【R18】仲間に裏切られた元勇者の大魔王活動記

指素世宗

文字の大きさ
27 / 35

二十六話 ゴミの有効活用

しおりを挟む


 スカーレットの初陣は、結論から言うと、圧倒的勝利で幕を閉じた。

 そもそも、町の民達はその殆どが戦闘関連は素人同然の者達であり、戦闘経験者であっても、最高レベルは二十にも満たない雑魚ばかりだったのだから当たり前の結果だ。

 スカーレットは俺が生成したレベル六十の上位死霊属性のヴァンパイア・ノーブル。

 負ける要素などなかったということだ。

 だからこそ俺は、あえて誰にも触れられずに勝利しろと命令した。

 初陣とはいえ、これだけの戦力差がありながら、それが達成できなければ、俺の考える戦闘要員には足りえない。

 もちろん、あんな屑共に、俺自らの手で作り出したスカーレットに触られたくなかったというのも本音だけどな。

 さて、そんな縛りプレイを課せられたスカーレットだったが、余裕すら見せる形で見事に俺の命令を達成してみせた。

 圧倒的勝利。

 誰にも触られることなく、一撃で集まっていた町民を屍に変え上げた。

 そして、そんな憐れな屑共の屍は、今俺の前に山積みにされている。

「ご苦労だったな、スカーレット」

「この程度のこと、当然でございます、リュー様」

 彼女は、恭しく頭を下げながら答えるが、昨日生まれたばかの彼女でも、触られることなくという縛りでは、100%達成するのは難しいことだっただろう。

「初の命令、無事にクリアしたお前には、後で何か褒美をやろう。何が欲しいか考えておけ」

 俺はスカーレットにそう言うと、彼女の横を通り過ぎ、山積みになった死体の前に手を翳す。

「リュー様?」

 後方では、ラティア達がその様子を不思議そうに見つめてきているが、まあ、百聞は一見にしかず……だったか? 聞くよりも見た方がわかりやすいだろうと思い、説明せずに今考えていることを実行することにした。


「『下位死霊生成』!」


 スキルを発動すると、死体の山のある場所の上下に巨大な魔法陣が浮かび上がる。

 スカーレットを生み出した時は発行した魔法陣が、今回は暗黒の霧に隠される。

 やがて、暗黒の霧が晴れると、その場には、大量の下位死霊、スケルトンが生成されていた。

「成功……だな」

 今、俺の目の前には百を優に超える規模のスケルトンがいる。

 一日二十体しか生成出来ないという制限があるのにも関わらず……だ。

 だが、これには簡単な理由がある。

 それは、素材を用いないか用いないかだ。

 スカーレットのように、素材も何もなしに生成するとなると制限がつくのだが、素材を用いれば、この制限は解除される。

 ただ、素材を用いて生成する場合にも制限があって、どれだけ素材の元レベルが高くとも、中位以上の死霊を作ることは出来ない。

 ただ、元の素材が最弱よレベル一だとしても、絶対に失敗することはなく、必ず下位以上の死霊が生成されるのだ。

 そう、下位以上の……だ。

 今回生成された死霊は全て下位だったが、極稀な確率で中位の死霊として生まれるケースも存在する。

 俺の運のステータスはかなり高いので、一体くらいは中位の死霊が出来るかなと思っていたが、そう甘くないようだ。

「まあ、簡単に忠実な僕ができるだけマシか。

 貴様らに命令を下す。この町の外壁周りの二十四時間警備をしろ。何かあれば俺に連絡だ。分かったら、とっとと行け」

『ガクガクガク』

 出来上がったスケルトン共に命令を下すと、骨の頭を大きく上下して頷き、すぐに外壁に向かって移動して行った。

「さて、帰るか」

 町のゴミを便利なスケルトンに変え、することもなくなったので俺はラティア達を従えて城に帰ることにした。

「と、そういえば朝食がまだだったな。ラフリア、準備は出来ているのか?」

「はい、大魔王様。既に料理は出来上がっています。すぐに配膳の準備をして参りますので、食堂でお待ち下さいませ」

「朝はゴタゴタしてたのに……流石だな。期待して待つことにしよう」

 今日も恐らく炎龍王の肉を作った料理だろう。

 昨日はステーキだったが、さて、今日はどんな料理を出してくるか。

 楽しみだ。


 そうして楽しみに待って出てきた料理は、俺の大好物でもあるシチューで炎龍王の肉を煮込んだ、言わば、ドラゴンシチューだった。

 もちろん、かなり美味な料理であり、俺は満足しすぎて、スカーレット同様にラフリアにも褒美を与えることにし、何か欲しいものを考えておくよう伝え、食堂を後にした。
しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...