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勇ましい者の目覚め
5話
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闇の魔力が徐々に人型へと形態を変え、そして悪魔の姿へと変わった。
「私の名はレーヴァテイン!滅亡と創世の支配者だぜぇ!」
レーヴァテインと名乗った頭に漆黒の角を持つ悪魔は真っ白な長い髪を揺らしながら言う。
ふと、私は自分の右腕に違和感を感じて、右腕を見るといつもの様な黒い腕ではなく、全てを浄化するかの様な美しさの白い腕に変わっていた。
ヨムルンガンドが嫌そうな顔をしたまま言う。
「貴様…その小娘に取り憑いて生き延びておったのか?」
「そんなわけがない事くらい、お前ら、神なら解るだろう?いくら、私が悪の具現の存在…悪魔と言えど、自らの娘を利用するほど、落ちぶれてはおらぬ。」
レーヴァテインはその豊満な胸を張って堂々と言う。
彼女の深紅の瞳がヨムルンガンドを嘲笑う。
「その小娘が貴様の娘じゃと?精霊の力を持った、そやつが?貴様の娘?」
ヨムルンガンドは心底バカにしたような目でレーヴァテインを見る。
「アッハハハハ!あんた、気でも狂ったんじゃないの?悪魔のあんたが精霊の力の影響を受ければ、肉体自体が消滅する事はさすがのボクでも知っているよ!面白い事を言うんだねぇ!」
レーヴァテインは気にもしてなかった様に豪快に笑う。
「ガーハッハッハッ!ヨムルンガンドよ、お前も堕ちたものだな!その辺の低レベルな悪魔とは違うこの私が精霊の力程度で滅びる様なヤワな体じゃ無い事くらいわかると思っていたのだが」
私は何が何だか訳が分からなかった。
それもそのはず。
私たちの世界では、悪魔は精霊の力に弱く、精霊力によって肉体が消滅するのが、一般的に知られている悪魔の特徴だし、逆に精霊側も悪魔の力で肉体が消滅する事は誰もが知る常識であった。
実際に悪魔のせいで人に害が出る時にする悪魔祓いも精霊力によって悪魔の体を消滅させることで悪魔の脅威を取り除いているし…
そして、今目の前にいるこのレーヴァテインは私たちの世界では世界を滅ぼす力を持つ伝説の悪魔王なのだ。
伝説では、その力で敵対者を容赦なく破壊し、抵抗する国々を一夜で跡形もなく灰に変えたと言う様に伝わっている。
レーヴァテインは言う。
「リリス…いや、今はアリスだったな。今のお前の中には悪魔王の私と妖精王、シルフが居る。シルフはお前に王としての力を行使させるとの事だ。その証として、お前のその右腕が白く輝いておるだろう?」
「伝説の妖精王シルフ…」
マリアが小さく呟く。
シルフは伝説に語られる妖精王であり、世界を守護する者として、人の世を荒らすレーヴァテインと激しい戦いを繰り広げて世界を護ったと伝わっている。
伝説では、レーヴァテインと互角の力で戦ったとされている。
レーヴァテインはヨムルンガンドを見て言う。
「図らずともお前らの願いは達成されたと言う訳だ。お前の神聖が私の復活のトリガーとなり、シルフを解放する事が出来た。つまり、勇者の誕生って訳だ。」
ヨムルンガンドは驚いた様子で身体を震わせる。
「そんなバカな…本当に…本当に勇者が…神の力を持って誕生するはずの勇者が…」
レーヴァテインは当然だといいだけに胸を張る。
「お前ら神も、私たち悪魔も、シルフたち精霊も、アリス…は厳密にはちょっと違うが、人間たちも元は一つの創世者からわかたれた存在だ。そして、神は観測する者として、悪魔は変化を起こす者として、精霊は乱れを正す者としての役割を与えられた。そして、人間には神、悪魔、精霊…この3種を制する者としての役割が与えられた。それがこの世界の理だぜ。それ故に私は相反する属性の精霊の力で消滅する事は無いし、シルフも私の力で消滅する事は無い。ヨムルンガンド、それはお前ら神も同じだ。神に神は倒せぬ様に…人の子だけが我々を倒す事が出来るのだ。」
それまでずっと黙っていた龍人の少女がポツリと言う。
「それだと我ら龍の存在意義がないでは無いか…」
マリアは思い出した様にふと言う。
「龍は神の目、魔は悪魔の耳、光は精霊の声、目覚は人の意思、全てが巨悪を制する力…」
私たちには聞き慣れた昔からの言葉だ。
「私たちの教えた事はちゃんと人間どもに受け継がれていたようだな!」
レーヴァテインは嬉しそうに笑っていた。
そして、この場にいる誰の声でもない声がこの場に存在する者たちの脳内に直接送られる。
『やっほ~!俺だよ~!みんな、聞こえてる~?』
私たちは当たりをキョロキョロと見回す。
レーヴァテインは呆れた様子でため息をついていた。
『あれ~?聞こえてないのかな~?おーい!俺だよ~!聞こえてますか~』
「シルフ…私はともかく、そのままの状態だと誰もわからねぇっていつも言ってるよなぁ?いい加減、学習しろや!それと自己紹介くらいしたらどうなんだ?」
『あ、レーちゃんだ~!おっひさ~!愛しのシルフ君だよ~』
そう言ったかと思えば、突然私の腕から眩い光とともに綺麗な黒い長髪の青い目の男性が現れる。
私の腕はもう片方の腕と同じような色になっていた。
男性は透き通る様な虹色の羽をパタパタと忙しなく動かして宙に浮いていた。
「お?ヨムムン君も居るじゃないか~!ちょうど良かったよ~!君の力を貸してほしくてさ~…リリスちゃんに破壊神カーリーちゃんの力を継承してほしくてさ~…カーリーちゃんに会いたいんだけど、連れてこれる~?」
私はもう訳が分からなかった。
レーヴァテインは私に同情をする様な目で見る。
と言うか、多分同情されてる。
ちなみにカーリーはこの世界の破壊神として破壊によって世界を守護する神様だ。
神の中でも特に美しい容姿を持っており、格別に高い戦闘能力と好戦的な性格の闘神でもあり、自分より弱い者に関しては無関心を貫くほどの戦闘狂であり、唯一自分を超えた名も無き古き神に対して度重なる決闘と敗北の後に何度も求愛したと言われるほどに実力主義者だったようだ。
完全に空気と化した龍人の少女とマリアはあまりにカオスな現実の前に放心状態となっていた。
「あんたねぇ…自分の娘に挨拶も無しで他の女に会おうとしてんじゃねぇよ!」
レーヴァテインは若干キレ気味な口調で言う。
て言うか、これはキレてるのでは?
シルフはヘラヘラと笑いながら、レーヴァテインに言う。
「いやぁ~…ついつい、リリスちゃんに力を与える事を考えちゃってさ~…そろそろ、アレ、蘇るじゃん?だから、せめてリリスちゃんには生きててほしいからさ~…」
「言い訳すんなアホ!脳天かち割られたくなければ、とっとと頭下げてアリスに謝れ!」
レーヴァテインが私を指さして言う。
シルフはヘラヘラと笑ってはいたが、言われた通りに頭を下げる。
「いや~…リリスちゃん、ほっといてごめんね~?」
「え?あ、はい…大丈夫です?」
レーヴァテインはもうヤダこいつと聞こえそうな勢いで顔を押さえていた。
ヨムルンガンドはこっそりと帰ろうとしていた。
「あ、待って~!ヨムムン君~!お願いだから、カーリーちゃんを連れて来てちょ~だい!ほんとにヤバいんだよ~!」
ヨムルンガンドはめんどくさい事になったと大きくため息をつく。
「一応、声はかけておくっす…なんか気が抜けちゃったし、もう疲れたのでボクは帰ります。元々ここに来たのは勇者の力を目覚めさせるのが目的だったんで…」
ヨムルンガンドは完全に意気消沈して落ち込んでいるのが目に見えてわかるようなテンションの下がり具合で天界に帰る。
レーヴァテインが龍人の女の子とマリアに言う。
「多分、これからもこんなことばっかり起きると思うけど、うちのアリスと仲良くしてやってくれよな。」
「あっ…はい…よろしくお願いします?」
女の子は首を傾げながらぎこちなく返事をする。
マリアは何も言わずにただ黙って頷いていた。
シルフはヘラヘラと笑いながら、私に言う。
「そうそう!リリスちゃん…じゃなくて、今はアリスちゃんなんだっけ?」
「はい。アリスです。」
「もし僕の力を使う時はリリスちゃんとして力を使ってね!ホントは今の君の名前のアリスちゃんで登録しようと思ってたんだけど、間違えちゃって…そんなわけだから、よろしくね!ばいばーい!」
シルフはそう言うと光の粒子になって、私の腕の中に入る。
レーヴァテインは大欠伸する。
「ふわぁ…久々にあのバカの相手したから疲れたわ…アリス、私の力は今のお前には危険だ。だから、まずはシルフの力を使いこなせるようになれ。それまでは私がこうして傍で見ててやる。何、今のお前の力ならすぐに使いこなせる様になるさ!気楽に構えていこうぜ!」
レーヴァテインの力強い笑顔に勇気が出る。
今までの比じゃないくらい強くなれる気がする。
私はレーヴァテインに言う。
「まかせて!今の私なら何にだってなれる気がする!」
私たち4人はそのままダンジョンを攻略して地上に戻る。
階層が浅かったおかげで4時半頃にはダンジョンを出る事が出来た。
時間が押している事もあり、急いで龍車に乗って、待機していたピロシキにダンジョンの中にいる時にレーヴァテインから教わった精霊魔法をかけて強化する。
「ご主人様、私めを強化してくださり、ありがとうございます!このご恩は一生忘れる事はありませんぞ!」
ピロシキは精霊魔法の強化によって、発話能力を得て、身体も今までとは比べ物にならないほどに強化される。
ピロシキは私たちを乗せた龍車を引きながら、とても嬉しそうに全速力でギルドに戻り始める。
私はふと、一緒に来てた龍人の女の子の方を向く。
「なんじゃ?」
「あ、えっと…」
私は何も考えてなかったので返答に迷っていると…
「…マリア、貴方の名前…知らない…」
マリアが龍人の女の子を指さして言う。
こっそりと私にアイコンタクトを取ったのは助け舟のつもりだったのだろう。
彼女の気づかいにはとても助けられている。
しかし、よく気がつくな…
龍人の女の子は不思議そうに首を傾げながら言う。
「魔物に名前は無いぞ?私は炎龍人と言う魔物括りに居る炎龍の亜人じゃからの。じゃから、好きに呼ぶとよい。」
マリアが私の顔を見る。
龍人の女の子もそれに合わせて私の顔を見る。
「じゃあ…」
私はどこか懐かしさを感じる様な名前を呼ぶ。
「クレア、よろしくね!」
龍人の女の子はニィっと口角を上げて笑って言う。
「応!これからもよろしくな!ご主人!」
…
やあ!皆、私だよ!
…え?誰だかわからんわって?
いつもの観測者でっす(キラッ)
あ、ごめんなさい!引かないで!
ちょっとだけお時間くださいいいい!
あのですね…
今までは書き溜めてたものを手直ししたりしていたので一週間くらいで出せていたのですが…
書き溜めてたものがここまでしかなくて、今急ピッチで書いてるんですけど、なかなか進みそうもなくて死んでるんですよ。
こんなネタはどう?とか、このネタ使ってって言うネタの提供もしていただけるとネタ切れ待ったナシの現状的に助かります(他力本願寺)
ってな訳で、めっちゃ時間かかるかもしれないんですけど、なるはやで仕上げますんでどうかお許しを…!
次回!私が飲みてぇのは綾鷹だぁ!デュエルスタンバイッ!
…ちなみに私は特に綾鷹が好きではないです。
「私の名はレーヴァテイン!滅亡と創世の支配者だぜぇ!」
レーヴァテインと名乗った頭に漆黒の角を持つ悪魔は真っ白な長い髪を揺らしながら言う。
ふと、私は自分の右腕に違和感を感じて、右腕を見るといつもの様な黒い腕ではなく、全てを浄化するかの様な美しさの白い腕に変わっていた。
ヨムルンガンドが嫌そうな顔をしたまま言う。
「貴様…その小娘に取り憑いて生き延びておったのか?」
「そんなわけがない事くらい、お前ら、神なら解るだろう?いくら、私が悪の具現の存在…悪魔と言えど、自らの娘を利用するほど、落ちぶれてはおらぬ。」
レーヴァテインはその豊満な胸を張って堂々と言う。
彼女の深紅の瞳がヨムルンガンドを嘲笑う。
「その小娘が貴様の娘じゃと?精霊の力を持った、そやつが?貴様の娘?」
ヨムルンガンドは心底バカにしたような目でレーヴァテインを見る。
「アッハハハハ!あんた、気でも狂ったんじゃないの?悪魔のあんたが精霊の力の影響を受ければ、肉体自体が消滅する事はさすがのボクでも知っているよ!面白い事を言うんだねぇ!」
レーヴァテインは気にもしてなかった様に豪快に笑う。
「ガーハッハッハッ!ヨムルンガンドよ、お前も堕ちたものだな!その辺の低レベルな悪魔とは違うこの私が精霊の力程度で滅びる様なヤワな体じゃ無い事くらいわかると思っていたのだが」
私は何が何だか訳が分からなかった。
それもそのはず。
私たちの世界では、悪魔は精霊の力に弱く、精霊力によって肉体が消滅するのが、一般的に知られている悪魔の特徴だし、逆に精霊側も悪魔の力で肉体が消滅する事は誰もが知る常識であった。
実際に悪魔のせいで人に害が出る時にする悪魔祓いも精霊力によって悪魔の体を消滅させることで悪魔の脅威を取り除いているし…
そして、今目の前にいるこのレーヴァテインは私たちの世界では世界を滅ぼす力を持つ伝説の悪魔王なのだ。
伝説では、その力で敵対者を容赦なく破壊し、抵抗する国々を一夜で跡形もなく灰に変えたと言う様に伝わっている。
レーヴァテインは言う。
「リリス…いや、今はアリスだったな。今のお前の中には悪魔王の私と妖精王、シルフが居る。シルフはお前に王としての力を行使させるとの事だ。その証として、お前のその右腕が白く輝いておるだろう?」
「伝説の妖精王シルフ…」
マリアが小さく呟く。
シルフは伝説に語られる妖精王であり、世界を守護する者として、人の世を荒らすレーヴァテインと激しい戦いを繰り広げて世界を護ったと伝わっている。
伝説では、レーヴァテインと互角の力で戦ったとされている。
レーヴァテインはヨムルンガンドを見て言う。
「図らずともお前らの願いは達成されたと言う訳だ。お前の神聖が私の復活のトリガーとなり、シルフを解放する事が出来た。つまり、勇者の誕生って訳だ。」
ヨムルンガンドは驚いた様子で身体を震わせる。
「そんなバカな…本当に…本当に勇者が…神の力を持って誕生するはずの勇者が…」
レーヴァテインは当然だといいだけに胸を張る。
「お前ら神も、私たち悪魔も、シルフたち精霊も、アリス…は厳密にはちょっと違うが、人間たちも元は一つの創世者からわかたれた存在だ。そして、神は観測する者として、悪魔は変化を起こす者として、精霊は乱れを正す者としての役割を与えられた。そして、人間には神、悪魔、精霊…この3種を制する者としての役割が与えられた。それがこの世界の理だぜ。それ故に私は相反する属性の精霊の力で消滅する事は無いし、シルフも私の力で消滅する事は無い。ヨムルンガンド、それはお前ら神も同じだ。神に神は倒せぬ様に…人の子だけが我々を倒す事が出来るのだ。」
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「それだと我ら龍の存在意義がないでは無いか…」
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「龍は神の目、魔は悪魔の耳、光は精霊の声、目覚は人の意思、全てが巨悪を制する力…」
私たちには聞き慣れた昔からの言葉だ。
「私たちの教えた事はちゃんと人間どもに受け継がれていたようだな!」
レーヴァテインは嬉しそうに笑っていた。
そして、この場にいる誰の声でもない声がこの場に存在する者たちの脳内に直接送られる。
『やっほ~!俺だよ~!みんな、聞こえてる~?』
私たちは当たりをキョロキョロと見回す。
レーヴァテインは呆れた様子でため息をついていた。
『あれ~?聞こえてないのかな~?おーい!俺だよ~!聞こえてますか~』
「シルフ…私はともかく、そのままの状態だと誰もわからねぇっていつも言ってるよなぁ?いい加減、学習しろや!それと自己紹介くらいしたらどうなんだ?」
『あ、レーちゃんだ~!おっひさ~!愛しのシルフ君だよ~』
そう言ったかと思えば、突然私の腕から眩い光とともに綺麗な黒い長髪の青い目の男性が現れる。
私の腕はもう片方の腕と同じような色になっていた。
男性は透き通る様な虹色の羽をパタパタと忙しなく動かして宙に浮いていた。
「お?ヨムムン君も居るじゃないか~!ちょうど良かったよ~!君の力を貸してほしくてさ~…リリスちゃんに破壊神カーリーちゃんの力を継承してほしくてさ~…カーリーちゃんに会いたいんだけど、連れてこれる~?」
私はもう訳が分からなかった。
レーヴァテインは私に同情をする様な目で見る。
と言うか、多分同情されてる。
ちなみにカーリーはこの世界の破壊神として破壊によって世界を守護する神様だ。
神の中でも特に美しい容姿を持っており、格別に高い戦闘能力と好戦的な性格の闘神でもあり、自分より弱い者に関しては無関心を貫くほどの戦闘狂であり、唯一自分を超えた名も無き古き神に対して度重なる決闘と敗北の後に何度も求愛したと言われるほどに実力主義者だったようだ。
完全に空気と化した龍人の少女とマリアはあまりにカオスな現実の前に放心状態となっていた。
「あんたねぇ…自分の娘に挨拶も無しで他の女に会おうとしてんじゃねぇよ!」
レーヴァテインは若干キレ気味な口調で言う。
て言うか、これはキレてるのでは?
シルフはヘラヘラと笑いながら、レーヴァテインに言う。
「いやぁ~…ついつい、リリスちゃんに力を与える事を考えちゃってさ~…そろそろ、アレ、蘇るじゃん?だから、せめてリリスちゃんには生きててほしいからさ~…」
「言い訳すんなアホ!脳天かち割られたくなければ、とっとと頭下げてアリスに謝れ!」
レーヴァテインが私を指さして言う。
シルフはヘラヘラと笑ってはいたが、言われた通りに頭を下げる。
「いや~…リリスちゃん、ほっといてごめんね~?」
「え?あ、はい…大丈夫です?」
レーヴァテインはもうヤダこいつと聞こえそうな勢いで顔を押さえていた。
ヨムルンガンドはこっそりと帰ろうとしていた。
「あ、待って~!ヨムムン君~!お願いだから、カーリーちゃんを連れて来てちょ~だい!ほんとにヤバいんだよ~!」
ヨムルンガンドはめんどくさい事になったと大きくため息をつく。
「一応、声はかけておくっす…なんか気が抜けちゃったし、もう疲れたのでボクは帰ります。元々ここに来たのは勇者の力を目覚めさせるのが目的だったんで…」
ヨムルンガンドは完全に意気消沈して落ち込んでいるのが目に見えてわかるようなテンションの下がり具合で天界に帰る。
レーヴァテインが龍人の女の子とマリアに言う。
「多分、これからもこんなことばっかり起きると思うけど、うちのアリスと仲良くしてやってくれよな。」
「あっ…はい…よろしくお願いします?」
女の子は首を傾げながらぎこちなく返事をする。
マリアは何も言わずにただ黙って頷いていた。
シルフはヘラヘラと笑いながら、私に言う。
「そうそう!リリスちゃん…じゃなくて、今はアリスちゃんなんだっけ?」
「はい。アリスです。」
「もし僕の力を使う時はリリスちゃんとして力を使ってね!ホントは今の君の名前のアリスちゃんで登録しようと思ってたんだけど、間違えちゃって…そんなわけだから、よろしくね!ばいばーい!」
シルフはそう言うと光の粒子になって、私の腕の中に入る。
レーヴァテインは大欠伸する。
「ふわぁ…久々にあのバカの相手したから疲れたわ…アリス、私の力は今のお前には危険だ。だから、まずはシルフの力を使いこなせるようになれ。それまでは私がこうして傍で見ててやる。何、今のお前の力ならすぐに使いこなせる様になるさ!気楽に構えていこうぜ!」
レーヴァテインの力強い笑顔に勇気が出る。
今までの比じゃないくらい強くなれる気がする。
私はレーヴァテインに言う。
「まかせて!今の私なら何にだってなれる気がする!」
私たち4人はそのままダンジョンを攻略して地上に戻る。
階層が浅かったおかげで4時半頃にはダンジョンを出る事が出来た。
時間が押している事もあり、急いで龍車に乗って、待機していたピロシキにダンジョンの中にいる時にレーヴァテインから教わった精霊魔法をかけて強化する。
「ご主人様、私めを強化してくださり、ありがとうございます!このご恩は一生忘れる事はありませんぞ!」
ピロシキは精霊魔法の強化によって、発話能力を得て、身体も今までとは比べ物にならないほどに強化される。
ピロシキは私たちを乗せた龍車を引きながら、とても嬉しそうに全速力でギルドに戻り始める。
私はふと、一緒に来てた龍人の女の子の方を向く。
「なんじゃ?」
「あ、えっと…」
私は何も考えてなかったので返答に迷っていると…
「…マリア、貴方の名前…知らない…」
マリアが龍人の女の子を指さして言う。
こっそりと私にアイコンタクトを取ったのは助け舟のつもりだったのだろう。
彼女の気づかいにはとても助けられている。
しかし、よく気がつくな…
龍人の女の子は不思議そうに首を傾げながら言う。
「魔物に名前は無いぞ?私は炎龍人と言う魔物括りに居る炎龍の亜人じゃからの。じゃから、好きに呼ぶとよい。」
マリアが私の顔を見る。
龍人の女の子もそれに合わせて私の顔を見る。
「じゃあ…」
私はどこか懐かしさを感じる様な名前を呼ぶ。
「クレア、よろしくね!」
龍人の女の子はニィっと口角を上げて笑って言う。
「応!これからもよろしくな!ご主人!」
…
やあ!皆、私だよ!
…え?誰だかわからんわって?
いつもの観測者でっす(キラッ)
あ、ごめんなさい!引かないで!
ちょっとだけお時間くださいいいい!
あのですね…
今までは書き溜めてたものを手直ししたりしていたので一週間くらいで出せていたのですが…
書き溜めてたものがここまでしかなくて、今急ピッチで書いてるんですけど、なかなか進みそうもなくて死んでるんですよ。
こんなネタはどう?とか、このネタ使ってって言うネタの提供もしていただけるとネタ切れ待ったナシの現状的に助かります(他力本願寺)
ってな訳で、めっちゃ時間かかるかもしれないんですけど、なるはやで仕上げますんでどうかお許しを…!
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