【R18】仲間に裏切られた元勇者の大魔王活動記

指素世宗

文字の大きさ
3 / 35

二話 身体能力が人外

しおりを挟む
ステータスの確認を一通り終えた俺は次にステータス向上によって大幅に変わってしまった自分の身体能力の確認をするべく動き回ることにした。

 全力で走ってみたり、全力で垂直跳びをしてみたり、全力で地面を拳で殴ってみたり、先程獲得した炎竜王の剣で素振りしてみたりと考えつく限りの運動を一通り行なった。

 その結果わかったことがある。
 それは、俺の身体能力が人外になってしまったということだ。

 全力で走れば一瞬で数百メートル移動できた。
 全力で垂直跳びをすれば数十メートル跳ぶことができた。
 全力デ地面を拳で殴れば地面に大きなクレーターができあがった。
 炎龍王の剣で素振りするだけで緑一色だった草原が炎上した。

 それは正に、人外の所業だった。

 もはや言い逃れすることなどできない。

 それほどに俺は強くなっていた。

 今ならばアテナリスで最後に戦った魔王すら子供扱いできるだろう。

 先程戦ったとも言えないよう終わり方をした空の絶対者である炎龍王相手でも肉弾戦ができるだろう。

 この力があれば、誰に従う必要もない。

 アテナリスでは、なんだかんだと人のためになることを優先し生きていた結果、勇者という世界の便利屋に成り下がってしまっていた。
 だから今回は絶対にそんな失態はおかさない。

 アテナリスにいた魔王は自由奔放、自分が赴くままに生きているような存在だった。
 そんな魔王に、俺はどこか憧れの念を抱いたこともあった。

 ……そうだな、どうせなら称号に魔王がついていることだし、この世界では、アテナリスにいた魔王みたいに、自分の赴くままに生きることにしよう。

 俺は一度死にかけて……いや、死んで生まれ変わったんだ。
 別の世界で、魔王に生まれ変わったんだ。

 今度こそ自由に生きる。

『ぐぅ~~~~~』


 そんな風にカッコよく今後の生き方を決めた俺の腹の音が草原に鳴り響く。

「なんとも締まらないはじまり方だな……」

 そんなことを呟きつつ、新しく始まった人生の最後が空腹による餓死なんて酷いものにしないために食料を探すことに。

 とはいえ、周りは見渡す限り草原で他の生物も皆無である。
 唯一食料になりそうなものといえば、先程手に入った炎龍王の肉なのだが、食うとしたら火の魔術で直焼きしか方法はない。
 龍の肉なんて食べたこともないからもしも不味かったらどうするか……いや、背に腹は変えられない。

 仮に不味くとも、生きるために食うしかないだろう。

 結局そう結論至ると、俺はすぐに調理とも呼べない調理を始める。
 まずその場で炎龍王の肉を炎龍王の剣で二百グラム程切り取る。そして続いて第一位階魔術の『小火ファイヤ』で火を起こし、その上で数分肉を直焼きする。
 そうしてできあがった炎龍王の焼肉に塩等の調味料を振りかけてから食べたい所だが、そんな物は持ち合わせていないので、素材の味100%でできあがった焼肉に齧りつく。

 そうして食べた炎龍王の肉の味は、調味料等使っていなく、更にはただ火で炙っただけだというのに、今まで食べてきたどの肉料理よりも美味しかった。
 例えるなら、そう、牛、豚、鶏、その他にも多種ある肉の良いところを掛け合わせ、そしてそれを見事喧嘩させることなく上手い具体にお互いを引き立たせあわせているような、そんな味だ。

 要するに一言で言うと、最高に美味いということだ。

 あまりにも美味すぎて、もっと食べたいと思い、再度肉塊から肉を切り分けようとしてしまいそうになるが、寸でのところでなんとか思い留まる。
 今のような調理とも呼べない調理であれだけ美味かった肉を、もしもこの世界の一流の料理人に調理させたら一体どれほどの美味しさになるのだろうかと考えたからだ。

 きっと今味わったものの数倍……いや、数十倍くらい美味しくなるに違いない。
 そう結論づけてしまえば、もう切り分けようと動く気等微塵も残っていなかった。

 とはいえ、このまま放置してしまうと肉が腐ってしまう。
 なので俺はこれまで放置していた炎龍王の素材や装備も含めて、第五位階の『異空収納ストレージ』に収納することにした。


「さて、じゃあさっそく、腕の良い料理人探しの旅でも始めようか」 

 幸い、あの程度の量でも素材の質が良かったのか、体力は満開に回復していて、腹もそれなりに膨れている。
 肉は異空収納に収めているのでいくら時間が経とうと腐ることはない。
 この世界に来て不老も得たので、何かに殺されるとかでもなければ死ぬこともなくなった。
 時間もたっぷりあることだし、急ぐ理由もない。
 まずはゆっくりと人の住んでる町を探すことからスタートすることにしよう。

「『飛行フライ』」

 第五位階の空を飛ぶことができるようになる魔術を唱えると、時速五十キロくらいのスピードでゆっくりと空を飛び、俺は町を目指した。
 え? 時速五十キロはゆっくりじゃないって? 今の俺からしたらゆっくりもゆっくりすぎるようなスピードなんだよなこれが。
 その気になれば、軽く走るだけで時速五百キロくらいは出せるだろうからな。本当、俺って人外だな。

しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...