一話完結ミステリー

虚言と本音と伝言

「社長と……同僚が……」
　通報を受け、小さなオフィスビルの前に警察車両が到着した。
　警部がオフィス内に入るとそこには床に倒れこんだ二人の遺体があった。
「亡くなったのは、山本伸一さん、三十六歳、社員、佐藤陸さん、四十六歳の社長のようです。死因は、頭部打撲による、出血死、何者かに鈍器で頭を殴られたようです。」
　刑事は警部に伝えた。
「そしてこちらにいるのが、この会社の社員、斎藤智之さん、吉田一成さんのお二人です。」
　警部は刑事の話を聞くと、社員二人に事情聴取を始めた。
「現場発見時、どのような状況で？」
　すると智之が話し始めた。
「はい、私はコーヒーをつぎに行ってたのですが、この部屋から一成の叫び声が聞こえて、駆けつけたら亡くなっていたということです」
　警部は一成のほうを向いた。すると一成も話し始めた。
「私は、コピー室へ資料をコピーしていました。そして終わってこの部屋に戻ったらなくなっていたということです」
「では、第一発見者は一成さんなのですね？」
　警部は一成に聞いた。
「はい……二人がなくなっているのに気づいて驚いて叫んだら、智之が駆けつけてきたというかたちです」
「なるほど……」
　警部はそういうと現場を見渡しながら考えた。
（第一発見者は一成……そして現場には窓にかぎが掛かっており、そして二階……外部から侵入された形跡はない……そして防犯カメラにも侵入された様子は写っていなかったとなると一成、智之の二人が怪しいな……）
　すると鑑識が警部のほうに駆け付けてきた。
「吉田一成さんのバックの中についていた血痕から、山本伸一さんの血液が検出されました！」
「どういうことか話してもらいましょうか？」
　警部は一成に詰め寄った。
　一成は一瞬おびえた顔をした後、下を向いて話し始めた。
「あいつらが悪いんだ……あいつらが……」

　～一成の話の内容～
「すいませーん社長～また一成のやつ、またここミスしてま～す」
　陸は社長に向かっていった。
「なんだ？またミスしたのか？一成？」
「い、いや」
「なんだ？うそついてんの？」
　陸が不敵な笑みを浮かべながら言った。
「嘘はだめだなぁ一成……お前、減給な」
「減給だって～可哀想～まぁ当然かぁミスしたんだし」
　陸はそういって笑った。

「陸は、あいつは、社長と手を組み、何かあるたび、俺に嫌がらせをしてきていた……もう、耐えれなかった……ミスするたび、社長に言われ、そして注意をされる……そして負担になり、ミスが増えた……」
「で、でも……ミスが多いのはお前にも原因があったんじゃ……」
　智之は一成に言った。
「いや……わざとミスを作っていたんだ……社長と協力してあいつは俺の資料を改変させてた……この前その様子を見つけて、許せなかった。そしてもう耐えられなくなって……気づいたら二人の頭に向かって……」
「なんで、俺に話してくれなかったんだよ！」
「お前は、唯一俺にやさしくしてくれていたから巻き込みたくなかったんだ」

　こうして、一成は逮捕された。