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16章 すれ違い
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しおりを挟む『でも、こっちに帰ってきて陸達が産まれてからは何ともなかったんだけど‥
だから、明日ゆっくり先生と話してみるから。
だから、晴樹クンは気にしなくていいのよ。いつも美味しいもの分けて貰ったり、助けてもらって悪いくらいだわ!』
「いえ‥
そのくらいしか‥」
‥そのくらいしか、
俺にはしてやれない…
晴樹はオカンの言葉に慰められながらも自分自身を悔やんでいた
「でも、明日退院出来るんだったらやっぱり俺が迎えに行きます。
おばさんもあまり無理するとお腹が‥‥」
『──‥ッ
そ‥そうね‥‥
お腹が‥‥‥ちょっ‥』
──?‥‥っ
「え!??
ちょっ‥おばさん!?」
急に苦しそうな声に変わったオカンに晴樹は電話で呼び掛ける!!
携帯が落ちる音が夜の院内に響き、耳に当てていた晴樹の鼓膜にも響音が突き刺さっていた
一瞬、顔をしかめ耳から携帯を離した晴樹は再び電話口からオカンに呼び掛ける!!
「おばさっ―――」
「母ちゃん!?
母ちゃん!──」
“田中さん!!大丈夫ですか!?”
・
耳に当てた携帯からは空の声と看護師らしき女性の声が聞こえてきていた
「──‥大変だ‥」
晴樹はそう呟くと車のキーを鷲掴み急いで部屋を出ていく──
空から聞いた病院を思い出し、自分の車に乗り込むと真っ先に総合病院へ向かった
「先生、田中さんが破水したんですけどっ‥
頭がっ‥
赤ちゃんの頭が出てきてて💧」
「なに!?」
出産予定日を二日後に控えたオカンは苗のことでバタバタと動き回ったせいなのか、晴樹との電話中に破水し瞬間的な陣痛の後に赤ちゃんがスルリと産まれてきそうになっていた💧‥
今にも落ちそうな赤ちゃんの頭を出てこないように手で押さえ、看護師に支えられながらガニ股で走る母親の後ろ姿を空は唖然としながら追いかける💧
‥すげぇ、赤ちゃんってあんな簡単に出てくるのか💧
生命の誕生の仕方には様々な例があるということを、空にはまたの機会に教育し直さなければならないようだった‥
・
‥あ、そうだ携帯!
空は慌てて携帯を拾い分娩室に連れて行かれるオカンの後を追う
たまたま、オカンのかかりつけの産科も同じ病院だったために、分娩の準備も素早く整えられ先生も待ち構えていた。
そして、分娩室に入って五分も経たない内に元気そうな産声が聞こえてくる!
それと同時に苗のことで連絡を受けていた満作とオカンの両親、ひろし爺ちゃんと百合ちゃんが遅れて病院にやって来ていた
「あ、父ちゃん!!」
「おう、なんだ?
苗のことで来てみりゃ産科の方に案内されるから‥」
「さっき産まれたよっ
声が聞こえてきた!!」
空はキラキラとした表情で赤ちゃんが無事に産まれたことを満作に告げていた
「すいませんっ! 今日入院した田中っ…」
病院の裏口から入ってナースステーションで田中の名前を出した途端、晴樹も産科に案内される💧
「おう!兄ちゃんも来たのか!?」
賑やかな分娩室の前で笑顔の満作と顔を合わせ、晴樹は挨拶を返した。
「もう、無事に産まれたんですね」
産まれたばかりの我が家の可愛い次女にご対面しご満悦の満作はとろけそうな笑みを溢していた
・
「ところで苗の様子は‥」
晴樹は一番、気になることを満作に尋ねる
「ああ💧そういや忘れてた」
病院に着きまっすぐに産科に連れて来られていた為に満作達はまだ、苗とご対面していない‥
「点滴して寝てるよ。」
最後に付き添っていた空が代わりに答えていた
「じゃあ、俺がちょっと見てきます。
せっかくおばさんも頑張ったんだから皆こっちに居てあげて下さい‥」
「おう、すまんな兄ちゃん!!」
晴樹は皆に軽く会釈を返し苗の病室に向かった
薄暗く、非常灯のグリーンの明かりがボンヤリと怪しく光る院内の廊下を歩き、苗の病室を目指す
〃寂しくても気づかぬ内に我慢してしまう〃
晴樹は苗の心の病気のことを考えていた‥
今まで何ともなかったのにまた、急に発症した…
やっぱり俺のせいか?
苗に‥俺が何かを我慢させたのか?
―――・・・
確かに我慢させたかもしれない‥
リディにばかりかまって、ほったらかしにしてた…
苗はずっとそんな俺達の後を黙って付いて来てたのに‥
苗は我が侭を言わないから俺も安心しきってた‥
晴樹はうつ向きながら苗のことを考えていた‥
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