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第8話 さいち入院
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突然さいちが倒れ、メンバーは皆驚いた。真澄の指示により、慌ててヨウマが救急車を呼んだ。まもなく、救急車が到着した。
真澄「突然倒れたんです!お願いします!彼女を助けてください!!」
救急隊員「わかりました!今すぐ病院に向かいますので!」
さいちは救急車に運ばれた。メンバーも救急車に乗り込んだ。
セオス「大丈夫・・・かな?・・・」
莉緒「心配だよー(泣)」
皆不安だらけだった。
そして、病院に到着した。
救急隊員「あとは、我々にお任せください」
真澄「はい。よろしくお願いします」
メンバーは待機することとなった。
真澄「どうか、助かりますように・・・」
しまこ「きっと大丈夫だよ!」
3時間後、さいちを診たドクターが現れた。
真澄「あ、あの、さいちは・・・」
真澄は恐る恐る聞いた。すると・・・
ドクター「彼女は疲労がかなり溜まってて、極度の過労で倒れたものだと思われます。1ヶ月入院する必要がありますね」
真澄「い・・・1ヶ月ですか・・・」
さいちは過労で倒れたのであった。
ドクター「でも心配しないでください。命にかかわる程のものではありませんので。1ヶ月入院すれば元気になりますから」
真澄「そ・・・そうですか・・・ありがとうございました」
メンバーに少し笑顔が戻った。
真澄「ところで今、さいちは?」
ドクター「今は病室にいます。まだ意識が戻ってないんですが」
メンバー達は病室に向かった。
しかし、さいちの病室に着いたメンバーは、また少し笑顔が無くなった。
莉緒「まだ、意識が戻ってないんだもんね」
セオス「早く意識が戻るといいけど」
真澄「大丈夫だよ。すぐ目覚ますって」
メンバーは消灯時間ギリギリまで病室にいた。
ヨウマ「もう帰らなきゃいけないね」
莉緒「そうだね。ちょっと寂しいけど」
しまこ「んじゃあそろそろ帰るか」
メンバーは帰ろうとした。すると真澄が口を開いた。
真澄「俺、今日泊まっていくわ」
メンバーは驚いた。
セオス「え!?」
莉緒「真澄、優しいわね」
真澄が泊まるには理由があった。
真澄「彼女を頑張らせすぎたってか、無理させすぎちゃったのには、俺に責任があると思うんだよ。まず、バンド組もうって言ったの、俺だし。毎回ライブに向けてたくさん練習積ませたのも俺だし・・・」
真澄は泣きそうになりながら話した。
真澄「だから、さいちの意識が戻ったら、すぐに謝りたくてさ。だから、俺泊まってくわ」
するとヨウマが口を開いた。
ヨウマ「そんな、考えすぎじゃない?でも、ますちゃんって自分が決めたことは変えない強い意志があるから、いいんじゃない?さいちのために泊まってあげるのも。きっと喜ぶよ」
真澄「ありがとう」
真澄は涙をこぼした。
真澄「じゃあ、さいちが目覚ましたら、みんなに連絡するからさ」
莉緒「うん。悪いね」
莉緒・ヨウマ・セオス・しまこは真澄を置いて病院を後にした。
真澄「さて、寝るか。病院で寝るなんて、赤ちゃんだった時以来かな」
真澄はそんなことを思いながら寝た。しかし、不安な気持ちや、さいちへの罪悪感など、いろんな気持ちがあることでなかなか眠りにつけなかった。
真澄「さいち、怒ってたりしてないかな・・・本当に悪いことしちゃったなぁ・・・」
真澄はそう思ってばかりいた。結局この日はあまりよく眠れなかった。
そして、朝がやってきた。
真澄「ふわ~~~、寝起き悪ぃ・・・」
真澄は目を覚ました。
起きてまず、さいちの顔が目に映った。
真澄「まだ意識を失ったままだ・・・はぁ・・・いつ目覚ますかなぁ・・・」
真澄は不安でいっぱいだった。
この日真澄は、ずっと病院にいることに決めた。さいちが起きた瞬間に謝りたいからだ。
真澄「早く謝りたいなぁ・・・」
こうしているうちに夜がやってきて、消灯時間がやってきた。
真澄「今日は駄目だったか」
真澄はまた泊まることにした。
朝がやってきた。これで真澄は病院に2泊3日したことになる。ここで真澄は一つ重要な事を思い出す。
真澄「やべ!今夜はバイトの店長の送別会じゃんか!」
この店長にはとてもかわいがってもらえ、とてもお世話になった、真澄にとっては相当偉大な人である。出席しないわけにはいかなかった。
真澄「どうしよー!?あんなにお世話になって、送別会に出ないなんて、それはさすがにまずいよなぁ・・・でもさいちが・・・」
真澄は悩んだ。
と、真澄が悩んでいる時だった・・・
さいち「・・・・・・・真澄??」
真澄の耳には、自分の名前を呼ぶ声が聞こえたように感じた。真澄は声のする方へ顔を向けた。
真澄「・・・・・・さいち??」
そこには、目をパッチリ開けているさいちがいた。
真澄「さいちーーー!!!」
真澄はここが病院だとゆう事をすっかり忘れて、叫んだ。
そして、真澄は早速言うべきことを言った。
真澄「ごめんなさい!!」
さいち「・・・え!?」
さいちは土下座した真澄を見て驚いた。
真澄「本当にごめん!さいちが過労で倒れたのは、俺に責任があるんだ!まず俺がバンド組もうって言ったのが始まりで・・・」
と、真澄がまだ全部話す前にさいちが口を開いた。
さいち「やめて!!」
真澄「・・・え?」
真澄は唖然とした。
さいち「真澄は何も悪くないよ。私、みんなとバンド組めて楽しかったもん。私が倒れたのは、頑張りすぎたせいもあるけど、逆にそれは音楽を多く楽しんだってことなんじゃないかな?だから、真澄には感謝してるよ」
真澄「・・・さいち・・・」
予想もしていなかった発言に真澄は目が潤んだ。
ここで真澄が発言した。
真澄「お前・・・なんていいやつなんだ・・・お前とバンド組めてよかったよ・・・」
さいち「ありがとう」
二人に笑顔が戻った。真澄は早速メンバーに連絡した。
莉緒「本当!?今からみんなで行くよ!」
そしてメンバーとしまこが病室に着いた。
しまこ「さいちーーーー!!!!」
しまこはさいちに抱きついた。
さいち「痛い痛い痛い!!!」
さいちは笑った。
ヨウマ「いや~よかったよかった」
セオス「もうどうなるかと思ったぜ」
さいち「みんな心配かけてごめんね。でももうこの通り、大丈夫なんで」
莉緒「でも、あまり無理しちゃ駄目よ」
と、メンバー達が会話しているところに、3人の人間が入ってきた。
よこちん「さいちーーー!!!」
よこちん、八木っちょ、一郎も駆けつけた。
さいち「みんなーーー!!!」
真澄は極秘でこの3人も呼んでいた。
真澄「みんなさいちのことを心配してたんだぜ。さいちはみんなに愛されてるんだな」
さいち「あ~~ありがたいわ(泣)」
しばらく談笑が続いた。そこでさいちがあることを思い出した。
さいち「そういや、次は第2ステージが待っているわね」
そう、オーディションライブのことであった。
真澄「う~~ん、思ったんだけど、さいちにあまり無理はさせられないと思ってるんだけど」
すると・・・
さいち「私に気使ったりしないで。私、病院にいる間もキーボードの練習してるから」
ヨウマ「え~~??大丈夫なの??でも、さいちが大丈夫って言うなら・・・」
メンバーはさいちの発言に驚いたが、喜んだ。
これにより、SOBEの絆は固いものだと確信した真澄であった。
真澄「わかった。じゃあ頑張ってくれな。でも、本当に無理はするなよ」
さいち「うん。心配してくれてありがとね」
そして、みんなが帰る時間がやってきた。
真澄「じゃあ、また来るからさ」
さいち「うん。ありがとね」
みんなは病院を後にした。
第2ステージは約1ヶ月半後。さいちが入院している間は、4人でスタジオ練習することにした。
セオス「とりあえず、今はさいちの分も頑張ろう」
真澄「そうだな」
ヨウマ「次のステージまで。時間はあまり無いからね」
果たして、SOBEは第2ステージを突破できるのか?
第9話へ続く
真澄「突然倒れたんです!お願いします!彼女を助けてください!!」
救急隊員「わかりました!今すぐ病院に向かいますので!」
さいちは救急車に運ばれた。メンバーも救急車に乗り込んだ。
セオス「大丈夫・・・かな?・・・」
莉緒「心配だよー(泣)」
皆不安だらけだった。
そして、病院に到着した。
救急隊員「あとは、我々にお任せください」
真澄「はい。よろしくお願いします」
メンバーは待機することとなった。
真澄「どうか、助かりますように・・・」
しまこ「きっと大丈夫だよ!」
3時間後、さいちを診たドクターが現れた。
真澄「あ、あの、さいちは・・・」
真澄は恐る恐る聞いた。すると・・・
ドクター「彼女は疲労がかなり溜まってて、極度の過労で倒れたものだと思われます。1ヶ月入院する必要がありますね」
真澄「い・・・1ヶ月ですか・・・」
さいちは過労で倒れたのであった。
ドクター「でも心配しないでください。命にかかわる程のものではありませんので。1ヶ月入院すれば元気になりますから」
真澄「そ・・・そうですか・・・ありがとうございました」
メンバーに少し笑顔が戻った。
真澄「ところで今、さいちは?」
ドクター「今は病室にいます。まだ意識が戻ってないんですが」
メンバー達は病室に向かった。
しかし、さいちの病室に着いたメンバーは、また少し笑顔が無くなった。
莉緒「まだ、意識が戻ってないんだもんね」
セオス「早く意識が戻るといいけど」
真澄「大丈夫だよ。すぐ目覚ますって」
メンバーは消灯時間ギリギリまで病室にいた。
ヨウマ「もう帰らなきゃいけないね」
莉緒「そうだね。ちょっと寂しいけど」
しまこ「んじゃあそろそろ帰るか」
メンバーは帰ろうとした。すると真澄が口を開いた。
真澄「俺、今日泊まっていくわ」
メンバーは驚いた。
セオス「え!?」
莉緒「真澄、優しいわね」
真澄が泊まるには理由があった。
真澄「彼女を頑張らせすぎたってか、無理させすぎちゃったのには、俺に責任があると思うんだよ。まず、バンド組もうって言ったの、俺だし。毎回ライブに向けてたくさん練習積ませたのも俺だし・・・」
真澄は泣きそうになりながら話した。
真澄「だから、さいちの意識が戻ったら、すぐに謝りたくてさ。だから、俺泊まってくわ」
するとヨウマが口を開いた。
ヨウマ「そんな、考えすぎじゃない?でも、ますちゃんって自分が決めたことは変えない強い意志があるから、いいんじゃない?さいちのために泊まってあげるのも。きっと喜ぶよ」
真澄「ありがとう」
真澄は涙をこぼした。
真澄「じゃあ、さいちが目覚ましたら、みんなに連絡するからさ」
莉緒「うん。悪いね」
莉緒・ヨウマ・セオス・しまこは真澄を置いて病院を後にした。
真澄「さて、寝るか。病院で寝るなんて、赤ちゃんだった時以来かな」
真澄はそんなことを思いながら寝た。しかし、不安な気持ちや、さいちへの罪悪感など、いろんな気持ちがあることでなかなか眠りにつけなかった。
真澄「さいち、怒ってたりしてないかな・・・本当に悪いことしちゃったなぁ・・・」
真澄はそう思ってばかりいた。結局この日はあまりよく眠れなかった。
そして、朝がやってきた。
真澄「ふわ~~~、寝起き悪ぃ・・・」
真澄は目を覚ました。
起きてまず、さいちの顔が目に映った。
真澄「まだ意識を失ったままだ・・・はぁ・・・いつ目覚ますかなぁ・・・」
真澄は不安でいっぱいだった。
この日真澄は、ずっと病院にいることに決めた。さいちが起きた瞬間に謝りたいからだ。
真澄「早く謝りたいなぁ・・・」
こうしているうちに夜がやってきて、消灯時間がやってきた。
真澄「今日は駄目だったか」
真澄はまた泊まることにした。
朝がやってきた。これで真澄は病院に2泊3日したことになる。ここで真澄は一つ重要な事を思い出す。
真澄「やべ!今夜はバイトの店長の送別会じゃんか!」
この店長にはとてもかわいがってもらえ、とてもお世話になった、真澄にとっては相当偉大な人である。出席しないわけにはいかなかった。
真澄「どうしよー!?あんなにお世話になって、送別会に出ないなんて、それはさすがにまずいよなぁ・・・でもさいちが・・・」
真澄は悩んだ。
と、真澄が悩んでいる時だった・・・
さいち「・・・・・・・真澄??」
真澄の耳には、自分の名前を呼ぶ声が聞こえたように感じた。真澄は声のする方へ顔を向けた。
真澄「・・・・・・さいち??」
そこには、目をパッチリ開けているさいちがいた。
真澄「さいちーーー!!!」
真澄はここが病院だとゆう事をすっかり忘れて、叫んだ。
そして、真澄は早速言うべきことを言った。
真澄「ごめんなさい!!」
さいち「・・・え!?」
さいちは土下座した真澄を見て驚いた。
真澄「本当にごめん!さいちが過労で倒れたのは、俺に責任があるんだ!まず俺がバンド組もうって言ったのが始まりで・・・」
と、真澄がまだ全部話す前にさいちが口を開いた。
さいち「やめて!!」
真澄「・・・え?」
真澄は唖然とした。
さいち「真澄は何も悪くないよ。私、みんなとバンド組めて楽しかったもん。私が倒れたのは、頑張りすぎたせいもあるけど、逆にそれは音楽を多く楽しんだってことなんじゃないかな?だから、真澄には感謝してるよ」
真澄「・・・さいち・・・」
予想もしていなかった発言に真澄は目が潤んだ。
ここで真澄が発言した。
真澄「お前・・・なんていいやつなんだ・・・お前とバンド組めてよかったよ・・・」
さいち「ありがとう」
二人に笑顔が戻った。真澄は早速メンバーに連絡した。
莉緒「本当!?今からみんなで行くよ!」
そしてメンバーとしまこが病室に着いた。
しまこ「さいちーーーー!!!!」
しまこはさいちに抱きついた。
さいち「痛い痛い痛い!!!」
さいちは笑った。
ヨウマ「いや~よかったよかった」
セオス「もうどうなるかと思ったぜ」
さいち「みんな心配かけてごめんね。でももうこの通り、大丈夫なんで」
莉緒「でも、あまり無理しちゃ駄目よ」
と、メンバー達が会話しているところに、3人の人間が入ってきた。
よこちん「さいちーーー!!!」
よこちん、八木っちょ、一郎も駆けつけた。
さいち「みんなーーー!!!」
真澄は極秘でこの3人も呼んでいた。
真澄「みんなさいちのことを心配してたんだぜ。さいちはみんなに愛されてるんだな」
さいち「あ~~ありがたいわ(泣)」
しばらく談笑が続いた。そこでさいちがあることを思い出した。
さいち「そういや、次は第2ステージが待っているわね」
そう、オーディションライブのことであった。
真澄「う~~ん、思ったんだけど、さいちにあまり無理はさせられないと思ってるんだけど」
すると・・・
さいち「私に気使ったりしないで。私、病院にいる間もキーボードの練習してるから」
ヨウマ「え~~??大丈夫なの??でも、さいちが大丈夫って言うなら・・・」
メンバーはさいちの発言に驚いたが、喜んだ。
これにより、SOBEの絆は固いものだと確信した真澄であった。
真澄「わかった。じゃあ頑張ってくれな。でも、本当に無理はするなよ」
さいち「うん。心配してくれてありがとね」
そして、みんなが帰る時間がやってきた。
真澄「じゃあ、また来るからさ」
さいち「うん。ありがとね」
みんなは病院を後にした。
第2ステージは約1ヶ月半後。さいちが入院している間は、4人でスタジオ練習することにした。
セオス「とりあえず、今はさいちの分も頑張ろう」
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