313 / 403
10
しおりを挟む
「き、今日は急に予定が空いちゃって…っ…」
予定?──
予定は“家でゴロゴロ”その筈だったんじゃないのか?
聞けば余計に疑問が膨らんでいく。
「あ、藤沢さん」
「……?…」
晶さんに話し掛ける俺に気付いたマモルって奴が声を掛けてきた。
「その人はお客さんじゃないから接客しなくていいですよ」
「──……」
晶さん相手に仕事しなくていいってことなんだろうけど、恋人である俺からしたらまるで近づくなって言われた気持ちになった。
疑心暗鬼が俺に色んな感情を呼び起こす。
カメラを回すスタッフも向こうで手招いているのが見え、俺は背を向けて小さく晶さんに返した。
「……すごい気分悪い…」
「……っ…」
近くにきたマモルが通り過ぎる俺の雰囲気の悪さを感じたのか、驚いたように俺を見る。
店はそろそろ閉店の時間だ。
今日一日の働き分の日当を封筒に入れられ、それを受け取り撮影が終了する──。
カメラが止められ、今日のロケはここで現地解散。俺は待ち合いのソファを借りて、迎えにくる楠木さんを待っていた。
広い店の隅ではめちゃめちゃ楽しそうな顔を見せるマモルが晶さんに話し掛けながら髪に触れている。
その人、客じゃないけど俺の恋人なんですがっ!?
そう思いながら、恋人だってことを奴に言わない晶さんにもなんだか腹が立っていた。
・
ムシャクシャしながら口元に当てた拳の親指を噛む。
苛立ちが抑えられず、目を背けても耳だけは二人の会話を聞き取ろうと意識していた。
俺の気持ちを何も考えずに行動する晶さんに思い知らせたくなってくる。
鬱陶しい程の黒い感情──
小さなそれが俺の中で渦を巻いていた。
「こんばんわ!」
「──…!?」
そんな嫉妬に妬かれていた俺に明るすぎる声が聞こえた。店仕舞いを始めた店内にピンク色の作業着を着た舞花が顔を出す。
「聖夜! 撮影どうだったっ?」
「……っ…なんで舞花がくるわけ?…」
「あたしも撮影終わったとこ。車、そこに停まってるから楠木さんが呼んできてって…」
マジかよ?、マネージャーがタレントをコキ使うなよ…
舞花が来たことに驚きながらも何となく鏡越しに送られてくる視線に俺は気付いた。
晶さんが見てる──
そう思った俺の取った行動は……
やっぱり鬱陶しく黒いままだ。
「舞花…可愛いじゃんその格好……」
急に声を低めて小さく言った俺に、目を開いて舞花は顔を微かに赤くした。
予定?──
予定は“家でゴロゴロ”その筈だったんじゃないのか?
聞けば余計に疑問が膨らんでいく。
「あ、藤沢さん」
「……?…」
晶さんに話し掛ける俺に気付いたマモルって奴が声を掛けてきた。
「その人はお客さんじゃないから接客しなくていいですよ」
「──……」
晶さん相手に仕事しなくていいってことなんだろうけど、恋人である俺からしたらまるで近づくなって言われた気持ちになった。
疑心暗鬼が俺に色んな感情を呼び起こす。
カメラを回すスタッフも向こうで手招いているのが見え、俺は背を向けて小さく晶さんに返した。
「……すごい気分悪い…」
「……っ…」
近くにきたマモルが通り過ぎる俺の雰囲気の悪さを感じたのか、驚いたように俺を見る。
店はそろそろ閉店の時間だ。
今日一日の働き分の日当を封筒に入れられ、それを受け取り撮影が終了する──。
カメラが止められ、今日のロケはここで現地解散。俺は待ち合いのソファを借りて、迎えにくる楠木さんを待っていた。
広い店の隅ではめちゃめちゃ楽しそうな顔を見せるマモルが晶さんに話し掛けながら髪に触れている。
その人、客じゃないけど俺の恋人なんですがっ!?
そう思いながら、恋人だってことを奴に言わない晶さんにもなんだか腹が立っていた。
・
ムシャクシャしながら口元に当てた拳の親指を噛む。
苛立ちが抑えられず、目を背けても耳だけは二人の会話を聞き取ろうと意識していた。
俺の気持ちを何も考えずに行動する晶さんに思い知らせたくなってくる。
鬱陶しい程の黒い感情──
小さなそれが俺の中で渦を巻いていた。
「こんばんわ!」
「──…!?」
そんな嫉妬に妬かれていた俺に明るすぎる声が聞こえた。店仕舞いを始めた店内にピンク色の作業着を着た舞花が顔を出す。
「聖夜! 撮影どうだったっ?」
「……っ…なんで舞花がくるわけ?…」
「あたしも撮影終わったとこ。車、そこに停まってるから楠木さんが呼んできてって…」
マジかよ?、マネージャーがタレントをコキ使うなよ…
舞花が来たことに驚きながらも何となく鏡越しに送られてくる視線に俺は気付いた。
晶さんが見てる──
そう思った俺の取った行動は……
やっぱり鬱陶しく黒いままだ。
「舞花…可愛いじゃんその格好……」
急に声を低めて小さく言った俺に、目を開いて舞花は顔を微かに赤くした。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる