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十話 娘達を回収
しおりを挟むラティアと共に城の中をまわってみて思ったことは、ただただ広いということだった。
部屋数だけでも百近くあるし、大浴場や第食堂、調理場にエントランス。ここに住む者は、元々ディスの元で働いていたメイド数名とラティアにラティア娘、最後に俺を含めても十人もいない。
「······先程大魔王様が直接手をかけた以外にも数名男性使用人がいますが、その人達はーーー」
「殺すに決まってるだろう。過去とはいえ、俺の大切な配下を襲ったんだ、許す気はない」
俺はラティアの言葉に被せるようにそう言う。
それを聞いたラティアは顔を赤らめた。大方『大切』という言葉に反応したのだろう。
これでまたラティアの忠誠度は上がったはずだ。
「そういえば、屋敷を燃やして城にしてしまったが、メイドや娘はここに辿り着けるのか?」
「そ、そういえば······どうしましょう」
ラティアのことにばかり気を取られ、他の人のことをすっかり忘れていた。
「他の奴らは今はどこに待機してる?」
「広場近くの宿に娘を預けてメイド達も全員そこに待機させています」
「そうか、なら面倒だが今すぐこちらに帰ってきてもらうことにしよう。
仕事の割り振りなどは、そいつらに任せても問題なさそうか?」
「はい、仕事のできる熟練のメイド達ですので、問題ないかと」
「そうか、じゃあ、まず広場に飛ぶぞ」
「飛ぶ······?」
話が一区切りしたところで、忘れないうちに迎えに行こうと伝えると、ラティアは不思議そうな顔をした。
何故······? いや、そうか。ラティアは恐らく転移を経験したことがないのだろう。
転移は第六位階魔術だし、一般人は経験したことがなくて当然だ。
「魔術を使って一瞬で移動するということだ。さあ、早く手を取れ」
「手を······」
「どうした? 早くしろ」
ラティアは言っては失礼だが三十歳になるんだし、別に男と手を繋ぐくらい恥ずかしいことでもないだろうと思ったのだが、案外初心なところも残っていた。
「あっ······」
いつまでも待つのも時間の無駄なので、俺は少々強引に彼女の手を取り、魔術を発動する。
「転移」
詠唱を終えた瞬間、景色が代わり、先程までいた広場に無事転移できた。
「こ、これも大魔王様の魔術なんですか?」
「その通りだ、便利だろ?」
「便利というか、凄いと思います」
「まあ、魔術は得意分野だからな。さて、無駄話はここら辺にしといて、宿屋に案内してもらおうか」
「これは失礼致しました。それではご案内致します」
ラティアそう言うと、俺の前に出て娘を休ませている宿屋に向かって歩き出す。
それから数分と歩くことなく、宿屋に到着した。
「店主、ラティアの娘を引き受けに着たぞ」
宿屋に入り、開口一番そう言うと、店主は一瞬だけフリーズしたのち、すぐに二階に駆け上がっていく。
余程俺のことが怖かったのだろう。それから一分と経たないうちにメイドと娘を俺に押し付けるようにこちらに差し出してきた。
「貴方! 大魔王様に対してその扱いは失礼ーーー」
「ラティア、いい。一々気にしていても仕方がないからな。用は済んだのだからさっさと城に帰るぞ」
「は、はい。出過ぎた真似をお許しください、大魔王様」
「フッ、それもまた気にすることはないさ、さあ行くぞ」
それにしても、ラティアの忠誠度がとてつもないことになっているな。
まあ、悪いことではないから気にしすぎることでもない。
俺はその後、合流したメイドや娘も連れ、また城に転移をした。
そこでメイドや娘がラティアと同様の反応をしたのは言うまでもないことだ。
そして彼女達は、今いる場所が城だと言うのを後から知り、更に驚くことになるのだった。
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