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☆*:.。. o番外編o .。.:*☆
もっと手強い恋敵 (前編)
しおりを挟む可愛い花嫁と素敵な花婿。
豪華な披露宴会場を二人はゆっくりと歩いていた…
周りからの冷やかしの声もなんだかこそばゆい。
晴樹は自分に寄り添い歩く苗を見つめて微笑んだ。
…苗…
これからがホントに二人の世界だ。
願いを叶え、苗との人生を思い描く。そんな晴樹の耳に激しく泣きわめく奴の声が聞こえて来ていた…
「苗ぇっ!!…」
ん!?…
新婦の友人席は相変わらず人目を牽いている。
「うぁあーっ…くっ…苗ぇ!! なんでそんなに可愛いんだよー…ひっぐ…ちきしょ」
…なんだ夏目か……
口を克也に塞がれながら号泣する夏目。晴樹は見ないようにとその場を少し足早に遠ざかった。
自分が米国に行っている間に何かがあってはまずい。
たとえ互いの気持ちを確認しあえたとしても晴樹はいつ夏目が苗に言い寄るかと気がきじゃなかった。
その為に忙しい最中、何度も日本に帰国して田中家に通い義理の親。満作に苗との結婚を認めて貰ったのだから…
とりあえずのお披露目。苗が二年に進級する前に結納と披露宴だけでもと両家が急ぎで準備を進めたお陰で春休みに何とか間に合った。
・
ちゃんと籍を入れるのは苗が卒業してから。そんな内容で晴樹は相談したが…
「なあに面倒くせーこといってんだっ…披露宴するなら結婚したも同じだ! 一緒に住みゃあいい!! くれてやった娘だ。テメエで何とかしてくれにゃあ困るぜ!! なあ!」
「えっ!?…でも、当分はまた俺、米国に行くし…苗一人を置いて行く訳には…」
「その辺は自分らで考えりゃいい!!」
「…っでも一人は可哀想っ…」
二人の事だ。責任持って自分達で決めろ!
満作はそう言って豪快に笑う。
結局、お爺が新婚祝いにと早々用意した新居。
田中家の隣に建てられた新築のマンションの最上階に晴樹は移り住むことになり、晴樹が渡米している間、苗は実家と新居を好きに行き来することに話しが決まった…
今まで上手くいかなかった苗との事が、なんだかトントン拍子に進んでいく…
夏目…
悪く思うなよ…
結局、俺と苗はこうなる運命だったんだ……
涙に暮れる夏目の前を通り過ぎながら沢山の招待客に祝福される中を、晴樹は苗と手を取り悠々と歩いて行く…
お色直しを繰り返し、可愛く着飾る苗とロウソクに火をともし、晴樹は苗との一大イベントを心から楽しんでいた。
・
向こうでの仕事が軌道に乗って帰ってきたら苗との新婚生活が始まる…
毎日が苗との幸せな時間…
そんな思いを胸に、終始笑顔の晴樹。
式も最後を迎え、会場の外で招待客を見送り挨拶をしながら握手を交わす、そんな晴樹の手を最後尾から歩いてきた少年がしっかりと握り返していた。
去年の夏に会った時よりも更に身長が伸びている…
「お、前…」
「お久しぶりです。結城さん…」
ガッシリと握った手に力を込める。ちょっと笑った表情が何だか気に入らない…
「苗も、おめでとう」
「ありがとう悟ちゃん!!」
悟は晴樹の手を握ったまま苗に笑い掛けた。
「結城さんも、おめでとうございます」
「あ、ああ…わざわざ遠い所から…」
「いえ、せっかくの祝い事だし。こっちで手続きとか色々あったんで…俺の父さんも来てるんですよ」
…手続き?
田中家の親類として招待された東郷家。悟の目配せした方をみると、晴樹の父。智晴と離れた場所で親しげに談笑している悟の父、一成の姿が目につく。
「結城さんもまたすぐ、向こうに戻るそうですね」
「ああ…」
何だよその笑い方は…
大人びた綺麗な敬語を使い、悟は意味深な笑みを浮かべる。
・
小さな頃から社交の場に慣らされていたせいか、この場で見る悟はとてもしっかりとした跡継ぎに見える。
学生服のブレザーを着てエンジ色のネクタイを締めた悟を見て、晴樹は視線を止めた。
あれ…このブレザー…ってうちのじゃ・・・
「結城さん。俺もようやくこっちにこれたし…向こうにいる間、苗のことは俺に任せてください」
結城の制服に気付いた晴樹を確認して言った後に悟の口端がゆっくりと上がる。
何かしらの思惑を含んだ笑み。
こっちにこれたって…
まさかっ…
“いずれ近いうちにそっちに行きますから”
田舎からの見送りにきた際に、駅で余裕の笑みを浮かべた悟から告げられた言葉…
短絡的でガキな夏目よりも遥かに悟はしたたかな策士だ…
「じゃあ向こうで呼んでるんで…苗もまた、後でな」
「うん。後でね!」
父親に呼ばれ、周りの大人に紹介されながら臆さずに堂々と挨拶している悟の後ろ姿を眺め、晴樹は嫌な予感にさいなまれていた…
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