【R18】仲間に裏切られた元勇者の大魔王活動記

指素世宗

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二十八話 テンプレートな展開?

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「「「「GYOOOOOOOOOOO」」」」

「まったく騒がしいな」

 町の外を暫く飛びながら移動していると、地上の方から激しい叫び声が聞こえてきた。
 その声量は、この世界で最初に出会った炎龍王程ではないにしても、それに匹敵する程の大きさだ。

 声の聞こえた場所は森の中。

「フラストレーションの発散にはちょうどいい。殺るか」

 俺は一言呟くと、勢いよく地上に下降する。

「ガァッッッ!!」

「「「「GYAAAAAAAAAAAA!?」」」」

 地上に降り立った所で、目の前に早速標的である魔物を発見し、叫び声で威圧を繰り出す。
 魔物の群れは、突然の敵の出現と意表を突いた攻撃に驚き、その場で硬直してしまう。

「この程度の威圧で動けなくなるとは……叫び声だけの雑魚か」

 それかもしくわ……

「俺が強くなりすぎた……か」

「「「「GYAAAAAAAAAAAA!!」」」」

 そんなことを考えているうちに、魔物の群れが硬直から立ち直り、今度は逆に俺に向けて威圧の叫び声をあげた。

 魔物の種類は見たところゴブリン等の鬼種の上位にあたるオーガ……いや、その上位者であるハイオーガか?

 答えの合わせのため、『神の眼』で確認してみると、見事予想は的中。
 ハイオーガの群れだった。

 アテナリスでは、上から数えた方が早いくらいの脅威度のある魔物だったが、さて、今の俺の相手になり得るだろうか?

 答えは、考えるまでもなく出ている。

「一撃で殺してやるよ、雑魚共」

 俺はそう言い放つと、炎龍王の剣を装備し、構える。

「「「「GYOOOOOOOOOOO?」」」」

「ここまで来ても彼我の戦力差も察せないなんて、ハイという名は伊達か何かなのかもしれないな」

 ザシュッ

 言葉を言い終わるのと同時に、俺は十数メートル手前にいるハイオーガの群れ目掛けて炎の出力をゼロに抑えた上で剣を一閃した。

「これでは、フラストレーションの発散にはならなかったな」

「「「「GYO?? GYA、GYAAAAAAAAAAA!!」」」」

 俺が何をしたのか理解出来なかったハイオーガの群れは、首を傾げて不思議そうな顔をしたのもつかの間、胴と足を切り離され、断末魔の声を上げながら無様に絶命した。

「本当に……強くなりすぎのも考えものだな」

 嬉しい悲鳴とも言うべきなのだろうが……やりあいのない戦いほどつまらないものは無い。

 俺には生憎と弱いものいじめをする趣味はない。

「まあ、今しがた雑魚を殺しておいて、言えた義理じゃないんだけどな」

 俺は独り言を零しつつ、いまだ俺の中で溜まり続けているフラストレーションを発散するため、強い魔物を散策を続けることにした。

 さあ、せめて、一撃くらいは防いでくれるレベルの敵がいてくれるといいが……

 そんな小さくも無理難題な願いを引っさげ、俺は再び空を移動し始める。


「いやぁーーーーー!!」

 再び移動を始めてから数十分が経ち、未だ強敵を見つけられずに悶々とした気分で空を移動していると、地上から女の叫び声が聞こえてきた。

 大方、魔物か盗賊にでも襲われたのだろう。

 『神の眼』を使い、地上を見下ろすと、案の定、豪華な馬車が盗賊数十名に襲われている最中だった。

 豪華な馬車ということもあり、中にいるのはそれなりに身分のある者なのだろう。

 護衛らしき人物達の装備もそれなりに整っているし、恐らくは貴族の類で間違いない。

 対する盗賊は、数こそ多いものの、装備している武器は大したことの無いもので、レベル事態も一桁台ばかりと軒並み雑魚しかいない。

 ……いや、一人だけレベルが明らかに違うやつが混じってるな。

 レベル38。あの場にいる中では、次に強いものともレベルが10は離れているし、尚且つ、この世界に来てから見た人族の中では、最も強い者だ。

 そいつ一人でも、あの貴族の馬車の一団を瞬殺できるのではないかというくらいの実力差だが、あんな雑魚盗賊の群れに加わっているのにはなにか理由があるのだろうか?

 こんなことを考えているうちに、早くも馬車の護衛連中のほとんどが制圧されていた。

 もちろん、全て同じ人物、レベル38の男が手を下していた。

 やられた護衛達も男の実力に驚いているが、一緒にいた盗賊達も驚愕の表情を浮かべていることから、きっと暗殺者か何かなのだろう。

 だが、そんな男の実力は、先程のハイオーガよりも格下に位置する雑魚なのだ。
 
 助けようと思えば、簡単に助けることは出来るのだが……助けたところで俺に何かメリットはあるだろうか……。

 そうだな……やはり貴族ならば美味いものばかり食べて舌が肥えているはず。
 そんな美食家貴族から美味い飯屋でも聞いて、みんなで食べにいけるくらいか?

 なんとも、弱いメリットだが、メリットが少しあるなら、やはり助けた方が俺にとっては得だろう。

 やってることは勇者であった時と何一つ変わらないが、あの時は無償で人助けをしていたのが、今ではメリットがなければ助けに行かないという選択肢が出来ているのだから、俺もしっかりと勇者をやめれているようで安心だ。

 っと、こんなくだらないことを考えているうちに、早くも暗殺者が馬車の中に入ろうとしている。

 さあ、さっさと片付けて、美味い飯屋を聞きに行くとしようか!
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