魔法の使えない無能と呼ばれた私は実は歴代最強でした。

こずえ

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勇ましい者の目覚め

6話

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私たちはギルドに戻る。

その頃には既に5時前であったため、冒険者もちらほらと集まり始めていた。

が私に気づいて駆け寄ってくる。

「アリス!」

「リリア?!わっとっと…」

勢いよくリリアが飛びついてくる。

「リ、リリア…ちょっと苦しい…」

「ダメなの」

リリアはギューっと私の身体を抱き締める。

あまりに力強いので少しだけ苦しい…

「リリア、アリス姉が苦しがってるから、離れなさい。」

「嫌なの…怖かったの…」

リリアは余程怖かったのか、私の胸に顔を押し当てたまま、幼さの残る顔からポロポロと涙を流し始める。

私はリリアの身体を抱き締め返す。

「ごめんね…昨日の今日で一人にされたら、誰でも怖いよね…」

マリアもそれに気がついたようで「マリアも置いて行ってごめんなさい」とリリアに謝っていた。

「もう1人…しない…約束…」

私たちはリリアと指切りで約束する。

話が終わるのを待っていた様子でグラディオスが向かって来る。

「よお。随分と早い帰りだったな。それと、おもしれぇもん連れて帰ってるじゃねぇか!」

グラディオスはレーヴァテインとクレアに言う。

「一応、悪魔の嬢ちゃんの方はわかるが、龍人の嬢ちゃんの方はなんて名前なんだ?」

クレアは堂々と胸を張って言う。

「クレアだ!よろしくなおっさん!」

「おう。後、俺はおっさんじゃなくて、グラディオスだ。よろしくな。」

レーヴァテインは楽しそうに微笑む。

「一応、私もを言った方が良いか?」

グラディオスは何かを察した様子で言う。

「そうだな。に名前を聞いておくとするか!」

レーヴァテインはニヤリと不敵に笑って言う。

「なら、私の名はだ!どうだい?いい名前だろ?」

「ああ、とても素晴らしい名前だと思うぜ。」

グラディオスは手元の書類を確認しながら、不敵に笑う。

私は不思議な感覚がした。

この二人はまるで…
そうまるで…

みたいだ。

小さい頃からの付き合いのように感じる。

それはとても長く深いものだと本能的に感じるほどに感覚だった。

リリアがボソッと言う。

「リリア…まだ…」

「んあ?そうだったな。リリアも転職するんだっけ?俺が見た感じだと、魔力も筋力も上級クラス並に高いから、アリスと同じ魔闘士か大斧を担いで戦い、魔法による回復もこなせる戦乙女バトルシスターが適正だと思うが…」

リリアは初めから決まっていると言いたげな表情で言う。

「リリア…回復する…これからの活動に必要だと思ったから…」

「おう!なら、右腕を出しな。」

リリアが右腕を出すとグラディオスが呪文を唱える。

「我、新たなる道を授けし者…彼の者、その道を歩みし者…これより汝を戦乙女として導く者…その道を照らし、しるべとなれ!」

リリアの服装がガラリと変わる。

今までの魔道士って感じの服装から、巨大な大斧を背中に背負った修道女と蛮族を掛け合わせたような露出の多い服装になる。

リリアは少しだけ恥ずかしそうに胸の辺りを見つめていた。

「お前ら、ほんとにすげぇな…2人揃って固有装備ユニークアーマーを手に入れるなんてすげぇじゃねぇか!ちなみにその大斧は伝説の戦乙女、ワルキューレが使っていたとされる神雷の大斧ワルキューレアックスと呼ばれるものだな。所持者の筋力と魔力を10倍にはね上げる能力があるぜ。そして、その服もまたワルキューレに関わる伝説の服だ。ワルキューレの戦場着と呼ばれる服で所持者の能力を7倍まで強化し、回復魔法の効力を800倍にする能力があるぜ。また修道女シスター専用の回復魔法を扱える能力もあるぜ。」

リリアはあまり実感は無さそうであったが、少し嬉しそうに体を見回していた。

「力が…溢れる…今なら、なんでも叩き潰せそうなくらい…」

クレアはどこか羨ましそうに見ていた。

「クレアもなんか職についてみるか?」

「い、いや…今は…いい…龍になれなくなるのは困るし…」

クレアは興味津々なのがバレて恥ずかしいのか、少し顔が赤くなっていた。

「そうかい?変身能力自体は種族の固有能力だから、制限はされないから、気が向いた時にでも声をかけてくれよな!今より強くなれる事は私が保証するぜ!」

レーヴァテイン…もとい、ダリアンは少し期待した様子で言う。

「ねぇ?グラディオスくん、ならどれがいいと思う?」

「そうだな…」

グラディオスは悩ましいと言いたげな表情で言う。

「正直に言うとお前さんは適性があり過ぎてな…だが、あえて一つだけ言うなら、召喚士サモナーなんかどうだ?今のお前さんになら、ピッタリな職だと思うが…」

「ふーん?あんたの目にはそう見えた訳ね…」

「んふっ」とダリアンは怪しく微笑む。

「良いわ!ゾクゾクする!グラディオスくん、ちゃんと導いてよね!」

ダリアンは右腕を出す。

「やれやれ…とんだ戦闘民族だな。まあ、私も人の事は言えないか…」

呆れた様子でグラディオスは呪文を唱える。

「汝は新たな道を歩みしもの…我は導き手…汝に高みを見せるもの…汝に召喚士の道を示すもの!」

ダリアンのステータスが少しそれように変化する。

「まあ、さすがに私レベルになると固有装備なんかじゃ物足りなくなるわね。」

ダリアンの見た目は変わらなかった。

グラディオスは少し安心した様子で言う。

「お前さんに固有装備なんかあっちゃあ、妖精たちもたまったもんじゃないわな。」

「ハハッ!違ぇねぇ!旦那もビビるだろうな!」

ダリアンがそう言うとグラディオスは納得した様子だった。

「まさかお前さんだったとはな。」

「あら?と思ったのだけれど?」

「確信は無かったからな。全く…とんでもないやつだよお前さんは…」

グラディオスはそう言って、私たちを奥の部屋に連れて行く。

そこはギルドの広間とは違い、何も無いただただだだっ広いだけの部屋だった。

「さてと…そろそろ皆集まる頃だと思うが…」










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