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7章 クインス再訪編
11. 友来たる
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翌日、理沙は無事に筋肉痛が治って、浄化に出かけて行った。
私はお屋敷の前で見送った後は、特にすることがない。
昨日ギルドへ出かけてフィル君に付き合ってもらったので、今日は大人しくお屋敷の中にいる予定だ。
「マサコ様、厨房をお使いいただく準備ができました」
「ありがとう」
今日は頑張っている理沙にハンバーグを作ってあげる約束なのだ。
この世界の調味料がよく分からないので、事前に料理長にこういう料理を作りたいので手伝ってほしいと伝えてある。
ハンバーグにはいつもナツメグを入れて作っていた。だから肉の臭み消しになるスパイスがあれば使いたいけど、ナツメグも大量に摂取すると命に係わると聞いたことがあるので、この世界のよく分からないスパイスを使うのは怖い。
ということで、そこはプロに任せよう。
「お肉も野菜もみじん切りにしてください。パンは繋ぎなので、細かくしたら牛乳でふやかして」
私は料理長に口で説明するだけで、実際に手を動かしているのは料理人たちだ。
おかしい、こんなはずじゃなかったのに。
料理長があれこれと指示を出して、手早く野菜のみじん切りが出来上がる。
お肉もざっくりみじん切りのような感じでいいかと思ったのに、細かくミンチ状になるまで若い子が包丁で叩いている。明日腕が上がらなくなったりしませんように。
味付けもいろんなバリエーションがあるのだと言ったら、全部教えてほしいと言われ、煮込みだけじゃなくて、チーズインとか大根おろしでさっぱりとか、いろいろと聞きだされた。
本職のプライドと情熱を舐めていたかもしれない。
途中からは料理長の質問に答えるだけで、厨房の隅っこで眺めているうちにハンバーグのタネができあがり、後は寝かせて成形し、焼くだけになった。
そこで、私に来客だと呼び出されたので、後は任せて部屋に戻る。
私に来客など、騎士かターシャちゃんくらいしか思いつかない。誰だろう。
「ミュラ!」
「マーサ、あんたクインスに来ておきながら宿に来ないってどういうことよ」
再会の第一声で怒られるなんて、ミュラがミュラのままで涙が出そうだ。
思わず手を取ると、お帰り、と優しく言ってくれた。
元気だった? とお互いに近況を報告し合う。
「理沙は今、北の森に浄化に行ってるの。帰ってきたら会ってやって」
「ねえ、リーザちゃんの噂聞いたわよ。ベイロールの王子様とって本当なの?」
「ミュラ、その話を理沙にしたら許さないわよ」
ミュラなら食いつくだろうなと思ったら、やっぱりだった。
でも理沙の前でその話題は触れないでほしい。私の真剣な顔に何かを感じたのか、ミュラが引き下がってくれた。どんなに恋愛話が趣味のミュラでも、理沙を傷つけるようなことは言わない。そこは信頼している。おしゃべりだけど。
「今料理中なんだけど、ミュラも来る?」
「行っていいなら行くわ」
ミュラと話もしたいけど、理沙が帰ってくる前にハンバーグを完成させておきたい。
もう十分寝かせただろうから、後は焼くだけだ。そもそも自分で作るときは寝かせたりしない。
厨房に入ると、ハンバーグの焼けるいい匂いがしていた。すでに焼いていたようだ。
「マサコ様、こちらで試しに味付けをして、焼いていました」
さすが本職。私の説明だけで、きれいなミニミニハンバーグが出来ている。
お試しで食べてほしいと言われて、ミュラとロニアと試食しながら、どれが美味しいかを話し合っていると、ミュラが何かに思い当って質問してきた。
「もしかして、あんたが私に味付けを任せたのって味音痴じゃなくて調味料が分からなかったから?」
「そうよ。どんな調味料があるのか、どういう味付けが一般的なのか知らないんだもの」
味音痴って何よ。
いろんな種類の料理を食べて、それなりに舌が肥えている自信があるわ。この世界の人と比較してだけど。
「これ美味しいわ。ねえこれ、聖女様の世界の食事って宿で出していい?」
「いいけど、作るの大変よ?」
「マーサが作ってたのならできるわよ」
「私たちの世界には勝手に細かく切ってくれる便利な道具があったの。じゃなきゃ作らないわよ」
私がずぼらって言いたいのかしら。まあ実際そうだけど、面と向かって言われると腹が立つものね。
相変わらず図々しいというか、商魂たくましいというか、それでこそミュラだわ。
だけどミュラのお陰で、理沙はこの国を見捨てたのではなく逃げ出すしかなかった、理沙は悪くないのだという噂がクインス中に広がったとレイ君が教えてくれた。
だからミュラにはとても感謝しているのだ。それは理沙が一番気にしていたことだから。
「料理長、このチーズ入りを理沙のために作ってもらえるかしら」
「畏まりました」
「それからこれの味付けも教えてもらえる?」
「後ほど書き出してお渡しします」
これがお礼になるのか分からないけど、宿でもできそうなあまり凝っていない味付けの物をミュラのために教えてもらおう。
私はお屋敷の前で見送った後は、特にすることがない。
昨日ギルドへ出かけてフィル君に付き合ってもらったので、今日は大人しくお屋敷の中にいる予定だ。
「マサコ様、厨房をお使いいただく準備ができました」
「ありがとう」
今日は頑張っている理沙にハンバーグを作ってあげる約束なのだ。
この世界の調味料がよく分からないので、事前に料理長にこういう料理を作りたいので手伝ってほしいと伝えてある。
ハンバーグにはいつもナツメグを入れて作っていた。だから肉の臭み消しになるスパイスがあれば使いたいけど、ナツメグも大量に摂取すると命に係わると聞いたことがあるので、この世界のよく分からないスパイスを使うのは怖い。
ということで、そこはプロに任せよう。
「お肉も野菜もみじん切りにしてください。パンは繋ぎなので、細かくしたら牛乳でふやかして」
私は料理長に口で説明するだけで、実際に手を動かしているのは料理人たちだ。
おかしい、こんなはずじゃなかったのに。
料理長があれこれと指示を出して、手早く野菜のみじん切りが出来上がる。
お肉もざっくりみじん切りのような感じでいいかと思ったのに、細かくミンチ状になるまで若い子が包丁で叩いている。明日腕が上がらなくなったりしませんように。
味付けもいろんなバリエーションがあるのだと言ったら、全部教えてほしいと言われ、煮込みだけじゃなくて、チーズインとか大根おろしでさっぱりとか、いろいろと聞きだされた。
本職のプライドと情熱を舐めていたかもしれない。
途中からは料理長の質問に答えるだけで、厨房の隅っこで眺めているうちにハンバーグのタネができあがり、後は寝かせて成形し、焼くだけになった。
そこで、私に来客だと呼び出されたので、後は任せて部屋に戻る。
私に来客など、騎士かターシャちゃんくらいしか思いつかない。誰だろう。
「ミュラ!」
「マーサ、あんたクインスに来ておきながら宿に来ないってどういうことよ」
再会の第一声で怒られるなんて、ミュラがミュラのままで涙が出そうだ。
思わず手を取ると、お帰り、と優しく言ってくれた。
元気だった? とお互いに近況を報告し合う。
「理沙は今、北の森に浄化に行ってるの。帰ってきたら会ってやって」
「ねえ、リーザちゃんの噂聞いたわよ。ベイロールの王子様とって本当なの?」
「ミュラ、その話を理沙にしたら許さないわよ」
ミュラなら食いつくだろうなと思ったら、やっぱりだった。
でも理沙の前でその話題は触れないでほしい。私の真剣な顔に何かを感じたのか、ミュラが引き下がってくれた。どんなに恋愛話が趣味のミュラでも、理沙を傷つけるようなことは言わない。そこは信頼している。おしゃべりだけど。
「今料理中なんだけど、ミュラも来る?」
「行っていいなら行くわ」
ミュラと話もしたいけど、理沙が帰ってくる前にハンバーグを完成させておきたい。
もう十分寝かせただろうから、後は焼くだけだ。そもそも自分で作るときは寝かせたりしない。
厨房に入ると、ハンバーグの焼けるいい匂いがしていた。すでに焼いていたようだ。
「マサコ様、こちらで試しに味付けをして、焼いていました」
さすが本職。私の説明だけで、きれいなミニミニハンバーグが出来ている。
お試しで食べてほしいと言われて、ミュラとロニアと試食しながら、どれが美味しいかを話し合っていると、ミュラが何かに思い当って質問してきた。
「もしかして、あんたが私に味付けを任せたのって味音痴じゃなくて調味料が分からなかったから?」
「そうよ。どんな調味料があるのか、どういう味付けが一般的なのか知らないんだもの」
味音痴って何よ。
いろんな種類の料理を食べて、それなりに舌が肥えている自信があるわ。この世界の人と比較してだけど。
「これ美味しいわ。ねえこれ、聖女様の世界の食事って宿で出していい?」
「いいけど、作るの大変よ?」
「マーサが作ってたのならできるわよ」
「私たちの世界には勝手に細かく切ってくれる便利な道具があったの。じゃなきゃ作らないわよ」
私がずぼらって言いたいのかしら。まあ実際そうだけど、面と向かって言われると腹が立つものね。
相変わらず図々しいというか、商魂たくましいというか、それでこそミュラだわ。
だけどミュラのお陰で、理沙はこの国を見捨てたのではなく逃げ出すしかなかった、理沙は悪くないのだという噂がクインス中に広がったとレイ君が教えてくれた。
だからミュラにはとても感謝しているのだ。それは理沙が一番気にしていたことだから。
「料理長、このチーズ入りを理沙のために作ってもらえるかしら」
「畏まりました」
「それからこれの味付けも教えてもらえる?」
「後ほど書き出してお渡しします」
これがお礼になるのか分からないけど、宿でもできそうなあまり凝っていない味付けの物をミュラのために教えてもらおう。
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