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二十一話 魔物軍VSリュー
しおりを挟む城の外に移動すると、街中が騒然としていた。
魔物が大軍でこの町に向かって侵攻してきているのだから、当たり前だろう。
だが、そんな様子を俺は冷静に見ていた。
「早く逃げねえとやべえって!」
「どこに逃げるっていうんだよ! 逃げ場なんてどこにもありゃしねえ、終わりだ! もう終わりなんだよ!」
「死にたくねえ、死にたくねえよ……」
住民の言から察するに、ほとんどの者がもう自分の未来は死以外ありえないと思っているようだ。
まったく、こいつら昨日の俺の宣言を聞いていたはずだというのに、残念な奴らだ。
「おい、聞け。町の民よ」
俺は『飛行』を使って住民達の頭上に移動すると、大声をだして注意を引いつけた。
「何をそんなに騒ぐ必要があるのだ?」
「な、何をって!! あんただって、もうわかってるんだろ? 魔物大軍がやってくんだよ! ここに! もう終わりなんだよ!」
「はははははっ、あんたも残念だったな。せっかく支配した土地を魔物に横取りされちまんだからな、はははは」
「……ふんっ、俺が態々自分の力を示して手に入れた町をみすみす魔物にくれてやるわけがないだろう戯けが。冗談も程々にしろ。
魔物大軍? そんなもの一瞬で全滅させてやるから見ていろ」
「はっ? 何言って……」
俺はそう言い捨てると、単身で城壁の外に飛んだまま移動する。
すると、数キロ先に、土煙を上げながら侵攻してくる魔物の群れが見えた。
遠目に見ても、数千……いや、下手すれば万に至っていそうなほどの大軍だ。
俺がアテナリスで勇者だった時でも、出会したことのない規模のスタンピードだ。
ゴブリン、ホブゴブリン、オーク、ハイオーク、コボルト、エンダーコボルト、オーガ、サイクロプス、ホーンボア、レッドグリズリー、スケルトン、ゾンビ、トロール、デススコーピオンetc……遠目からでもこれだけの多種多様な魔物の存在が確認出来る。
恐らくあの中に、昨日ゴブリンに知恵を与えて斥候としてこの町を襲わせた策士もいるのだろう。
「ああ、不愉快だな」
俺は思わず、内心で思っていたことを呟いていた。
呟いてしまうほどに、俺はかなり頭にきていた。
その理由は一つ、住民に言ったように、俺の手にした町を襲おうとしてきているからだ。
昨日成り行き上にではあったが、俺の町になったばかりのこの町を自分よりも圧倒的に下位の生物に奪われかけているというのは、予想していた以上に腹立たしくて、屈辱的だった。
あの程度の魔物を率いているカスにバカにされるなんて、大魔王としてあってはならない。
いや、これは仕方ないことだ。
あっちは、俺がこの町にくるずっと前からそれなりに情報収集してこの町に攻め入ることを決めたのだろうし、あっちにとってみれば俺の方がイレギュラーな存在だ。
俺があちら側に遺恨を覚えること自体が、逆恨みのようなものなのだろう。
だが、それがわかっていて尚俺は怒りに燃えていた。
出し惜しみをする必要は無い。先程住民に宣言した通り、一瞬で……一撃で……全滅させる。
であるなら、使う魔術は第十位階一択だろう。
そしてその中でも、最も広範囲に被害を及ぼす、圧倒的な物を。
戦略級魔術を超えた、殲滅級魔術を御見舞してやる。
「くらえ、『小隕石の雨』」
『小隕石の雨』。その名の通り、大量の隕石を空から雨のように降らせる魔術で、大きい町でも用意に鎮めることすら出来るほどの大魔術だ。
さて、これで全滅させられればいいのだがな?
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