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4章 冒険者編
2. 買い物
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ターシャちゃんの取り成しでひとまず馬車に乗ったけど、理沙はちゃんと話を聞くまでは諦めないという表情をしている。これは話さないとダメそうね。
「レイ君が別のお仕事で護衛が別の人になった日があったんだけど、その時に私を置いて魔物狩りに行っちゃったの。それで魔物に襲われそうになったところを他の冒険者に助けてもらったのよ。傷一つ負ってないから、大丈夫だったのよ」
「だからって!そんな危険なことなんで続けたの?危険はないって言ってたじゃない!」
私のせいなのね、と理沙が俯いてしまった。違う。あれは私が意地を張っただけだ。シングルマザーでも頑張って息子を育て上げたそのプライドが、理沙やあの国に甘えることを邪魔したのだ。高校生に養われるなんて、と。
冷静になって考えると、どれだけ無謀なことをしていたのかが分かる。レイ君の厚意に甘えていたことも。
「ごめんね。理沙のおまけであの国に養われるのがどうしても嫌で、意地を張ったの。理沙のせいじゃないわ。ごめんね」
「……宿を買うお金はどうしたの」
「護衛が仕事を放棄して私を危険な目に合わせたことへの謝罪と口止め料をもらったのよ。そのお金で買ったの」
「もう二度としないで。お願いだから。お母さんに何かあったら……」
ごめんね。もう二度と危ないことはしないから泣かないで。
理沙を抱きしめると体重を預けてきたので、背中をゆっくりと撫でていると、少しずつ落ち着いてきた。
「さあ、冒険者を続けましょう」
「お母さん、怖くないの?」
「護衛のみんなを信じてるもの」
ターシャちゃんに仲直りしたので、今日の予定を続けてほしいとお願いし、来たのは冒険者のいろんなものを買うお店だ。こちらは貸し切りになっている。
いかにも冒険者用のお店で、野営で使うテントや保存食、冒険の便利グッズなどいろんなものがごちゃごちゃと乱雑に並べられている。武器は専用の武器屋さんがあるのでここにはない。
「ここで冒険者としての服とバッグを揃えましょう」
「どういうのを選べばいいんですか?」
「肌が隠れる服ですね。護衛の彼女たちを参考にしてください」
なるほど。それでリリーちゃんたちが冒険者の格好をしているのか。でも服を用意されると思っていたので、既製服を買うのは予想外だ。種類はそんなにないけれど、理沙が楽しそうにどれにしようかと身体に当ててみているので、わざと既製品にしてくれたのね。お洋服を選ぶのは楽しみの一つでしょう。
私はクインスできていたのと同じようなものを選んだ。ターシャちゃんはカーラちゃんに選んでもらっている。
「ジェン君、我儘言ってごめんなさいね」
「リーザさんが楽しんでいらっしゃるので何よりです」
「皆さんにお礼を伝えてもらえる?」
「お気遣いありがとうございます」
服と靴、バッグを選んだら、次は防具だ。
と言っても慣れていない私たちがしっかりした防具を着ても動けないので、弓道の胸当てみたいなものと、剣道の垂れみたいなものだけだ。
護衛がいるので、そもそも防具が必要になるような事態にはならないはずだけど、私の一件を聞いた理沙はちゃんと防具もつけると主張したので、私も一緒に買うことになった。
防具屋さんはお金に糸目をつけずに買ってもらえるとあって、次から次へと出してくれるんだけど、出てきたものを見ても全く分からないので、リリーちゃんたちに選んでもらった。
私からの注文はただ一つ、動きを妨げない軽いもの。甲冑なんてつけたら一歩も動けない自信がある。
「武器はどうしますか?」
「お母さん、どうする?」
「私は包丁以外は扱えないから持たないわ。持ったところで、仲間に当てるのがオチよ」
「そうよね。私もやめておきます」
ターシャちゃんも護衛がいるから不要でしょうと賛成してくれた。
では、最後にポーションを買いましょう、と連れていかれたのは、いかにも怪しい感じのお店だった。
お店は狭くて、5人も入れば身動きが取れなくなりそうなので、護衛はカーラちゃんだけが入店した。
お店番は童話に出てくる魔女のような服装の薬師さんで、お店の中は薄暗いけど清潔で、棚には所狭しといろんな色の液体が入った瓶が並んでいる。
これぞファンタジーと理沙がはしゃいでいるけど、気持ちは分かるわ。これは、いい薬だけじゃなく毒薬も売っていそうで、ワクワクする。
初心者が買うのはこのポーションで、効果は軽い切り傷が治る程度で、とターシャちゃんが詳しく説明してくれるけど、ターシャちゃんは薬師になれる実力があるんだったわね。
「ターシャちゃんの作ったポーションはないの?」
「今はありません。興味があれば作りましょうか?」
「今度見せてください!」
理沙がポーション作りに興味を持ったようだ。
その会話を聞いて魔女の薬師さんがターシャちゃんに、薬師だったらこのあたりの薬は珍しいがどうだい、と売り込んでいる。
私たちは、カーラちゃんの勧めもあって、初心者が買うという傷に効くポーションを買った。理沙がお金をもらって自分で払っている。
理沙にとってはこの世界で初めての買い物だ。
受け取ったポーションを見ながら、本当にファンタジーの世界に来ちゃったのね、としみじみと呟いた。
「レイ君が別のお仕事で護衛が別の人になった日があったんだけど、その時に私を置いて魔物狩りに行っちゃったの。それで魔物に襲われそうになったところを他の冒険者に助けてもらったのよ。傷一つ負ってないから、大丈夫だったのよ」
「だからって!そんな危険なことなんで続けたの?危険はないって言ってたじゃない!」
私のせいなのね、と理沙が俯いてしまった。違う。あれは私が意地を張っただけだ。シングルマザーでも頑張って息子を育て上げたそのプライドが、理沙やあの国に甘えることを邪魔したのだ。高校生に養われるなんて、と。
冷静になって考えると、どれだけ無謀なことをしていたのかが分かる。レイ君の厚意に甘えていたことも。
「ごめんね。理沙のおまけであの国に養われるのがどうしても嫌で、意地を張ったの。理沙のせいじゃないわ。ごめんね」
「……宿を買うお金はどうしたの」
「護衛が仕事を放棄して私を危険な目に合わせたことへの謝罪と口止め料をもらったのよ。そのお金で買ったの」
「もう二度としないで。お願いだから。お母さんに何かあったら……」
ごめんね。もう二度と危ないことはしないから泣かないで。
理沙を抱きしめると体重を預けてきたので、背中をゆっくりと撫でていると、少しずつ落ち着いてきた。
「さあ、冒険者を続けましょう」
「お母さん、怖くないの?」
「護衛のみんなを信じてるもの」
ターシャちゃんに仲直りしたので、今日の予定を続けてほしいとお願いし、来たのは冒険者のいろんなものを買うお店だ。こちらは貸し切りになっている。
いかにも冒険者用のお店で、野営で使うテントや保存食、冒険の便利グッズなどいろんなものがごちゃごちゃと乱雑に並べられている。武器は専用の武器屋さんがあるのでここにはない。
「ここで冒険者としての服とバッグを揃えましょう」
「どういうのを選べばいいんですか?」
「肌が隠れる服ですね。護衛の彼女たちを参考にしてください」
なるほど。それでリリーちゃんたちが冒険者の格好をしているのか。でも服を用意されると思っていたので、既製服を買うのは予想外だ。種類はそんなにないけれど、理沙が楽しそうにどれにしようかと身体に当ててみているので、わざと既製品にしてくれたのね。お洋服を選ぶのは楽しみの一つでしょう。
私はクインスできていたのと同じようなものを選んだ。ターシャちゃんはカーラちゃんに選んでもらっている。
「ジェン君、我儘言ってごめんなさいね」
「リーザさんが楽しんでいらっしゃるので何よりです」
「皆さんにお礼を伝えてもらえる?」
「お気遣いありがとうございます」
服と靴、バッグを選んだら、次は防具だ。
と言っても慣れていない私たちがしっかりした防具を着ても動けないので、弓道の胸当てみたいなものと、剣道の垂れみたいなものだけだ。
護衛がいるので、そもそも防具が必要になるような事態にはならないはずだけど、私の一件を聞いた理沙はちゃんと防具もつけると主張したので、私も一緒に買うことになった。
防具屋さんはお金に糸目をつけずに買ってもらえるとあって、次から次へと出してくれるんだけど、出てきたものを見ても全く分からないので、リリーちゃんたちに選んでもらった。
私からの注文はただ一つ、動きを妨げない軽いもの。甲冑なんてつけたら一歩も動けない自信がある。
「武器はどうしますか?」
「お母さん、どうする?」
「私は包丁以外は扱えないから持たないわ。持ったところで、仲間に当てるのがオチよ」
「そうよね。私もやめておきます」
ターシャちゃんも護衛がいるから不要でしょうと賛成してくれた。
では、最後にポーションを買いましょう、と連れていかれたのは、いかにも怪しい感じのお店だった。
お店は狭くて、5人も入れば身動きが取れなくなりそうなので、護衛はカーラちゃんだけが入店した。
お店番は童話に出てくる魔女のような服装の薬師さんで、お店の中は薄暗いけど清潔で、棚には所狭しといろんな色の液体が入った瓶が並んでいる。
これぞファンタジーと理沙がはしゃいでいるけど、気持ちは分かるわ。これは、いい薬だけじゃなく毒薬も売っていそうで、ワクワクする。
初心者が買うのはこのポーションで、効果は軽い切り傷が治る程度で、とターシャちゃんが詳しく説明してくれるけど、ターシャちゃんは薬師になれる実力があるんだったわね。
「ターシャちゃんの作ったポーションはないの?」
「今はありません。興味があれば作りましょうか?」
「今度見せてください!」
理沙がポーション作りに興味を持ったようだ。
その会話を聞いて魔女の薬師さんがターシャちゃんに、薬師だったらこのあたりの薬は珍しいがどうだい、と売り込んでいる。
私たちは、カーラちゃんの勧めもあって、初心者が買うという傷に効くポーションを買った。理沙がお金をもらって自分で払っている。
理沙にとってはこの世界で初めての買い物だ。
受け取ったポーションを見ながら、本当にファンタジーの世界に来ちゃったのね、としみじみと呟いた。
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