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気付かないままの恋
#恋人はSub
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「すまなかった。欲求不満の体調不良だとは、思わなかった」
レミファに謝られて、連れて行かれたのは、娼館だった。
山と森しかない小さな国からやって来たドニは、「娼館」なんて言葉すら知らない。
娼館の前、馬車を止めて、御者台の上、レミファは、隣に座るドニに聞いた。
「お前、故郷にパートナーは、いるのか?」
「『パートナー』?」
ドニは聞き返す。
「『パートナー』なんて言葉がないということは、この子の国では、夫婦や恋人で、欲求を満たし合うのが、普通なんだね、きっと」
荷台に乗っているラシが言った。
銀狐の襟巻は外し、包み直して、そばに置いている。
ゆるやかに波打つ長い金髪は、日に当たると、銀髪のようにも見えた。レミファほど濃くはない、緑の切れ長の瞳。通った鼻筋。ふっくらした唇。それから、緑の革の首輪。
「お前、故郷に恋人はいるか?」
「い、いる!!」
聞き直したレミファは、明らかにウソだとバレバレの、ドニの答えを、やさしくスルーした。荷台でラシは、くすくす、笑う。
「お前、女は好きか?」
「それはっ、まあ、普通にはっ。」
もう一度、聞き直したレミファに、ドニは、あたふた、答えた。
「ラシ、こいつ――ドニに、男のSubを選んでやってくれ」
「男?」
レミファに、ラシは聞き返した。
レミファは、手綱を持つ自分の手を見下ろし、ドニを見ずに聞いた。
「お前、童貞だろ?」
「まだ十七」
「?――お前、十八歳って言ってなかったか?」
レミファは顔を上げ、ドニを見た。ドニは、ぶんぶん、頭を振った。
「まちがった!国を出て、次の日に、十八になったんだよ!!マジで!!だから、今、十八歳になりました!!」
レミファは、ラシを振り返らずに言う。
「流れで、そういうことになるのも、かわいそうだろ」
「『流れ』で、ね…」
くすす、とラシは笑った。
「国にいる時、まだ十七歳だったから、そういうこと、できなかっただけだよ…」
もごもご、ドニは言う。
ラシに連れられて、ドニは娼館に入る。レミファは、店に商品を荷下ろしして来ると、馬車で行ってしまった。
入ると、広間に、いろいろなソファーが、乱雑に置かれていて、ぽつぽつといる男の人や、女の人が、おしゃべりしたり、本を読んだり、居眠りしたり、ぼんやりしたりしていた。
「ラシが、客引きして来るなんて、珍しい」
ドニを連れたラシに、ソファーを一人で占領して、寝そべっていた男が話しかけた。
両脇は刈り上げて、前髪を額の真ん中で分けている黒髪。少し垂れ目の黒い瞳。細長い鼻。厚めの唇。顎下だけに、ちょぼちょぼと、髭を生やしてる。
口は、ラシに話しかけているが、目は、ドニを見つめている。
それが「物欲しそうな目」だということも知らないドニは、男を真っすぐに見返す。
真っすぐにDomに見つめられて、Subの体は、ぞくぞく、熱くなる。
「ソナス、この子、お願いしていいかな?」
「俺、男は、お断りだよ」
ラシに言われて、ソナスは、体とは裏腹なことを、口で言う。
「だから、いいんだよ。プレイだけだけでいいから。」
「プレイだけでも、男はお断り。」
ソナスは「お断り」と言いながら、物欲しそうな目をドニから離せない。
「ドニくん、プレイも、初めてだよね?」
「『プレイ』?」
ラシに聞かれて、無邪気にドニは聞き返した。
ラシとソナスの方は見ずに、聞き耳を立てていたSubたちの目が、一斉にドニに向いた。
集まる視線を感じてドニは見返す、黒曜石のような黒い瞳で。
寝グセのはねた、ぼさぼさの琥珀色の髪。少しふくらんだ小鼻。色の薄い唇。
「初めてのプレイが男なんて、かわいそうじゃない」
「私!私!私!」
「プレイだけじゃなく、愉しませてあ・げ・る」
「ラシさんが選ぶの、おかしくないですか?その子に選ばせるべきじゃないですか?」
「男より、お姉さんの方がいいでしょ?君。」
「ぼくなら、プレイだけじゃなく、どっちもイケるよ」
昼間の、夜と比べれば、暇な娼館が沸き立つ。
「どうして、ラシがお相手をしてさしあげないの?初物を、お召し上がりになられるの、お好きでいらっしゃいますでしょう?」
大きな胸が半分以上、はみ出してる胸元が大きく開いたドレスの女が聞いた。
「ぼくは、恋人が帰って来たから、今日から、しばらくお休み。」
ラシが笑顔で言うと、皆、盛り下がった。
「プレイだけなら、男相手でも、まあ、いいか」
口先だけで言って、ソナスはソファーを立ち上がった。そのソファーに、ラシは腰掛け、ドニに向かって、ひらひらと、両手を振った。
「どうぞ、愉しんで」
ドニは返す言葉を思いつかず、
「はい」
と言って、皆に笑われた。
ドニは『プレイ』が何なのか、わからないまま、ソナスの後に付いて、部屋に行った。
天蓋付きの大きな寝台が置いてある寝室だった。
ドニは、城のウェリスの天蓋付きの寝台を思い出して、少し笑った。
ドニは、覚えたばかりの空間移動魔術で、ウェリスが寝に来る前に、もぐり込んで、驚かしたことがあった。驚きすぎたウェリスに、ドニは寝台の上から壁まで、最大出力の魔力で吹っ飛ばされた。
『プレイ』は、ソナスが言う言葉を、繰り返して言うだけのことだった。
その言葉が命令というものであることは、ドニも知識として知っていた。
ドニの国では、十三歳になると、学校の教室に一人ずつ呼ばれて、二人の先生に向かって、とある言葉を言う。
「Come」
それで、二人の先生のうち、一人が近付いて来れば、Dom。
どちらも動かなければ、先生が生徒に向かって言う。
「Come」
それで、生徒が近付いて来れば、Sub。
何も動かなければ、Normal。
「君、Domとしての力が、とても強いんだね…」
寝台に腰掛けたドニの足元に跪いたソナスは、はあはあと、全速力で走った後のように、荒い呼吸で、顔を真っ赤にして、見上げる。
ドニは、特に何も感じていなかった。欲求不満は、ラシに命令した時に、解消されていた。
「なあ、これ以上の命令、試したくない?」
「――もう、体調、悪くないんで、だいじょうぶです」
寝台をドニは下りた。歩き出そうとするドニの足に、ソナスは、すがりついた。
「俺に、もっと命令して!何でもするから!」
「STAY」
雑にドニは命令すると、すがりつくソナスの両腕から、足を引き抜いて、歩き出し、部屋を出た。
「そんなに、ドニくんの童貞が心配だった?お店で、荷下ろしもしないで、すぐ戻って来ちゃうほど。」
「………」
「覗き窓から見ただろ。プレイしか、してないの。あの人、普段は、男相手にプレイもしない人だから、全然、だいじょうぶだよ」
ドニが部屋を出ると、廊下の先の角を、話しながらラシとレミファが曲がって行くのが見えた。
声をかけようとしてドニは、口を閉じた。
さっきまで、自分の言葉が、他人の体を思うままに動かしてたことを思うと、喉に言葉が引っ掛かってしまった。
ドニは、足音を吸い込む深い絨毯の廊下を小走りで行って、角を曲がり、
レミファが、ラシを部屋の扉に叩きつける瞬間を見てしまった。
ドニは角に隠れた。レミファが怒ったところを見たことがなかった。
止めるにしても、ブン殴られるかもしれない覚悟を決める必要があった。レミファは上着を脱いでいて、袖なしのシャツから盛り上がった肩から腕への筋肉は、ドニを怖気づかせるには、充分だった。
「プレイ見て、興奮しちゃった?」
「してねえよ」
「ぼくたちも、する?」
「お前が、他の男に抱かれてる部屋なんか、入りたくねえよ」
ラシと、怒ったレミファの声が、聞こえる。
ドニは混乱した。
レミファは「お前が、他の男に抱かれてる部屋」と言った。
ラシは「恋人が帰って来たから、」と言っていた。
恋人がいるのに、他の男に抱かれてる?
ラシは男なのに、男に抱かれてる?
「っは、ぁんっ、」
痛みの混ざったラシの声を聞いて、ドニは慌てて、角から顔を出した。ラシに、レミファが暴力を振るったと思ったのだ。
瞳を閉じたラシと、瞳を閉じたレミファが、噛み合うように、唇と唇を深く重ねていた。
キスくらいは、ドニはしたことがあった。けれど、唇と唇を触れ合わせただけのキスと、今、見ていることが、同じものとは思えなかった。
いや、それよりも、男と男がキスしてる!!
「ふは、っあん、」
「っは、あ、っふ、」
唇と唇をわずかに離した隙間で息継ぎしても、お互い、突き出した舌と舌は、絡み合ったままだ。
ラシとレミファは、微かに開けた瞳で見つめ合い、また瞳を閉じて、唇を深く重ね合う。
レミファが手探りで、ラシのシャツのボタン代わりの紐を解いた。つるりとシャツは、ラシの肌を滑り落ちてゆく。ズボンも紐を解くと、容易く落ちる。ラシのアソコに、付いている物は、やっぱり付いていた。ラシは、男でまちがいない。
あっ。と、ドニは気付く。
ラシは、下着を全く着けていなかった。
娼夫が客の要求に、すぐ応えるためとは知らず、この国の人は、下着を着けないんだと、ドニは納得した。
ラシの唇から、レミファは唇を離した。二人は熱っぽく潤んだ瞳で、見つめ合う。
「他の男のちんぽ、毎日、何本も、咥え込んで、ケツ穴、ガバガバなんだろ?」
レミファの言ってる意味が、ドニには全くわからなかった。
レミファは、扉に押し付けたラシの、か細い片脚の膝裏を掴んで、高く上げさせる。
もう一方の手でレミファは、もどかしく自分のズボンを下ろし、肉茎を引き出す。
ドニは、勃起した他人の物を見るのは、初めてだった。
やっぱ、レミファさんの、でっかくて太えー!!
赤黒く膨れ上がって、高く反り上がった、雫を垂らして、ぬらぬらと光る先端を、レミファは、ラシの高く上げさせた片脚の付け根に押し付ける。
「ゃあああああ」
緑の革の首輪を嵌められた細い首をのけぞらせ、上向いてラシは、長い悲鳴を上げる。
高く上げさせられたラシの、か細い脚の方から見ているドニには、でっかくて太えレミファの肉茎が、付け根に突き刺さって行く様が、まざまざと見えていた。
女には、動物とちがって、子どもを産むための穴が、もうひとつ、お股に開いていることは、学校で習って、ドニは知っていた。
男のちんちんは、おしっこを出すためだけじゃなく、子どもになる素を、その穴に入れるための物でもあることも、知っていた。
男にも、ちんちんを入れられる穴があるなんて、ドニは学校で教えてもらっていなかった。
ラシの穴に、レミファの肉茎が繰り返し、引き出され、突き入れられるのを、ドニは見ていた。
「ぁぁん、あんっ、っあ、あ、あ、ふああっ、」
ラシは、すがりつくように抱きつき、レミファの肩の盛り上がった筋肉の上、開けた口から涎を垂らして、声を上げ続ける。
「俺なんかより、他のヤツのちんぽの方が、気持ちいいんだろ?」
レミファは逞しい体を、か細いラシの体に打ち付けるように、腰を突き上げ続ける。
「レミ、ファのっ、おちんぽ、がっ、やっぱ、り、気持ちいいぃ、よおっ、も、ぉっと、突い、てぇ、もっとぉ、もぉ、っとぉ、もっとぉ、」
「他のっ、ヤツらにも、そう言って、ねだって、るんだろっ?」
ふ゛ち゛ゅ゛ふ゛ち゛ゅ゛、ドニが聞いたこともない肉と肉が擦れ合う音が響く。
ドニ自身が気付かないまま、肉茎は下着の中、ズボンの前を突き上げ、先端からは雫が浸み出していた。
「こんなっ、きゅう、きゅう、締め、付けてっ、他のヤツらの、ちんぽも絞り、上げて、んのか、よっ?!」
「奥っ、もっとぉ、奥っ、ちょうだい、いっぱい、ちょうだい、」
「どうしてっ、俺だけのっ、ものに、っ、ならないんだよっ、」
「はくっ、うぐっ、んんんんっ、」
突然、レミファが動きを止め、ラシが呻いて、か細い体を、びくびく、震わせた。
何が起きたのか、ドニは、わからなかった。
レミファが突き上げた最奥で射精して、ラシが絶頂を迎えたのだ。
ラシは、汗の噴き出すレシファの盛り上がった肩の筋肉の上、うっとりと微笑んだ。
「気持ちよかった?」
かすれた声で聞く、ドニに向かって。
何が起きたのか、ドニは、わからなかった。
ドニは射精していた。下着が、ねっとりと熱く濡れている。
レミファに謝られて、連れて行かれたのは、娼館だった。
山と森しかない小さな国からやって来たドニは、「娼館」なんて言葉すら知らない。
娼館の前、馬車を止めて、御者台の上、レミファは、隣に座るドニに聞いた。
「お前、故郷にパートナーは、いるのか?」
「『パートナー』?」
ドニは聞き返す。
「『パートナー』なんて言葉がないということは、この子の国では、夫婦や恋人で、欲求を満たし合うのが、普通なんだね、きっと」
荷台に乗っているラシが言った。
銀狐の襟巻は外し、包み直して、そばに置いている。
ゆるやかに波打つ長い金髪は、日に当たると、銀髪のようにも見えた。レミファほど濃くはない、緑の切れ長の瞳。通った鼻筋。ふっくらした唇。それから、緑の革の首輪。
「お前、故郷に恋人はいるか?」
「い、いる!!」
聞き直したレミファは、明らかにウソだとバレバレの、ドニの答えを、やさしくスルーした。荷台でラシは、くすくす、笑う。
「お前、女は好きか?」
「それはっ、まあ、普通にはっ。」
もう一度、聞き直したレミファに、ドニは、あたふた、答えた。
「ラシ、こいつ――ドニに、男のSubを選んでやってくれ」
「男?」
レミファに、ラシは聞き返した。
レミファは、手綱を持つ自分の手を見下ろし、ドニを見ずに聞いた。
「お前、童貞だろ?」
「まだ十七」
「?――お前、十八歳って言ってなかったか?」
レミファは顔を上げ、ドニを見た。ドニは、ぶんぶん、頭を振った。
「まちがった!国を出て、次の日に、十八になったんだよ!!マジで!!だから、今、十八歳になりました!!」
レミファは、ラシを振り返らずに言う。
「流れで、そういうことになるのも、かわいそうだろ」
「『流れ』で、ね…」
くすす、とラシは笑った。
「国にいる時、まだ十七歳だったから、そういうこと、できなかっただけだよ…」
もごもご、ドニは言う。
ラシに連れられて、ドニは娼館に入る。レミファは、店に商品を荷下ろしして来ると、馬車で行ってしまった。
入ると、広間に、いろいろなソファーが、乱雑に置かれていて、ぽつぽつといる男の人や、女の人が、おしゃべりしたり、本を読んだり、居眠りしたり、ぼんやりしたりしていた。
「ラシが、客引きして来るなんて、珍しい」
ドニを連れたラシに、ソファーを一人で占領して、寝そべっていた男が話しかけた。
両脇は刈り上げて、前髪を額の真ん中で分けている黒髪。少し垂れ目の黒い瞳。細長い鼻。厚めの唇。顎下だけに、ちょぼちょぼと、髭を生やしてる。
口は、ラシに話しかけているが、目は、ドニを見つめている。
それが「物欲しそうな目」だということも知らないドニは、男を真っすぐに見返す。
真っすぐにDomに見つめられて、Subの体は、ぞくぞく、熱くなる。
「ソナス、この子、お願いしていいかな?」
「俺、男は、お断りだよ」
ラシに言われて、ソナスは、体とは裏腹なことを、口で言う。
「だから、いいんだよ。プレイだけだけでいいから。」
「プレイだけでも、男はお断り。」
ソナスは「お断り」と言いながら、物欲しそうな目をドニから離せない。
「ドニくん、プレイも、初めてだよね?」
「『プレイ』?」
ラシに聞かれて、無邪気にドニは聞き返した。
ラシとソナスの方は見ずに、聞き耳を立てていたSubたちの目が、一斉にドニに向いた。
集まる視線を感じてドニは見返す、黒曜石のような黒い瞳で。
寝グセのはねた、ぼさぼさの琥珀色の髪。少しふくらんだ小鼻。色の薄い唇。
「初めてのプレイが男なんて、かわいそうじゃない」
「私!私!私!」
「プレイだけじゃなく、愉しませてあ・げ・る」
「ラシさんが選ぶの、おかしくないですか?その子に選ばせるべきじゃないですか?」
「男より、お姉さんの方がいいでしょ?君。」
「ぼくなら、プレイだけじゃなく、どっちもイケるよ」
昼間の、夜と比べれば、暇な娼館が沸き立つ。
「どうして、ラシがお相手をしてさしあげないの?初物を、お召し上がりになられるの、お好きでいらっしゃいますでしょう?」
大きな胸が半分以上、はみ出してる胸元が大きく開いたドレスの女が聞いた。
「ぼくは、恋人が帰って来たから、今日から、しばらくお休み。」
ラシが笑顔で言うと、皆、盛り下がった。
「プレイだけなら、男相手でも、まあ、いいか」
口先だけで言って、ソナスはソファーを立ち上がった。そのソファーに、ラシは腰掛け、ドニに向かって、ひらひらと、両手を振った。
「どうぞ、愉しんで」
ドニは返す言葉を思いつかず、
「はい」
と言って、皆に笑われた。
ドニは『プレイ』が何なのか、わからないまま、ソナスの後に付いて、部屋に行った。
天蓋付きの大きな寝台が置いてある寝室だった。
ドニは、城のウェリスの天蓋付きの寝台を思い出して、少し笑った。
ドニは、覚えたばかりの空間移動魔術で、ウェリスが寝に来る前に、もぐり込んで、驚かしたことがあった。驚きすぎたウェリスに、ドニは寝台の上から壁まで、最大出力の魔力で吹っ飛ばされた。
『プレイ』は、ソナスが言う言葉を、繰り返して言うだけのことだった。
その言葉が命令というものであることは、ドニも知識として知っていた。
ドニの国では、十三歳になると、学校の教室に一人ずつ呼ばれて、二人の先生に向かって、とある言葉を言う。
「Come」
それで、二人の先生のうち、一人が近付いて来れば、Dom。
どちらも動かなければ、先生が生徒に向かって言う。
「Come」
それで、生徒が近付いて来れば、Sub。
何も動かなければ、Normal。
「君、Domとしての力が、とても強いんだね…」
寝台に腰掛けたドニの足元に跪いたソナスは、はあはあと、全速力で走った後のように、荒い呼吸で、顔を真っ赤にして、見上げる。
ドニは、特に何も感じていなかった。欲求不満は、ラシに命令した時に、解消されていた。
「なあ、これ以上の命令、試したくない?」
「――もう、体調、悪くないんで、だいじょうぶです」
寝台をドニは下りた。歩き出そうとするドニの足に、ソナスは、すがりついた。
「俺に、もっと命令して!何でもするから!」
「STAY」
雑にドニは命令すると、すがりつくソナスの両腕から、足を引き抜いて、歩き出し、部屋を出た。
「そんなに、ドニくんの童貞が心配だった?お店で、荷下ろしもしないで、すぐ戻って来ちゃうほど。」
「………」
「覗き窓から見ただろ。プレイしか、してないの。あの人、普段は、男相手にプレイもしない人だから、全然、だいじょうぶだよ」
ドニが部屋を出ると、廊下の先の角を、話しながらラシとレミファが曲がって行くのが見えた。
声をかけようとしてドニは、口を閉じた。
さっきまで、自分の言葉が、他人の体を思うままに動かしてたことを思うと、喉に言葉が引っ掛かってしまった。
ドニは、足音を吸い込む深い絨毯の廊下を小走りで行って、角を曲がり、
レミファが、ラシを部屋の扉に叩きつける瞬間を見てしまった。
ドニは角に隠れた。レミファが怒ったところを見たことがなかった。
止めるにしても、ブン殴られるかもしれない覚悟を決める必要があった。レミファは上着を脱いでいて、袖なしのシャツから盛り上がった肩から腕への筋肉は、ドニを怖気づかせるには、充分だった。
「プレイ見て、興奮しちゃった?」
「してねえよ」
「ぼくたちも、する?」
「お前が、他の男に抱かれてる部屋なんか、入りたくねえよ」
ラシと、怒ったレミファの声が、聞こえる。
ドニは混乱した。
レミファは「お前が、他の男に抱かれてる部屋」と言った。
ラシは「恋人が帰って来たから、」と言っていた。
恋人がいるのに、他の男に抱かれてる?
ラシは男なのに、男に抱かれてる?
「っは、ぁんっ、」
痛みの混ざったラシの声を聞いて、ドニは慌てて、角から顔を出した。ラシに、レミファが暴力を振るったと思ったのだ。
瞳を閉じたラシと、瞳を閉じたレミファが、噛み合うように、唇と唇を深く重ねていた。
キスくらいは、ドニはしたことがあった。けれど、唇と唇を触れ合わせただけのキスと、今、見ていることが、同じものとは思えなかった。
いや、それよりも、男と男がキスしてる!!
「ふは、っあん、」
「っは、あ、っふ、」
唇と唇をわずかに離した隙間で息継ぎしても、お互い、突き出した舌と舌は、絡み合ったままだ。
ラシとレミファは、微かに開けた瞳で見つめ合い、また瞳を閉じて、唇を深く重ね合う。
レミファが手探りで、ラシのシャツのボタン代わりの紐を解いた。つるりとシャツは、ラシの肌を滑り落ちてゆく。ズボンも紐を解くと、容易く落ちる。ラシのアソコに、付いている物は、やっぱり付いていた。ラシは、男でまちがいない。
あっ。と、ドニは気付く。
ラシは、下着を全く着けていなかった。
娼夫が客の要求に、すぐ応えるためとは知らず、この国の人は、下着を着けないんだと、ドニは納得した。
ラシの唇から、レミファは唇を離した。二人は熱っぽく潤んだ瞳で、見つめ合う。
「他の男のちんぽ、毎日、何本も、咥え込んで、ケツ穴、ガバガバなんだろ?」
レミファの言ってる意味が、ドニには全くわからなかった。
レミファは、扉に押し付けたラシの、か細い片脚の膝裏を掴んで、高く上げさせる。
もう一方の手でレミファは、もどかしく自分のズボンを下ろし、肉茎を引き出す。
ドニは、勃起した他人の物を見るのは、初めてだった。
やっぱ、レミファさんの、でっかくて太えー!!
赤黒く膨れ上がって、高く反り上がった、雫を垂らして、ぬらぬらと光る先端を、レミファは、ラシの高く上げさせた片脚の付け根に押し付ける。
「ゃあああああ」
緑の革の首輪を嵌められた細い首をのけぞらせ、上向いてラシは、長い悲鳴を上げる。
高く上げさせられたラシの、か細い脚の方から見ているドニには、でっかくて太えレミファの肉茎が、付け根に突き刺さって行く様が、まざまざと見えていた。
女には、動物とちがって、子どもを産むための穴が、もうひとつ、お股に開いていることは、学校で習って、ドニは知っていた。
男のちんちんは、おしっこを出すためだけじゃなく、子どもになる素を、その穴に入れるための物でもあることも、知っていた。
男にも、ちんちんを入れられる穴があるなんて、ドニは学校で教えてもらっていなかった。
ラシの穴に、レミファの肉茎が繰り返し、引き出され、突き入れられるのを、ドニは見ていた。
「ぁぁん、あんっ、っあ、あ、あ、ふああっ、」
ラシは、すがりつくように抱きつき、レミファの肩の盛り上がった筋肉の上、開けた口から涎を垂らして、声を上げ続ける。
「俺なんかより、他のヤツのちんぽの方が、気持ちいいんだろ?」
レミファは逞しい体を、か細いラシの体に打ち付けるように、腰を突き上げ続ける。
「レミ、ファのっ、おちんぽ、がっ、やっぱ、り、気持ちいいぃ、よおっ、も、ぉっと、突い、てぇ、もっとぉ、もぉ、っとぉ、もっとぉ、」
「他のっ、ヤツらにも、そう言って、ねだって、るんだろっ?」
ふ゛ち゛ゅ゛ふ゛ち゛ゅ゛、ドニが聞いたこともない肉と肉が擦れ合う音が響く。
ドニ自身が気付かないまま、肉茎は下着の中、ズボンの前を突き上げ、先端からは雫が浸み出していた。
「こんなっ、きゅう、きゅう、締め、付けてっ、他のヤツらの、ちんぽも絞り、上げて、んのか、よっ?!」
「奥っ、もっとぉ、奥っ、ちょうだい、いっぱい、ちょうだい、」
「どうしてっ、俺だけのっ、ものに、っ、ならないんだよっ、」
「はくっ、うぐっ、んんんんっ、」
突然、レミファが動きを止め、ラシが呻いて、か細い体を、びくびく、震わせた。
何が起きたのか、ドニは、わからなかった。
レミファが突き上げた最奥で射精して、ラシが絶頂を迎えたのだ。
ラシは、汗の噴き出すレシファの盛り上がった肩の筋肉の上、うっとりと微笑んだ。
「気持ちよかった?」
かすれた声で聞く、ドニに向かって。
何が起きたのか、ドニは、わからなかった。
ドニは射精していた。下着が、ねっとりと熱く濡れている。
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グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
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