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【巨大聖戦編】第7章「誰がための選定」
153話 舞い戻った堕天使
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昨日はかなり疲労が溜まっていたので、調査や解析は今日の朝から行っていた。原罪の記録書に取り込ませた魔力の解析は僕の担当で、ヴィータにはカフェに残された限定スイーツの残骸を解析してもらうことにした。
僕は机の椅子に座り、魔力の解析を行っていた。原罪の記録書に入れた魔力……あらゆる素材を特殊金属・アダマンタイトに変える魔法の持ち主は、セルジュの兄であるジュリオだった。これはセルジュからも話を聞いてきた通りだったし、予想が外れることもなかった。
問題は、その魔力の中に異質な力が微弱ながら混入していたことだ。シファの攻撃を受けたときと、百年前にアリアを苦しめた力とよく似ている。異質な力の正体は、アストラルで間違いないだろう。
こうなってしまうと、ヴィータに預けた限定スイーツから出てくる結果がどんどん不穏になっていく。
「クリム、解析が終わりましたよ」
自分の部屋でじっくり解析を進めていたらしいヴィータが、書斎にやってきた。限定スイーツの残骸を手にしている中、僕に一枚の紙切れを渡す。
その紙切れには、スイーツの調査結果が手書きで記載されていた。
「このスイーツには、少量のアストラルが含まれていました。これを食べても死ぬことはありませんが、このアストラルを仕込んだ主に意識を乗っ取られる作用があるみたいです」
「だから、食べたひとたちがみんなおかしくなったのか。誰がこんなことをしたかはわかった?」
「今までの状況からして、トルテでしょうね」
事件の始まりである、カフェの店員の一人だ。そして、限定スイーツのレシピを考案した張本人でもある。
昨日の夜からトルテさんの姿がないということで、今ティアルや他のひとたちで探しているそうだ。僕も一緒に探そうと思っていたのだけど、魔力や限定スイーツの解析もあり任せることになっていた。
探しているのは彼女ではなく、他にも行方不明になった者がいる。限定スイーツを食べた神たちの行方、そして────
「……困りましたね。まさか、セルジュまで行方不明になるとは」
昨日の夜、僕たちとセルジュは普通に別れたはずだった。だが、夜が明けてから誰も彼の姿を見ていないのだそうだ。
別れる前に釘を刺したけれど、あれでは不十分だったのだろう。もっとしっかり言っておくべきだった。
────重苦しい沈黙ののち、遠くから扉の開く音がした。呼び鈴も鳴らさず入ってくるなんて、無礼な客が来たらしい。仕方がないから注意しに行こう、と立ち上がったときだった。
「よぉ……久しぶりだな?」
あっという間に書斎のドアが開けられ、夢の中で何度も聞いた声が聞こえた。血の気が引くどころでなく、指先から温度が失われていく。
その先には────夢の中で何度も会った死人がいた。
「え……クロウ? どうしてここに……」
「ここは元々オレの家だぜ? 帰ってきたっていいだろ」
暗い部屋で何度も見た仲間の生首に、がっしりとした身体がちゃんとくっついている。黒い翼もちゃんと一対生えている。
今は夢の中にいるんじゃない、ここは紛れもない現実だ。
「クリム、下がっていなさい! 『〈Camellia────」
「おーっと? コイツがどうなってもいいのか?」
ヴィータが銀の本を開いたとき、青と赤のオッドアイが邪悪に笑う。
なぜか、血まみれの腹を押さえながら浅い呼吸を繰り返すアスタを両手で抱えていたのだ。
「お……お兄様!? どうして!?」
「変な真似したら、コイツをもっと痛めつけるからな。わかったらどっか寝かせろ」
ヴィータがほぼ奪い取るような形でアスタを受け取り、僕のベッドへと横たわらせた。そこで僕もアスタの状態をしっかり確認することができたのだが、冗談どころでなくひどい状態だった。
まるで毒を飲んでしまったかのように苦しみ続けて、時折血を吐いている。白いベッドがみるみるうちに赤く染まり、観測者にとってこの状況は異常だということに気づかされた。
「適当に繁華街の様子を見ていたら、コイツを抱えていたユキアが奇襲で墜ちた。んで、アイツが黒いローブの奴らに回収されたから、放置されたコイツを持ってきたわけだ」
「……助けてくれなんて、言ってない……それより、よくもユキを見捨てたな……!!」
アスタがかろうじて目を開けて、布団を苦しげに握りしめながら睨みつける。クロウは、呆れたように「けっ」という声を吐き捨てた。
「知るかよ。観測者の傷が治らないなんて、明らかにおかしいだろ。オレが興味あるのは今のオマエであって、あの女じゃない」
「うるさい……ユキを助けなきゃ……今すぐ、行かないと……っ」
「お兄様、怪我を治しますからおとなしくしてください」
ヴィータがクロウを押しのけ、本を開いて諸々の対処を試みる。僕にできることは、多分ない気がする。
何より、色々突っ込みどころが多すぎる状況だった。本来、生きているはずがないひとは今、僕の隣で平然とあくびをしている。
「クロウ……どういうこと? 君は死んだんじゃなかったの?」
「ああ。オマエに殺された一回と、エンゲルに殺された二回な。生き返った理由はそのうち話してやる」
果たして本当に話す気があるのだろうか、こいつは。正直、神隠し事件のときに人間の箱庭で出くわしているから、恐怖はあっても大げさに驚いたわけではないのだけど。
「オレはオレでやりたいことがあるんだよ。エンゲル……いや、なんならあの組織を全部ぶっ潰してやろうと思ってな。オレを殺せとエンゲルに命じたのはシファの野郎だし」
「……組織って何? さっきから何を言ってるんだよ。神隠し事件のときだってわけがわからなかったし、今度はユキアが連れていかれたって……なんでそんなことがわかるの!?」
「ああ? じゃあオマエへの復讐を先にしてやろうか?」
色違いの瞳が、ギロリと僕を凝視した。夢の中で何度も見た、背筋が凍るような妖しい光を思い出す。
「クリム。オレはオマエを許したわけじゃねぇ。けどなぁ、オマエよりもムカつく奴がごまんといる。ソイツらを殺す前にオマエが死んだら興ざめなんだよ。だから余計なことはすんなって話だ」
僕が彼を殺す間際まで憎んでいたのと同じように、クロウもまた僕を百年以上憎んでいた。神隠し事件のときにも散々恨み事を吐かれて、まともに話もできないままだったけれど……関係ない。
クロウが蘇ったところで、やるべきことは変わらない。
「僕は、この世界の断罪神だ。僕の役割は僕が果たす。邪魔をするなら────」
「はいはい。わかってるぜ、オレを殺したことを後悔して苦しんでることくらい。だから、今度は仲良く生きてみようぜ?」
ニヤニヤ笑いながら僕の肩に腕を回し、顔を近づけてくる。
アーケンシェンだったときも、よくこんな感じにいきなり近づいてきて好きじゃなかった。こちらの心を間近で見透かそうとしているみたいで。
……あれ? なんか、クロウから変な匂いがする。気のせいだろうか。
「ダメです、全然治りません。アストラルを取り除くだけじゃ不十分みたいですね……」
クロウを突き放し、ヴィータたちの様子を見る。アスタの目は閉じており、意識がなくなっているみたいだ。
観測者は不老不死だって聞いていたのに。このままだと、本当に死んでしまうのではないかと恐ろしくなった。
「そりゃそうだ。これを使わないと、ソイツに刻まれた『呪い』は解除できない」
調子よく言ったクロウは、懐から何か小さいものを取り出す。
それは何の変哲もない小瓶、だと思っていた。小瓶の中を満たしているのは、紺色の液体。神隠し事件の後に手に入れた小瓶に付着していたものと、とてもよく似ていた。
小瓶の中身を目にした瞬間、ヴィータの目の色が変わる。
「っ!? その薬、どこで手に入れたんです!?」
「パクった」
「なんでもいいです、それを渡してください」
ヴィータがクロウから薬を奪おうとしたとき、彼女の背よりも遥かに高い場所へ瓶を掲げる。
「おっと、タダで譲るわけにはいかねぇな。ここは取引といこうぜ?」
二人の身長差がありすぎて、ヴィータの手が届いていない。僕はクロウを止めようとするが、片手で強く頭を押さえられてまともに近づけない。
「これをテメェらに渡す代わりに。クリム、オマエの身体を食わせろ」
奴は僕を嘲笑いながら、とんでもない条件を提示してきたのだった。
昨日はかなり疲労が溜まっていたので、調査や解析は今日の朝から行っていた。原罪の記録書に取り込ませた魔力の解析は僕の担当で、ヴィータにはカフェに残された限定スイーツの残骸を解析してもらうことにした。
僕は机の椅子に座り、魔力の解析を行っていた。原罪の記録書に入れた魔力……あらゆる素材を特殊金属・アダマンタイトに変える魔法の持ち主は、セルジュの兄であるジュリオだった。これはセルジュからも話を聞いてきた通りだったし、予想が外れることもなかった。
問題は、その魔力の中に異質な力が微弱ながら混入していたことだ。シファの攻撃を受けたときと、百年前にアリアを苦しめた力とよく似ている。異質な力の正体は、アストラルで間違いないだろう。
こうなってしまうと、ヴィータに預けた限定スイーツから出てくる結果がどんどん不穏になっていく。
「クリム、解析が終わりましたよ」
自分の部屋でじっくり解析を進めていたらしいヴィータが、書斎にやってきた。限定スイーツの残骸を手にしている中、僕に一枚の紙切れを渡す。
その紙切れには、スイーツの調査結果が手書きで記載されていた。
「このスイーツには、少量のアストラルが含まれていました。これを食べても死ぬことはありませんが、このアストラルを仕込んだ主に意識を乗っ取られる作用があるみたいです」
「だから、食べたひとたちがみんなおかしくなったのか。誰がこんなことをしたかはわかった?」
「今までの状況からして、トルテでしょうね」
事件の始まりである、カフェの店員の一人だ。そして、限定スイーツのレシピを考案した張本人でもある。
昨日の夜からトルテさんの姿がないということで、今ティアルや他のひとたちで探しているそうだ。僕も一緒に探そうと思っていたのだけど、魔力や限定スイーツの解析もあり任せることになっていた。
探しているのは彼女ではなく、他にも行方不明になった者がいる。限定スイーツを食べた神たちの行方、そして────
「……困りましたね。まさか、セルジュまで行方不明になるとは」
昨日の夜、僕たちとセルジュは普通に別れたはずだった。だが、夜が明けてから誰も彼の姿を見ていないのだそうだ。
別れる前に釘を刺したけれど、あれでは不十分だったのだろう。もっとしっかり言っておくべきだった。
────重苦しい沈黙ののち、遠くから扉の開く音がした。呼び鈴も鳴らさず入ってくるなんて、無礼な客が来たらしい。仕方がないから注意しに行こう、と立ち上がったときだった。
「よぉ……久しぶりだな?」
あっという間に書斎のドアが開けられ、夢の中で何度も聞いた声が聞こえた。血の気が引くどころでなく、指先から温度が失われていく。
その先には────夢の中で何度も会った死人がいた。
「え……クロウ? どうしてここに……」
「ここは元々オレの家だぜ? 帰ってきたっていいだろ」
暗い部屋で何度も見た仲間の生首に、がっしりとした身体がちゃんとくっついている。黒い翼もちゃんと一対生えている。
今は夢の中にいるんじゃない、ここは紛れもない現実だ。
「クリム、下がっていなさい! 『〈Camellia────」
「おーっと? コイツがどうなってもいいのか?」
ヴィータが銀の本を開いたとき、青と赤のオッドアイが邪悪に笑う。
なぜか、血まみれの腹を押さえながら浅い呼吸を繰り返すアスタを両手で抱えていたのだ。
「お……お兄様!? どうして!?」
「変な真似したら、コイツをもっと痛めつけるからな。わかったらどっか寝かせろ」
ヴィータがほぼ奪い取るような形でアスタを受け取り、僕のベッドへと横たわらせた。そこで僕もアスタの状態をしっかり確認することができたのだが、冗談どころでなくひどい状態だった。
まるで毒を飲んでしまったかのように苦しみ続けて、時折血を吐いている。白いベッドがみるみるうちに赤く染まり、観測者にとってこの状況は異常だということに気づかされた。
「適当に繁華街の様子を見ていたら、コイツを抱えていたユキアが奇襲で墜ちた。んで、アイツが黒いローブの奴らに回収されたから、放置されたコイツを持ってきたわけだ」
「……助けてくれなんて、言ってない……それより、よくもユキを見捨てたな……!!」
アスタがかろうじて目を開けて、布団を苦しげに握りしめながら睨みつける。クロウは、呆れたように「けっ」という声を吐き捨てた。
「知るかよ。観測者の傷が治らないなんて、明らかにおかしいだろ。オレが興味あるのは今のオマエであって、あの女じゃない」
「うるさい……ユキを助けなきゃ……今すぐ、行かないと……っ」
「お兄様、怪我を治しますからおとなしくしてください」
ヴィータがクロウを押しのけ、本を開いて諸々の対処を試みる。僕にできることは、多分ない気がする。
何より、色々突っ込みどころが多すぎる状況だった。本来、生きているはずがないひとは今、僕の隣で平然とあくびをしている。
「クロウ……どういうこと? 君は死んだんじゃなかったの?」
「ああ。オマエに殺された一回と、エンゲルに殺された二回な。生き返った理由はそのうち話してやる」
果たして本当に話す気があるのだろうか、こいつは。正直、神隠し事件のときに人間の箱庭で出くわしているから、恐怖はあっても大げさに驚いたわけではないのだけど。
「オレはオレでやりたいことがあるんだよ。エンゲル……いや、なんならあの組織を全部ぶっ潰してやろうと思ってな。オレを殺せとエンゲルに命じたのはシファの野郎だし」
「……組織って何? さっきから何を言ってるんだよ。神隠し事件のときだってわけがわからなかったし、今度はユキアが連れていかれたって……なんでそんなことがわかるの!?」
「ああ? じゃあオマエへの復讐を先にしてやろうか?」
色違いの瞳が、ギロリと僕を凝視した。夢の中で何度も見た、背筋が凍るような妖しい光を思い出す。
「クリム。オレはオマエを許したわけじゃねぇ。けどなぁ、オマエよりもムカつく奴がごまんといる。ソイツらを殺す前にオマエが死んだら興ざめなんだよ。だから余計なことはすんなって話だ」
僕が彼を殺す間際まで憎んでいたのと同じように、クロウもまた僕を百年以上憎んでいた。神隠し事件のときにも散々恨み事を吐かれて、まともに話もできないままだったけれど……関係ない。
クロウが蘇ったところで、やるべきことは変わらない。
「僕は、この世界の断罪神だ。僕の役割は僕が果たす。邪魔をするなら────」
「はいはい。わかってるぜ、オレを殺したことを後悔して苦しんでることくらい。だから、今度は仲良く生きてみようぜ?」
ニヤニヤ笑いながら僕の肩に腕を回し、顔を近づけてくる。
アーケンシェンだったときも、よくこんな感じにいきなり近づいてきて好きじゃなかった。こちらの心を間近で見透かそうとしているみたいで。
……あれ? なんか、クロウから変な匂いがする。気のせいだろうか。
「ダメです、全然治りません。アストラルを取り除くだけじゃ不十分みたいですね……」
クロウを突き放し、ヴィータたちの様子を見る。アスタの目は閉じており、意識がなくなっているみたいだ。
観測者は不老不死だって聞いていたのに。このままだと、本当に死んでしまうのではないかと恐ろしくなった。
「そりゃそうだ。これを使わないと、ソイツに刻まれた『呪い』は解除できない」
調子よく言ったクロウは、懐から何か小さいものを取り出す。
それは何の変哲もない小瓶、だと思っていた。小瓶の中を満たしているのは、紺色の液体。神隠し事件の後に手に入れた小瓶に付着していたものと、とてもよく似ていた。
小瓶の中身を目にした瞬間、ヴィータの目の色が変わる。
「っ!? その薬、どこで手に入れたんです!?」
「パクった」
「なんでもいいです、それを渡してください」
ヴィータがクロウから薬を奪おうとしたとき、彼女の背よりも遥かに高い場所へ瓶を掲げる。
「おっと、タダで譲るわけにはいかねぇな。ここは取引といこうぜ?」
二人の身長差がありすぎて、ヴィータの手が届いていない。僕はクロウを止めようとするが、片手で強く頭を押さえられてまともに近づけない。
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奴は僕を嘲笑いながら、とんでもない条件を提示してきたのだった。
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