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第2章「虹が完成した日」
虹が完成した日 その⑥
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時計を眺める葵。
時計の針は、15時53分を指していた。
綾女 葵
『そろそろ巡回に行く用意をした方が良さそうね。』
林藤 白華
『そうだね。今日は全員出勤していて人数が多いけど、チーム構成は、どんな感じ?』
緑莉に問いかける白華と、不満そうな表情で白華を見つめる橙羽。
日廻 橙羽
『「どんな感じ?」って、巡回チームと密偵チームで行くんじゃないの?』
橙羽の言葉を聞き、呆れた表情で黄泉が口を開いた。
百合 黄泉
『馬鹿ね。一月前に自分が入った時のこと、もう忘れたの?』
日廻 橙羽
『馬鹿って言わないで!』『ユリちゃんの馬鹿!』
そう言いながら頬を膨らます橙羽。
そんな中、紫月も不安そうな顔で口を開いた。
朝顔 紫月
『でも私も今日のチーム構成のことは、ずっと気になっていたんだ。』
『新しくチームに加わったメンバーには、リーダーとリンドウちゃんが付き添ってくれたけど、ヒマワリちゃんが入って少し経ってからは、2チームで行動するようになったから、「今回はどうなるのかな?」って。』
四葉 緑莉
『私もお昼頃まで、ずっと考えていたんだけど、巡回チームは、リーダーが1人で行動することも多いから、バラちゃんには巡回チームに入ってもらおうと思っているの。』
『だから初日は、リーダーとリンドウちゃんに、バラちゃんの側で色々と教えてもらった方が良いと思ってね。』
緑莉は話しながら奥の部屋へ向かい、部屋の中から本日のワークスケジュールを持って来て6人に見せた。
そこには、巡回チームに、葵、白華、朱珠、密偵チームに、紫月、黄泉、橙羽の名前が記載されている。
林藤 白華
『成る程。』
白華は微笑みながら、『今日1日、密偵チームのリーダーは、任せたよ!』と紫月に言葉を掛けた。
朝顔 紫月
『む・・・無理だよ!』『私がリーダーなんて・・・。』
林藤 白華
『大丈夫。アサガオちゃんならできるよ。』
そう言うと、白華は笑顔で『ね』と言い、黄泉の方に目をやった。
白華と紫月のやり取りを眺めていた黄泉は、白華と目が合うと慌てて小説の方に目線を戻し、『そうね。紫月ちゃんなら大丈夫よ!』と顔を赤らめながら返答した。
一方、橙羽は、『バラちゃんと一緒が良かったのに。』と言いながら、頬をパンパンに膨らませている。
そんな橙羽の前にしゃがみ込み、そのパンパンに膨らんだ左頬を、右手の人差し指で押す葵。
橙羽の口に溜まった空気は、少しずつ口の外へと押し出されている。
綾女 葵
『ヒマワリちゃんは、密偵チームで動いたことが少ないから不安だとは思うけど、明日は、巡回チームとして、また一緒に動けるから、今日は密偵のお仕事をお願いね。』
優しく囁くような落ち着きのある葵の声を聞き、平常心を取り戻す橙羽。
日廻 橙羽
『うん。分かった。リーダーのお願いなら断れないね。橙羽、密偵やったこと無いけど頑張る!』
橙羽は、悲しそうな表情ではあるものの、さっきよりも少し明るめのトーンで言葉を返したのだった。
葵は橙羽に『有難う』と礼を言うと、橙羽の頬から指を離し立ち上がった。
葵は朱珠の方へ体を向け、朱珠の顔を眺めると『それじゃあ、行きましょうか。』と言い、葵、白華、紫月は奥の部屋から刀を手に取り、黄泉、橙羽は拳銃を手に握り締め、そんな5人に続くように、朱珠も、先程受け取ったばかりの拳銃を手に持ち玄関へと向かった。
6人が玄関口で順番に靴を履き、扉を開き外へ出る中、玄関口に見送りに来る緑莉。
四葉 緑莉
『皆、気を付けてね!』
綾女 葵
『えゝ、こっちのことは宜しくね。』
林藤 白華
『また、何かあったら連絡するよ。 』
四葉 緑莉
『うん。直ぐに調べて折り返すね。』
朝顔 紫月
『私達は、この前と同じ場所で見張りを立てていたら良いの?』
四葉 緑莉
『調査期間中、一度も姿を現してくれないままだから、行っても意味は無い気はするんだけど、一応、調査期間が今日までになっているから、後1日だけお願いしても良い?』
『一応、報告書の方は「消息不明」で明日提出する予定なんだけど、昨夜から早朝にかけて、姿は見えなかったみたいだけど、ずっと小さい子の啜り泣く声が聞こえていたらしいから。』
朝顔 紫月
『うん。大丈夫だよ。でも今日も見つけられなかったら御免ね。』
四葉 緑莉
『大丈夫だよ。その時は報告書を、そのまま提出しておくから。私が行けたら良いんだけど御免ね・・・。』
百合 黄泉
『そんなことは、気にしなくて良いわよ。私達のできないことを、ヨツバちゃんが、やってくれているんだから。』
黄泉の言葉に、少し照れくさそうに、『ありがと』と返答する緑莉。
白華は紫月に向かって笑顔で『何か困ったことがあったら、直ぐに連絡して。』と言うと、緑莉に『それじゃあ、また後で。』と告げ、玄関の外へと出て行った。
その後ろを続くように、橙羽も玄関の外へと向かって行ったのだが、言葉を発すること無く、物凄く不安そうな表情をしていた。
そんな橙羽の様子を、心配そうに眺める朱珠。
神原 朱珠
『なあ、葵ちゃん。ヒマワリちゃんって子、ほんまに大丈夫なん?』
綾女 葵
『大丈夫よ。あの子は、強いから。』
そう話すと葵も玄関の外へと出て行き、その後を追うように朱珠も玄関の外へと出て行った。
朝顔 紫月
『私達も行こうか。』
百合 黄泉
『そうね。』
そう言うと、紫月はドアノブに手を掛けた。
朝顔 紫月
『それじゃあ、行ってくるね。』
百合 黄泉
『また後でね。』
四葉 緑莉
『いってらっしゃい。気をつけてね。』
2人は玄関の外へと向かい、家に1人残った緑莉は、パソコンの設置された部屋へと向かい、業務に取り掛かるのであった。
時計の針は、15時53分を指していた。
綾女 葵
『そろそろ巡回に行く用意をした方が良さそうね。』
林藤 白華
『そうだね。今日は全員出勤していて人数が多いけど、チーム構成は、どんな感じ?』
緑莉に問いかける白華と、不満そうな表情で白華を見つめる橙羽。
日廻 橙羽
『「どんな感じ?」って、巡回チームと密偵チームで行くんじゃないの?』
橙羽の言葉を聞き、呆れた表情で黄泉が口を開いた。
百合 黄泉
『馬鹿ね。一月前に自分が入った時のこと、もう忘れたの?』
日廻 橙羽
『馬鹿って言わないで!』『ユリちゃんの馬鹿!』
そう言いながら頬を膨らます橙羽。
そんな中、紫月も不安そうな顔で口を開いた。
朝顔 紫月
『でも私も今日のチーム構成のことは、ずっと気になっていたんだ。』
『新しくチームに加わったメンバーには、リーダーとリンドウちゃんが付き添ってくれたけど、ヒマワリちゃんが入って少し経ってからは、2チームで行動するようになったから、「今回はどうなるのかな?」って。』
四葉 緑莉
『私もお昼頃まで、ずっと考えていたんだけど、巡回チームは、リーダーが1人で行動することも多いから、バラちゃんには巡回チームに入ってもらおうと思っているの。』
『だから初日は、リーダーとリンドウちゃんに、バラちゃんの側で色々と教えてもらった方が良いと思ってね。』
緑莉は話しながら奥の部屋へ向かい、部屋の中から本日のワークスケジュールを持って来て6人に見せた。
そこには、巡回チームに、葵、白華、朱珠、密偵チームに、紫月、黄泉、橙羽の名前が記載されている。
林藤 白華
『成る程。』
白華は微笑みながら、『今日1日、密偵チームのリーダーは、任せたよ!』と紫月に言葉を掛けた。
朝顔 紫月
『む・・・無理だよ!』『私がリーダーなんて・・・。』
林藤 白華
『大丈夫。アサガオちゃんならできるよ。』
そう言うと、白華は笑顔で『ね』と言い、黄泉の方に目をやった。
白華と紫月のやり取りを眺めていた黄泉は、白華と目が合うと慌てて小説の方に目線を戻し、『そうね。紫月ちゃんなら大丈夫よ!』と顔を赤らめながら返答した。
一方、橙羽は、『バラちゃんと一緒が良かったのに。』と言いながら、頬をパンパンに膨らませている。
そんな橙羽の前にしゃがみ込み、そのパンパンに膨らんだ左頬を、右手の人差し指で押す葵。
橙羽の口に溜まった空気は、少しずつ口の外へと押し出されている。
綾女 葵
『ヒマワリちゃんは、密偵チームで動いたことが少ないから不安だとは思うけど、明日は、巡回チームとして、また一緒に動けるから、今日は密偵のお仕事をお願いね。』
優しく囁くような落ち着きのある葵の声を聞き、平常心を取り戻す橙羽。
日廻 橙羽
『うん。分かった。リーダーのお願いなら断れないね。橙羽、密偵やったこと無いけど頑張る!』
橙羽は、悲しそうな表情ではあるものの、さっきよりも少し明るめのトーンで言葉を返したのだった。
葵は橙羽に『有難う』と礼を言うと、橙羽の頬から指を離し立ち上がった。
葵は朱珠の方へ体を向け、朱珠の顔を眺めると『それじゃあ、行きましょうか。』と言い、葵、白華、紫月は奥の部屋から刀を手に取り、黄泉、橙羽は拳銃を手に握り締め、そんな5人に続くように、朱珠も、先程受け取ったばかりの拳銃を手に持ち玄関へと向かった。
6人が玄関口で順番に靴を履き、扉を開き外へ出る中、玄関口に見送りに来る緑莉。
四葉 緑莉
『皆、気を付けてね!』
綾女 葵
『えゝ、こっちのことは宜しくね。』
林藤 白華
『また、何かあったら連絡するよ。 』
四葉 緑莉
『うん。直ぐに調べて折り返すね。』
朝顔 紫月
『私達は、この前と同じ場所で見張りを立てていたら良いの?』
四葉 緑莉
『調査期間中、一度も姿を現してくれないままだから、行っても意味は無い気はするんだけど、一応、調査期間が今日までになっているから、後1日だけお願いしても良い?』
『一応、報告書の方は「消息不明」で明日提出する予定なんだけど、昨夜から早朝にかけて、姿は見えなかったみたいだけど、ずっと小さい子の啜り泣く声が聞こえていたらしいから。』
朝顔 紫月
『うん。大丈夫だよ。でも今日も見つけられなかったら御免ね。』
四葉 緑莉
『大丈夫だよ。その時は報告書を、そのまま提出しておくから。私が行けたら良いんだけど御免ね・・・。』
百合 黄泉
『そんなことは、気にしなくて良いわよ。私達のできないことを、ヨツバちゃんが、やってくれているんだから。』
黄泉の言葉に、少し照れくさそうに、『ありがと』と返答する緑莉。
白華は紫月に向かって笑顔で『何か困ったことがあったら、直ぐに連絡して。』と言うと、緑莉に『それじゃあ、また後で。』と告げ、玄関の外へと出て行った。
その後ろを続くように、橙羽も玄関の外へと向かって行ったのだが、言葉を発すること無く、物凄く不安そうな表情をしていた。
そんな橙羽の様子を、心配そうに眺める朱珠。
神原 朱珠
『なあ、葵ちゃん。ヒマワリちゃんって子、ほんまに大丈夫なん?』
綾女 葵
『大丈夫よ。あの子は、強いから。』
そう話すと葵も玄関の外へと出て行き、その後を追うように朱珠も玄関の外へと出て行った。
朝顔 紫月
『私達も行こうか。』
百合 黄泉
『そうね。』
そう言うと、紫月はドアノブに手を掛けた。
朝顔 紫月
『それじゃあ、行ってくるね。』
百合 黄泉
『また後でね。』
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