【R18】【短編】彼氏の左手には鬼の口~人力車・ひざ掛けの下で~

梅乃なごみ

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2 浅草で着物デート

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 ❀ ✿❀ ✿❀ ✿

 
 妖怪の血を引く妖人と呼ばれるひとたちと、純粋な人間が共に暮すようになって200年ほど。
 昔々は妖怪に人間の娘を嫁入り(生贄?)させる風習なんかもあったみたいだけれど、今では妖人、人間ともに黒歴史扱いだからそんなことは一切ない。
 しかも歴史の授業でも習うことだけど、嫁入りとか婿入りとかやめよう!って言い出したのは妖人側だったらしいし。
 今では普通に同じ学校、会社で働いていて、一見わたしたち人間と区別がつかない彼らだけれど、どんな分野でも特別な能力と才能を発揮し世界中の『偉い人・凄い人』は蓋をあけてみれば妖人、ということが多い。
 そんなやっぱり特別なひとたちは恋人にも特別である同族を選ぶことが当然多いのだけれど――。
 
『いいですねえ~妖人の彼氏さん! 私ここで働いて長いんですけど、人間とのカップルって滅多にお目にかからないですよお。しかも鬼の妖人さんなんて』

 レンタルした着物を手際よく着付けてくれる着付師さんの視線が痛い。
 不釣り合いだってことは重々承知しております、はい。なんで私みたいな特別美人でもなければ可愛くもない平凡でどこにでもいそうな大学生が? そうですよね、私もそう思います。
 
「いや~……私もびっくりで……未だに慣れないなって思います」

『どこで出会ったんですか~?』

「えっと……幼稚園が一瞬だけ同じで、彼はすぐに引っ越しちゃったんですけど、大学生になってから私のバイト先で再会して……」

『あ~やっぱりそういう系なんですね~いや~羨ましいです~。それにしてもさっき髪飾り取りに行ったときに聞いたんですけど、彼氏さん、ご自身で着付けてさっと出てっちゃったらしいですよ』

「え!?」
 
『そういえば誰が担当するかで揉めていたような……?』
 
(そんなことってある……?)
 
 カップルプランで予約したものの、ただでさえ女性のほうが着付けに時間がかかってしまうものだ。
 そんな中、まさかの事態に内心焦りながら着付けを急いでもらい、先に終わったから外で待っているねと連絡が入っていた恋人の元へ急ごうとお店を出た瞬間。
 
 「なおちゃーん!」
 
 ダダダダダッ、と現れたのはガタイのいい車夫さんが猛スピードで引く人力車に乗った恋人・陽向くんが現れた。
 
「陽向くん!?」
 
 なんで人力車で登場!?

 なんて驚いているうちに攫うようにして私も人力車に乗せられる。
 わあ。人生初の人力車だ、わーい。

 「かわいい……!! 着物っていつもと全然雰囲気変わるね。いや、なおちゃんはいつも可愛いけど、今日は特別っていうか。うわあ、かわいい」
 
 あ~~~~今日も顔がいい~~~~!
 長めのセンターパートの前髪からの覗く赤い瞳が色気たっぷりでクラクラするし、嬉しそうに笑うと牙みたいな八重歯が見えてかっこいい。
 あ、着物は紺だけれど、帯は渋い赤で瞳の色と相まって陽向くんにすごく似合ってる素敵……。
 
 「ア……カッコイイ……アリガトウ、ゴザイマス」
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