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第三章
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「わたしもエドガー様が好きです」
思いが通じ合い、万感の想いで見つめ合った。二人の間に甘い空気が漂う。
「触れてもいいか?」
「ええ」
エドガーはそっとアイリーンの頬に触れた。端正な顔が近付いてくる。アイリーンはそっと目を閉じて彼を受け入れた。
温かくて柔らかいものが唇に触れた。初めての口づけに、全身に甘い痺れのようなものが走った。心臓が壊れそうなほど暴れる。
ゆっくりと瞼を開けると、エドガーと目が合った。初めてのキスの緊張で余裕を失くすアイリーンと違い、エドガーは落ち着き払っていた。
アイリーンの頬をそっと撫で、愛おしそうに微笑を浮かべる。
「アイリーン……」
再び唇を奪われる。今度は先程のようにわずかに触れるだけの口づけではなかった。ぐっと逃げないように腰を掴まれて、味わうように唇を優しく食まれる。眩暈がしそうなほど甘いキスの雨にアイリーンは「んんっ」とくぐもった声を漏らした。
「……これ以上すると、止められなくなる」
エドガーは自分に言い聞かせるように呟き、アイリーンの体をギュッと抱きしめた。
背中に回った腕は力強く、アイリーンは逞しく温かいエドガーの胸に顔を埋めた。服の上からでも鍛えられて引き締まった筋肉が感じられる。自分とはなにもかもが違うエドガーの体に心臓がおかしくなりそうなほど大暴れしている。
「大事にする。ずっと俺の隣で笑っていてくれ」
耳元で囁かれた低い声に、アイリーンの胸は幸せで満たされた。
昨晩、アイリーンはエドガーと気持ちが通じ合ったことに興奮してなかなか寝付けなかった。愛する人と両想いになれた喜びに胸がいっぱいで、空すら飛べそうなほど舞い上がっていた。世界中の誰よりも幸せだと胸を張れるぐらい心を弾ませた。
翌日、シーナが部屋へやってくると真っ先に昨日の出来事を報告した。シーナは自分のことのように手放しで喜んでくれた。
「ここだけの話ですが、使用人たちの間でも話題に上がっていたのです。エドガー様のアイリーン様を見つめるあの熱っぽくも優しく、そして慈しむような視線に愛を感じるねって」
シーナは胸の前で手を組んで、くねくねと体を揺らす。
「お二人が正式に結婚されて夫婦になるのが今から楽しみです!」
シーナの言葉にアイリーンは喜びを噛みしめた。気持ちが浮つく中、ガーデンパーティへ行く準備を整える。アイリーンはすでに支度を終えて居間で待っていたエドガーの元へ歩み寄り、声を掛けた。
思いが通じ合い、万感の想いで見つめ合った。二人の間に甘い空気が漂う。
「触れてもいいか?」
「ええ」
エドガーはそっとアイリーンの頬に触れた。端正な顔が近付いてくる。アイリーンはそっと目を閉じて彼を受け入れた。
温かくて柔らかいものが唇に触れた。初めての口づけに、全身に甘い痺れのようなものが走った。心臓が壊れそうなほど暴れる。
ゆっくりと瞼を開けると、エドガーと目が合った。初めてのキスの緊張で余裕を失くすアイリーンと違い、エドガーは落ち着き払っていた。
アイリーンの頬をそっと撫で、愛おしそうに微笑を浮かべる。
「アイリーン……」
再び唇を奪われる。今度は先程のようにわずかに触れるだけの口づけではなかった。ぐっと逃げないように腰を掴まれて、味わうように唇を優しく食まれる。眩暈がしそうなほど甘いキスの雨にアイリーンは「んんっ」とくぐもった声を漏らした。
「……これ以上すると、止められなくなる」
エドガーは自分に言い聞かせるように呟き、アイリーンの体をギュッと抱きしめた。
背中に回った腕は力強く、アイリーンは逞しく温かいエドガーの胸に顔を埋めた。服の上からでも鍛えられて引き締まった筋肉が感じられる。自分とはなにもかもが違うエドガーの体に心臓がおかしくなりそうなほど大暴れしている。
「大事にする。ずっと俺の隣で笑っていてくれ」
耳元で囁かれた低い声に、アイリーンの胸は幸せで満たされた。
昨晩、アイリーンはエドガーと気持ちが通じ合ったことに興奮してなかなか寝付けなかった。愛する人と両想いになれた喜びに胸がいっぱいで、空すら飛べそうなほど舞い上がっていた。世界中の誰よりも幸せだと胸を張れるぐらい心を弾ませた。
翌日、シーナが部屋へやってくると真っ先に昨日の出来事を報告した。シーナは自分のことのように手放しで喜んでくれた。
「ここだけの話ですが、使用人たちの間でも話題に上がっていたのです。エドガー様のアイリーン様を見つめるあの熱っぽくも優しく、そして慈しむような視線に愛を感じるねって」
シーナは胸の前で手を組んで、くねくねと体を揺らす。
「お二人が正式に結婚されて夫婦になるのが今から楽しみです!」
シーナの言葉にアイリーンは喜びを噛みしめた。気持ちが浮つく中、ガーデンパーティへ行く準備を整える。アイリーンはすでに支度を終えて居間で待っていたエドガーの元へ歩み寄り、声を掛けた。
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