ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

文字の大きさ
219 / 255
21章 ☆*:.。. IN ニューヨーク ☆*:.。.

1

しおりを挟む



「…では、こちらの書類にも目を通しておいてください。」

「ああ。」

…来年度の事業計画書…か。

村井に渡された書類の束を眺め、晴樹は冷えた肩を擦った。一息つきたくて会社を後にし、近くのコーヒーショップに腰を落ち着ける。

月は12月…

「さすがに本場だな…」

温かいコーヒーを飲みぽつりと呟く。寒い中、コートを着込んだ人々の表情もどことなく浮かれている、街はXmasモード一色。華やかに彩られていた。

ここは大都市NY。

晴樹が渡米して数週間が過ぎていた…

「昨日から学園も冬休みに入りましたね。」

「あぁ、苗からメールが入ってた…」


疲れきっている晴樹を気遣い話題をふる村井にそう応えて遠くを見つめた。
心なしか元気がない…

日本との時差が半日以上。朝と夜が真逆なために、中々苗とは電話で話ができない。
日にちズレで送られてくる苗からのメールを見ては時計を確認し、電話をすることを躊躇ってしまう…

“兄さん、みのりがさぁ…!”

たまに送られてくる苗の明るいメールは晴樹の唯一の楽しみになっていた。


…苗の声が聞きたい…


冷え込んだ街並みを足早に歩く人混みを眺め、晴樹は力ない溜め息を吐く。



順調に進むように思えた仕事も不慣れなせいか、中々思うように進まない。

日本への帰国が遠のく度に気は沈んでいく。

社長なんかしたくない…

我が侭でもいい…
もう、ほったらかしで帰国するか?…


そんな考えが脳裏をかすめる。

社長の代わりなんていくらでもいる。
俺が社長なんかしなくても…

晴樹の口から、ためらいの白い吐息が洩れる。


日本が誇る大企業
「結城グループ」
背負ったものが大きいだけに晴樹は自分の我が侭を押し徹せない。

ただ、中途半端な気持ちが一番命とりになる。かといって退くことも出来ない…

新しく起業するために大事なことは突き進むこと。

会社を起ち上げるには勢いがなくてはならない。
でも、今の俺では…


村井は元気のない晴樹を見つめ、静かに席を外した。

「もしもし、私です。

……はい、だいぶ消沈してますよ💧どうしましょう?」


村井は携帯でコソコソと会話を交わす。
相手側の話をメモに取り、携帯を切ると何食わぬ顔で席に戻り、晴樹に声を掛けた。

「そろそろ会社に戻りましょう。」

「ああ、そうだな…」

村井の呼びかけに晴樹は重い腰を上げた。




…晴樹め💧

数週間で早くもヤル気を無くしとるか…いかんな💧

ちと早めに送ってやるか、栄養剤を!…グフっ


企みを含んだ奇妙な笑い声が真夜中の室内に響く…

その声は結城家の本宅、学園理事長の寝室から聞こえてきていた💧







◇◇◇



「姉ちゃん、みのりがウンコしたっ!」

「オムツ替えてあげればいいだょ💧姉ちゃんご飯の準備で手が放せないだから。」

「イヤだよ臭いからっ」


「…💧」

田中家は朝っぱらから騒がしい。海はみのりのウンコに大騒ぎするうえに・・


「てぃや〰!
こんなとこに居やがったか勘定ババァっ!」


「…っ…!」


陸は背後から攻撃を仕掛けてくる💧
苗は妹の世話と三つ子の相手に追われていた。

「遊ぶ暇あるならみのりのオムツ替えんか!!バカタレ」

「…ッ!」

包丁を握り締めた苗に陸は脅え、それをなだめるように空が止めに入る。

「姉ちゃん!オムツは婆ちゃんが替えたからっ」

「あそ💧ならいいだょ」


「あと…

泣き止まないから婆ちゃんが乳も吸わせてる💧」

「え💧?」

空気の固まる台所に、洗濯を済ませ居間に戻ったオカンの叫び声が聞こえてきていた💧



冬休みに入っても苗の回りの慌ただしさは変わらない💧

…ふう、こんなに働いてんのになんで痩せないだかね💧たく…

家事を済ませ一息ついた苗は愚痴を溢す。
そんな苗の耳に玄関から呼び掛ける聞き覚えのある声が届いた。

「姉ちゃん!理事のじいちゃんが洗濯機持って来たぞ!」

「え?洗濯機!?」

陸に言われ玄関に向かった苗の目に乾燥機付きの大型洗濯機が飛び込む

「え、これ!?」

「いやいや、苗ちゃんが欲しそうに眺めとったって情報が入ってな!」

「情報💧?」

…そんな情報どこから!?

確かに家電売り場で眺めた記憶はある。家族が増えた分、もちろん家事の量は増し中でも洗濯物の量は半端ではなかった。
それに寒くなったせいで厚手の衣類は中々乾いてくれない。

「でもこんな高いのっ…」

「なあに、赤ちゃんが生まれたお祝いもしとらんし、お歳暮だと思って受け取ってくれればいい!
なんせこれから長い付き合いになるはずだろうし…
フフフっ…」

「…長い?」

不敵な笑みを浮かべる理事長に苗は疑問顔を向けた。

「苗?どなたがお見えになって…
あらまぁ、玄関口ですいません!どうぞ上がってお茶を」

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
恋愛
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

処理中です...