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しおりを挟む革張りのゆったりとしたソファに腰掛け長い足を交差させる。
態々日本くんだりから足を伸ばし、やって来た情報屋を前にして、英二は威圧感を大いに漂わせていた。
手前の葉巻ケースを手にすると、英二は情報屋にもそれを薦める。
「態々、遠いとこからきなすったんだ…聞いてやろうじゃないか…あ?」
片方の眉尻を攣り上げて厭味な笑みを浮かべる…
葉巻を口にした男に火を差し出しすと、英二はまたソファに深く身を沈めた。
「お得なネタか?…」
「ん~それほどでもな…ただ、巻き込まれないように気をつけろってだけだ」
「なるほどな…」
英二はふん、と鼻で笑った。
「巻き込まれりゃ厄介だが、フィクサーのボスとなりゃそのくらいは…」
「遠巻きにいうな。話しは短く的確にしろ」
男はへいへい、と肩をすくめていた。
日本での裏の情報を扱う闇の組織。今、その要を握っている男が理央の元 恋人、大江 克俊──
昔から何かと英二とは敵対してきたが、今では重要で確実な情報を流してくれる無くてはならないビジネス上のパートナーでもある。
小動物みたいな、ちんちくりんな恋人に溺れている以外を除けばかなり頼りになる男だった。
・
その克俊が送り込んだなら、それなりの情報だろうと英二はソファから身を起こし男と向き直った。
「何でも近々、ロシアと中国間で銃の密売があるらしい…」
「密売か…」
「ああ…ただ、…その取引に日本の暴力団とサツも絡んでるってー話しだ…怪しいから、もし誘いが来ても、くれぐれも乗るなってえ社長からの伝言ってことで…んじゃあ、可愛い理央ちゃんにも、あのべっぴんさんにも会えないみたいだから、俺はこの辺で…」
男は愛想笑いを浮かべるとゆっくりとソファから立ち上がり手を挙げた。
男が出て行った扉を見つめると
「聞いていたか?」
英二は声に出して確認をとった。
奥の部屋からスーツ姿の男と黒づくめの細身の男が姿を現す。
「誘いに乗るなと言われても、向こうの目的がボスなら嫌でも巻き込まれてしまいますね…ちょっと、警察の動きを調べてみます」
櫻田の言葉に英二は頷くとリーに視線を流した…
「大丈夫です。誰もボスには手出しさせません」
綺麗な笑みを浮かべると、リーは男が出て行った扉から立ち去った。
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