』



『とんでもない。ところで、あなたはどうして僕と直接会わないで、メールで接触しようとするんですか?勝手な予測ですけど、同じクラスの人なんですよねえ』



俺はその言葉に少しほころんでいた顔が一気に凍りつく。



そして催眠術から目を覚ましたかのように、自分がどうしてここまで高山と普通に友達感覚で話しているのだろう。ただの罰ゲームだったのに。しかも、他の人には秘密で。そんな疑問が一気に押し寄せてきた。



画面を見たまま、俺は指を動かすことができなくなっていた。

このまま、高山とメル友ごっこをし続ける気か?俺は?



いいや。俺はこいつのことを好きでも嫌いでもない。どちらかといえば嫌いだ。今までのメールのやり取りは俺が感情的になっただけで、ある意味勢いでやったものだ。



そうだ。そうだ。これは罰ゲームなんだ。もういいだろう。きっとあの三人も忘れているだろう。



『ごめん。実はこれ、罰ゲームなんだ。漢字テストで一番点が低かった奴が高山とメル友になるって言う。だから、今までのメールは全部仕方なくやったっていうか、なんていうか。だからさ、ちょっと言葉が浮かばないけどもうメールのやり取りをするのはやめよう。お互いのためにも』



少しばかりか、ストレートな文章だったかもしれない。でもこのままメールを交換し続けても、高山のメールを返信しないで無視し続けていても、自分の胸に嫌なムカムカしたものが残るだけだと思い、あえてこうした。



まぁ、これも自分を納得させるためのこじつけで、本心は高山なんだから、別にそんな気を使って言葉を詮索することもないだろうという気持ちもなかったとは言い切れない。



それから高山からメールが返信されることはなかった。



果たして高山はどんな気持ちであの文章を受け止めたのだろう。とベッドに横になりながらしばらく気にしていたがそれも長くは続かず、そうしている間にいつの間にか俺は眠りの世界に入り込んでいった。
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