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十一話 夜伽の訪れ ☆(ラティア)
しおりを挟む若干のエロが最後にありますので、耐性のない方は読むのをお控えください。
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ラティアの娘と城で今後働く予定のメイド達を連れ帰った俺は、説明を全てラティアに任せ、自室で休むことにした。
今日一日で色々なことが起こった。
アテナリスで魔王を倒し、平和を勝ち取ったと思ったら、仲間に殺されかけた。
そして死ぬのを自覚し、ただただ死を待っていたら、いつの間にか異世界に転移し、おまけに強大な力まで得ていた。
その力を用いて炎龍王を、ゴブリンを、そしてこの町の領主と取り巻き数名を殺し、気づけば町一つを手にしていた。
この待に来た理由は一流の料理人を探すためだったんだけどな、求めていたものは得られなかったものの、それ以上の収穫と言えよう。
何よりも俺に圧倒的な忠誠心を持っているラティアはいこの世界に来てから一番収穫だ。
いくら絶対的な力を持っている存在でも人は一人では生きていけない。
あの凶悪で強欲な魔王ですら、一人ではきっと五ヶ国を相手とることは不可能だっただろう。
支配者には支配者自身を支える者の必要が不可欠だ。
故に一番の収穫はラティアということになる。
そんなことを考えている間に、いつの間にか外は暗くなり、アテナリスにあった月とは比べ物にならないほど巨大な月が地上を照らしていた。
夜なのにそれなりに明るいと思えるのだから、その月の光の強さが凄まじいものだといえよう。
今の俺は大魔王で固有能力の『不老不死』を持っているためか、睡眠や食事をしなくともなんの問題もなく生きていられる。
だが、食べられないというわけではないし、もちろん、眠れないわけでもない。
当然空腹も眠気も感じる体だ。
だが、炎龍王の肉は余程腹持ちがいいのかいまだ腹が減らないので、今日のところは食事はいらないと告げ、自室でずっと考えて事をしていた。
今まで生きてきた中では一人の時間を作れたことがあまりなかったのだが、中々一人の時間も悪くない。そんなことを思ってしまったからか、長く続いた一人の時間に終わりを告げる音が近づいてくる。
カツッカツッカツッと心地よいリズムを奏ながら、俺がいる部屋に誰かが歩いてくる音が聞こえる。
誰かが······なんて言っているが、誰が尋ねてくるかなど考えるまでもなく断言できる。
この城に現状住んでいる者達の中で、俺の部屋にやってこれる人物像など、ラティアをぬいて他にいるわけがないのだ。
「大魔王様、いらっしゃいますか?」
「······ああ」
やはりやってきたのはラティアで、俺は少し間を開けて返事を返す。
「お部屋に······入ってもよろしいでしょうか?」
何やら神妙な声色だが、何かあったのだろうか? 俺がすぐに入室の許可を出すと、ラティアが部屋の中に入ってきた。
「······ん?」
俺は入ってきたラティアの方に目を向ける。すると、何故かラティアは、下着のみしか着ていなかった。
夜で明かりをつけていないとはいえ、月明かりでそれなりに明るさはあるため、ほとんど鮮明にその姿は瞳に映し出されている。
白く澄んだ柔肌に、下着で整えられた綺麗な形のそれなりに大きい胸。足は細くスラッと伸びていて、とても魅力的な身体······って、いつまでも凝視するのは失礼か。
俺は気を取り直し、ラティアから視線を外す。
「何かようか?」
何故下着姿でやってきたのか気になるところだが、それを直接本人に聞くほど俺も愚かではない。
下着姿で自分の主人の部屋にやってくる理由などただ一つ、夜伽のためだろうが······ラティアの過去から考えるとその線以外の可能性も大いに考えうる。
「······大魔王様の夜伽に参りました」
と思っていたら、大方の予想通りの夜伽が目的だった。いや、でも散々嫌な目にあったはずなのに何故自分から······いや、俺も男だ。ラティアの中では結局男という生き物は女に性欲しか求めていないとか勘違いしているのだろう。
確かに俺にも性欲はそれなりにあるが、ディス達のように無理矢理そのような行為する気などない。
「······俺は別に無理矢理そういった行為を求めないぞ。何よりお前は今までそれで地獄を味わってきたんだから、無理はするな。俺はお前が傍にいるだけで何もーーー」
ラティアの勘違いを正すため、ラティアに夜伽はいらないと説明していた最中に突然、下着姿のままラティアが俺に抱きついてきた。俺は思わず驚いてしまい、言葉を止めてしまう。
「······私みたいな汚れた女ではいや······ですか?」
ラティアは、目に涙を浮かべながらそんなことを言ってくる。
「······私が······したいんです。大魔王様に······抱いてほしくて······はしたないとは思ったんですが、大魔王様のことを考えていたら我慢できなかったんです」
その言葉の中に嘘は感じられなかった。
俺に取り入るため、俺に絶対に捨てられない存在になるため、女の武器である身体で俺の気を引こうと考えたのかと思い、『神の眼』を使い心を読んでみたが、そんなことは考えていなかった。
ただ慕う男に、ただ心を惹かれた男に抱いてもらいたいという一心でこんな大胆な行動をしてきたようだ。
そんな感情を読み取ったところで俺は心を読むのをやめた。
俺は愚かではないと思っていたが、どうやら愚か者だったようだ。
まったく、自分の忠臣を信じずに疑りから入ってしまうなど、主失格だな。
いや、今はこんなこと考えている場合じゃないな。
「でも、そうですよね。今まで数えきれない数の男に汚されてきた私なんて大魔王様にだいてもらう価値もなーーーんむっ······!?」
俺はラティアがその言葉を最後まで言い切る前に、ラティアの口を口付けで塞いだ。
「······そんなことないさ。お前は十分に魅力的な女だ」
俺はそう告げながら口付けを続ける。
「······んっ······大魔王様······」
「本当にいいんだな? お前が求めたんだ、俺はもう止まれないぞ?」
「ちゅっ······大魔王様······んっ······ちゅっ······ちゅっ······お願いします······どうか······ちゅうっ······私を······んぅっ······抱いてください······」
「その願い、大魔王リューが聞き入れた」
俺は口付けを徐々に激しくしながら最後にそう言うと、ラティアをベットの上に押し倒した······。
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