魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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新たな出発

4話

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その中に入った瞬間に私はある気配を感じた。

「不味いわね…この気配はモンスターハウスよ。紋章がある主モンスターを倒さないとこの部屋から出られないわ。」

モンスターハウスは特殊な結界の張られた部屋フロアの事をさしている。
この結界には様々な条件がついているが、私の場合は固有能力の超直観によって、その条件を感覚的に知る事が出来るため脱出が出来ない訳では無い。
ちなみにマリアには魔術鑑定と言う特殊魔法プレミアマジックによって、解読自体は出来るが、断片的かつ抽象的な条件しかわからないらしい。
そのため、通常だと一度モンスターハウスに入ると出られない事が多く、その影響で別名とも呼ばれる程の恐ろしい場所なのだ。

いつもは離脱デジョンの魔法が込められた石を持っているのだが、今日は珍しく忘れてきてしまったせいでモンスターハウスに入ったら、デジョンで脱出すると言う事ができないのだ。

とは言え、私にはこの結界を突破する方法がある。

「こんな結界も壊し方を知ってればぶん殴って破壊出来るのよね…まあ、それでもかなり要求される威力が高いけど…」

どこからともなく巨大なドラゴンの咆哮が聞こえる。

「それに…よりによって、S級モンスターの煉獄龍グレントドラゴンとはね…」

私は技能を応用した特技で耐熱の気力オーラを放つ。

グレントドラゴンが地面に着地すると全てを焼き尽くすような灼熱が吹き荒れる。

私たちは私のオーラで何とか無傷で生きてる状態だ。

マリアが恐る恐る言う。

「アリス姉…大丈夫?」

「大丈夫…これくらいなら、余裕を持って倒せそうではあるけど…」

私はグレントドラゴンに向き合う。

グレントドラゴンはマリアなど存在しないかのように私だけに集中する。

「マリア、貴方は何もしないでいいわよ。おそらく、巻き込まれないようにするので手一杯になるから…」

「わかった…でも、無理しないでね!」

「おうさ!」

私は技能の覇気纏はきまといを使って自身の身体に烈火の覇気オーラを纏う。

グレントドラゴンはニヤリと笑いながら言う。

「ヒサカタブリニツヨキモノトデアエタ…ワレノチカラ、ゾンブンニアジワウガヨイ!」

「ふーん?いくら貴方が通常種ノーマルより強固な個体の固有種ユニークでも、そんな悠長にお喋りするなんて随分と余裕なのね?まあ、私も貴方の事言えないけど…」

私が拳を構えるとグレントドラゴンの口から炎が漏れ出す。

「マリア、私が動いたら、壁際でありったけの氷魔法で自分を覆いなさい!後はマリアの判断に任せるから!」

私はマリアにそれだけの指示をして、技能の縮地法で一瞬の間にグレントドラゴンを間合いに入れる。

「わかったわ!大いなる白の煌めきよ!我が盾となり顕現せよ!『ブリザードウォール』!」

マリアは壁際まで後退しながら詠唱をし、全てを凍てつかせるほどの氷の壁を自身の周りに張り巡らせる。

グレントドラゴンはそんなことなどわかっていたと言いたげに自身を中心とした爆炎を解き放つ。

私はすぐにその場で力一杯に拳を地面に叩きつける。

その衝撃で部屋の壁際の地面が盛り上がり、そのまま壁際で待機していたマリアの身体が持ち上がる。
そして、拳を叩きつけた衝撃と烈火の覇気がグレントドラゴンの爆炎を完全に遮断する。
マリアが氷の魔法で爆炎を防いだところを確認して、グレントドラゴンに威圧オーラを飛ばす。

私はグレントドラゴンが驚いて一瞬怯んだ隙をついて、グレントドラゴンの腹を目掛けてアッパーを突き立てる。

「グヌゥ?!」

グレントドラゴンの身体が少しだけ宙に浮く。

私はそのまま地を蹴って連続でパンチをする。

グレントドラゴンの身体がそのまま私の勢いのままに宙に浮かされる。

私はグレントドラゴンの外皮ごと、その巨体の腹の肉を握り締める。

「どらっしゃあああああああ!」

私はそのまま身体を捻ってグレントドラゴンを地面に叩きつける。

グレントドラゴンが叩きつけられたところを中心に大きなクレーターが出来る。

グレントドラゴンはうつ伏せの状態で口から血を吐いて気絶していたが、討伐がこの部屋からの解放条件なので容赦なく脳天をぶん殴る。

「ギャン?!」

グレントドラゴンの大きく見開いた目が上を向いて白くなり、鼻からも血が垂れる。

部屋の感覚が変わらない事から、まだモンスターが居る可能性があると思って警戒する。
この部屋の結界の力で部屋の状態が元に戻る。

しばらくするとグレントドラゴンは小さくなっていき、やがて背中に大きな翼と龍の尻尾のある龍人へと変化していく。
それは燃える様な緋色の長い髪の紅蓮の瞳の私とよく似た体型の一人の龍人りゅうじんの顔面血まみれの少女の姿をしていた。

「いったぁ…この獣人、どんだけ怪力お化けなのじゃ…絶対ゴリゴリラの化身じゃろ…我が生命力旺盛な龍人じゃなかったら、今のは絶対死んでたんじゃが…」

私は龍人の少女の方へ歩く。

ただし、溢れんばかりの殺気オーラは抑えずにだ。

「これ以上、邪魔をするなら殺す。この部屋の結界を解け。」

「ま、待ってほしいのじゃ!ここは我の部屋じゃ無いのじゃ!本当なのじゃ!その証拠に我の身体のどこを見ても主である紋章は無いはずじゃ!ほれ!存分に調べてみるがよいぞ!」

少女は素裸のままわちゃわちゃと腕を振りながら言う。

念の為に少女の言葉通りに身体をくまなく調べる。

少女は真っ赤な顔をしたままホッとした様子で口から垂れる血を右腕で拭く。

「どうじゃ?紋章は無かったであろう?だから、何か羽織るものを分けてほしいのじゃ。さすがにこの姿を強者のお主の目に晒すのは恥ずかしいのじゃ…」

私は予備の衣類を持ってない為、バックから包帯と余っていた布を取り出す。

そして、それを慣れた手つきで少女の身体に巻きつけ、最後に少し大きめの布を少女の腰に巻く。

「ありがとうなのじゃ!」

「邪魔をしないなら、貴方は無害だと判断した。ただそれだけよ。龍人の姿も人語ヒューマグラムを喋るモンスターも初めて見たから、面白いし、実験台にしてもいいかも…」

少女はそれを聞くとガーンと言う効果音がなりそうなほどショックを受けた目をしていた。

「まあ、さすがに冗談だけどさ…」

私は気配を感じて天井を見る。

「あいつを倒した後でじっくり貴方について教えてもらうわよ?」

私はそれだけを言って技能でジャンプ力を強化する。

そして、地面が割れるほどの勢いで天井に飛び上がる。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおーん!!!!」

ちょうど天井から、SS級モンスターの禍津狼まがつろうが雄叫びを上げながら、降ってくるところだった。

私はそのまま禍津狼の顔を殴る。

「でやぁ!」
「キャウン?!」

禍津狼が驚いた表情になったかと思うとグルングルン回りながら、落ちていった。

私はそのまま技能で圧縮した空気を蹴って地面に叩きつけられた禍津狼の脳天をぶん殴る。

「もういっちょくらえ!」
「ギャウウウン!」

禍津狼は痛そうな鳴き声をあげて、怒ったように私を見て魔力を高める。

「アオーン!」

鋭く尖った無数の氷の槍が瞬時に現れ、私を刺し殺そうと放たれる。

「さすがに一筋縄ではいかないわね…」

あまりの多さに命の危険を感じながらも脱する手立てを考えていた時だった。

「喰らえ!爆炎弾!」

少女の口から無数の炎の玉が放たれる。

その炎から溢れる熱が瞬時に全ての氷の槍を蒸発させる。

少女は胸を張って言う。

「やい!犬っころ!こっちにも獲物は居るぞ!」

禍津狼は苛立ちを隠す事無く少女に凍える爪を突き立てようとする。

少女の身体から灼熱の炎が漏れ出す。

「これで焼犬にしてやろう。我が身体から溢れし、灼熱の魔力マナよ!我が爪に宿り、眼前を焼き尽くせ!バーンネイル!」

一瞬にして爪に凝縮された灼熱の炎が禍津狼を焼き尽くそうと猛威を振るう。

禍津狼は溢れる氷の力で灼熱の中の少女としばらく爪を合わせていたが、やがて禍津狼の力が弱まっていき、属性不利で押し負けた様だ。

禍津狼は全身を灼熱の炎に焼かれる。

「グルルルル…アオォォォォオン!」

力尽きる直前に禍津狼は雄叫びをあげて倒れる。

部屋の空気が少し変わった気がしたが、相変わらず出れそうな様子はなかった。

「次が最後だとは思うのだけれど、私の感知能力範囲では感知出来ないわね…」

しばらく辺りを警戒しているとマリアが言う。

「アリス姉!」
「そこだ!」

私はマリアの言葉を聞き終わる前に振り返りざまのパンチをお見舞いする。

確かな手応えはあったが、は私の拳を受け止めていた。

「お前は…!」

白髪の長い髪で頭に禍々しい角の生えた中性的なが居た。

私は瞬時にそいつの手を振りきって、後ろに飛び退く。

そのヒトのようなものはその種族特有の黄色い目を輝かせながら言う。

「よくぞ我が下僕を打ち倒したな人の子よ…」

そいつは一瞬で禍津狼を完全再生する。

さらにその間に強化魔法を施しており、禍津狼は災害級モンスター並の強さになっていた。

いや、単純な強さだけなら、災害級よりも強いかもしれない。

そいつはニヤリと不気味に笑って言う。

「人の子よ。我が名はヨムルンガンドだ。龍の女を倒した汝、我に名を聞かせるが良い。」

ヨムルンガンドが私を指さして言う。

「…私はアリス。ところでそのヨムルンガンドとやらに聞きたいのだが、見たところの魔人であるあんたが何故、伝説の蛇神ヘビガミの名を名乗っているのかしら?あんたら、魔人にとって名前は存在そのものを現すものだったと思うんだけど…」

ヨムルンガンドは特に気にした様子もなく言う。

「ふむ…アリスとやら、汝は少し誤解をしておるぞ。我は魔人では無い。嘘偽りの無い蛇神ヨムルンガンドそのものだ!平時は人の前に現れる際に大蛇の姿を模しているだけじゃな。」

ヨムルンガンドは美しさと禍々しさの入り交じった笑みを浮かべて言う。

「さて、我がわざわざここに来た理由だが…先程、神々の会議で汝には神として、再び復活の兆しがみえる邪神討伐の役目を負ってもらう事に決まった。世界の危機ゆえ、拒否は許さぬ。もちろん、この犬っころの様にそれに伴う能力強化もしてやるぞ。さあ、好きな能力を言うが良い。」

私はあまりの身勝手さに少し苛立ちを感じる。

マリアも腰に差している政宗に手をかけようとしていた。

「ククク…神聖な気高き神々の軍勢がこのに助力をこうとはのぅ…神の力もやらも落ちぶれたものよ…」

突如として、私の右腕から、闇の魔力が溢れ出る。

「貴様…生きておったのか…」

ヨムルンガンドは心の底から憎しみを露にするかのような表情をする。

















観測者は一人薄暗い部屋で言う。

「筆が重い…って、誰の体重が重いってかぁ!」

観測者の声が虚しく響く。

「てか、これ本編と全く関係無いよね?ね?」

次回、作者真面目にやれ!デュエルスタンバイッ!
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