【R18】仲間に裏切られた元勇者の大魔王活動記

指素世宗

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一話 勇者から魔王へ

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【ワールドクエスト:炎龍王イグニタスの討伐を達成しました】
【討伐成功報酬として炎龍王の外殻装甲の指輪、炎龍王の剣を獲得しました】
【固有能力:龍殺しドラゴスレイヤーを取得しました】
【加護:炎龍神イグリスの加護を取得しました】
【炎竜王の単独討伐、一撃討伐を確認。特別報酬として称号:龍帝を取得しました】

 俺が赤褐色の龍を倒した後に、頭の中にそんなアナウンスが流れてきて、それと同時に大量の金貨や龍の肉や爪、鱗等のいわゆる魔物素材と呼ばれる物がアナウンスで流れた装備と一緒に突然目の前に現れた。
 そして俺はこれがきっかけで一つ大事なことに気づいた。

「もしかして、ここはアテナリスとは別世界なのか……」

 今まで魔物を倒しても今のような脳内アナウンスが流たことなど一度たりともなかった。
 あの世界最凶の魔王を倒した時だって流れなかったのだ。

 それにアテナリスでは、倒した魔物がいきなり魔物素材や金に成り代わることなんてなかった。

 だとすると、考えられる可能性は一つ。

 ここは、いわゆる異世界という場所なのだろう。

 これは別に驚くことではない。

 アテナリスにも異世界から来た迷人と呼ばれる人間はいたし、異世界から召喚されて俺と共に魔王と戦ったやつもいた。
 だから俺が異世界に迷いこんだことに関しては特に驚くことはなく冷静に受け入れることができた。

 ただ、今のアナウンスの内容には素直に驚愕だ。

 そもそも魔物を倒しただけで世界から報酬が与えられることなんて考えたこともなかった。
 いや、魔物とはいっても、今倒したのは、人等比べものにならないくらいの生物を超越した存在である龍だったのだから、倒した者に報酬が与えられるのは当然とも言えるのか?

 先程視線が合った時に少感じた、その存在感や威圧感は、少なくとも、アテナリスで世界最凶であった魔王等比べものにならないくらいに圧倒的だった。

 俺がアテナリスの頃に扱えていた第六位階の魔術では鱗一つに傷つけられないだろうと思えるレベルだった。

 咄嗟に頭の中で第十位階魔術の詠唱文が思い浮かばなければ、死んでいたのは確実に俺の方だっただろう。

 と、そういえば、なんで俺はいきなり第十位階魔術が扱えるようになっていたんだ?

 考えられる可能性といえば、異世界に転移したことによって何らかの力を神から与えられたというのが妥当だろうか?
 日本という異世界から来た高スペックの男も、アテナリスに来る前はなんの力ももたないただの学生だったと言っていたし、それは十分可能性のある話だ。

 ともすれば、まずは現状確認から入ろう。

 アテナリスでは、『ステータス』と念じれば、自分の所有しているスキルなどを確認することができた。
 ここは異世界であって、同じように確認できない可能性も多いにあるのはわかっているが、同じ魔術が存在している世界なんだから試して見ても損はないだろう。

 早速俺は、頭の中で『ステータス』と強く念じることにした。
 そして、結果は……


リュー  20歳  Lv105

称号:元勇者、魔王、龍帝
固有能力:魔導、不老、龍殺し
加護:大神王ゼロニウス、魔神王マーリ、炎龍神イグリス

 結果は、無事確認できて成功だったのだが、その変わり果てていたステータスの内容に俺はただただ驚愕した。

 まずはレベル。

 アテナリスでは、個人のレベルの最大値は確か100だったはずだ。
 だが、俺の今のレベルはその100を超え、105となっていた。
 ここが異世界だからレベル上限が違うといえばそれまでなのだが、驚愕するべきはその上がり幅だ。
 俺の前までのレベルは50だったはず。七歳の頃くらいからずっと魔物と戦い必死に上げて、魔王を倒して至ったそのレベル50は、生存している者の中では世界最高峰であった。
 であったのに、今の炎龍王を倒しただけで、俺のレベルは以前の二倍以上になっていた。
 普通、レベルというものは高くなるほど上がりづらくなる。
 それが、二倍以上上がったのだ。
 驚愕しない方が無理というものだろう。
 いや、先程倒した炎龍王がそれだけ圧倒的で脅威的な存在だったとも言えるのだが、それにしたって上がりすぎだろうと思った。

 それに、レベル以外もレベルと同じくらいの変わりようだ。

 称号にしたって、今まで勇者だけだったのに対し、勇者ではなく、元勇者となり、アナウンスで流れた龍帝と何故か魔王が追加された物に変化している。

 固有能力だって、今まで聖剣召喚だけだったのに、それが消えて、その代わり魔導と不老不死と龍殺しが追加されている。
 固有能力だけみれば、魔王以外の何者でもないように見えるな……まあ、称号に魔王があるから今の俺は魔王なんだろうが……

 それにしても皮肉なものだな。

 世界を救うために魔王と戦い、魔王を倒して世界を救った勇者が、別世界で元勇者となって、魔王になっているのだから、本当に可笑しいものだ。

 ただ、そんな可笑しさも加護の欄を見ればどうでもいいことに思える。
 俺の前までの加護は、世界神アテナリスの加護ただ一つだった。
 でも今はその唯一あった加護は消え、その代わり大神王ゼロニウス、魔神王マーリ、炎龍神イグリスの三神から加護を受けていることになっている。
 どの神の名前も聞いたことは無いが、その加護の内容を見れば、世界神と呼ばれていたアテナリスの加護なんか霞んで見えるくらいに圧倒的な加護だった。


大神王ゼロニウスの加護
・スキル:『神の眼』『絶対学習』『叡智』『超回復』『完全環境適応』取得
・取得経験値量超大補正
・ステータス超大補正

魔神王マーリの加護
・スキル:『全属性耐性』取得
・全位階魔術取得
・第六位階魔術以下無効
・魔力超補正

炎竜神イグトリスの加護
・スキル:『上位以下炎龍生成』『炎龍統率』『完全炎熱耐性』取得
・基礎身体能力:龍帝
・ステータス大補正


 日本という世界から来ていたやつから教わった言葉で表すなら、これはチートというやつだろう。
 今までのアテナリスの加護だと、第三位階以下魔術取得とステータス大補正だけだったのだから、そのチートっぷりが一目でわかる。

 でも、何故突然これだけの加護や固有能力が付与されたのだろうか……と考えていたところで、ふと、先程死ぬ前に願ったことを思い出した。

『今よりも強く。仮に仲間の裏切りにあったとしても鼻で笑うかの如く足蹴にして逆に殺せるだけの力をもった、圧倒的な強者として……』

 そして、そう俺が強く願ったあとに小さく聞こえた声も思い出した。

『その願い叶えよう』

 たしか、こう言っていたはずだ……

 だとしたら、これらの力は、俺が強く願ったから得られたということなのか?
 世界神アテナリスに命じられ、世界を救う旅に出て、世界を救ったのにも関わらず、共に旅した仲間に裏切られて死にかけていた俺を不憫に思った神が助け、そして願った力を与え別世界に召喚した。というところか?

 捨てる神あれば拾う神あり。なんて日本という異世界から来ていたやつが口にしていたが、まさにその通りだな。

 俺は世界を救い用済みになったことで世界神アテナリスに捨てられたが、そんな俺を大神王ゼロニウスと魔神王マーリが拾ってくれたということだ

 俺を捨てた世界神アテナリスや元仲間の連中を許そうとは思えないが、感謝だけはしてやろう。

 お前達糞野郎共のおかげで、俺は力を手に入れた。

「ありがとよ……クズ共」

 別世界に転移してしまっているからもう二度と会うこともないはずだ。そして、もう二度と思い出すこともない……
 そう考えると、今さっき抱いた感謝の気持ちすらも、すぐに元仲間達の記憶と一緒に簡単に忘れていった……
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