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壱の巻 天誅でござる!
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しおりを挟むミツキの声にカガヤも目を向けていた。
きっちりと真ん中分けに編み込んだ三つ編みと、額に溢れ落ちる前髪はイチゴのカッチン留めでとめてある…
ふくらはぎ下の中途半端な白いソックスは不思議な位置で四折りに曲げられ、彼女の周りを異世界とゆう空気が包み込んでいた‥‥‥
「なんか全てがあり得ねぇって感じ…」
カガヤは標的とその母親の写真を交互に見比べ溜め息交じりにボヤいた
華鳥家 19代目当主──
華鳥 平三郎の末子
華鳥 芙蓉の忘れ形見‥
風間 百合乃 (カザマ ユリノ)
世が世なら‥彼女は間違いなく370万石の富をもつ華鳥家のお姫様だったのだ──
だが、百合乃の母、芙蓉はなんの巡り合わせか浪人中の風間 陽一郎と出会い、恋に落ちた…
二人、一緒になることを平三郎に大反対され、芙蓉は一人で城を抜け出し陽一郎のボロアパートに押し掛け女房のように居座ったのだった──
「魅月‥
お前、俺にばっかり押し付けねぇでテメェも何とかしろよな
お前、何の為にそんな伊達メガネまでかけてキャラ作ってんだょ?」
「新聞部ならこのイメージの方が馴染みやすいんだよ」
・
密かに流行りのメガネキャラを意識して、優等生風に装うミツキも軟派キャラのカガヤと同様。
時期外れのイケメン編入生として人気急上昇赤丸つきのモテ男だった──
「お前がターゲット獲得失敗した時の為に、俺は後ろでスタンバっておくよ。
まずは、お前のお手並拝見といくから‥まぁ、頑張れよ‥
タラシ込みは得意分野だろ?輝のっ!」
ミツキはそう言いながらカガヤの肩を労(ねぎら)うように叩くと瞬く間に姿を消した──
‥‥たくっ、得意分野でも相手ぐらいは選ぶっつーの!
まぁ、この任務が失敗したら俺等一族も華鳥家から見放されるかもしんねぇしな‥‥‥
「仕方ねぇ、一族を助けると思って人身御供(ヒトミゴクウ)の思いでやってやるとするか!──ぅしっ!!」
カガヤは気合いを入れると手の平にププッと唾を吹きかけ金髪の髪をグッと掻き上げる。
そして向こうから徐々に近づいてくる獲物を見据え、艶っぽい笑みを浮かべると廊下の壁に寄りかかり腕を組みながら待ち構えた──
試合開始のゴングがカガヤの頭の中で鳴り響く‥
獲物が目の前を通り過ぎた瞬間‥
カガヤは百合乃に声をかけた。
・
「風間サン…落としたよ‥コレ!」
カガヤはそう言うと壁に寄りかかり腕を組みながらピラッ!と百合乃が手にしていた資料を揺らした。
「あら‥//‥
いつの間に!?」
やだ、あたし‥落としたことにも気づかないなんてっ…
スゴイ鈍いって思われたかも!?
しかも、千納寺クンがいることにも気づかなかった//
ユリノは赤くなりながら焦っていた‥
確かにカガヤが居たことに気づかないのは鈍い証拠だが、資料はユリノが落とした訳ではない‥
カガヤの俊敏さは一族の中でもミツキと同様、ずば抜けている‥‥
資料はさっきすれ違った瞬間にカガヤがユリノの手から素早くスリ抜いていた──
「あ、ありがと‥//‥」
資料を差し出すカガヤにユリノは赤くうつ向きながら礼を言う
その表情にカガヤはピンッときていた。
‥あれ‥
もしかして、脈アリってやつ?
ならチョロい──!
そしてカガヤはユリノに差し出しかけた資料を引っ込め妖しい笑みを浮かべた‥
「―――?!あ‥あの…資料を……返し‥
‥て、って‥えっ!?‥‥ちょっ──とっ!?」
ユリノは妖しく微笑しながらドンドン詰め寄ってくるカガヤから後ずさる
・
そして、ドアが閉まった瞬間、ガチャ…と音がした。
「え…」
ユリノはいつの間にかカガヤに化学室に追い込まれていたのだ。
さっきのガチャリ! とした音は、まさしくカガヤが後ろ手にドアの施錠を閉めた音。
‥俺に少しでも気があるんなら、面倒くさいコトはこの際抜きだ…
とっととヤルことヤッて俺にマジにさせりゃ大人しく城に行くだろ!?
「な、…なんで‥鍵閉めるのっ?」
ユリノは脅えながら聞いてくる
「鍵?
あー‥だって困るだろ?途中で誰か入ってきたら」
おちゃらけながらもにじり寄ってくるカガヤからユリノは尚も後ずさる‥
「あれ?
なんで逃げるの?」
「だ、だってッ‥//
千納寺クンが近寄ってくるからッ‥」
「──…嫌?
俺に近寄られるの‥」
「そんなッ‥‥コト‥は‥//‥」
微かに表情を曇らせるカガヤにユリノは慌てて否定していた‥
‥だってッ──
憧れの千納寺クンとこんなに近距離でいるなんてッ///
ちょー嬉しい!!
‥けど恥ずかてぃ!!!💨
そう、ユリノはこのイケメン二人が編入して来た時からの大ファンだったのだ。
・
真っ赤になりながら、あたふたとするユリノにカガヤは遠慮なしに詰め寄ると腕を引き寄せ顔を近づける。
「‥あひゃっ──///
な、なに!?何するの‥//」
「──…っ…プッ…
‥‥ククッ‥//‥ごめん‥」
ユリノのあまりの慌てっぷりにカガヤはつい吹き出していた。
‥コイツ思いっきり処女じゃん、反応が…
気を取り直しカガヤは再び真顔になると、真っ赤に上気したユリノの顔に接近した──
緊張と興奮でカチコチに固まり目を見開く表情にカガヤは動きがピタリと止まる。
そしてユリノの顔をまじまじと眺めた。
‥す‥げぇ、ゲジ眉だ──
しかも、牛乳瓶底のメガネって初めて見た…
そう、元々カガヤの周りの女達には目の悪い者はほとんどいない‥
彼ら一族は忍びの身…
大抵の距離は裸眼でも見えるほど視力はすこぶる良かった。
そしてユリノは自分を凝視してくるカガヤに興奮している。
‥はぁやめてッ‥//
そんな綺麗な顔で見つめられたらあたしッ‥
ユリノは血圧急上昇で一瞬、めまいを起こしふらつく
そして、とっさにカガヤのネクタイを掴み実験台の机の上に倒れこんだ──
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