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7章
人と人との間で思う 7章
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外は曇っていた。夜が空けてくると空に雲が覆っていることがはっきりとわかった。その天気とは裏腹に、仕事帰りの二人は上機嫌であった。
「すごいね。今月二人合わせて三十二万も給料入っているよ。」
「そうだね。前借したのを含めないで三十二万だもんな。頑張ったよな。そういえば、アパートの家賃っていくらだっけ?」
「ああ、えっとねえ、たぶん、五万四千円だったかな?」
「五万四千円?安くない?まあ、まり子のことだから大家に負けてもらっているんだろうけど。だったら生活費を引いたとしても、テレビとか他の家具を買えるかもしれないな。」
「そうだね。」
二人の会話は弾み、尽きることはなかった。遠目から見れば、まるで本当のカップルのようだった。
「ああ、疲れた。」
部屋に入ると、すぐにまり子はゴロゴロと寝転がった。
「おいおい、やめろよ。帰ってすぐに寝転がるのは。」「いいじゃん。疲れているんだから・・・ねえ?」「ん?」
「あたし達のさあ、関係ってカップルなのかなあ?」「え?」
まり子がうつ伏せで畳に顔をつけた状態で、玄関で靴を脱いで部屋に入ろうとしていた亨に聞く。
「な、何だよいきなり?お前って、時々唐突に変なこと聞く癖があるよな。うーん・・・まあ恋人ではないな。友達かな?」
部屋に入った亨はまり子の足元へ立ち、腕組みをした。
「そうだね。そんな関係かもね。さっき二人で話していて思ったの。なんかずいぶん私も亨も息が合うって言うか、なんてゆうか、仲良くなったなあって。」
「そうだな。確かに最初よりは仲良くなったんじゃない?じゃなかったら、一緒には暮らさないと思うな。でも、僕達って、本当に不思議な人間だよな。」
「え?」
まり子は上半身を起こし、後ろを振り向く。
「ああ、俺さあタバコ買ってこようかな。」
「え?亨、タバコ吸うんだっけ?」
「ああ。しばらく吸っていなかったけどな。せっかく給料も入ったんだし、一服したいなあ。と思ってな。」
「そう。私、一緒に行こうか?」
「いいよ。すぐそこの自販機で買ってくるから。」
「そう、ならいいけど。買って来たら私にも一服吸わせて。私、吸ったことないんだ。」
「タバコは吸わないほうがいいぞ。それにお前、未成年だろ?」
「あなただって、未成年じゃん。」
「フッ、そうだな。じゃあ、行ってくるわ。」
亨はまり子に背を向け、靴をまた履いて外へ出て行った。
亨がタバコを吸うのは、半年ぶりくらいであった。高校二年のときに吸い始め、卒業するまでは吸っていたが、卒業した後は金の関係もあって吸えない日々が続いていた。まさかタバコが吸える日がまた来るなど、一ヶ月前には夢にも思ってはいなかった。
自販機の前に立った亨は、財布の中から五百円玉を取り出して縦型の穴に入れた。全てのメーカーのタバコのランプがいっせいに付いた。亨は自分の好きなメーカーを目で探していく。
その時だった。後ろからコツコツと革靴を履いて歩く音がし、亨のすぐ後ろで音は止まった。
トントン
亨は後ろに立つ何者かに肩を軽く叩かれる。亨は何の疑いもなく後ろを振り向く。次の瞬間だった。
ズサ
亨が振り向いた瞬間、後ろにいた人物は持っていた果物ナイフで亨の腹を刺した。ポタポタと滴り落ちる亨の血。亨はたまらず、地面に倒れこむ。
「ハハハ、やっとお前を殺せたぞ。お前さえ、お前さえいなければ・・・まりちゃんは俺のものになるんだ!」
亨は激痛でただうずくまることしか出来なかった。
「おい!おい!そこのお前!何をしている!」
誰かの怒鳴り声が聞こえた。それが誰かまでは亨にはわからなかった。
「やっべ。」
亨を刺した人物の履く革靴の音が小刻みに聞こえ、そして遠ざかっていった。そして違う革靴の足音が複数近づいてきた。
「おい!お前はあの男を追いかけろ!だ、大丈夫ですか?」
「すごいね。今月二人合わせて三十二万も給料入っているよ。」
「そうだね。前借したのを含めないで三十二万だもんな。頑張ったよな。そういえば、アパートの家賃っていくらだっけ?」
「ああ、えっとねえ、たぶん、五万四千円だったかな?」
「五万四千円?安くない?まあ、まり子のことだから大家に負けてもらっているんだろうけど。だったら生活費を引いたとしても、テレビとか他の家具を買えるかもしれないな。」
「そうだね。」
二人の会話は弾み、尽きることはなかった。遠目から見れば、まるで本当のカップルのようだった。
「ああ、疲れた。」
部屋に入ると、すぐにまり子はゴロゴロと寝転がった。
「おいおい、やめろよ。帰ってすぐに寝転がるのは。」「いいじゃん。疲れているんだから・・・ねえ?」「ん?」
「あたし達のさあ、関係ってカップルなのかなあ?」「え?」
まり子がうつ伏せで畳に顔をつけた状態で、玄関で靴を脱いで部屋に入ろうとしていた亨に聞く。
「な、何だよいきなり?お前って、時々唐突に変なこと聞く癖があるよな。うーん・・・まあ恋人ではないな。友達かな?」
部屋に入った亨はまり子の足元へ立ち、腕組みをした。
「そうだね。そんな関係かもね。さっき二人で話していて思ったの。なんかずいぶん私も亨も息が合うって言うか、なんてゆうか、仲良くなったなあって。」
「そうだな。確かに最初よりは仲良くなったんじゃない?じゃなかったら、一緒には暮らさないと思うな。でも、僕達って、本当に不思議な人間だよな。」
「え?」
まり子は上半身を起こし、後ろを振り向く。
「ああ、俺さあタバコ買ってこようかな。」
「え?亨、タバコ吸うんだっけ?」
「ああ。しばらく吸っていなかったけどな。せっかく給料も入ったんだし、一服したいなあ。と思ってな。」
「そう。私、一緒に行こうか?」
「いいよ。すぐそこの自販機で買ってくるから。」
「そう、ならいいけど。買って来たら私にも一服吸わせて。私、吸ったことないんだ。」
「タバコは吸わないほうがいいぞ。それにお前、未成年だろ?」
「あなただって、未成年じゃん。」
「フッ、そうだな。じゃあ、行ってくるわ。」
亨はまり子に背を向け、靴をまた履いて外へ出て行った。
亨がタバコを吸うのは、半年ぶりくらいであった。高校二年のときに吸い始め、卒業するまでは吸っていたが、卒業した後は金の関係もあって吸えない日々が続いていた。まさかタバコが吸える日がまた来るなど、一ヶ月前には夢にも思ってはいなかった。
自販機の前に立った亨は、財布の中から五百円玉を取り出して縦型の穴に入れた。全てのメーカーのタバコのランプがいっせいに付いた。亨は自分の好きなメーカーを目で探していく。
その時だった。後ろからコツコツと革靴を履いて歩く音がし、亨のすぐ後ろで音は止まった。
トントン
亨は後ろに立つ何者かに肩を軽く叩かれる。亨は何の疑いもなく後ろを振り向く。次の瞬間だった。
ズサ
亨が振り向いた瞬間、後ろにいた人物は持っていた果物ナイフで亨の腹を刺した。ポタポタと滴り落ちる亨の血。亨はたまらず、地面に倒れこむ。
「ハハハ、やっとお前を殺せたぞ。お前さえ、お前さえいなければ・・・まりちゃんは俺のものになるんだ!」
亨は激痛でただうずくまることしか出来なかった。
「おい!おい!そこのお前!何をしている!」
誰かの怒鳴り声が聞こえた。それが誰かまでは亨にはわからなかった。
「やっべ。」
亨を刺した人物の履く革靴の音が小刻みに聞こえ、そして遠ざかっていった。そして違う革靴の足音が複数近づいてきた。
「おい!お前はあの男を追いかけろ!だ、大丈夫ですか?」
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