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二十九話 余裕の勝利
しおりを挟む「貴様になんの恨みもないが、これも任務なのでな、死んでもらおう!」
「いやぁーーーー!!」
地上に降りようとしたタイミングで、遂に暗殺者らしき人物が、馬車の中の貴族の元に辿り着くと、すぐに貴族を殺す動作に入る。
「では、死っ!! なんだ!?」
だが、そんな暗殺者らしき人物の背後を俺が取ると、咄嗟に貴族への攻撃モーションを止め俺の方を振り返る。が、遅すぎた。
「助太刀しよう」
俺は、一言貴族に伝えると、目の前の暗殺者らしき人物に、蹴りを見舞う。
「ぐがぁっ!!」
俺の手加減無しの一撃を避けられるはずもなく、暗殺者らしき人物は、馬車の扉を突き破って、遥か後方に飛ばされていく。
恐らく、今のでもう彼は死んだだろう。
「大丈夫か?」
「え、ええ、その、助けていただき……ありがとうございます」
俺は襲われていた貴族の女性に声をかけると、彼女は、何故か顔を赤らめてたどたどしく声を返してきた。
何故……って、そういえば魅力が上がっているんだったな。
ということは、これは各日にこの女性は、俺に惚れているだろうな……。
命の危険を颯爽と駆けつけ、救ってくれた者が容姿の整った男であったなら、一目惚れしてしまうのも仕方ない……か。
「ああ、通りかかったところで襲われているのを見かけたから、当然の行動をしたまでだ、気にする必要はないぞ。それと、恐らく君は貴族だろうが、生憎と俺は敬語が苦手でな、もしも、言葉遣いが汚い男と話をしたくないというなら、すぐに立ち去るが……」
「い、いえ! その必要はありません! た、確かに私は伯爵家の子女ですが、そのような小さいことは気にしませんので!」
うん、やはり間違いなく惚れられたな。
それにしても、貴族だとは思っていたが、伯爵家か……。爵位的には割と上の方だよな?
ふむ、これは中々良い巡り合わせになったかもしれない。
「か、頭? あの新入りがやられましたが、結果的に、護衛の奴らも残っていませんし、今のうちにみんなで襲っちゃいましょう!」
「あ、あぁ。でも、さっきのアイツを倒したやつがまだ中に……いや、全員でかかりゃなんとかなるか? よ、よし! 総員かかれ!」
「「「「へいっ!」」」」
暗殺者を退けたことで、一度は争いが止まったものの、それを好機と判断した、残っていた盗賊達が一斉に襲いかかろうとしている怒号が聞こえてくる。
「ま、まずいです! さ、さすがにあの量を一人では……す、すぐにここからお逃げください、旅の方!」
……ほぉ? あのクソ豚と同じ貴族だと言うのに、自分の身を危険に晒して、通りがかりの命の恩人である俺の命を助けるために行動するのか……。
中々、いい女だ。
容姿も整っているし、悪くないな。
「心配するな、今片付けてくる」
「えっ、ちょっと待っ……」
馬車から降りて盗賊を迎えようと動く俺を、彼女は止めようとしたが、そんなひ弱な女に止められる俺ではない。
彼女が俺を止めようと伸ばした腕を軽くいなし、盗賊達の前に出る。
「せっかく助けたんだから、最後まできっちりとやらねばならんからな。おい貴様ら、それ以上近づけば、問答無用で先程のやつ同様に殺すぞ。引き返すなら今のうちだが?」
「舐めんじゃねえ、もう既にこっちにも被害が出てんだ! 元とるのにものこのこ逃げ出すわけにゃいかねぇんだよ! 死ねぇ!!」
「「「「「うぉおおおぉ!」」」」」
恐らく盗賊の頭であろう、汚い格好の髭を生やした男が、俺の提案を一蹴すると、すぐさまその声に呼応した子分共々一斉に俺へと襲いかかってくる。
「いやぁーーーーーーー!」
その声を聞いて、悲惨な未来を予想したのであろう伯爵子女の悲鳴声が鳴り響くが、生憎とそんな悲惨な未来はやってこない。
「面倒だから一撃で終わらせよう。では、死ねっ!!」
俺は閉まっていた炎龍王の剣を構えると、先程ハイオーガの群れを倒した時同様に、炎の出力をゼロにした上で、横薙ぎに一閃した。
「何言ってやがる! 死ね…………なっ!?」
「「「「「ぎゃぁ……!」」」」」
俺の放った一撃は、寸分たがわず盗賊共の上半身と下半身の境目に到達し、十数人いた盗賊共を真っ二つに斬り裂いた。
「これでもう何も危険はないぞ、お嬢さん」
俺は一瞬で盗賊共を片付けると、目をつぶって馬車の中で蹲ってる伯爵子女の元へと移動し、安心できるように声をかけた。
「へ? い、いつの間に……す、凄い」
改めて俺の強さを目の当たりにした彼女は、益々俺のことを見る目がトロンとしてくる。
まあ、彼女の見た目はとても綺麗なので、そういった目を向けられても、まったく嫌な気持ちにはならないので、俺はあくまで気付かぬ振りに徹する。
「さっ、終わったし、俺は帰る……とはいかないな。君一人では帰れないし、良ければ護衛をしてあげようと思っているが、どうだ?」
「は、はい! お礼は必ず致しますので、よろしくお願いします!」
ここで断られたら、どうしようかと思ったが、問題なく許可は貰えた。
この子の目的地がここからどれだけ遠いかはわからないが、最悪抱き上げて飛んで移動すれば、すぐに終わるだろう。
今日の夜には、ラフリアへの褒美の件も残ってるし、早めに終わらせて、美味い飯屋の場所を報酬として教えてもらうか。
「じゃあ、行こうか! っと、名前を名乗っていなかったな。俺はリューだ。よろしくな」
「リュー様ですね、素敵な名前です。私はミリア・ランダードといいます。先程も言いましたが、爵位は伯爵で、次女に当たります。護衛、よろしくお願いしますね」
そうして、今更な自己紹介をお互いに済ませつつ、俺は彼女の護衛を開始した。
余談ではあるが、もちろん、元々の彼女の護衛であった、伯爵家の騎士達の死体は回収してあげた。
こういったところで、彼女の親である伯爵家当主に恩を売れると思うからな。
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