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4章 冒険者編
4. 買取
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翌日、採取した薬草を持って、冒険者ギルドを再び訪問した。
前回と同じ貴族のお忍びという格好をして、理沙が薬草をカウンターの係員に差し出し、買取をお願いする。
薬草担当の人が確認するのでそれまで待っているように言われ、理沙は冒険者ギルド内の探検を始めた。前回は登録後すぐに私のクインスでの件を知って、それどころじゃなかったからね。
「依頼の内容がファンタジーだ」
「便利屋って感じよね」
貼り出されている依頼は魔物の討伐、薬草の採取の他にも、護衛依頼、特定の魔物の素材がほしいとか、内容は多岐にわたる。農業の手伝いとか、外壁の補修とか、そんなのも冒険者に依頼されるんだと思うような依頼もある。それを感心しながら見て、疑問をジェン君に質問している。
「この魔物の討伐と、こっちの素材の依頼は何が違うんですか?」
「討伐は魔物の数を減らすことが目的で、討伐後にその魔物の素材を売るのも冒険者の自由です。素材の依頼は魔物を倒して使える部分を納品しますが、傷がついていたりすると依頼料から引かれることもあります」
「騎士団でも素材を売るんですか?」
「冒険者の仕事を奪わないように、売る場合は少しだけです。ですが、素材の買取価格が高いものは冒険者が率先して狙うので滅多に見かけません」
なるほど。素材が貴重な魔物は高く売れるから冒険者に倒されるので、討伐が必要になるほど増えたりはしないらしい。けれど傷をつけないように倒すには工夫しなきゃいけないから、ただ倒せばいいだけの討伐を専門にしている冒険者もいるって、ジェン君詳しいわね。
「ジェン君、もしかして冒険者やってた?」
「騎士養成学校時代に少し。小遣い稼ぎに仲間と登録するんですよ」
公爵家のご子息でもそんなことするのかと驚いたけど、危険のない範囲での冒険者活動は学校も推奨しているらしい。魔物に関しては冒険者と騎士団は持ちつ持たれつの関係なので、冒険者の立場を知っておくことも必要だからってことらしいけど、学生時代のバイトにしてはハードねえ。
前にターシャちゃんが第二騎士団は統率の取れた冒険者って言ってたけど、本当に冒険者として活動していた人たちなら納得だわ。
買取の査定が終わったと呼び出されてカウンターに戻ると、30ピリアだが買い取ってよいかと確認があった。
理沙と同時にターシャちゃんを振り返ると、ターシャちゃんが妥当な値段だと言ってくれたので、買取をお願いし、理沙がお金を受け取った。
「お金を稼いだの初めて。私の学校バイト禁止だったから」
「おめでとう。パン1個くらいしか買えないみたいだけど、そのお金は理沙が好きに使って」
受け取ったお金を手に乗せて喜んでいる理沙が可愛い。
でも理沙は浄化を仕事としてお金に換算したらすでに一生遊んで暮らせるくらいの金額を稼いでいるんじゃないかしら。
そう考えると、最初から1か所いくらって交渉するのもありだったかも。
冒険者ギルドを出て馬車に乗り込むと、馬車はお城ではなく王都の外れへと進んでいる。目的地は着いてからのお楽しみと言ってターシャちゃんも教えてくれない。
観光かしら、と思いながら、馬車の窓からの景色を楽しむ。
冒険者ギルドの周りは背中に大きな剣や弓を背負っているような人が多かったけど、少し離れると日常の買い物に来た感じの普通の人が多くなる。お城から離れていく一方なので、貴族っぽい人は全く見かけない。
しばらく走って、馬車がついたのは、学校のような建物だった。
「こちらが目的地の薬師養成学校です」
「もしかして、調薬?」
「ええ、リーザさんが興味をお持ちでしたので」
理沙のためにこの学校の調薬施設を借りてくれたらしい。そういえばターシャちゃんはこの学校にも合格したのよね。
お城にも薬師の施設があるけど、今そこは浄化の旅に持っていくポーションを作るのにフル回転しているので、こちらの施設を借りてくれていた。
出迎えに出てくれた人に続いて入ると、学校というよりも研究所という感じの建物だった。
「カーラちゃん、騎士養成学校もこんな感じなの?」
「雰囲気が全く違います。私もここに入るのは初めてです」
養成学校同士で交流はないから、自分が通う学校以外には入る機会もないそうだ。
騎士養成学校は訓練場が広く、いつもそこから訓練する人たちの声が聞こえるので賑やからしい。
校舎の中を進み、こちらですと案内された調薬部屋の壁際には、所狭しと道具が並べられている。中学校の理科室みたいだ。
3台の机にすでに調薬器具がセットされていて、ターシャちゃんは空いている机に薬草を広げた。買取にごく一部しか出さなかったのは、ここで使うからだったのね。
「昨日採取した薬草です。これを使って簡単なポーションを作りましょう」
「え、もしかして私も作るんですか?」
「はい。理科の実験や調理実習みたいなものですから、簡単ですよ」
いやいや、薬師の試験が難しいってことは、調薬も難しいはずよね。
ターシャちゃん、自分ができるからって他人も簡単にできるって思わないで。
「この薬草の葉を潰して、ガーゼで絞って成分を抽出します。次はそれを加熱して、適度な温度になったところでこちらの乾燥させて砕いた薬草を加えます。目安は小さな泡が浮きあがってきたらです」
ターシャちゃんの説明はとても分かりやすいけど、なにせ器具に問題がある。
適度な温度って何度?温度計はないの?加えるのは小さじ何杯?
この世界で薬師になるのが大変な理由の一つが、適量とか適温とか、大雑把な説明が多いからだそうだ。
ただ、正確に測定する器具も開発されていないし薬草も効果がまちまちなので、何度も作ってそのタイミングや感覚を覚えるしかないらしい。
統一規格とか同じ品質とかって大事なのねえ。
理科の実験や調理実習に似ていると言っていたけど、塩少々とか醤油適量とかなんとなくで作っちゃう感じの料理に通じるものがあるわ。
ターシャちゃんが調薬するのを見たかっただけでやりたかったわけではないのに、と言っていた理沙も、今は真剣に加熱中の液体を見ている。
「何かが出来上がるって楽しいですね」
「反応が始まると色が変わるのも、見ていて楽しいですよ」
理沙も楽しんでいる。葉をすりつぶしたり、液体を混ぜたり、粉末状の物をくわえたりは、理科の実験みたいだった。懐かしいわ。
「出来た!これ飲んだら傷が治るんですか?」
「簡単なものなので、あまり効果はありませんが。この作り方で塗り薬にしたもののほうが効果は高いですよ」
飲んだらたちまち傷が治る、というような薬はこの世界にはないらしい。そこはファンタジーじゃないのね。
出来上がったポーションは、私の物よりも理沙の物のほうが出来が良かった。私のほうが料理で慣れていると思ったのに。理沙は細かい作業が得意なのかもしれないわね。
前回と同じ貴族のお忍びという格好をして、理沙が薬草をカウンターの係員に差し出し、買取をお願いする。
薬草担当の人が確認するのでそれまで待っているように言われ、理沙は冒険者ギルド内の探検を始めた。前回は登録後すぐに私のクインスでの件を知って、それどころじゃなかったからね。
「依頼の内容がファンタジーだ」
「便利屋って感じよね」
貼り出されている依頼は魔物の討伐、薬草の採取の他にも、護衛依頼、特定の魔物の素材がほしいとか、内容は多岐にわたる。農業の手伝いとか、外壁の補修とか、そんなのも冒険者に依頼されるんだと思うような依頼もある。それを感心しながら見て、疑問をジェン君に質問している。
「この魔物の討伐と、こっちの素材の依頼は何が違うんですか?」
「討伐は魔物の数を減らすことが目的で、討伐後にその魔物の素材を売るのも冒険者の自由です。素材の依頼は魔物を倒して使える部分を納品しますが、傷がついていたりすると依頼料から引かれることもあります」
「騎士団でも素材を売るんですか?」
「冒険者の仕事を奪わないように、売る場合は少しだけです。ですが、素材の買取価格が高いものは冒険者が率先して狙うので滅多に見かけません」
なるほど。素材が貴重な魔物は高く売れるから冒険者に倒されるので、討伐が必要になるほど増えたりはしないらしい。けれど傷をつけないように倒すには工夫しなきゃいけないから、ただ倒せばいいだけの討伐を専門にしている冒険者もいるって、ジェン君詳しいわね。
「ジェン君、もしかして冒険者やってた?」
「騎士養成学校時代に少し。小遣い稼ぎに仲間と登録するんですよ」
公爵家のご子息でもそんなことするのかと驚いたけど、危険のない範囲での冒険者活動は学校も推奨しているらしい。魔物に関しては冒険者と騎士団は持ちつ持たれつの関係なので、冒険者の立場を知っておくことも必要だからってことらしいけど、学生時代のバイトにしてはハードねえ。
前にターシャちゃんが第二騎士団は統率の取れた冒険者って言ってたけど、本当に冒険者として活動していた人たちなら納得だわ。
買取の査定が終わったと呼び出されてカウンターに戻ると、30ピリアだが買い取ってよいかと確認があった。
理沙と同時にターシャちゃんを振り返ると、ターシャちゃんが妥当な値段だと言ってくれたので、買取をお願いし、理沙がお金を受け取った。
「お金を稼いだの初めて。私の学校バイト禁止だったから」
「おめでとう。パン1個くらいしか買えないみたいだけど、そのお金は理沙が好きに使って」
受け取ったお金を手に乗せて喜んでいる理沙が可愛い。
でも理沙は浄化を仕事としてお金に換算したらすでに一生遊んで暮らせるくらいの金額を稼いでいるんじゃないかしら。
そう考えると、最初から1か所いくらって交渉するのもありだったかも。
冒険者ギルドを出て馬車に乗り込むと、馬車はお城ではなく王都の外れへと進んでいる。目的地は着いてからのお楽しみと言ってターシャちゃんも教えてくれない。
観光かしら、と思いながら、馬車の窓からの景色を楽しむ。
冒険者ギルドの周りは背中に大きな剣や弓を背負っているような人が多かったけど、少し離れると日常の買い物に来た感じの普通の人が多くなる。お城から離れていく一方なので、貴族っぽい人は全く見かけない。
しばらく走って、馬車がついたのは、学校のような建物だった。
「こちらが目的地の薬師養成学校です」
「もしかして、調薬?」
「ええ、リーザさんが興味をお持ちでしたので」
理沙のためにこの学校の調薬施設を借りてくれたらしい。そういえばターシャちゃんはこの学校にも合格したのよね。
お城にも薬師の施設があるけど、今そこは浄化の旅に持っていくポーションを作るのにフル回転しているので、こちらの施設を借りてくれていた。
出迎えに出てくれた人に続いて入ると、学校というよりも研究所という感じの建物だった。
「カーラちゃん、騎士養成学校もこんな感じなの?」
「雰囲気が全く違います。私もここに入るのは初めてです」
養成学校同士で交流はないから、自分が通う学校以外には入る機会もないそうだ。
騎士養成学校は訓練場が広く、いつもそこから訓練する人たちの声が聞こえるので賑やからしい。
校舎の中を進み、こちらですと案内された調薬部屋の壁際には、所狭しと道具が並べられている。中学校の理科室みたいだ。
3台の机にすでに調薬器具がセットされていて、ターシャちゃんは空いている机に薬草を広げた。買取にごく一部しか出さなかったのは、ここで使うからだったのね。
「昨日採取した薬草です。これを使って簡単なポーションを作りましょう」
「え、もしかして私も作るんですか?」
「はい。理科の実験や調理実習みたいなものですから、簡単ですよ」
いやいや、薬師の試験が難しいってことは、調薬も難しいはずよね。
ターシャちゃん、自分ができるからって他人も簡単にできるって思わないで。
「この薬草の葉を潰して、ガーゼで絞って成分を抽出します。次はそれを加熱して、適度な温度になったところでこちらの乾燥させて砕いた薬草を加えます。目安は小さな泡が浮きあがってきたらです」
ターシャちゃんの説明はとても分かりやすいけど、なにせ器具に問題がある。
適度な温度って何度?温度計はないの?加えるのは小さじ何杯?
この世界で薬師になるのが大変な理由の一つが、適量とか適温とか、大雑把な説明が多いからだそうだ。
ただ、正確に測定する器具も開発されていないし薬草も効果がまちまちなので、何度も作ってそのタイミングや感覚を覚えるしかないらしい。
統一規格とか同じ品質とかって大事なのねえ。
理科の実験や調理実習に似ていると言っていたけど、塩少々とか醤油適量とかなんとなくで作っちゃう感じの料理に通じるものがあるわ。
ターシャちゃんが調薬するのを見たかっただけでやりたかったわけではないのに、と言っていた理沙も、今は真剣に加熱中の液体を見ている。
「何かが出来上がるって楽しいですね」
「反応が始まると色が変わるのも、見ていて楽しいですよ」
理沙も楽しんでいる。葉をすりつぶしたり、液体を混ぜたり、粉末状の物をくわえたりは、理科の実験みたいだった。懐かしいわ。
「出来た!これ飲んだら傷が治るんですか?」
「簡単なものなので、あまり効果はありませんが。この作り方で塗り薬にしたもののほうが効果は高いですよ」
飲んだらたちまち傷が治る、というような薬はこの世界にはないらしい。そこはファンタジーじゃないのね。
出来上がったポーションは、私の物よりも理沙の物のほうが出来が良かった。私のほうが料理で慣れていると思ったのに。理沙は細かい作業が得意なのかもしれないわね。
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