亡国の王、幼なじみDomと癒され再会ラブ

切羽未依

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気付かないままの恋

#恋人はSub

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「すまなかった。欲求不満の体調不良だとは、思わなかった」
 レミファに謝られて、連れて行かれたのは、娼館だった。

 山と森しかない小さな国からやって来たドニは、「娼館」なんて言葉すら知らない。

 娼館の前、馬車を止めて、御者台ぎょしゃだいの上、レミファは、隣に座るドニに聞いた。
「お前、故郷にパートナーは、いるのか?」
「『パートナー』?」
 ドニは聞き返す。

「『パートナー』なんて言葉がないということは、この子の国では、夫婦や恋人で、欲求を満たし合うのが、普通なんだね、きっと」
 荷台に乗っているラシが言った。
 銀狐ぎんぎつね襟巻えりまきは外し、包み直して、そばに置いている。
 ゆるやかに波打つ長い金髪は、日に当たると、銀髪のようにも見えた。レミファほど濃くはない、緑の切れ長の瞳。通った鼻筋。ふっくらした唇。それから、緑の革の首輪。

「お前、故郷に恋人はいるか?」
「い、いる!!」
 聞き直したレミファは、明らかにウソだとバレバレの、ドニの答えを、やさしくスルーした。荷台でラシは、くすくす、笑う。

「お前、女は好きか?」
「それはっ、まあ、普通にはっ。」
 もう一度、聞き直したレミファに、ドニは、あたふた、答えた。

「ラシ、こいつ――ドニに、男のSubサブを選んでやってくれ」
「男?」
 レミファに、ラシは聞き返した。

 レミファは、手綱たづなを持つ自分の手を見下ろし、ドニを見ずに聞いた。
「お前、童貞だろ?」
「まだ十七」
「?――お前、十八歳って言ってなかったか?」
 レミファは顔を上げ、ドニを見た。ドニは、ぶんぶん、頭を振った。
「まちがった!国を出て、次の日に、十八になったんだよ!!マジで!!だから、今、十八歳になりました!!」

 レミファは、ラシを振り返らずに言う。
「流れで、そういうことになるのも、かわいそうだろ」
「『流れ』で、ね…」
 くすす、とラシは笑った。

「国にいる時、まだ十七歳だったから、そういうこと、できなかっただけだよ…」
 もごもご、ドニは言う。


 ラシに連れられて、ドニは娼館に入る。レミファは、店に商品を荷下ろしして来ると、馬車で行ってしまった。

 入ると、広間に、いろいろなソファーが、乱雑に置かれていて、ぽつぽつといる男の人や、女の人が、おしゃべりしたり、本を読んだり、居眠りしたり、ぼんやりしたりしていた。

「ラシが、客引きして来るなんて、珍しい」
 ドニを連れたラシに、ソファーを一人で占領して、寝そべっていた男が話しかけた。

 両脇は刈り上げて、前髪を額の真ん中で分けている黒髪。少し垂れ目の黒い瞳。細長い鼻。厚めの唇。顎下あごしただけに、ちょぼちょぼと、ひげを生やしてる。

 くちは、ラシに話しかけているが、目は、ドニを見つめている。

 それが「物欲しそうな目」だということも知らないドニは、男を真っすぐに見返す。

 真っすぐにDomドムに見つめられて、Subサブの体は、ぞくぞく、熱くなる。

「ソナス、この子、お願いしていいかな?」
「俺、男は、お断りだよ」
 ラシに言われて、ソナスは、体とは裏腹なことを、口で言う。

「だから、いいんだよ。プレイだけだけでいいから。」
「プレイだけでも、男はお断り。」
 ソナスは「お断り」と言いながら、物欲しそうな目をドニから離せない。

「ドニくん、プレイも、初めてだよね?」
「『プレイ』?」
 ラシに聞かれて、無邪気にドニは聞き返した。
 ラシとソナスの方は見ずに、聞き耳を立てていたSubたちの目が、一斉にドニに向いた。

 集まる視線を感じてドニは見返す、黒曜石のような黒い瞳で。
 寝グセのはねた、ぼさぼさの琥珀色の髪。少しふくらんだ小鼻。色の薄い唇。


「初めてのプレイが男なんて、かわいそうじゃない」
「私!私!私!」
「プレイだけじゃなく、たのしませてあ・げ・る」
「ラシさんが選ぶの、おかしくないですか?その子に選ばせるべきじゃないですか?」
「男より、お姉さんの方がいいでしょ?君。」
「ぼくなら、プレイだけじゃなく、どっちもイケるよ」
 昼間の、夜と比べれば、暇な娼館がき立つ。


「どうして、ラシがお相手をしてさしあげないの?初物はつものを、お召し上がりになられるの、お好きでいらっしゃいますでしょう?」
 大きな胸が半分以上、はみ出してる胸元が大きく開いたドレスの女が聞いた。

「ぼくは、恋人が帰って来たから、今日から、しばらくお休み。」
 ラシが笑顔で言うと、皆、盛り下がった。


「プレイだけなら、男相手でも、まあ、いいか」
 口先だけで言って、ソナスはソファーを立ち上がった。そのソファーに、ラシは腰掛け、ドニに向かって、ひらひらと、両手を振った。
「どうぞ、たのしんで」

 ドニは返す言葉を思いつかず、
「はい」
 と言って、皆に笑われた。


 ドニは『プレイ』が何なのか、わからないまま、ソナスの後に付いて、部屋に行った。
 天蓋付きの大きな寝台ベッドが置いてある寝室だった。
 ドニは、城のウェリスの天蓋付きの寝台を思い出して、少し笑った。
 ドニは、覚えたばかりの空間移動魔術で、ウェリスが寝に来る前に、もぐり込んで、驚かしたことがあった。驚きすぎたウェリスに、ドニは寝台の上から壁まで、最大出力の魔力で吹っ飛ばされた。


『プレイ』は、ソナスが言う言葉を、繰り返して言うだけのことだった。
 その言葉が命令コマンドというものであることは、ドニも知識として知っていた。

 ドニの国では、十三歳になると、学校の教室に一人ずつ呼ばれて、二人の先生に向かって、とある言葉を言う。
Comeおいで
 それで、二人の先生のうち、一人が近付いて来れば、Domドム
 どちらも動かなければ、先生が生徒に向かって言う。
Comeおいで
 それで、生徒が近付いて来れば、Subサブ
 何も動かなければ、Normalノーマル


「君、Domとしての力が、とても強いんだね…」
 寝台に腰掛けたドニの足元にひざまずいたソナスは、はあはあと、全速力で走った後のように、荒い呼吸で、顔を真っ赤にして、見上げる。

 ドニは、特に何も感じていなかった。欲求不満は、ラシに命令した時に、解消されていた。

「なあ、これ以上の命令コマンド、試したくない?」
「――もう、体調、悪くないんで、だいじょうぶです」
 寝台をドニは下りた。歩き出そうとするドニの足に、ソナスは、すがりついた。
「俺に、もっと命令して!何でもするから!」

STAY待て
 ザツにドニは命令すると、すがりつくソナスの両腕から、足を引き抜いて、歩き出し、部屋を出た。



「そんなに、ドニくんの童貞が心配だった?お店で、荷下ろしもしないで、すぐ戻って来ちゃうほど。」
「………」
のぞき窓から見ただろ。プレイしか、してないの。あの人、普段は、男相手にプレイもしない人だから、全然、だいじょうぶだよ」

 ドニが部屋を出ると、廊下の先のかどを、話しながらラシとレミファが曲がって行くのが見えた。

 声をかけようとしてドニは、口を閉じた。
 さっきまで、自分の言葉が、他人の体を思うままに動かしてたことを思うと、喉に言葉が引っ掛かってしまった。
 ドニは、足音を吸い込む深い絨毯じゅうたんの廊下を小走りで行って、角を曲がり、

 レミファが、ラシを部屋の扉に叩きつける瞬間を見てしまった。

 ドニはかどに隠れた。レミファが怒ったところを見たことがなかった。
 止めるにしても、ブン殴られるかもしれない覚悟を決める必要があった。レミファは上着を脱いでいて、袖なしのシャツから盛り上がった肩から腕への筋肉は、ドニを怖気おじけづかせるには、充分だった。


「プレイ見て、興奮しちゃった?」
「してねえよ」
「ぼくたちも、する?」
「お前が、他の男に抱かれてる部屋なんか、入りたくねえよ」
 ラシと、怒ったレミファの声が、聞こえる。

 ドニは混乱した。
 レミファは「お前が、他の男に抱かれてる部屋」と言った。
 ラシは「恋人が帰って来たから、」と言っていた。

 恋人がいるのに、他の男に抱かれてる?
 ラシは男なのに、男に抱かれてる?

「っは、ぁんっ、」
 痛みの混ざったラシの声を聞いて、ドニは慌てて、角から顔を出した。ラシに、レミファが暴力を振るったと思ったのだ。

 瞳を閉じたラシと、瞳を閉じたレミファが、噛み合うように、唇と唇を深く重ねていた。

 キスくらいは、ドニはしたことがあった。けれど、唇と唇を触れ合わせただけのキスと、今、見ていることが、同じものとは思えなかった。
 いや、それよりも、男と男がキスしてる!!

「ふは、っあん、」
「っは、あ、っふ、」
 唇と唇をわずかに離した隙間で息継ぎしても、お互い、突き出した舌と舌は、絡み合ったままだ。
 ラシとレミファは、微かに開けた瞳で見つめ合い、また瞳を閉じて、唇を深く重ね合う。

 レミファが手探りで、ラシのシャツのボタン代わりの紐をほどいた。つるりとシャツは、ラシの肌を滑り落ちてゆく。ズボンも紐を解くと、容易たやすく落ちる。ラシのアソコに、付いている物は、やっぱり付いていた。ラシは、男でまちがいない。

 あっ。と、ドニは気付く。
 ラシは、下着を全く着けていなかった。


 娼夫が客の要求に、すぐ応えるためとは知らず、この国の人は、下着を着けないんだと、ドニは納得した。


 ラシの唇から、レミファは唇を離した。二人は熱っぽく潤んだ瞳で、見つめ合う。

「他の男のちんぽ、毎日、何本も、くわえ込んで、ケツ穴、ガバガバなんだろ?」
 レミファの言ってる意味が、ドニには全くわからなかった。

 レミファは、扉に押し付けたラシの、かぼそい片脚の膝裏ひざうらを掴んで、高く上げさせる。
 もう一方の手でレミファは、もどかしく自分のズボンを下ろし、肉茎を引き出す。

 ドニは、勃起した他人の物を見るのは、初めてだった。

 やっぱ、レミファさんの、でっかくてぶってえー!!

 赤黒く膨れ上がって、高く反り上がった、雫を垂らして、ぬらぬらと光る先端を、レミファは、ラシの高く上げさせた片脚の付け根に押し付ける。

「ゃあああああ」
 緑の革の首輪を嵌められた細い首をのけぞらせ、上向いてラシは、長い悲鳴を上げる。

 高く上げさせられたラシの、か細い脚の方から見ているドニには、でっかくてぶってえレミファの肉茎が、付け根に突き刺さって行くさまが、まざまざと見えていた。

 女には、動物とちがって、子どもを産むための穴が、もうひとつ、おまたに開いていることは、学校で習って、ドニは知っていた。
 男のちんちんは、おしっこを出すためだけじゃなく、子どもになるもとを、その穴に入れるための物でもあることも、知っていた。


 男にも、ちんちんを入れられる穴があるなんて、ドニは学校で教えてもらっていなかった。


 ラシの穴に、レミファの肉茎が繰り返し、引き出され、突き入れられるのを、ドニは見ていた。

「ぁぁん、あんっ、っあ、あ、あ、ふああっ、」
 ラシは、すがりつくように抱きつき、レミファの肩の盛り上がった筋肉の上、開けた口からよだれを垂らして、声を上げ続ける。

「俺なんかより、他のヤツのちんぽの方が、気持ちいいんだろ?」
 レミファはたくましい体を、か細いラシの体に打ち付けるように、腰を突き上げ続ける。
「レミ、ファのっ、おちんぽ、がっ、やっぱ、り、気持ちいいぃ、よおっ、も、ぉっと、突い、てぇ、もっとぉ、もぉ、っとぉ、もっとぉ、」
「他のっ、ヤツらにも、そう言って、ねだって、るんだろっ?」

 ふ゛ち゛ゅ゛ふ゛ち゛ゅ゛、ドニが聞いたこともない肉と肉が擦れ合う音が響く。


 ドニ自身が気付かないまま、肉茎は下着の中、ズボンの前を突き上げ、先端からは雫がみ出していた。


「こんなっ、きゅう、きゅう、締め、付けてっ、他のヤツらの、ちんぽも絞り、上げて、んのか、よっ?!」
「奥っ、もっとぉ、奥っ、ちょうだい、いっぱい、ちょうだい、」
「どうしてっ、俺だけのっ、ものに、っ、ならないんだよっ、」
「はくっ、うぐっ、んんんんっ、」

 突然、レミファが動きを止め、ラシがうめいて、か細い体を、びくびく、震わせた。

 何が起きたのか、ドニは、わからなかった。
 レミファが突き上げた最奥さいおうで射精して、ラシが絶頂を迎えたのだ。

 ラシは、汗の噴き出すレシファの盛り上がった肩の筋肉の上、うっとりと微笑んだ。
「気持ちよかった?」
 かすれた声で聞く、


 何が起きたのか、ドニは、わからなかった。
 ドニは射精していた。下着が、ねっとりと熱く濡れている。

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