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五話 新世界に降臨
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町の広場の大きさは、町の規模から考えるとかなり広く、町の住人が全員集まっていても窮屈だと感じさせないくらいだった。
というかなぜ態々、広場に住人全員を集めているのだろうか?
町を助けた俺を英雄として祭り上げるつもりか?
そんな面倒なものになる気はないのだがな。
もしもあの領主が俺を便利屋扱いでもしてきそうになったら……その時はもはや話し合う価値もないな。消すことにしよう。
これからの方針を決めたのと同時に、ちょうどタイミング良く、領主のディスが周りに武装した兵数人を引き連れて姿を現した。
さて、どうなることやら……。
「皆の者、集まってもらってすまないな。先の戦いに出た者はご苦労であった。街に残ったものも心配をかけてすまなかったな。無事になんの被害を受けることもなくゴブリン達を退ける事ができた」
そんな硬い口調で領主のディスは話を始めた。
退けたというより殲滅したんだが、細かいことはいいか。
「今回の戦いで勝つことが出来たのはタイミング良く姿を表してくれたそこにいる旅人の方のお陰だ。本当にタイミングが良く……な。
私共は貴方に感謝の意を評します。本当にありがとうございました」
なにか含みのある言い方だったが感謝されていることには代わりないと思い、その好意を俺は受け取った。
「それでは旅人殿には私共から手厚い歓迎をお送り致しましょう」
俺はただ、話がしたいと言ったのだけなのだが……まあいいか。
炎龍王の肉を食べてからまだ何も食べていないし、祝勝会の料理を食べて美味いものがあれば、それを作った人を紹介してもらうことにすれば当初の目的は達成出来るしな。
そう考えて、俺は領主に近づき領主の隣にいた従者の男から酒の入った盃を貰い手にとった。
そして俺は何気なくどんな酒なのかと確認するために大神王ゼロニウスの加護で得られたスキル、『神の眼』を使って鑑定してみたのだが……
【死毒鮫の毒酒:一滴でも飲めばたちまち全身が痺れ、数時間持たずに死に至る強度の毒が入った酒】
死毒鮫……か。随分と物騒な名前の魔物だな。アテナリスにはいなかった種の魔物だ。ゴブリンはアテナリスにもいたのだがな……やはりこの世界にしか生息していない魔物も存在するか。
いや、そんなことはどうでもいい。
歓迎の場を用意すると言っておきながら、一滴で致死量となる毒が入った酒を恩人に勧めるとはどういった了見なのだろうか?
町を救ってもらったことに感謝しているというのは恐らく本音だろう。
しかし、それで街を襲っていた魔物よりも驚異的な化物を町に居座らせる気はないということか……まったく不快な人間……いや、豚畜生だ。
まあいいさ。これで一つ学べた。
この世界の人間にも、アテナリスにいたあいつら同様どうしようもない屑がいることがわかった。
普通に考えれば当たり前のことだ。世界は違えど同じ種族なんだ。その性質も似るといったところだろう。
それにしても、あれだけの窮地を救ってやった恩人だというのに、そんな奴を簡単に殺そうとするとは、少々ふざけすぎなんじゃないだろうか。
自分達の脅威となるものはどんな手段を用いても排除するというのは良いと思うが、さすがに相手を見て、考えてから行動するべきだろう。短慮がすぎる……まあ、豚なんだから仕方ないか。
さてさて、こいつ、どうしてくれようか。
いや、恐らくこの豚の傍に仕えている数人の従者もぐるだろう。俺が酒を受け取った瞬間に表情が僅かに歪んでいたしな。
恩を百倍返しの仇で返そうとしたこいつらを許してやる気はもうない。
売られた喧嘩は買ってやるべきだろう。
アテナリスの頃の優しい勇者ではもうないんだからな。
思えば、自分を殺していい人を演じていたあの頃は本当に生きている心地がしなかった。だからこそ、俺の宿敵となっていた魔王の行動を聞き憧れたりもした。
奴はいつだって人間の脅威で自由に、自分の気のままに行動していた。だが奴の周りにいた従者達はいつだって奴を裏ぎることなく死して尚崇拝していた。
恐怖……いや、絶対的な力によって従えていたのかも知れないが裏切られないと分かっていれば、それだけで勇者なんかよりも余程いいものだ。
奴はさぞ、安心して従者を周りに置いていたのだろうな。
恐怖によって……絶対的な力によって……俺も今ならあいつのようにできるのだろうか。
裏切る気すら持たせない絶対的な力で屈服させ、従えさせることで、安心して仲間……いや、配下を得られる。
そう考えてみれば、魔王……最高じゃないか。
「フッ」
今日から俺が……
「フハッ」
この世界に君臨する最強の……
「フハハハハハハハッ!!!!」
魔王として生きてやろうじゃいか。
クソみたいな人間の希望であった勇者という称号は元とついていたとしてももはやいらない、消えろ……
【称号:元勇者が消失しました】
【称号:大魔王を取得しました】
大魔王……実にいい響きだな。
今日から俺がこの新世界の大魔王リューだ。
まずは、手始めに、俺に歯向かってきた豚とその金魚の糞の清掃から始めることにしよう。
というかなぜ態々、広場に住人全員を集めているのだろうか?
町を助けた俺を英雄として祭り上げるつもりか?
そんな面倒なものになる気はないのだがな。
もしもあの領主が俺を便利屋扱いでもしてきそうになったら……その時はもはや話し合う価値もないな。消すことにしよう。
これからの方針を決めたのと同時に、ちょうどタイミング良く、領主のディスが周りに武装した兵数人を引き連れて姿を現した。
さて、どうなることやら……。
「皆の者、集まってもらってすまないな。先の戦いに出た者はご苦労であった。街に残ったものも心配をかけてすまなかったな。無事になんの被害を受けることもなくゴブリン達を退ける事ができた」
そんな硬い口調で領主のディスは話を始めた。
退けたというより殲滅したんだが、細かいことはいいか。
「今回の戦いで勝つことが出来たのはタイミング良く姿を表してくれたそこにいる旅人の方のお陰だ。本当にタイミングが良く……な。
私共は貴方に感謝の意を評します。本当にありがとうございました」
なにか含みのある言い方だったが感謝されていることには代わりないと思い、その好意を俺は受け取った。
「それでは旅人殿には私共から手厚い歓迎をお送り致しましょう」
俺はただ、話がしたいと言ったのだけなのだが……まあいいか。
炎龍王の肉を食べてからまだ何も食べていないし、祝勝会の料理を食べて美味いものがあれば、それを作った人を紹介してもらうことにすれば当初の目的は達成出来るしな。
そう考えて、俺は領主に近づき領主の隣にいた従者の男から酒の入った盃を貰い手にとった。
そして俺は何気なくどんな酒なのかと確認するために大神王ゼロニウスの加護で得られたスキル、『神の眼』を使って鑑定してみたのだが……
【死毒鮫の毒酒:一滴でも飲めばたちまち全身が痺れ、数時間持たずに死に至る強度の毒が入った酒】
死毒鮫……か。随分と物騒な名前の魔物だな。アテナリスにはいなかった種の魔物だ。ゴブリンはアテナリスにもいたのだがな……やはりこの世界にしか生息していない魔物も存在するか。
いや、そんなことはどうでもいい。
歓迎の場を用意すると言っておきながら、一滴で致死量となる毒が入った酒を恩人に勧めるとはどういった了見なのだろうか?
町を救ってもらったことに感謝しているというのは恐らく本音だろう。
しかし、それで街を襲っていた魔物よりも驚異的な化物を町に居座らせる気はないということか……まったく不快な人間……いや、豚畜生だ。
まあいいさ。これで一つ学べた。
この世界の人間にも、アテナリスにいたあいつら同様どうしようもない屑がいることがわかった。
普通に考えれば当たり前のことだ。世界は違えど同じ種族なんだ。その性質も似るといったところだろう。
それにしても、あれだけの窮地を救ってやった恩人だというのに、そんな奴を簡単に殺そうとするとは、少々ふざけすぎなんじゃないだろうか。
自分達の脅威となるものはどんな手段を用いても排除するというのは良いと思うが、さすがに相手を見て、考えてから行動するべきだろう。短慮がすぎる……まあ、豚なんだから仕方ないか。
さてさて、こいつ、どうしてくれようか。
いや、恐らくこの豚の傍に仕えている数人の従者もぐるだろう。俺が酒を受け取った瞬間に表情が僅かに歪んでいたしな。
恩を百倍返しの仇で返そうとしたこいつらを許してやる気はもうない。
売られた喧嘩は買ってやるべきだろう。
アテナリスの頃の優しい勇者ではもうないんだからな。
思えば、自分を殺していい人を演じていたあの頃は本当に生きている心地がしなかった。だからこそ、俺の宿敵となっていた魔王の行動を聞き憧れたりもした。
奴はいつだって人間の脅威で自由に、自分の気のままに行動していた。だが奴の周りにいた従者達はいつだって奴を裏ぎることなく死して尚崇拝していた。
恐怖……いや、絶対的な力によって従えていたのかも知れないが裏切られないと分かっていれば、それだけで勇者なんかよりも余程いいものだ。
奴はさぞ、安心して従者を周りに置いていたのだろうな。
恐怖によって……絶対的な力によって……俺も今ならあいつのようにできるのだろうか。
裏切る気すら持たせない絶対的な力で屈服させ、従えさせることで、安心して仲間……いや、配下を得られる。
そう考えてみれば、魔王……最高じゃないか。
「フッ」
今日から俺が……
「フハッ」
この世界に君臨する最強の……
「フハハハハハハハッ!!!!」
魔王として生きてやろうじゃいか。
クソみたいな人間の希望であった勇者という称号は元とついていたとしてももはやいらない、消えろ……
【称号:元勇者が消失しました】
【称号:大魔王を取得しました】
大魔王……実にいい響きだな。
今日から俺がこの新世界の大魔王リューだ。
まずは、手始めに、俺に歯向かってきた豚とその金魚の糞の清掃から始めることにしよう。
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