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6章 ベイロール編
1. 入国
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ベイロール王国との国境の手前の街で、王子様たちと合流した。これから一緒にベイロール王国へ行く。
ベイロールでは、まず王都のお城に行って王様と会って歓迎会に出て、それからベイロール国内の浄化を行う。王子様たちは歓迎会の後は別行動で、先にトルゴードへ戻るそうだ。
王子様と合流したので、馬車の周りを取り囲む騎士が大軍団になっている。
王子様の護衛騎士、理沙の護衛騎士、理沙が浄化する場所の安全を確保するために魔物を討伐する第二騎士団。
そのうちベイロールに行くのは王子様と理沙の護衛騎士だ。
国境で、第二騎士団の役割は、ベイロールの騎士団へと引き継がれた。
「トルゴード王国第二王子のソトゥースクです。聖女様をお連れしました」
「ベイロール王国王太子のゼルバです。聖女様のお越しに心より感謝申し上げます」
この王太子、お披露目パーティーで見た気がするわ。
アラフォーくらいのどっしりとした感じの人だ。線の細い王族が多い中、軍人っぽい感じの人だったので、印象が強くて記憶に残っている。
二色の騎士に囲まれて、ベイロールの街道を進んで行く。
ベイロールの護衛騎士たちの制服は真っ赤で視界が賑やかだ。トルゴードの護衛騎士の制服が紺色なので、どちらの騎士なのかがはっきり分かる。
聖女が来ると知れ渡っているようで、移動中の馬車は全て街道脇に止めて私たちの馬車を優先で通してくれるので、移動は順調に進んだ。
ベイロールの王城は、トルゴードと比べて装飾が多く華やかだ。トルゴードはどちらかというと無駄のない直線的なイメージだが、ベイロールは彫刻や像が多用されている。
今日は到着したばかりなので、まずはゆっくりしてくださいと貴賓室に案内された。内装もなかなか賑やかだ。
「ベイロールは、なんというか派手な感じ?」
「そうですね。気質も陽気です」
ターシャちゃんによると、ベイロールはラテンのイメージらしい。騎士服が派手なのもその影響かしらね。
翌日、この国の王様が挨拶に訪ねてきた。
会話はトルゴードの王子様がしてくれるので、最初の挨拶以外、理沙も私も話をしなくていいことになっている。
「はじめまして。リサです。母のマサコです」
「ようこそお越しくださいました。浄化を行っていただけるとのこと、誠に有難く存じます」
今日の夜には歓迎パーティーが開かれて、私たちも出席することになっている。
ベイロールが国を挙げて歓迎しているというのをアピールするためだそうで、国内の貴族がほとんど出席する大掛かりなものらしい。
理沙は気が向かなければ、誰にも話しかける必要はないそうなので、気楽に出席すればいいと言われている。
そのパーティーでエスコートをするからと、この国の王子様を紹介された。昨日の王子様とは違う王子様だ。
「紹介します。第八王子のマートルです。聖女様と年齢も近いので、王城に滞在中はマートルがご案内いたします」
「お美しい聖女様、御目にかかれて光栄です。滞在中はおもてなしさせていただきますので、なんでもご希望をおっしゃってください」
第八王子は20代前半くらいのアイドルにいそうな中性的でつるっとした感じの男の子だ。
ああ、これで理沙が彼に靡いてくれればベイロールとしては願ったり叶ったりの展開になるから、そのための接待係ね。これもハニートラップというのかしら。でも理沙はそんな手には引っかからないだろう。
そう思って理沙を見ると、王子様を見て頬を染めている。その反応は初めて見るけど、もしかして理沙のタイプなのだろうか。
王様たちが部屋を出てから理沙に聞いてみた。
「理沙、あの王子様、もしかしてタイプ?」
「え?そんなことないよ」
そういいながらも、どこかウキウキしている感じがする。
これはもしかしてもしかするのかしら。
「ターシャちゃん、あの王子様を調べておいてもらうことってできるかしら」
「もちろんです。性格と恋愛遍歴の調査でいいでしょうか」
「そうね。王子様だから借金はなさそうだし。この世界はギャンブルはあるのかしら」
「公営ギャンプルはありませんが、金銭面も調べておきます」
理沙の目に入らないところで、ターシャちゃんにこっそりお願いした。
無駄になればいいのだけど、後から実は結婚していましたみたいなことになると、理沙はショックを受けるだろう。
この世界の常識と私たちの常識にずれがあるから、隠す意図もなく知らされないこともあるかもしれない。
もともと近隣諸国の王族のことは大体把握しているものだけど、王位継承順位が低いので詳しいことまでは把握していない相手らしい。
トルゴードも理沙がベイロールにとどまることを諸手を挙げて賛成はしないだろうから、ちゃんと調べてくれるだろう。
ベイロールでは、まず王都のお城に行って王様と会って歓迎会に出て、それからベイロール国内の浄化を行う。王子様たちは歓迎会の後は別行動で、先にトルゴードへ戻るそうだ。
王子様と合流したので、馬車の周りを取り囲む騎士が大軍団になっている。
王子様の護衛騎士、理沙の護衛騎士、理沙が浄化する場所の安全を確保するために魔物を討伐する第二騎士団。
そのうちベイロールに行くのは王子様と理沙の護衛騎士だ。
国境で、第二騎士団の役割は、ベイロールの騎士団へと引き継がれた。
「トルゴード王国第二王子のソトゥースクです。聖女様をお連れしました」
「ベイロール王国王太子のゼルバです。聖女様のお越しに心より感謝申し上げます」
この王太子、お披露目パーティーで見た気がするわ。
アラフォーくらいのどっしりとした感じの人だ。線の細い王族が多い中、軍人っぽい感じの人だったので、印象が強くて記憶に残っている。
二色の騎士に囲まれて、ベイロールの街道を進んで行く。
ベイロールの護衛騎士たちの制服は真っ赤で視界が賑やかだ。トルゴードの護衛騎士の制服が紺色なので、どちらの騎士なのかがはっきり分かる。
聖女が来ると知れ渡っているようで、移動中の馬車は全て街道脇に止めて私たちの馬車を優先で通してくれるので、移動は順調に進んだ。
ベイロールの王城は、トルゴードと比べて装飾が多く華やかだ。トルゴードはどちらかというと無駄のない直線的なイメージだが、ベイロールは彫刻や像が多用されている。
今日は到着したばかりなので、まずはゆっくりしてくださいと貴賓室に案内された。内装もなかなか賑やかだ。
「ベイロールは、なんというか派手な感じ?」
「そうですね。気質も陽気です」
ターシャちゃんによると、ベイロールはラテンのイメージらしい。騎士服が派手なのもその影響かしらね。
翌日、この国の王様が挨拶に訪ねてきた。
会話はトルゴードの王子様がしてくれるので、最初の挨拶以外、理沙も私も話をしなくていいことになっている。
「はじめまして。リサです。母のマサコです」
「ようこそお越しくださいました。浄化を行っていただけるとのこと、誠に有難く存じます」
今日の夜には歓迎パーティーが開かれて、私たちも出席することになっている。
ベイロールが国を挙げて歓迎しているというのをアピールするためだそうで、国内の貴族がほとんど出席する大掛かりなものらしい。
理沙は気が向かなければ、誰にも話しかける必要はないそうなので、気楽に出席すればいいと言われている。
そのパーティーでエスコートをするからと、この国の王子様を紹介された。昨日の王子様とは違う王子様だ。
「紹介します。第八王子のマートルです。聖女様と年齢も近いので、王城に滞在中はマートルがご案内いたします」
「お美しい聖女様、御目にかかれて光栄です。滞在中はおもてなしさせていただきますので、なんでもご希望をおっしゃってください」
第八王子は20代前半くらいのアイドルにいそうな中性的でつるっとした感じの男の子だ。
ああ、これで理沙が彼に靡いてくれればベイロールとしては願ったり叶ったりの展開になるから、そのための接待係ね。これもハニートラップというのかしら。でも理沙はそんな手には引っかからないだろう。
そう思って理沙を見ると、王子様を見て頬を染めている。その反応は初めて見るけど、もしかして理沙のタイプなのだろうか。
王様たちが部屋を出てから理沙に聞いてみた。
「理沙、あの王子様、もしかしてタイプ?」
「え?そんなことないよ」
そういいながらも、どこかウキウキしている感じがする。
これはもしかしてもしかするのかしら。
「ターシャちゃん、あの王子様を調べておいてもらうことってできるかしら」
「もちろんです。性格と恋愛遍歴の調査でいいでしょうか」
「そうね。王子様だから借金はなさそうだし。この世界はギャンブルはあるのかしら」
「公営ギャンプルはありませんが、金銭面も調べておきます」
理沙の目に入らないところで、ターシャちゃんにこっそりお願いした。
無駄になればいいのだけど、後から実は結婚していましたみたいなことになると、理沙はショックを受けるだろう。
この世界の常識と私たちの常識にずれがあるから、隠す意図もなく知らされないこともあるかもしれない。
もともと近隣諸国の王族のことは大体把握しているものだけど、王位継承順位が低いので詳しいことまでは把握していない相手らしい。
トルゴードも理沙がベイロールにとどまることを諸手を挙げて賛成はしないだろうから、ちゃんと調べてくれるだろう。
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