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学園編
99. 名探偵ルジェ
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オレたちがドラゴンの爪を持ち帰ったことを、王様に知らせたのは誰か。
名探偵ルジェくんによる推理のお時間です。
部隊長さんが近衛団長さんに伝えたのでなければ、どこかから王様に伝わった情報だと思う。
『ネウラのお屋敷の使用人さん?』
「この屋敷を含め、そのような口の軽いものは雇いません」
『ごめんなさい』
お父さんが反論するよりも先に、執事さんからピシっと指摘された。オレも一番可能性は低いと思っていたけれど、一応言ってみただけです。もう二度とうたがわないので、許してください。
『特別部隊の騎士?』
「違うだろう。彼らはたとえ拷問されたとしても言わない」
『むしろ言って』
怖いこと言わないでよ。オレに関する秘密なんて、そんなに頑張って守るほどのものじゃないから。
「あの狐の正体、知ってるか?」とか「お屋敷にドラゴンの爪があるんだ。見に行くか?」なんて人がたくさんいるところで言ったら怒るけど、命がかかっている場面ならペラペラしゃべっちゃってよ。身代金にドラゴンの爪や鱗を要求されたら、好きなだけあげるよ。足りなければ追加でドラゴンに持ってきてもらうから。今度部隊長さんに会ったら、念のために伝えておこう。
『学科長が研究仲間に言っちゃった?』
「ルジェの契約があるから、彼らはしゃべることができないだろう?」
『だよねえ』
学科長たちには特別にオレが秘密保持の契約をかけているから、そこから漏れることはない。それに、研究者同士のひそひそ話が王様まで伝わるには早すぎる。
じゃあ、だれ? それ以外にはあの場にいなかったから、まったく分からない。
お父さんも犯人がだれなのか分かっているようだ。なんでオレだけ分からないの。
もう、お手上げ。白旗の代わりに尻尾を振るから、教えてよ。
「知らなくてもいいだろう」
『やだ。気になる。教えて。教えてくれないなら、お庭を掘り返すよ』
「やめろ。……仕方ない。おそらく影だ」
『影?』
「王家の影だ。旅のあいだ、見ていたんだろう」
それって忍者みたいな存在が、こっそりオレたちを監視していたってことだよね?
近衛団長さんを見ると、少し困った顔で笑っているから、正解らしい。そういえば、食い倒れツアーのときもいろんな国の人から監視されていたらしいよね。気にしていなかったけど。
じゃあ、今回の旅の最初から、オレが森の中から魔物を連れてきたところから、見られていたってことだ。だったら、王子にからまれていたときに助けてくれればよかったのに。
なーんだ。ネウラでお披露目する前から、王様や近衛団長さんは知っていたのだ。その可能性は考えなかったよ。謎解きはできなかったけど、名探偵だってたまには失敗するよね。
ん? あれ、ちょっと待って。ということは、オレがドラゴンの咆哮で転がっちゃったのも、見られていたってことじゃない!?
『ウィオ、気づいていたなら教えてよ。オレの恥ずかしいところ見られちゃったじゃない!』
「ルジェが気づかないのに、私が気づくわけないだろう」
『そんなの、その辺にいる人間がオレを監視しているかどうかなんて、気にかけてないもん』
恥ずかしいよ。穴があったら入りたい。庭に穴を掘ろうか。
いや、ここは影の記憶を消すべきだな。影を探し出して、旅のあいだのことはすべて忘れてもらおう。
『近衛団長さん、その影の人は今どこにいるの?』
「神獣様、決して神獣様を監視していたわけではなく」
『それはどうでもいいから、どこにいるのか教えて』
「ルジェ、やめろ。特に害があったわけじゃないんだ。影に罪はない」
『害ならあったよ! オレの恥ずかしいところを見られちゃったんだから、記憶を消さなきゃ!』
人の記憶を消せるのかって? 分からないけど、きっとできるよ。オレはチートなんだ。信じれば願いはかなうんだから、なんとかなるはず。
「そもそも、見られて恥ずかしいことなどあったか? 干し肉をまだ食べたいと欲張っているところか?」
『食いしん坊は、恥ずかしいことじゃないもん』
火の子にも食いしん坊って言われるくらいだから、いまさらだよ。
「居眠りして、馬の上から落ちそうになったことか?」
『それは、ちゃんと見ていないウィオが悪い』
お天気が良くて、お馬さんのひづめの音がパカラパカラと単調で、眠くなっちゃったら、転げ落ちそうになったのだ。ウィオがしっかり抱っこしてくれていればよかったのに。飼い狐の扱いがぞんざいだと、自分からばらしてどうするの。
「ああ、あれか。ドラゴンの吐息で飛ばされて、砂まみれになったことか」
『吐息じゃなくて、咆哮!』
一番知られたくなかったことを、あっさりばらされた。オレがドラゴンよりも弱いと思われちゃって、イメージが台無しじゃないか。
ウィオはオレの飼い主なのに、ひどいよ。執事さん、なぐさめて。
「ルジェ様、お怪我はございませんでしたか?」
『ないよ。オレのほうがドラゴンより強いもん。身体が軽かっただけだもん。ぐすん』
執事さんの懐に飛びついて、お腹にのめり込む勢いですり寄ると、背中を優しくなでてくれる。
飼い主に恥ずかしいところをばらされて、心が傷ついたから、もっと甘やかして。
「ルジェくん、どんなルジェくんも可愛いよ」
お父さんのなぐさめが、逆にオレの傷をえぐる。それは、おまぬけさんでもドジっ子でも、うちの子が一番可愛いってやつだよね。
オレはできる飼い狐なのに。ちょっと旅先で油断して、突風に飛ばされただけなのに。ふえーん。
「ルジェ様、本日のお夕食には、ルジェ様のお好きなチョモを用意いたしましょう」
『食べもので機嫌を直そうって魂胆がみえみえ』
「デザートに、レリアのシャーベットはいかがですか?」
『食パンくんが採ってきてくれたキノコのクリーム煮も食べたい』
食べものに釣られる安いやつと思われるのはしゃくだけど、美味しいものに罪はない。執事さんと料理長さんの甘やかしメニューは、ありがたくいただくよ。
名探偵ルジェくんによる推理のお時間です。
部隊長さんが近衛団長さんに伝えたのでなければ、どこかから王様に伝わった情報だと思う。
『ネウラのお屋敷の使用人さん?』
「この屋敷を含め、そのような口の軽いものは雇いません」
『ごめんなさい』
お父さんが反論するよりも先に、執事さんからピシっと指摘された。オレも一番可能性は低いと思っていたけれど、一応言ってみただけです。もう二度とうたがわないので、許してください。
『特別部隊の騎士?』
「違うだろう。彼らはたとえ拷問されたとしても言わない」
『むしろ言って』
怖いこと言わないでよ。オレに関する秘密なんて、そんなに頑張って守るほどのものじゃないから。
「あの狐の正体、知ってるか?」とか「お屋敷にドラゴンの爪があるんだ。見に行くか?」なんて人がたくさんいるところで言ったら怒るけど、命がかかっている場面ならペラペラしゃべっちゃってよ。身代金にドラゴンの爪や鱗を要求されたら、好きなだけあげるよ。足りなければ追加でドラゴンに持ってきてもらうから。今度部隊長さんに会ったら、念のために伝えておこう。
『学科長が研究仲間に言っちゃった?』
「ルジェの契約があるから、彼らはしゃべることができないだろう?」
『だよねえ』
学科長たちには特別にオレが秘密保持の契約をかけているから、そこから漏れることはない。それに、研究者同士のひそひそ話が王様まで伝わるには早すぎる。
じゃあ、だれ? それ以外にはあの場にいなかったから、まったく分からない。
お父さんも犯人がだれなのか分かっているようだ。なんでオレだけ分からないの。
もう、お手上げ。白旗の代わりに尻尾を振るから、教えてよ。
「知らなくてもいいだろう」
『やだ。気になる。教えて。教えてくれないなら、お庭を掘り返すよ』
「やめろ。……仕方ない。おそらく影だ」
『影?』
「王家の影だ。旅のあいだ、見ていたんだろう」
それって忍者みたいな存在が、こっそりオレたちを監視していたってことだよね?
近衛団長さんを見ると、少し困った顔で笑っているから、正解らしい。そういえば、食い倒れツアーのときもいろんな国の人から監視されていたらしいよね。気にしていなかったけど。
じゃあ、今回の旅の最初から、オレが森の中から魔物を連れてきたところから、見られていたってことだ。だったら、王子にからまれていたときに助けてくれればよかったのに。
なーんだ。ネウラでお披露目する前から、王様や近衛団長さんは知っていたのだ。その可能性は考えなかったよ。謎解きはできなかったけど、名探偵だってたまには失敗するよね。
ん? あれ、ちょっと待って。ということは、オレがドラゴンの咆哮で転がっちゃったのも、見られていたってことじゃない!?
『ウィオ、気づいていたなら教えてよ。オレの恥ずかしいところ見られちゃったじゃない!』
「ルジェが気づかないのに、私が気づくわけないだろう」
『そんなの、その辺にいる人間がオレを監視しているかどうかなんて、気にかけてないもん』
恥ずかしいよ。穴があったら入りたい。庭に穴を掘ろうか。
いや、ここは影の記憶を消すべきだな。影を探し出して、旅のあいだのことはすべて忘れてもらおう。
『近衛団長さん、その影の人は今どこにいるの?』
「神獣様、決して神獣様を監視していたわけではなく」
『それはどうでもいいから、どこにいるのか教えて』
「ルジェ、やめろ。特に害があったわけじゃないんだ。影に罪はない」
『害ならあったよ! オレの恥ずかしいところを見られちゃったんだから、記憶を消さなきゃ!』
人の記憶を消せるのかって? 分からないけど、きっとできるよ。オレはチートなんだ。信じれば願いはかなうんだから、なんとかなるはず。
「そもそも、見られて恥ずかしいことなどあったか? 干し肉をまだ食べたいと欲張っているところか?」
『食いしん坊は、恥ずかしいことじゃないもん』
火の子にも食いしん坊って言われるくらいだから、いまさらだよ。
「居眠りして、馬の上から落ちそうになったことか?」
『それは、ちゃんと見ていないウィオが悪い』
お天気が良くて、お馬さんのひづめの音がパカラパカラと単調で、眠くなっちゃったら、転げ落ちそうになったのだ。ウィオがしっかり抱っこしてくれていればよかったのに。飼い狐の扱いがぞんざいだと、自分からばらしてどうするの。
「ああ、あれか。ドラゴンの吐息で飛ばされて、砂まみれになったことか」
『吐息じゃなくて、咆哮!』
一番知られたくなかったことを、あっさりばらされた。オレがドラゴンよりも弱いと思われちゃって、イメージが台無しじゃないか。
ウィオはオレの飼い主なのに、ひどいよ。執事さん、なぐさめて。
「ルジェ様、お怪我はございませんでしたか?」
『ないよ。オレのほうがドラゴンより強いもん。身体が軽かっただけだもん。ぐすん』
執事さんの懐に飛びついて、お腹にのめり込む勢いですり寄ると、背中を優しくなでてくれる。
飼い主に恥ずかしいところをばらされて、心が傷ついたから、もっと甘やかして。
「ルジェくん、どんなルジェくんも可愛いよ」
お父さんのなぐさめが、逆にオレの傷をえぐる。それは、おまぬけさんでもドジっ子でも、うちの子が一番可愛いってやつだよね。
オレはできる飼い狐なのに。ちょっと旅先で油断して、突風に飛ばされただけなのに。ふえーん。
「ルジェ様、本日のお夕食には、ルジェ様のお好きなチョモを用意いたしましょう」
『食べもので機嫌を直そうって魂胆がみえみえ』
「デザートに、レリアのシャーベットはいかがですか?」
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