ラブプレイ~Hな二人の純愛ライフ~

中村 心響

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TV収録の為に今夜は泊まりで撮影に出てる夏希ちゃんの帰らぬマンションで、あたしは夜通しドラマ観賞をしていた。

見たくもないと思いながら、画面に顔は釘付けられる。

仕事なのはわかってる。
ドラマの内容も知らされている──

だからあたしが何かを言うべきではないこともちゃんと──……理解している。

いるんだけどやっぱり──

「見なきゃよかったっ…」

布団に潜り込んでそんな呟きが漏れていた──

見慣れた夏希ちゃんの腕が舞花の身体に巻き付く姿はやっぱり気分良く見れたものではない。


ふくよかな白い胸をうっとりと目にして口を運ぶ画には思わず鳥肌が立って吐き気がしていた。

たんなる仕事。
そして役だ──

自分に言い聞かせながらもあたしは目を閉じる。

夏希ちゃんはあたしをとても大事にしてくれている。
舞花とのこの役はもう終わった話だ。

夏希ちゃんはあたしのことが大好きで仕方がないはずで…舞花よりもずっとずっとあたしを愛してくれているのだから。


布団に潜り込んだ耳にケータイの着信が聞こえくる。

あたしはそれを手にしていた。

「もしもし? 晶さん?」

「うん…」

電話の向こうにいる夏希ちゃんの声に耳を向ける。

「明後日帰るから…」

「うん…」

「…?……元気ないね? もしかして淋しい?」

優しい声で訪ねてくる。

「うん…淋しい……」

「………」

素直にそう答えたあたしに夏希ちゃんは少し戸惑っていた。

「早く帰ってきて…」

「………わかった…待ってて」

少し嬉しそうに声が上擦っている。あたしはその一言を耳に止めてオヤスミの言葉を返していた。



“早く帰ってきて…”

「………」

「なにそんなにケータイを愛しそうに眺めてる?」

「──……」

切れた電話をホテルの部屋で眺めていた俺に外から戻って来た楠木さんはそう声を掛けてきた。

「べつに…」

言いながらベッドに転がって背を向けた。
そのまま顔は思いきりニヤケっぱなしだ。

晶さんが滅多に言わない可愛いことを口にするからつい舞い上がる。

ヤバイなもうっ…

胸キュンじゃんっ!

なわけで。。。


たまにこんな事を言ってくれちゃうからまた俺のツボにはまる。

早く帰ってやんなきゃ…

それこそソッコーでっ…


晶さんは何気に淋しがりで怖がりだから…
ちゃんと傍に付いててやんなきゃ…

そう思いながらもニヤニヤが止まらない。

晶さんに求められることがこんなにも嬉しい俺は、何もかもをやっぱり浸食されちゃってるようなものだ──

「なんの身悶えだそれは?」

萌えて堪らずベッドでゴロゴロする俺に楠木さんは真顔で聞いてくる。

「晶さんに早く逢いたい」

「………」

呟いた俺を楠木さんは呆れ顔で見下ろしていた。



俺は無視を決め込んで妄想に耽る。

晶さんに逢って思いきりぎゅうって抱き締めてキスしまくって……

そうやって何をいくらしてもしたりない自分を想像する。

「……長くは続かないって思ったけど意外に持ったな…」

「──……何が」

「二人の関係」

俺は目を見開いて楠木さんを振り返った。

「お前のことだから直ぐに飽きるかと思った」

「………飽きないよ。何、決め付けて言ってくれちゃうわけ?」

一体、なんの恨みだっつーのっ!

不吉なことを口にする楠木さんを睨みながら俺はまた背を向けていた。

飽き方も諦め方も俺にはわからない──

正直、まだまだ二人の関係に満足も安心も味わうことが出来ずにヒィヒィ言ってるくらいなわけで、こんな状態で飽きるなんてまず無理。

今は追い掛けるのに必死だ。

見張ってないと野生だった虎は直ぐに逃げ出すから……

俺にはまだ、檻の鍵を開け放す余裕なんて皆無に等しいわけで。

箱の中で大人しく待っててくれてることを期待して電話を入れるのが関の山。

「春になったら纏まった休み取れるかな」

「なんの為の休みだ?」

「晶さんと旅行行きたい」
前回の北海道は社長が企んだお陰で晶さんとはほとんど一緒に過すことができなかった……

今度こそは二人でノンビリと。

俺は尋ねながら楠木さんの顔色を伺う。



「さっき社長から電話があったぞ」

「なんて?」

「じきに大口の仕事が入る」

「…っ……どこまで人使い荒いんだかっ…」

つい舌がチッと鳴った。

「なんの仕事?」

仕事ならしょうがない…。

あんまり晶さんのことばっかり口にしても社長に返って馬鹿にされるからやるべきことはやっておかなきゃ……

じゃなきゃ、あの髭はいきなり晶さんの“叔父”という立場をひけらかしてくる。

「ドラマ?」

「いや、ブライダル関連のPRモデル」

「ブライダル?」

俺はベッドから身を起こして楠木さんを見上げた。

「なにそれ? そんなん初めてじゃん」

「そうだな、ブライダル関係は初めてだ。なんせマリオからの仕事だからな」

「マリオ?」

「………」

「マリオが俺に?」

「聖夜に、と言うか事務所にきた。晶さんはモチロンご指名。その他にカップリングでウエディング企画に合いそうな若手の男女を二名、選んでくれって」

「───…っ…」

「お前と舞花に頼むから」

「───…っ、てかうちで若手って俺と舞花しかいないじゃんっ!」

「そういうことだ」

楠木さんは言いながら肩を竦めて俺を見た。



「ブライダルデザイナーの桂木真弓の新作お披露目とホテルのブライダルシーズンに向けてPR。旅行会社に航空会社、ホテルの三社からの依頼でカレンダー撮りだ。場所は海外。……まだどこってのは決まってないが、新婚旅行で人気の場所になるらしい。晶さんと旅行気分が楽しめるぞ」

「………」

楠木さんは軽く笑いながら口にした。

心惹かれる内容だ。一緒に仕事ってことはそれだけ傍に居られる時間が取れるからいいようにも思える……

けど、マリオと舞花が付いてくるって時点で素直に喜べない。

「てか、マリオの持ってきた仕事なのに舞花を寄越して大丈夫なわけ?」

素朴な疑問だった。
北海道の仕事の件で、確か舞花はマリオに手厳しくやられてる筈だ。

そう思う俺に楠木さんはスーツをクローゼットにしまいながら口を開いた。

「先方も今回でその辺を見極めるつもりなんだろう? 舞花に対して世間の評価が上がってきてるしな。もう一度使ってみて、今後も仕事を回すかどうか……芸能界って所は一見、冷たくもあるが頑張ってる奴には見返りも用意されてる──…あとは本人次第。チャンスを成功に変えていける素質があるかないかだな」

ごもっともなご意見だ。

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