ディバイン・レガシィー -箱庭の観測者-

月詠来夏

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第8章「神智を超えた回生の夢」

幕間 古記録:二つの国を巡った彼女について

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 *

 遥か昔の昼下がりのこと。デウスガルテン中央部に位置する国、ルーベンスは普段通りの賑わいを見せている。華やかな街を行き交う人々を、城の一室から眺める男がいた。
 彼の名前は、ユリウス・グランデ。ミルクティーアッシュの髪と紅玉の瞳、そして白い軍服に黒いマントを羽織った彼は、かつてルーベンスを治めていた神である。今はその地位を息子に譲り、国を陰から見守っていた。

「やっほー、ユーリ」

 そんな彼を、窓の外から訪ねてきた少女がいた。少女の名はエフェメラといい、紫の瞳にはダイヤの模様を宿している。子供の見た目からは想像しにくいほど飛び抜けた身体能力で、窓の外から城の中に飛び込んできた。
 ユリウスは遥か昔から知る友と邂逅し、固く結んでいた唇を緩ませる。

「エフェメラか。久しいな」
「うへへ。たまには友達に会わなきゃだからね」

 エフェメラはにへらと笑いながら、ユリウスの立つ窓の縁に腰かけた。ユリウスはその場に立ったまま、窓に座るエフェメラと目線を合わせる。

「ローゼは?」
「庭園のガゼボにいる。カトラスと何か話しているようだ」
「ほーん。そっか」

 何か含みのある返事だったが、ユリウスは問いただしたりはしない。エフェメラは、何か意味ありげな言葉でも実は大して意味がなかった、といったことを気分のままに口にするタイプだからだ。

「カイザーはどう? いい王様やれてる?」
「ああ。民とも友好な関係を築けているようだ。騎士団の方でも相変わらずの評判だ」
「そ、元気そうでよかった」

 エフェメラが嬉しそうに笑う中、ユリウスは彼女を見つめながら問う。

「なぜ、俺を訪ねに来た? 暇ではないのだろう?」
「暇ではないよ。でも暇だと言いたい」
「なんだそれは」
「うるさいなー、いいだろ雑談しに来るくらい! あーしだってみんなと遊びたいんだよっ!」

 このように言い訳をするときだけ、エフェメラは年相応の仕草で手足をジタバタさせる。窓の縁に座りながらそんなことをすれば落ちるぞ、と言いたくなるユリウスだが、不思議なことにエフェメラはバランスを崩す様子が見られない。
 若干むくれながらも、エフェメラが暴れるのをやめたところで、ユリウスは少し彼女から顔を逸らす。

「……エフェメラ。少し相談があるのだが」
「ん? どうかした?」
「いや、大したことではないんだが」
「いいよー、言っちゃって。あーし、相談受けるの得意だし」

 ふふん、と少し偉そうに胸を張られたため、ユリウスはためらいながらも彼女に打ち明けるしかなくなった。

「……女性からの贈り物の返事はどうすればいい?」
「え゛」

 強気な笑みから一変、変顔で硬直してしまったエフェメラへ、一度吐き出した悩みの続きを話す。

「この間、若い使用人から赤い花をもらったのだが、『お返事を待っています』などと言われてしまってな」
「あ……あー……」
「これも三日くらい前の話でな。城で会うたびにじり寄られて、正直反応に困っているんだ」

 ユリウスからすれば、これは真剣な悩みの一つであった。だが、エフェメラは明らかに笑いをこらえるように腹を抱え、くっくっくと乾いた笑い声を漏らしている。

「渋い、渋いねぇ。もうとっくの昔に退位した初代永世翔華神にアタックとは、渋い趣味してんなぁ。てか心臓に毛生えてんのかな」
「どういうことだ?」
「気にすんな。ていうか、前も似たようなことなかった?」
「そうだな、随分前のことだ。その時に俺に花をくれた使用人は、とうの昔に亡くなっている。ふと思い出したんだ……結局、返事も返せないまま死別したのをな」

 しんみりとした口調になってしまったからか、エフェメラも笑い転げそうになったのが収まり、指で頬をかきながら思考した。この堅物で不器用な王の扱いはどうしたらいいのやら、と。

「本当はそういうの、無視するのが一番なんだけどねぇ。ローゼがこういうこと知っちゃうと、『ちゃんとお返事してあげなきゃダメよぉ』って言うんだよな、多分」
「ああ。だから困っている」
「ほんっとお人好しだよね、あんたらは」

 くすくすと苦笑いしながらも、エフェメラは長年の仲間である彼のために、答えを素早く用意する。

「まあ、何かを返す必要はないよ。ちょっとのお礼と『君の気持ちには応えられない』ってことをきっちり伝えりゃいい」
「それでいいのか?」
「あんたらはちょっとどころでなく特殊な夫婦だからね。国外から越してきたばかりとかだと夫婦で国を統治してたって知らない奴もいるからさ、自分には妻がいるってことを教えてあげた方がいいかも。それでうまくいかなかったら、またあーしがアドバイスしたげるよ」
「なるほど。そういうことなら、次会ったときに伝えよう。感謝する、エフェメラ」

 ユリウスは小さく微笑みながら、軽く頭を下げる。ささやかではあるが問題は解決して安堵していたので、エフェメラも柔らかく笑ってみせた。

「ふと思ったけど、アスはどうなのよ? あいつ、ローゼにいつもくっついてるけど」
「アスタは昔からそうだろう? 俺とローゼからすれば実の子供みたいなものだ」
「あっ、そ、そう……まあ、仲良くやれてるならいいや」

 内心で、エフェメラは一つだけ危惧していたことがあった。それは、自分の幼なじみであるアスタが、ローゼマリーたちに迷惑をかけていないかどうかだった。
 当時のアスタは、ルーベンスの城で暮らしていた。エフェメラが無理を言って彼らに頼み、この場所に住まわせることにしたからだ。幸い、ローゼマリーもユリウスも受け入れてくれ、彼らの息子であるカイザーもアスタを大切な親友だと思ってくれている。
 エフェメラには、どうしてもアスタを独りにしたくない理由があった。

「できればでいいから、アスのこと守ってやってね」
「わかってる。彼を守ることは、あのお方を守ることと等しいからな」
「うん……あいつらに一番奪われちゃいけない、大切なものだから」

 エフェメラは窓枠を掴み、座っていた縁から立ち上がる。足を動かし、身体の正面を窓の外へと向けた。

「カトラスはローゼと話してんだろ? 次はライランにでも会いにいくかな」
「あの性悪魔女と話すことがあるのか? 毎度思うが、最低限の付き合いに留めるべきではないのか」
「仲は相変わらずみたいだな。あーしはまとめ役だし、そういうわけにはいかないんだっての!」

 じゃあな、と軽い挨拶とともに、少女は窓から飛び降りる。木々の間を飛び移っては城の周囲の鉄柵に降り立ち、飛び跳ねながら移動していくうちに姿を消す。

「……お前はいつでも飛び回っているな、エフェメラ。少しは落ち着けばいいものを」

 一人取り残された部屋で、ユリウスは目を閉じる。窓の外からから流れ込む空気は温かく、庭園に咲き誇る花の香りが僅かに漂っていた。

 *

 次にエフェメラが向かったのは、ルーベンスよりも西に向かったところにある国・アリオンだった。
 アリオンはルーベンスよりも僅かに歴史が古く、街並みも落ち着いていて賑わいもそれなりだ。デウスガルテンの中でも、アリオンといった西側諸国は商人の出入りが多く、市場や商店が立ち並ぶ繁華街が一番騒がしい。
 ただ、エフェメラは繁華街ではなく、アリオンの宮殿に用事があった。その周辺は繁華街に比べれば人の流れは落ち着いている。アリオンの宮殿の門番とはあまり顔を合わせたことがなく、エフェメラは面倒事を避けるために渋々やり取りをして、宮殿に立ち入る許可をもらった。
 宮殿の敷地に入り、適当に空いている窓から建物の中に侵入する。アリオンの宮殿はルーベンスの城より横に広いが、天井が僅かに低く階層も少ない。

「お。ひっさしーぶり、エフェちゃん♪」
「うげっ」

 手早く目的の人物に会いに行こうとしたエフェメラに、明るくヘラヘラとした灰髪の青年が声をかけてきた。高貴な装束を身にまとっているものの、態度はあまりにも砕けすぎている。
 その青年──インペリオを、エフェメラはよく知っている。それゆえに、無断で肩を回してくるなどスキンシップが激しい彼をとても疎ましく思っていた。

「く、来んなドクズガキ!」
「なぁんだよぉ? オレっち、もうガキじゃねぇし。それよりさぁ、新しいおもちゃくれない? 前にもらったのもう飽きちゃってさぁ」
「もう何十年も前にあげた奴なんだから当たり前だろ!? やだねっ! それよりてめぇは仕事しろハゲ!」
「ハゲじゃねーし! ちぇーっ。ママー、エフェちゃん説得してくんねー?」

 こいつは見た目だけ大人になっても中身は子供のままか、とがっくりうなだれるエフェメラ。そんな彼女を横脇に抱えて、インペリオがある人物の元へ向かう。
 宮殿の中では豪奢だがほんの少し狭い部屋に、その人物──ライラン・アンヘルベルは佇んでいた。書物や薬品などの棚で自由に動き回れるスペースが減っているせいだが、それは本人の気質上どうにもできないと誰もが知っている。

「あら、エフェメラじゃない。何か用?」

 うねった長い黒髪が揺れ、青い瞳が彼女の息子とエフェメラを捉えた。原初神の中でも露出度が高い魔女の様相を呈しているのは相変わらずだった。

「おーす。大した用事じゃない。ちょっと様子を見に来ただけだ」
「それだけ? 何か大事が起きたかと思ったじゃない。せっかくだし、インペリオに新しい玩具渡してあげて」

 拍子抜けした途端、ライランは研究机に向かって本を開き、羽ペンで何かを記述し始めた。どうやら、暇ではないらしかった。
 エフェメラが頬を膨らませる中、インペリオはえっへんと胸を張っている。エフェメラは自分を抱えるインペリオの腕を振り払い、ぶすっとした顔で床に降り立った。

「お前んとこのボンクラ息子の相手をしに来たわけじゃないんだけど。あー、そうだな……アリオンの情勢でも聞いとこうかな」

 そういうことね、とライランは羽ペンを止め、ちらりとエフェメラを見た。

「情勢に大きな変化はないわ。ただ……アリオンの東の方で、妙な噂を聞いたのよ」
「噂?」
「インペリオの方が詳しいんじゃないかしら。ねぇ?」
「え、オレ?」

 急に話を振られたインペリオは、きょとんとした顔をした。しかしすぐにニヤリと笑い、どこか得意げな表情でエフェメラの方を向く。

「そーそー、ちょっと面白い話があるんだよなぁ。エフェちゃん、ブリギッタって知ってる?」
「ブリギッタって、アリオンの東隣の小国だろ。そこがどうかしたの?」

 エフェメラが訝しげに尋ねると、インペリオは無駄に引き伸ばすように「うーん」と唸りながら顎に手を当てた。

「ブリギッタの小さい村にな、ちょっとばかし有名な人形作家がいるんだ。オレっち、宮殿の人から写真見せてもらったんだけどよ、めっちゃ可愛い女なんだよ! 肌が白くて銀髪で緑目で────」
「真面目な話じゃねぇなら帰るぞ」
「これはただの前提だって! そんで、そいつの作る人形がすっげぇんだってよ! どうも、魔法? 異能の力を持つ不思議な人形で、ひとりでに動き出したり魔法を使ったりするって────」
「……なんだって?」

 インペリオが語ったのは、エフェメラの記憶にはないアイテムの話だった。古代にも魔法は存在し、その中には人形を動かせるような魔法も存在していた。
 だが、「人形がひとりでに魔法を使う」ということは、エフェメラ自身初めて聞いたことだった。

「自律機能持ちの人形、ってことか? そんなの、普通の人間が作れるとは到底……」
「そ。だから噂されてんだ。ブリギッタにはとんでもねぇ魔力を秘める一族──通称『エステル』がいるんじゃねぇかってな。もしくは、その人形を生み出した作家の女こそがエステルである可能性がある」

 インペリオが能天気に笑いながら言うが、その目はどこか真剣さを帯びていた。エフェメラは少し考えたあと、ため息をつく。彼女もまた、エステルと呼ばれた人間たちの存在を知っていた。
 だが、強い魔力を持つエステルたちは、普通の人間たちの間では異端の存在だった。生まれ持つ魔力の強さを、多くの力ない人々が恐れているゆえに。

「エステルだからって目くじら立てる必要があるか? そりゃ、人間たちはエステルを見つけては迫害してきた過去があるけどさ。あんたらは神、そんなもんに注目する理由がない」
「普通だったら、ね。でも、この件に関してはちょっと特殊なの。もし、その人形作家が生み出す人形に一国を転覆させるほどの力があるとすれば、あなたも黙ってはいないでしょう?」

 エフェメラはライランの言葉に沈黙した。
 エステルは確かに特異な魔力を持つ者たちだが、基本的にはその力は個人の領域にとどまる。人形を動かす程度ならありえたが、自立して魔法を扱う人形となれば生命の創造と言い換えても差し支えない。神の領域に踏み込むものと考えてよいだろう。
 人形に魔法を使わせることができる技術────それがもし、現在の平和を揺るがすほどの力を秘めていたとしたら。あるいは、いずれ来たる厄災を如何様にもできる力を持っているとしたら。

「……あくまで人間でしかない血筋に、そんな真似ができるとは思えないが。調べてみる価値はあるかもしれないな」

 確証が持てない以上、判断しがたいものだった。眉を寄せながら低く呟いたエフェメラに対し、インペリオはニッコリと笑ってみせた。

「お? 興味持ってくれたんなら嬉しーな。ねー、ママ?」
「そうねぇ」
「……ていうかさ、お前その年になってママ呼びはヤバいよ。もうちょっと大人になれよ。ヴィーを見習え」
「ヴィータ? つまんねーからどうでもいい。オレっちと遊んでくんねーもん」

 呆れた言葉に唇を尖らせたインペリオに、エフェメラはへっ、と心底バカにした笑い声を吐き捨てた。

「そりゃそうだろ。ヴィーはてめぇみたいなろくでもねぇガキに付き合ったりしないわ」
「はぁ? オレっち、めっちゃイケメンで愛想いいのに?」
「見た目と愛想は関係ねーよボケナス! まあいい、今日はもう帰るっ! 様子は見られたしな!」
「慌ただしいわねぇ。たまにはゆっくりしていけばいいのに」

 エフェメラは半ば逃げるように窓を飛び出し、街中へと走った。



 アリオンの夕暮れは穏やかで、黄金色の陽光が長い影を作り出している。宮殿の白い壁が柔らかな輝きを帯び、遠くで鐘の音が響いた。
 やがて、エフェメラは屋根が連なった家屋の上に飛び乗り、座り込んだ。街の喧騒が遠のき、静寂の中に身を置いたエフェメラの思考はより深く沈み込む。懐から少し古びた手帳と万年筆をとり、素早く筆を走らせる。

「ブリギッタの人形作家……自律する魔法の人形……人形作家はエステルかもしれない……か」

 残りページが少なくなった手帳に書き残し、今まで書き溜めてきたメモをパラパラと見返した。
 エフェメラは、世界に散らばったいろんなものを蒐集することを蒐集することを趣味にしていた。彼女の興味を引くもの、危険物、極めて貴重だったり珍しいもの────それが物体であろうが物語であろうが、はたまた噂程度のちょっとした話であろうが、構わず集める。
 書き溜めてきたメモには「実体のない命を殺せる短剣」「不老不死の呪いを持つ男」といった、にわかには信じがたいものばかりが記載されている。その中に、再び彼女の気を引く文言が残されていた。

「『エステルは死後、天使に生まれ変わる』。こういう伝説も、実は密かに本当なのかもしれねぇな。そうじゃなきゃ迫害なんてされない」

 エフェメラは手帳を閉じ、屋根の上から街を見下ろした。アリオンの街並みは夜の帳が下り始め、商人たちが店じまいをし始める。街灯がぽつりぽつりと灯り、闇に溶け込むように人々の足音が遠ざかっていく。
 彼女は決して孤独ではない、世界の傍観者だった。普段一人ではないからこそ、世界の事象の蒐集者でもある彼女の行動は、より孤独に映る。

「明後日にでも会いに行ってみるとするか。底知れぬ虚無が再来する日は、そう遠くないんだ」

 エフェメラ。
 彼女はデウスガルテンと呼ばれた世界に生きた、「叛逆の観測者」だった。
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