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第三章 牡丹を灯すとき
第三章-6
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宮廷内にも、人がほとんど来ない、忘れられた場所がある。陽の光すら届かない暗いそこに、二人の人影があるものの、お互いの姿も見えていないだろう。男が低く警戒した声を発した。
「あの香士は危険だ」
「厄介であることは確かね」
「この器の姿が見えている。お前の術に穴があるのではないか」
言われた側が鼻で笑った気配がした。
「既知か未知かの違いだよ、術のなんたるかも知らない坊やが口挟むな。それより、反魂香が厄介だよ。あれを止めさせられないのか」
「殿下の命、ひいては皇帝陛下の命令だから、それは無理だ」
馬鹿にするようなわざとらしいため息が返ってくる。
「はあ、自分の立場わかってんのか。……反魂香、本物は初めて見た。そしてあの娘自身が聡いね」
「何が目的なんだ」
「何度も言っている、ただの取引相手に言う必要はないし、言えばお前は元いた場所に戻れなくなる。こちら側へ来たいというなら話は別だが?」
嘲笑うような問いかけに、もう一方は押し黙った。
そして、人影は溶けるようにいなくなった。
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