ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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21章 ☆*:.。. IN ニューヨーク ☆*:.。.

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「…では、こちらの書類にも目を通しておいてください。」

「ああ。」

…来年度の事業計画書…か。

村井に渡された書類の束を眺め、晴樹は冷えた肩を擦った。一息つきたくて会社を後にし、近くのコーヒーショップに腰を落ち着ける。

月は12月…

「さすがに本場だな…」

温かいコーヒーを飲みぽつりと呟く。寒い中、コートを着込んだ人々の表情もどことなく浮かれている、街はXmasモード一色。華やかに彩られていた。

ここは大都市NY。

晴樹が渡米して数週間が過ぎていた…

「昨日から学園も冬休みに入りましたね。」

「あぁ、苗からメールが入ってた…」


疲れきっている晴樹を気遣い話題をふる村井にそう応えて遠くを見つめた。
心なしか元気がない…

日本との時差が半日以上。朝と夜が真逆なために、中々苗とは電話で話ができない。
日にちズレで送られてくる苗からのメールを見ては時計を確認し、電話をすることを躊躇ってしまう…

“兄さん、みのりがさぁ…!”

たまに送られてくる苗の明るいメールは晴樹の唯一の楽しみになっていた。


…苗の声が聞きたい…


冷え込んだ街並みを足早に歩く人混みを眺め、晴樹は力ない溜め息を吐く。



順調に進むように思えた仕事も不慣れなせいか、中々思うように進まない。

日本への帰国が遠のく度に気は沈んでいく。

社長なんかしたくない…

我が侭でもいい…
もう、ほったらかしで帰国するか?…


そんな考えが脳裏をかすめる。

社長の代わりなんていくらでもいる。
俺が社長なんかしなくても…

晴樹の口から、ためらいの白い吐息が洩れる。


日本が誇る大企業
「結城グループ」
背負ったものが大きいだけに晴樹は自分の我が侭を押し徹せない。

ただ、中途半端な気持ちが一番命とりになる。かといって退くことも出来ない…

新しく起業するために大事なことは突き進むこと。

会社を起ち上げるには勢いがなくてはならない。
でも、今の俺では…


村井は元気のない晴樹を見つめ、静かに席を外した。

「もしもし、私です。

……はい、だいぶ消沈してますよ💧どうしましょう?」


村井は携帯でコソコソと会話を交わす。
相手側の話をメモに取り、携帯を切ると何食わぬ顔で席に戻り、晴樹に声を掛けた。

「そろそろ会社に戻りましょう。」

「ああ、そうだな…」

村井の呼びかけに晴樹は重い腰を上げた。




…晴樹め💧

数週間で早くもヤル気を無くしとるか…いかんな💧

ちと早めに送ってやるか、栄養剤を!…グフっ


企みを含んだ奇妙な笑い声が真夜中の室内に響く…

その声は結城家の本宅、学園理事長の寝室から聞こえてきていた💧







◇◇◇



「姉ちゃん、みのりがウンコしたっ!」

「オムツ替えてあげればいいだょ💧姉ちゃんご飯の準備で手が放せないだから。」

「イヤだよ臭いからっ」


「…💧」

田中家は朝っぱらから騒がしい。海はみのりのウンコに大騒ぎするうえに・・


「てぃや〰!
こんなとこに居やがったか勘定ババァっ!」


「…っ…!」


陸は背後から攻撃を仕掛けてくる💧
苗は妹の世話と三つ子の相手に追われていた。

「遊ぶ暇あるならみのりのオムツ替えんか!!バカタレ」

「…ッ!」

包丁を握り締めた苗に陸は脅え、それをなだめるように空が止めに入る。

「姉ちゃん!オムツは婆ちゃんが替えたからっ」

「あそ💧ならいいだょ」


「あと…

泣き止まないから婆ちゃんが乳も吸わせてる💧」

「え💧?」

空気の固まる台所に、洗濯を済ませ居間に戻ったオカンの叫び声が聞こえてきていた💧



冬休みに入っても苗の回りの慌ただしさは変わらない💧

…ふう、こんなに働いてんのになんで痩せないだかね💧たく…

家事を済ませ一息ついた苗は愚痴を溢す。
そんな苗の耳に玄関から呼び掛ける聞き覚えのある声が届いた。

「姉ちゃん!理事のじいちゃんが洗濯機持って来たぞ!」

「え?洗濯機!?」

陸に言われ玄関に向かった苗の目に乾燥機付きの大型洗濯機が飛び込む

「え、これ!?」

「いやいや、苗ちゃんが欲しそうに眺めとったって情報が入ってな!」

「情報💧?」

…そんな情報どこから!?

確かに家電売り場で眺めた記憶はある。家族が増えた分、もちろん家事の量は増し中でも洗濯物の量は半端ではなかった。
それに寒くなったせいで厚手の衣類は中々乾いてくれない。

「でもこんな高いのっ…」

「なあに、赤ちゃんが生まれたお祝いもしとらんし、お歳暮だと思って受け取ってくれればいい!
なんせこれから長い付き合いになるはずだろうし…
フフフっ…」

「…長い?」

不敵な笑みを浮かべる理事長に苗は疑問顔を向けた。

「苗?どなたがお見えになって…
あらまぁ、玄関口ですいません!どうぞ上がってお茶を」

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