願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉

文字の大きさ
147 / 282
学園編

46. 雪をよける魔法

しおりを挟む
「ここ一面の雪を掘るのか? 応援を呼んで全員でやるか」
「俺が風の魔法で雪を散らそう」
「やめろ、おまえの大雑把な魔法じゃ、キノコもバラバラになるだろう。氷の騎士様、なんとかできません?」
「ルジェ、雪を飛ばせるか?」
『キャン』
「おお、狐の魔法は初めてみるぞ。頑張れ」

 ここは期待に応えないとね。見せてあげよう、オレの雪魔法を。
 いざ、キノコよ、出てこい! 秘技、雪よけの術! フン!

『これでいい?』
「一個ずつ、キノコの周りの雪を鼻息で散らすのか……」
『キャン』
「この一面の雪を飛ばすのかと期待しちゃったよ」
「まあそうだよなあ。狐は戦えないんだもんな。できてそれくらいだよな。よく頑張ったぞ、狐」

 違うよ! できるよ! この森の雪全部だって消せるよ。でもそれは、使役獣の魔法の範囲を超えているでしょう。だから、使役獣ができそうな魔法にしたんだよ。
 え? 魔法じゃなくて、鼻息だろうって? そんなことないよ。ちょっとだけど、雪の魔法も使ってるから。

 一面の雪をフンフンして、キノコの周りの雪をよけて回る。にょきにょきと雪を割ってキノコが生えたように見えて、なかなか面白い景色だ。

「おい、狐、まだあるのか?」
『キャン』

 たくさん生えているから、収穫が追いついていないけど、見えているのはまだ半分くらいだよ。持ってきた袋に入りきらないくらいあるよ。
 続けてフンフンして、辺り一帯のキノコを見えるようにしたら、オレの仕事は終わり。周りの魔物を警戒しているウィオの肩に乗って、甘える。

『オレ頑張ったでしょう。ごほうびに、これで料理長さんに美味しいパスタを作ってもらいたいな』
「そうだな」
『お肉のクリーム煮に入れても美味しそうだよね』
「ああ。崖から落ちたときの怪我はないのか?」
『ないよ』
「よかった。次は気をつけて、心配させないでくれ」

 ウィオがツンデレだ。本当は心配してくれていたんだね。オレがうっかりして心配かけたことに、ちょっと不機嫌になっちゃったんだね。ごめんね。
 この先は、心配をかけないためにも、ウィオの肩に乗っていよう。肉球が冷たいからじゃないよ。


 崖の下のキノコを全部収穫してから崖の上に戻る。食パンくんたちのキノコ探しはどうかな?

「リンちゃん、また見つけて、偉いねえ。後で干し肉をあげるからね」
『ワン』
『きゃん』
「たぬたぬは仕事してないでしょう」

 雪の上を走り回って、キノコを見つけてはほえている食パンくんのそばで、大福くんはギルド職員さんに抱っこされていた。キノコを食べちゃうから、自由にさせられないそうだ。
 トリュフを探すブタを育てるのに一番大変なことは、食べないように訓練することだと聞いたことがある。美味しいものが目の前にあったら、仕方ないよねえ。

「お、そっちはどうだ? こっちはわんこがたくさん見つけてくれたぞ」
「こっちは狐が崖から落ちたところに、たまたまたくさん生えてた。もう袋がいっぱいで入りきらない」
『キャンキャン』

 違うって。落ちたところにたまたまあったんじゃなくて、匂いを追いかけたら落ちちゃったんだよ。まるで運だけで見つけたような言い方、ひどいよ。
 ぷりぷりしているオレをなだめるように、ウィオがなでてくれる。飼い主が分かってくれているなら、まあいいか。

『ワン』
「次も見つけたのか。ちょっと待ってくれ、こっちがまだ採れてない」
「狐が採りやすいように、雪をよけてくれるぞ」

 ご使命とあらば、行きましょう。ウィオの肩から降りて、食パンくんの見つけたキノコに向かって、フン!

「おおー、狐、すごいじゃないか。応援以外もできたんだな」
「偉いぞ。よしよし」

 いやいや、これくらいで褒められるって、ちょっと心外。オレ、薬草ハンターとして名高いのに、オルデキアではいまだに応援しかできないと思われているの?

『ワンワン!』
「リンちゃん、また見つけたの。すごいねえ」
『ウー、フン!』

 あ、食パンくんがオレの真似をして雪を鼻息でよけようとして、火の魔法も一緒に飛ばした。

「リンちゃん、すごいよ! ちゃんと雪がなくなったよ。リンちゃんは天才だねえ」
「あー、たしかに天才なんだが、ちょっとキノコが焦げてるぞ」
「それくらい大丈夫だろう。リンちゃん、今日はたくさん美味しいものを食べようねえ」

 キノコがこんがり炭火焼きになって、あたりに美味しそうな香りが広がる。お肉の付け合わせに出てきたら、最高だなあ。

「あ、リンちゃん、食べちゃダメ!」
『キューン』
「美味しそうだけど、ダメだってば」
「こら、たぬたぬ、大人しくして!」

 あーあ。美味しそうな香りに、食パンくんだけでなく大福くんまで興奮している。このままじゃ探索は続けられそうにない。

「休憩にするか。そのキノコは、二匹で食べるといい」
「たぬたぬは何もしていないので、もらうのは……」
「仲間はずれにしたらかわいそうだろう。わんこ、もう二個、キノコを焼いてくれ」
『ワン!』

 冒険者がキノコを取り出して食パンくんの前に並べ、オレたちに一つずつ行き渡るように、三個のこんがりキノコを作ってくれた。お気づかいありがとう。干し肉と一緒に食べたいから、ウィオにみんなの分も出してもらう。
 干し肉とキノコを並べて、いただきまーす。もぐもぐ。キノコの旨味が合わさって、料理長さん特製の美味しい干し肉が、さらに美味しい。うまうま。
 食パンくんも大福くんも美味しそうに食べているのを、みんなが微笑ましそうに見守っている。ギルド職員さんだけ表情が険しいけど、大福くんの採取狸としての修行は始まったばっかりだから、仕方ないよ。

「わんこは、雪をよけるの禁止な。わんこが見つけて、狐が雪をよける。それでいこう」
「だな」

 休憩が終わったら、食パンくんと協力して、キノコ探しを続けよう。大福くんは……、見学しててね。
しおりを挟む
感想 803

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。